彼女はエスパー   作:coltysolty

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お互いの力を確認しあった一同。
あとは計画実行のために
知恵を出し合って用意周到に進めなければいけない。


ハプニング

森の中を歩いている琴美と海藤。

 

「大きなミッションって何?」

 

海藤が琴美の顔を覗き込む。

 

「え・・・うん・・・それがね」

 

琴美が言い淀む。

 

「ダークリウニオンがやってくるとか

言うんじゃねえだろうな?」

 

「はい? そういう妄想の話じゃなくて・・・」

 

少々イライラしながら海藤が琴美に詰め寄る。

 

「あるところから指令がきてね。

阻止してほしいことがあるって。

 

で、超次元の力を持っているメンバーで

解決してほしって」

 

琴美が下を向きながら、歩幅を広げて石ころをよける。

 

「あるところって、なんでお前の所にくるの?

めんどーくさい、つじつーさんの指令なら

俺んとこに来るはずだろ?」

 

 

「そんなんじゃないの・・・

シュンさん、牧田って知ってるでしょ?」

 

「うん・・・え?なんで、お前知ってんの?」

 

(てか、いま、下の名前で呼んだ?)

 

「奴も能力を持っているけど、それを利用して

悪事を企んでいるらしいの」

 

「ふ~ん・・・なんかよくわかんねぇけど

あいつなら企みそうだな。で、出所は

言えねえってか。」

 

「まあ・・・そんなところね」

 

「あれだよな。秘密結社じゃねえけど

指令がきても、それ以上何も尋ねるな

 

ってやつだろ?知らなくていいこともある。

おまえらは、ただだまって従ってろ、ってか?」

 

「うん・・・時期が来たら言えるかも・・・だけど」

 

「今頃、あっちでは茉莉沙っちが、すっさん達に

説明してんだろうな」

 

「うん・・・きっと、みんな驚いているかも。

茉莉沙さんの弟君、真己人君の同級生だものね。

牧田の妹は」

 

「てことは、ズッキーの同級生でもあるわけだ」

 

「そう。いろいろつながっているわね」

 

話しているうちに、森深く歩いてきてしまったようだ。

BBQ場所からこぼれる明かりも見えなくなってしまった。

 

「やべっ・・・道に迷ったかも」

 

「大丈夫よ。GPS使えば戻れるわ」

 

「電波ないんじゃね?」

 

「そんな・・・・・あ!本当だ」

 

「おまえの、状況を把握する能力、まあ、千里眼ってとこ?

それ使えばいいんじゃね?」

 

「・・・・能力はあまり使うと、体力を

消耗しちゃうのよ・・・あなたもそうでしょ?」

 

「あ・・・まあな・・・窮地に立たされなければ

使わないな・・・ってか、今、クライシスじゃね?」

 

「大丈夫よ。今来た道をそのまま戻ればいいわ」

 

「こう暗いとな・・・・」

 

「こっちよ」

 

琴美が海藤の袖をひっぱる。

 

「おいっ・・・あっ!!!!」

 

草むらに足をとられつまづく海藤。

それを琴美が支えようとしたが、バランスを崩して

倒れこんでしまった。

 

どさっ・・・

琴美の上に海藤が重なる。

 

「あ・・・ちょ・・・・」

 

焦る海藤。

顔と顔が10cmの距離に近づき、琴美の顔の真上に

海藤の顔が、覆いかぶさる。

 

琴美は真っ赤に紅潮した顔をそむけた。

 

「あの、えと、ご、ごめん・・・・」

 

必死にとりつくろう海藤。

 

「謝らないでよ・・・」

 

琴美がぼそっと呟く

 

「いいよ、しばらくこのままで・・・てか、このままでいて」

 

言葉を絞り出すように、琴美が声を発した。

 

琴美の肩の上に手をついていた海藤は

そっと手のひらを琴美の頭に置いた。

 

琴美も自らの腕を海藤の背中にゆっくりと回した。

 

日が落ちて肌寒さを感じさせる空気が

一帯を包む。琴美は、回していた腕に力を込めて

海藤のぬくもりを引き寄せるように、彼の体温に寄り添った。

 

 

その時、遠くから声が聞こえた。

 

 

「お~い!!!兄貴ぃ~!!琴美さぁ~ん!!」

 

懐中電灯を照らしながら、真己人と木菟が森を歩いてきた。

 

 

はっ!と我に返った海藤と琴美は互いの体を起こし

服についた土ぼこりを払った。

 

「おーーー弟どもぉーーーーこっちだ」

 

海藤が声を出すと、真己人と木菟は歩みを速めて

声の方に進んでいった。

 

「あ!兄貴!!ここだったか!迷ったって聞こえたってマッキーが言うからさ。

探しに来たんだよ」

 

懐中電灯を海藤に照らしながら木菟が心配そうに声をかけた。

 

 

「ああ、ありがとよ。ってか、邪魔しやがって」

 

海藤はホッとしながらも、少々不本意とばかりに

助っ人に毒を吐く。

 

「あ!兄貴ぃ・・・・ごめんごめーーーん!!!

いいところだったのにねぇ~。空気読まなくて

すまない!!!! 俺のスィーツあげるから許して!!」

 

木菟は、立ち上がった海藤の背中に付いた枯れ葉を

払いながら軽くハグして許しを請うた。

 

「あ、ああ。なら、許す。てか、話は聞いたか?」

 

「うん。あらかた聞いたよ。あとは、どうやって

計画を阻止するか、話合わなくちゃねってとこまで

行った」

 

「そうだな・・・あとは、SNSとかでこまめに連絡

とりあう感じで、軌跡をたどっていくしかねえな」

 

真顔の海藤に、木菟、真己人、琴美がうなづく。

 

 

「じゃ、とりあえず戻って、撤収して

今日はおひらきだな。こぉみぃちゃんの自然の呼び声も

解消したみたいだからな」

 

琴美の方をみながら軽くウィンクする海藤。

 

「真己人君、木菟君ごめんね。ビール飲みすぎて

お手洗い行きたくなっちゃって。シュンさんがいるから

大丈夫だと思ったら、この人とんでもない方向音痴なのよ。

まったく頼りになわないわ」

 

照れ隠しに毒づく琴美。

 

「はあ?なに、この勇敢なナイトをこき下すわけ?

君?そんなんじゃお嫁に行けないよ?」

 

「別にあなたにもらってもらおうと思ってないから

いいわよ」

 

「どうぞどうぞ。俺だってモテモテですからね

まったく無問題ですわ」

 

じゃれはじめた二人をいさめるように

木菟が割って入る。

 

「にいさん、ねえさん、痴話げんかはそのぐらいにして

戻りましょうよ。戻ったら、結婚披露ぱーりーにするから。

もうね、見てられないわ。とろけすぎ。

 

ピザのチーズもびっくりだよ。甘すぎて

たまりません。な?マッキー」

 

黙ってニヤける真己人。

 

「ん?なに、ニヤニヤしてんの?マッキー。

・・・・もしかして、あちらの茉莉沙ねぇと

おらの兄貴もイチャラブ満喫中?」

 

 

真己人が口を結んだまま右頬を上げながら

うなづく。

 

「はあ~どいつもこいつもお熱いことで。

夏が戻ってきちゃうんじゃね?」

 

 

真己人、木菟、海藤、琴美の4人は

笑いながら、BBQタープのところに向かった。

 

 

 




事実は小説より奇なり
っていいますが

ドラマのようなラブハプニング展開って
なかなかないですよね。

あるのかな?
あったらいいな

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