思い立ったが吉日!さっそく一条先輩を家に呼びだしますが……
春「はぁ……」
風ちゃん『どうしたの?何か嫌なことでもあったの?』
夏休み、学校がなくても風ちゃんとは電話で毎日のようにお話しします!
春「ううん、そうじゃないんだけどさ」
風ちゃん『一条先輩のことだよね?』
春「ぶふぅ!な、なんで!」
風ちゃん『夏祭りのとき、一条先輩と二人っきりだったよね?何かあったんでしょ』
春「うぅ……///」
夏祭りの日
私の為に頑張る一条先輩はちょっとカッコわるかったけど、とってもカッコよくて
ひどい人だと思ってたけど、ホントは二股を企む悪人なんかじゃなくて
違うと思ってたけど、そんなわけないって思ってたけど、実は私の王子様で
でも、一条先輩はお姉ちゃんとくっつくべきなんだ
両想いの二人の邪魔なんてしたくない
だから諦めるって、私の初恋はもう終わりって決めたのに、あの人は……
春「あぁーーもう!あの人ったら人の気も知らないで!お店にのこのこと!!」
風ちゃん『はは、そういうことね』
春「はぁ……風ちゃん!私決めた!一条先輩とお姉ちゃんをくっつける!」
風ちゃん『おぉー』ぱちぱち
私がなんとかしないと、いつまでたっても二人はくっつかない!
私が、お姉ちゃんと一条先輩の恋のキューピットになる!
~数日後~
──和菓子屋おのでら裏口──
一条「おじゃましま~す……」そわそわ
春「さっさとあがってください、先輩」
小咲「い、いらっしゃい、一条君」そわそわ
春(まったく、出来立てほやほやのカップルかっての。見てるこっちが恥ずかしいよ……とにかく、第一段階クリア!)
~~回想~~
風ちゃん『問題はいつも邪魔が入ることだよね』
春「確かに。一条先輩のまわりには可愛い人がたくさんいるもんね……ちぇっ」
風ちゃん『ん?』
春「な、なんでもない」
風ちゃん『ねえ、春のお姉ちゃんと一条先輩が自然に二人っきりになれて、邪魔が入らない場所といえば?』
春「う~ん……あ!リアル脱出ゲーム!あれなら二人っきりでしかも密室!さすがだね!風ちゃん!」
風ちゃん『二人でそんなとこ行く勇気があるなら、もう付き合ってるんじゃない?』
春「うっ、たしかに」
風ちゃん『もっと身近なところだよ。春のおうち!』
春「なるほど!!よし、さっそく口実を作って一条先輩を家に呼ぼう!」
風ちゃん(ふふふっ、一条先輩を自分の家に呼ぶっていう自覚は無いのかな~)
~~回想終了~~
春「いや~助かりましたよ、一条先輩。今回の模試テストはもっと成績あげたくて。先輩も’’一応’’、’’そこそこ’’勉強はできるんですよね?」
一条「いや、俺で良いなら教えてあげるけどさ、千棘や宮本の方がよっぽど頼りになるんじゃないのか?」
一条(小野寺の家に入れるのはそれだけでめっちゃ嬉しいけどさ!)
春「そんなことしたらお二人の勉強の邪魔になるじゃないですか。私なんかの為に迷惑かけられないですよ」
一条「俺には迷惑かけていいのかよ!まあ、俺は普段からちゃんと勉強してるし?これくらい全然ヨユーだけどな」ドヤァ
小咲「うっ……」
一条「あ、お、小野寺!?べ、別にテスト前に追い込むのが悪いことって訳じゃなくてな!」
小咲「う、ううん!一条君が正しいよ!私ももっと頑張らなきゃね」
一条(ああああ!やっちまった!)
春「はぁ、まあいいです、はやく勉強しましょう。ささ、お姉ちゃんの部屋に」
一条「え」
小咲「えっ」
一条&小咲(ええええええええ!!??)
小咲「ちょ、ちょっと春!?なんで私の部屋なの!?春の勉強見てもらうんだから春の部屋でやろうよ!ね!一条君!ね!」
小咲(私部屋の掃除してないんだってば~~///)
一条「え?い、いや俺はどっちでも……」
一条(むしろ小野寺の部屋の方が嬉しいというか──っておお!?)
小咲「~~~~!!」うるうる
一条「た、確かに!春ちゃんの部屋でやったらいいんじゃないかな!」
春「……え」
──春の部屋──
一条「よし、まずは数学からだっけか」
春「あ、はい、よろしくお願いします」
小咲「じゃあ、私飲み物持ってくるから、先に始めててね」
きぃーばたん
一条「俺も自分の勉強やるけど、遠慮なく声かけていいからな」
春「あ、はい」
春&一条「…………」カリカリ
春(なんでこうなるのおおおお!!ま、まあ大丈夫、私がいなくなればお姉ちゃんと先輩は完全に二人きりになる!)
春「あ、先輩、この問題の解き方が分からないんですけど」
一条「ん、どれだ?ふむふむ、これは平方完成っていってな、※※※~~~」
春「んー……すいません、まだよく分からないです」
一条「やって見せた方が早いかな。よいしょっと」
春(きゃっ、一条先輩が隣に!!うぅ、近い///)
一条「因数分解と似てるんだけどな、まずこれをこうして……」ちょん
春「うひゃあ!!」
一条「うぉ!」
春「ちょっと!どさくさに紛れて触らないでください!セクハラですよ!」
一条「せ、セクハラ!?ちょっと当たっちゃっただけだよ!?」
春「へぇ~そういう事言っちゃうんですね?お姉ちゃ─」
一条「ごめん!ごめんって!!気を付けるから!!」
春「最初からそうしてください、まったく」
春(うぅ、まだ心臓がばくばくしてる……こんなはずじゃないのに)
がちゃ
小咲「お待たせ~麦茶で良かったかな?」
一条「あ、あぁ、ありがとな小野寺」
春<びくっ
春(紛らわしいな、やっぱり。そんなことより計画第二段階!ここが肝心だよ!春!!)
春「お姉ちゃん、せっかくだし一緒に勉強しない?ほら、3人寄れば長寿の功って言うし!」
一条(言わないだろ)
小咲「え?えっと、せっかくだけどこれからるりちゃんと約束があるから」
春「うそっ!?昨日は何もないって言ってたじゃん!」
小咲「さっき急に誘われたの。もうオーケーしちゃったし……二人で勉強頑張ってね!」
小咲(前に二人きりになったときも何だかんだ……いや、今回はきっと大丈夫!春ならきっと一条君と仲良くなれるよ!)キラキラ
春(~~~!!あの目絶対なんか勘違いしてる!)
小咲「それじゃ、行ってきまーす!またね、一条君」
一条「おう、またな」
一条(ちょっとがっかり……ま、今日は春ちゃんの為に一肌脱いでやるぜ!)
春(……うぎゃぁ~~~~!!)
──数時間後──
一条「ふぅ。結構頑張ったな」
春「ホントですね、ちょっと休憩しましょう。おやつにショートケーキがあったはずです」
一条「え?俺ももらっていいのか?」
春「お姉ちゃんの分、食べていいって言ってましたから」
春(ホントは言われてないけど、せめてもの腹いせに!)
春「ほら、取りに行きますよ。私の部屋で先輩が一人きりなんて許すと思いますか??」ぱたぱた
一条「分かってるって!!でもそんな疑う事無いだろ」てってってっ
春「信じてほしいならそれに足る行動をしてください」
一条「えぇ……」
──再び春の部屋──
春「いただきま~す!」
一条「いただきます!美味しそうだな~」
春「お姉ちゃんが選んできたケーキですからね、美味しさは保証しますよ」えっへん
一条「あれ、こっちの方がクリーム多いぞ?交換しようか?」
春「そこまで気を使わなくても……まあせっかくなのでいただきますが、こんな事で女心を分かってるつもりにならないでくださいね?」
一条「へいへい」
春(嬉しいけど)
一条「もぐもぐ。おぉ!うまいなこれ!!どこのお店か知りたいくらいだ!」
春「お姉ちゃんにでも聞いてください。はぁ、味覚はあんなに繊細なのに、なんで料理が壊滅的なんでしょうか」
一条「ははは……でも春ちゃんは料理上手だよな。あの弁当ホント美味しかったよ」
春「なっ///今さら言わないでください!!」ぽろっ
春「あ~~~!私のイチゴ!!先輩のせいですよ!」
一条「えぇ!また俺のせいかよ……まあいいよ、代わりにこっちの食べていいよ、ほら。なんならまたあーんてしてやろうか?あーん」にやにや
春「///うがーーー!!!」
どん!
一条「うわ!あぶなっ!」
どすん!
春「いてて……は!」
春(なんで私が一条先輩に覆いかぶさってるの!?!?)
春「せ、せんぱい。はやくどいてください///」
一条「い、いや、春ちゃんがどかないと俺動けないって──」
春「良いからさっさとどいてください!」
一条(無理だーーーー!)
がちゃ
小野寺母「ただいまー春いるー?小咲は出かけてるん──」
春&一条「あ」
小野寺母「へぇー、お姉ちゃんがいない間にそういう事しちゃうんだ」にやにや
春「い、いや!これは、違くって─」
小野寺母「小咲に報告しないとね~~」にやにやにや
春&一条「やめてえええええええええ!!」
春(もおぉーー!!一条先輩なんて二度とうちに呼ぶか!!)
おわり
小咲「ねえ春、カフェ・ド・フランスのショートケーキ二つとも食べちゃった?」
春「あ、ごめん、片方は一条先輩にあげちゃった」
小咲「あ、それなら別に……ねえ、クリームが少なくなってる方、どっちが食べたとか、憶えてる?」
春「ん?一条先輩だけど、それがどうかしたの?」
小咲「……」
小咲(あ、あれは、ちょっと味見したくて、上のクリームを、ゆ、指ですくって……それを一条君が///)
小咲「////」ぼんっ!
春「うわぁ!お姉ちゃん大丈夫!?」
読んでくださってありがとうございました。