彼女はエスパー   作:coltysolty

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そろそろタイムリミットのようだ。


え?

タイムトリップして過去時空にいられるのはせいぜい3日。

琴美が現在の時間から遡ってきた時間軸で過ごせるのは

72時間だけということになる。

 

すでに過去時空で2日目を迎えた。

タイムリミットはあと1日。

今日決めなければ、一旦元の時間に戻らねばならない。

 

記憶を鮮明にしようと

しばし過去の自分に思考をゆだねていた。

 

(BGM)

 

あなたの目に映る

空は今日も高い

 

紺碧の天井に浮かんだ

綿雲が泳ぐ

 

追いかけてみたけど

追いつけなかった

 

手を伸ばせば

届くトコロにいるのに

 

思いは白い綿に包まれながら

小さくなっていった

 

あの頃に戻って

もう一度笑っていたい

 

それぞれの道を歩んでも

思いはずっと一緒だから

 

伝えられなかった思いは

森の中に置いてきた

 

小鳥がさえずる

木の上に佇む

 

思い出の箱を探しながら

 

(end BGM)

 

(懐かしい。あの頃気に入っていた曲だね。

ん・・・たしか次の日だったような気がする。

これを聞きながら仕事に出かけると

回復した彼がいて、その時だった・・・間違いない)

 

仕事場に着くと、過去の琴美は必要な書類をまとめ

車の助手席に乗り込んだ。

 

すでに運転席には、当日の担当者が

ハンドルを握っていた。

 

「あ、おはようございます。照橋さん。

迷惑かけて、悪かったね。」

 

「海藤さん、大丈夫なんですか?

顔色まだよくないですよ」

 

「え、もう大丈夫。ぶっ倒れても

回復早いんだ。だから、がんがん行きますよ。オレ。

覚悟してくださいね」

 

[よかった・・・顔色はよくないけど、とりあえず

元気そう。あまり無理はしないでほしいけど、助かった・・・

私ひとりじゃどうにもならなかったから]

 

「覚悟してます。どんどんしごいてください。」

 

「あれ?なんかいつもと違うな・・・素直に前向きですね。

じゃ、とりあえず出発しますよ」

 

「はいっ」

 

(そろそろ・・・かな?)

 

車のエンジンをスタートさせる海藤。

都会の喧騒は道路事情にも及んでいた。

 

「あ、照橋さんって・・・・・・・・ですか?」

 

車のエンジン音や周りの騒音にかき消され

海藤の質問がききとれなかった。

 

「え?」

 

「え?」

 

(ここだ!)

 

[え・・・聞こえなかったから、え?って言ったのに

それに対して、え?返しって・・・それ以上質問できないじゃない]

 

過去の琴美が躊躇する。聞こえなかったから

聞き返したのに、かぶせて聞き返されたら、次の言葉がつながらない。

 

(は、はーん。なるほどね。だから俊は聞き返したのか・・・

車のエンジンで聞こえなかったのは

 

『照橋さんて、お休みの日は何してるんですか?』

 

私が『え?』って、聞き返したから、俊は自分の質問が

なんかまずかったかな?プライベートのこときいちゃって、

あれ、やっちゃった?って、思ったのね・・・

 

これまで仕事の話しかしてこなかったのに

不自然だったかなって、焦ったのか・・・

 

再スタートは仕切り直し。相棒とはうまくやって

いかなくちゃって、場を和ませようとしたのね。

 

私琴美は単に聞こえなかったから、聞き返したのに・・・え?で

返されちゃったもんだから、確認しようにもどうしたらよいものか

困っちゃったんだよね。

二人とも可笑しいね。

 

さってと、溜飲がおりた。ずっと探していたものが

みつかったから、現代に戻るか・・・

もうちょっとこの時代にいたいのはやまやまだけど・・・)

 

目的を達成した琴美は、後ろ髪をひかれる思いで

もとの時間に戻っていった。




ずっと気になってた忘れものって
海藤君の質問だったんですね。

それだったのかいっ!
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