琴美さん・・・?
照明の陰にひっそりとたたずむ琴美に気づき、近づいていく茉莉沙。
「琴美さん、どうしたの?」
茉莉沙が声をかける。
「ん・・・。ちょっと考え事をしていたの。
この間の学会でIQの話が出てね。それとシュンのことを
重ね合わせていたの」
琴美が視線を落としながら茉莉沙に語り掛ける。
「IQが高い人は数的処理能力が高いのよ。つまり
理数系の人はIQが高い傾向にあるんだけど、そういう人は
周りの人と折り合いをつけにくいんだって」
「ああ、聞いたことがあるわ。アインシュタインも160~190あっただろう
って言われているわね。」
「そうなの。IQが高い=頭の回転が速く数的理論系の
ロジックで話すから、一般の人がついていけないのよ。
でも、純粋にその理屈が正しいと思って話すから
なぜ理解してもらえないんだろうって苦労するらしいの。
言われている方は、『何言ってるんだろ?』的な目で見るから
単なる変人扱いされちゃうのよね」
「そうかもしれないわ・・・そういう人を前にして
議論するのも面倒くさいから、あわせとこ、的な対応をする人もいるわね。」
「そうなのよ!それがシュンなんかも許せないのよ。
心底彼の理屈に同意してくれて、すばらしい!と認めてくれた上で
賛同してくれるなら本意なんだけど、テキトーに合わせて
とりあえず、従っとこ。こいつめんどいしって顔されるのが
一番腹が立つみたいで。
同じSEはそういうことないけど、クライアントでねそういうのが
いたり、文系の上司なんかには、わかってくれるまで熱弁をふるうから
はいはいって軽くあしらわれて、すごく悔しそうにしているわ」
「琴美さん・・・自分の時代に戻ってからのシュン君のことを
心配しているのね・・・」
「ん・・まあ・・・。今でも、私がどうこうしてあげられるわけじゃ
ないんだけど・・・
彼は正しく理解されたいって思っているのよ。」
「ねえ、琴美さん?今ここにいる琴美さんは未来の琴美さんだけど
この時代の琴美さんも琴美さんよね?
パーソナリティが変わるわけじゃないわよね?」
「え・・・?まあ、そうだけど・・・・」
「ってことは、たとえ現代の琴美さんがシュン君と向き合っても
その考えは同じだと思うわ。行きつくまで少し時間がかかったとしても」
「そうだといいけど・・・・物事のベクトルって
なにかのきっかけでどうなるかわからないから・・・・」
「大丈夫よ。あんな面倒な彼のことを理解して受け止めてあげられるの
あなたしかいないわ。
あ、ごめんなさいね。面倒とかいって。面倒なほど、緻密に理論的な
思考回路をもっている優れた人物って意味よ」
「ふふっ、茉莉沙さんだってシュン君のことちゃんとわかってるじゃない」
「それは、同じ超能力者として同感してるだけよ。小さい頃からみてきて
きっと大変だろうな・・・って、そんな気持ちで見ていたから」
「彼もある意味救われたと思うわ。小さい時にあなたみたいな人が
近くにいて。私はずっとボッチ気分を味わっていたわ。
だから、今、あなたたちに会えてとてもうれしいの。」
「現代の琴美さんと会えなくても、きっとシュン君とあなたは
強い絆で結ばれているから、心配しないで。縁ってなかなか
切れるものじゃないのよ」
「そう・・・ね・・・そう信じたいわ」
「大丈夫よ。ミッションだって、必ず成功するから。
こんなにすごいメンバーが揃ったんだから。稀有な巡り合わせよ。
これも縁。だからきっと。・・・・ね?
がんばりましょうね」
「ありがとう。茉莉沙さん。ずっと孤独だったから、こうやって
心を開いて話せる人がいなかったのよ。本当に心強いわ。
自分の時代に戻っても、きっとあなたたちとどこかで
ベクトルが交わるように、祈ってるわ」
「ええ。必ず!」
琴美と茉莉沙はまるで長年の親友のように
絆が強まっていくのを感じていた。
明日からまたふつーに仕事です。
ちょっと変則ありなので、ドキドキ・・・
デジタルだけでは不安なので
アナログ時計をひっぱりだしてきました・・
単に自分が間違っただけなんですけどね。←変則に弱い日常