学校からの帰り道、クラスメートと会話しながら家路に向かっていた。
「おまえ、気づくのおっせーよ!」
「え?・・・ごめん・・・知らなかったんた。木菟(ずく)君。」
茉莉沙の弟、真己人は、クラスメートの木菟といつものように
学校から帰路についていた。
「真己人ぉ、おまえなあ、ボールとかしまってあんだろ?
部活休みだって、普通気づくよな?なに一生懸命、校庭整備しちゃってんの?
その律義さ、無駄なんだけど?」
「木菟君、教えてくれて、ありがとな・・・声かけてくれなかったら
ずっと地ならししてるとこだったよ・・・」
「ったく。部室に誰もいないって時点であれ?とか、思わね?」
「うん。誰もいないなあ、とは思ったんだけど、HRかなんかで
遅れてるのかなあ、って思っちゃって」
「おまえは、俺がいねーと、ボケたおしたまんなだなあ。
卒業しても一緒にいるぅ?でも、お前の偏差値には
ほど遠いから、大学は別々だぜ?」
「木菟君は、どこ狙ってるの?」
「ああ、俺か?俺、スポーツ推薦でつくし大学行こうかと
思ってる。体育はいちおう5だからな。うまく行けば、推薦通るかも
しれないんだ。中学のときも全国大会でたしな。」
「そうだったね!木菟君レギュラーだったもんね!点も入れたし
ユースからスカウトされたんだったよね?」
「まあな・・・でも、ユースとなると、すんげえのたくさんいるし
そこでトップ張る自信はなかったから、いちおうここきた。スポーツ特待で
下駄はかせてもらったし。そこいくとお前はガチで頭で入ってきたからなあ」
「そんなことないよ。僕はぎりぎりだったんだ。補欠当選みたいなもんだよ。
木菟君も知ってのとおり、超ド天然だからね・・・試験会場間違えそうになったり
教室も違ってて、同室の生徒に教えてもらったり」
「おまえさあ、頭いいのに、なんでズレてんの?いつも何か考え事
してるわけ?」
「え・・・・あ、いや、こうね、なんかいつも妄想してたり」
「おー・・・・やらしい妄想とか?」
「ち、違うよ!そんなんじゃないよ。宇宙開発のこととか
科学実験のこととか、SFちっくな内容だよ!」
「はいはい、そういうことにしといてあげます」
(木菟君は邪な思考がないから、安心して会話できる。
僕に敵対心もないし。いつも前向きだし。ここまでピュアな人も
なかなかいない。みんなどこか、傷んでいるというか、心に隙間風が
吹いているというか、殺伐としていたりする。
木菟君の家は自営業で、ご両親が忙しい筈なのに、愛情たっぷりに
育っているんだなあ。だから、優しくて思いやりもあるし、自分に自信もあるから
いつも堂々としている。困難にぶちあたっても、それを乗り越えるだけの
力がある。
今時珍しい、昭和な根性の持ち主だ。)
「あら、お二人さん。いつも仲がおよろしくてなによりね」
クラス委員の牧田七香美(まきたながみ)が背後から声をかけてきた。
(うわ・・・俺の苦手な牧田さんだ・・・なにかこう、探りを入れて
くるんだよな・・・・)
((体育バカ男とヘタレ秀才のコンビか。バカ男はいいとして、
このヘタレ、なんか秘密がありそうだ。たしか姉はブティックの店員だったな。
親はいないってきいてる。特に裕福でもないのに、よくこの私立学校に
入れたよな。なんかあるんじゃね?財閥のバックがいるとか・・・))
「あ、牧田さん。僕、本屋行かなくちゃいけないんで。これで!」
「おい!俺も行くよ。ルールブック買おうと思ってたんだ。待ってくれ~!」
(とにかく、あまり近づかないようにしなくちゃ。怖い怖い。
いやな思考が流れてきちゃうのって、ほんとやな気分だよ・・・)
「真己人ぉ~!!まきちゃん!待ってくれよぉ~。FWの俺を出し抜いて
行っちゃうなんて、なんてすごいのぉ~!!!ねえ~お前もサッカー部
入らない?」
天真爛漫な木菟といると、ほっこり心がほぐれてくる真己人だった。
今回は茉莉沙の弟、真己人編でした。