妖怪こと青波お爺様は孫に弱い   作:ブハラ

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第4話

 1年という時間が経過した。青信は第一高校への入学を翌日に控えている。そんな青信は明日の準備を殆ど終わらせて、とある人物と秘匿回線を通じて会話をしていた。

 そのとある人物とは、青信の魔法の師にして四葉家現当主ー四葉真夜だ。真夜の方から連絡があったのである。

 

 「入学おめでとう青信さん」

 「ありがとうございます真夜さん」

 

 妖艶な笑みで、青信の入学を祝福する真夜。普通の人間からしたら、相手はあの四葉家の現当主なのだ。まず緊張で話す事が出来ないだろうが、そこは青信と真夜の関係である。

 青信は持ち前の笑顔で、その祝福にお礼を言った。

 

 「本当は入学式に出たかったのだけど、私も色々忙しくて」

 「いえ、お気持ちだけで充分ですよ」

 

 真夜は青信の魔法の師として、青信の事を可愛がっていた。大スポンサーの孫だからと言う訳ではない、純粋に青信の事を可愛い弟子だと思っている。

 冷酷非道な四葉家の現当主にそこまでの思いを抱かせるのは、青信の性格故だろう。

 青信もまた、真夜の事を魔法の師として尊敬していた。

 

 そんな事もあり、真夜としても第一高校の入学式に出たいという思いもあったのだが、四葉家の当主として忙しい為参加は出来そうになかった。

 

 「それと、達也さんと深雪さんも第一高校に入学するそうだから、よろしくね青信さん」

 「了解しました。達也も第一高校に入学出来たんですね」

 「実技の点数は問題があっても、筆記で達也さんに適う高校生は居ないですもの」

 

 「何て言ったってあのトーラス・シルバーですから」と言ってクスクスと笑う真夜。

 青信は達也と深雪が第一高校に入学するという事を聞いて内心で喜んでいた。青信は司波兄妹と仲が良いからだ。

 

 「そう言えば、お爺様はお元気?」

 「祖父ですか?祖父はそれはもう元気ですよ」

 

 しばらく2人が雑談する内に、そう尋ねる真夜。真夜のその質問に、青信は苦笑いしながら、肯定した。

 

 実際に青信の祖父ー青波はその老齢を感じさせない程元気だ。東道家のある執事は、孫である青信が生まれてから余計に若返ったと評する程である。

 青信の苦笑いに、真夜も釣られて何とも言えない笑みを浮かべた。真夜は、青波が孫バカであると知っている数少ない人物だからだ。

 

 そんなこんなで、話す事数分。そろそろ青信と真夜お互いに通話を切らなければならない時間が迫っていた。

 

 「そろそろ時間だわ。それじゃあ、高校生活頑張ってね青信さん」

 「ええ、ありがとうございました真夜さん」

 

 

 +++

 

 

 真夜との通話を終えた青信は、祖父である青波の下へと来ていた。青波の方から話があると言われたからだ。

 入学を翌日に控えた日の呼び出し。大方、第一高校に入学する事に関係する事だろうと思いながら、青波の居る部屋をノックする。

 重厚な扉を叩くコンコンという音がする。中からは「入れ」という青波の声が返って来た。

 

 「失礼します。お爺様」

 「おお青信か。よく来たな。まあそこに座れ」

 

 青波は青信の顔を見ると破顔し、青信にソファに座るよう指示した。その通りにソファに座った青信。青波は早速本題を切り出す。

 

 「まずは入学おめでとう青信」

 「ありがとうございますお爺様」

 「あんなに小さかったお前が、もう高校生とは。時が経つのは早いものだな」

 

 そうしみじみと昔を想う青波。青信もまた、まだ小さい頃に習い事を抜け出しては青波に甘えていた頃の自分を懐かしく思い出していた。

 

 「習い事を抜け出しては、よくお爺様の下へ行きましたね」

 「ハッハッハ。そうだったな。随分昔の話だが」

 

 青信の懐かしい思い出に関する発言に、そんな事もあったなと同じく過去を懐かしむ青波。

 そんなこんなで、思い出話に花を咲かせる青信と青波。2人は仲の良い祖父と孫である。それは昔も今も変わらない。

 しかし、やはり昔の話というのはお互いに懐かしいモノで。気が付くと随分と思い出を語っていた。

 

 思い出話も一段落し、青波が青信に尋ねる。

 

 「そう言えば、北山家の長女とは最近どうなんだ」

 「雫ですか?勿論仲良くしてますよ。雫も第一高校に合格したので、これからは一緒に居られる時間が増えそうです」

 「そうかそうか。それは僥倖だな」

 

 青波は特に必要以上に干渉していないが、孫の恋路については強い関心を寄せていた。

 北山家の長女ー雫と話して、孫の交際相手として認めた青波だが、2人の仲についても心配していたのである。

 しかしその心配も杞憂だと分かり、とりあえず一安心する青波。

 

 そんな青波は、更に深刻な心配事について青信に話す事にした。

 

 「儂の話はこれくらいだが、最後に1つ第一高校に関して忠告させてくれ」

 「忠告ですか?」

 「うむ。どうやら最近第一高校で反魔法師運動を行うブランシュの下部組織ーエガリテの動きが活発なようだ」

 「エガリテですか」

 「青信ならあの程度の輩如き大丈夫だろうが、気にかけておいて損はあるまい」

 「分かりました。情報ありがとうございます」

 

 エガリテとは、青波の言葉通り反魔法師運動を行う組織ーブランシュの下部組織で若年層をターゲットにしている。

 そんな組織が第一高校に関わっているという情報は、青信にとっては貴重なモノだった。情報を手に入れているのといないのでは、大きく差が出てしまうからだ。

 

 「改めて、入学おめでとう青信。青信がここまで立派に成長してくれて儂も祖父として鼻が高い」

 「ありがとうございますお爺様」

 

 最後の最後に、改めて青信の入学を祝福してこの場は解散となった。入学まであと1日。物語は加速するー

 




閲覧ありがとうございます。これで序章は終わりです。1話辺りの文字数が少なく描写不足でごめんなさい。入学編からは本気出します。

感想ありがとうございます。全て確認していますが、個々の返信はしていないのでごめんなさい。
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