彼女はエスパー   作:coltysolty

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回復した海藤は同窓会会場に出向いていた。


紅葉だより

頬を刺すような乾いた冷気が、森の衣替えを手伝い

木の葉が色あざやかに変貌を遂げる季節になってきた。

 

体調も回復し、プロジェクトも終盤を迎えゴールが見えてきた月末、

海藤は同窓会会場に出向こうとしていた。

駅までの電車内で、海藤は出口近くに立ち、外の景色を眺めていた。

 

(何年ぶりか・・・ほとんど同窓会には出席してなかったからな。

でも、久々にうまい飯を食いたいし、この会費で飲みほ食べほってのは

アリだよな。今回は、牧田がバックアップしてんのか。

あいつホテルチェーンのオーナーだったな。そういえば。

昔からいけすかねえやつだったけど、まあ、今は大人だから

それなりに距離置いて話せるだろうしな。

 

恩師も来るって言うから、顔だすことにした。山田先生

あの時お世話になったからな。礼もいいたいし)

 

高校の同窓会会場に着くと、海藤はゆっくりと入口に近づいて行った。

背後から誰かに声をかけられた。

 

「お、海藤じゃね?懐かしいな~。おまえ今、なにやってんの?」

 

早速、いやなやつにめっかっちゃった。

 

「おう、牧田。久しぶり。俺は阿蘇通電工でSEやってる。」

 

ニヤリと不敵な笑みを浮かべ、牧田が言葉を返す。

 

「へぇ、阿蘇通でSEね~。あの時退学免れてよかったな。

無事卒業できたから、進学できたんだもんな」

 

(人間ってのは、そうそう性格が変わるもんじゃねえな。

相変わらず、嫌味なヤツだ)

 

海藤は小さくため息をつきながら、牧田に笑顔で答える。

 

「ああ。あの時山田先生にフォローしてもらわなかったら

今の俺はねえからな。お礼の意味も込めて、今日出席したんだ。

おまえも相当はぶりがいいようだな。腹に金色のどら焼きがくっついてる

みてえだな」

 

「はっはっは。おまえ、変わらねえなぁ~。相変わらず尖ってんのな。

まあ、理系だし、正直で遠慮ねえのはしゃあないな。

人間、丸くなっちゃーおもろないからな」

 

海藤の通っていた学校は私立高校だったため、

中学部や小学部からの持ち上がりも多く、牧田は小学部からの持ち上がりだった。

 

「まあ、貧乏は暇がねぇんでな。おまえみたいに坊ちゃんには

わからねえ世界だよ。今回の会、寄付ありがとな。腹壊すまで

飲み食いさせてもらうよ」

 

「おう!頼もしいな。がんがんやってくれ。宣伝も兼ねての

同窓会主催だからな。うちのホテルチェーン、どんどん口コミしてくれよ」

 

「おまえのそういう正直なところは、嫌いじゃないぜ。

そろそろ時間だよな。会場にいこうか」

 

会場に入ると、見覚えのある顔、一見して誰だかわからない顔が並び

挨拶をかわし、会話をすれば思い出す同級生もいた。

乾杯のグラスを手に会場を見渡すと、一人の女性に目が留まった。

 

(あれ・・・?あれって、まり・・・さ、じゃね?

たしか幼稚園一緒だったよな。小・中は別だったけど

高校で一緒になったんだよな・・・あまりしゃべったことはないけど

幼稚園の時は一緒に遊んだ覚えがある)

 

会場の照明が一旦落ちる。マイクから司会の男が挨拶をはじめる。

 

「皆さんお、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。

時間になりましたので同窓会を開催したいと思います。

本日は、ゲストで山田先生をお呼びしております。

 

乾杯の後、皆で談笑したいと思いますので、どうぞゆっくり楽しんでください。

飲み放題、食べ放題、バイキングですので、ご自由にどうぞ!

それでは、乾杯!」

 

主催者の牧田が乾杯の号令をかけると、皆各々杯をかたむけて

旧交を温めた。

 

海藤は先程みつけた、幼少時の友人女性のところに歩み寄った。

女性は振り向くと、海藤をじっと見た。

 

(誰・・・・?あ・・・!幼稚園の時一緒だった

シュン君だ。おもちゃに手を触れていないのに、勝手に動いていた・・・

きっとサイコキネシスだって認識したのは、大人になってからだったけど

子供の時はただ、他の子とは違う力があるんだって、漠然と

思ってたっけ・・・)

 

海藤の方をみていた女性に思い切って声をかけてみた。

 

「こんにちは。もしかして、光傳寺幼稚園で一緒だった

まりさちゃん?高校ではほとんど話したことはなかったけど・・・」

 

「うん。茉莉沙よ。あなたはシュン君よね?幼稚園では

クラスが一緒だったね。砂場で一緒に遊んだりしたから

覚えているよ。高校はたしか・・・野球部だよね。

私、吹部だったから、高体連の応援演奏しにいったよ」

 

「あ、そうなんだね?俺は中学は陸上だったんだけど

高校は野球部だったんだよ。足が速ぇから、センターやってくれとか

そんなノリだったかな・・・懐かしいな。

 

茉莉沙ちゃん、今なにやってんの?」

 

「私は、隣町の洋服屋で店長やってるの「ナカJ」ってとこ。

よかったら立ち寄って」

 

「ナカJって、あのオーダーメイドのお店?俺なんか

場違いじゃねえの?」

 

「そんなことないよ。カジュアル系もあるから

気軽に遊びにきてよ。この間もスポーツ系の人が

いろいろ買ってくれたんだよ。来てくれたら

割引してあげるから。はい、これショップカード」

 

「お、ありがと。今の仕事はスーツとかいるから

一つぐらいちゃんとしたの作っててもいいかもな。

高くて手がでねぇなあって思ってたけど、割引してもらえんなら

大丈夫そうだな。俺、カードないから現金なんだよ。」

 

「掛買いも大丈夫だよ。身元がちゃんとわかってるから

2分割とかにしてあげられるし。」

 

「おまえ、無口なやつだと思ってたけど

営業うめぇな。」

 

「今も人見知りだよ。お客さんは仕方なく応対するけど

プライベートでは、あまり気軽に話さないよ」

 

(なんとなくマッキーにいちゃんと同じ匂いがする・・・

思考も邪がないし。なによりこの人はサイコキネシスかもしれない。

できれば、これからもやりとりする必要があるわ)

 

茉莉沙は久しぶりに会った旧友が、仲間かもしれないと

直観していた。良いサイキクスなら協力しあえる。

 

「そうなんだな。俺と一緒だな。俺も仕事上は他人と

しゃべるけど、基本心を許した人以外は、必要最低限しか

話さないからな。でも、おまえはなんとなく、警戒心なしで

話せるよ。来春、なんちゃら式典とかあるから、それに向けて

スーツ作りにいくから、よろしくな」

 

「うん。ぜひ来てね。うちのお店、ものはいいから

決して失望させないから」

 

 

 

久々に再会したこの二人は、超人の能力を持つ者同士なのだろうか。

 




サイキクス達が集う日は近い?
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