久々の煤無登場です。
「あ~、筋トレきつっ、最近腰痛でさあ」
サッカーチームで筋トレを指導する鈴木煤無。
同僚のアシスタントコーチと、ベンチで雑談をしていた。
「おい、そういえばもう警察沙汰は解消したのか?」
アシスタントコーチは、たばこに火をつけながら煤無に
問いかけた。
「なっ・・・もう、過去の出来事でぇ。オレの記憶からは
抹消されております。復旧はできない模様です」
煤無は右肩を回し、首を左側にひねりながら
とぼけた様子で応えた。
「そのなんだっけ、洋服屋のおねえさん、きれいなの?
俺にも紹介してよ」
同僚の予期せぬ質問に、一瞬たじろぐ煤無。
「おねえさんって、弟の友達のおねえさんだからね。
友達の友達はまたその友達ってか、うん。そんな感じだしな
紹介とか、ねえわ」
動揺をごまかすかのように煤無は話を変えようとした。
「いやあ、元代表キーパーの藤山さんが亡くなったニュースは
ショックだったよな」
「あ、そうだな・・・鈴木君、藤山さんと会ったことあるんだよね?」
「ああ。俺の事務所のすぐ裏がたまたま練習場だったんだよ。
散歩してたらさ、監督の都海さんと一緒に藤山さんがいてさ
ブラジル人選手と話してたんだよ。一人選手が日系人だったから
通訳してあげてたみたいで」
「癌だったみたいだよ。残念だよな・・・・」
「スポーツ選手って結局寿命短かったりするよな・・・
サッカーもそうだけど、他のスポーツもなあ・・・
体酷使するから、実はボロボロだったりな・・・
そこいくと、俺たちぁ、ピーク迎える前に
選手は辞めてるから、なんとかキープできてるよな」
「そういえば鈴木君の弟、料理上手なんだって?
そういうのポイント高いよなあ。やっぱり、健康は
栄養からっていうしさ。俺は一人暮らしだから
どうしても、コンビニとかになっちゃうんだよ。
たまに実家帰ると、やっぱ手作りいいなって思うわ」
「だよなあ。弟が料理作ってくれるとかって
あまりないもんな。だから、スポーツ選手って早く結婚するやつ
多いんだろうな」
「おまえ、その洋服屋のおねえさんをお嫁さん候補にしたら
いいんじゃね?」
(やべっ・・・せっかく話そらしたのに戻ったったじゃねえか)
「うっ・・・なんか乾燥してるから、のどがイガイガする。
飲み物買ってくるから」
「あ、ああ。」
やっとの思いで話を逸らし、同僚との談話の場から立ち去った
煤無だったが、茉莉沙の話題になると、なぜか
冷や汗が出てくる自分に驚いていた。
「そういえば、あれ以来会ってないな・・・
木菟の話だと、退院して元気にしてるって言ってたから
安心したけど・・・騒ぎになって迷惑かけたから
スィーツでも買って、お詫び入れとくか」
週末の3連休を利用して、お礼がてら茉莉沙のところに
立ち寄ろうとしていた煤無だった。
三役そろい踏みとばかり、主要人物が揃う日が近いとは
この時はまだ気づいていないやんちゃヒーローだった。
人生は何があるかわかりませんね。
悪いこともあれば良いことも。
悪いことはてっ、てっ、って捨てて
いいことはいっぱい集めようじゃないか。
良いことコレクター参上