「ごめん、コンタクトがずれちゃったから化粧室
行ってくるわ。みんなここで待っててね」
琴美は数日前に入れ始めたばかりのコンタクトが不慣れで
違和感を感じていた。
「あーもー、入れるのに１０分もかかって
毎回外すのも３０分以上かかるんだもんな・・・・
やっぱ合わないのかなー？眼鏡に戻した方がいいのかな・・・」
琴美はブツブツ言いながら、化粧室の鏡に顔を近づけて
コンタクトの位置を確認すると、バッグから目薬を取り出した。
顔を上にあげ、コンタクト上からさすことのできる目薬を
一滴眼球に落とした瞬間、ラウンジの方からものすごい爆音がした。
琴美は驚き目薬のキャップをあけたまま
すぐさま外に出た。
すると目の前には信じられない光景が広がっていた。
「え・・・・・・どういうこと・・・・・
シュン・・・・？茉莉沙さん？？？
ねえ・・・・・
いやあーーーーーー！！！！！」
空港ラウンジは多くの人が倒れていた。
血まみれになって横たわっている男女の中に
煤無、茉莉沙、海道、木菟、真己人もいた。
ラウンジにいた数十人がどうやらピストルで撃たれたらしい。
すぐに空港警察が出動し、犯人も射殺された模様だ。
テロ・・・
その二文字が琴美の頭をよぎった。
まさか牧田と関係あるのだろうか。それとも
まったく無関係の者による仕業なのか。
ほとんど思考が停止した状態で
懸命になにか考えようとするが、あまりの悲惨な光景に
琴美は我を忘れて、海道の胸を押して一心不乱に人工呼吸を
施していた。
するとまもなく救急隊員が近づいてきた。
脈も心音もせず、瞳孔も開いていたため、即死と判定、
不搬送とされた。煤無他、他の４人も同様。
琴美は絶叫しながら気を失った。
目を覚ますと、琴美は病院のベッドに横たわっていた。
「ここは・・・・・病院？なぜ私だけ？」
体を起こそうとするが、頭が割れそうに痛い。
すぐには起き上がれないようだ。
隣から話声が聞こえた。
「私・・・・友達とラウンジにいたの。
失恋旅行に行きたいから付き合ってくれって言われて。
私もパスポートの期限が残ってたし、ちょうど
休暇中だったから、付き合ってあげることにしたの
喉が渇いたから、飲みものを取りにいって戻ったら・・・
とんでもないことになってた・・・
大勢の人が打たれたみたいで、倒れてた。
友達もその中に・・・・・」
すすり泣く声は聞き覚えがある。
重い頭を無理やりおこして、カーテンの向こうを見る。
すると、琴美と海藤の後ろで会話していた二人の女性のうちの
一人がベッドに横たわっていた。
「あ、あの・・・・私もラウンジにいたんです。
もしかして後ろに座っていた方じゃないかと思って・・・・」
琴美は隣のベッドに横たわっていた女性に話しかけた。
「あ！私の前に座ってた方ね。男の方と
一緒にいましたよね？覚えています。」
（・・・・・夢じゃなかったんだわ）
琴美は心臓が張り裂けそうだった。
「友達を待っていたんですが・・・
会えてすぐに、私がお手洗いから戻ると、とんでもないことに・・・」
やっとの思いで声を絞りながら、ラウンジにいた女性に
話しかけた。
「そうだったんですか・・・私もあの時
席から離れていたんです。そしたら・・・・」
どうやら、銃撃事件があった時、この女性と
琴美はラウンジから離れたところにいたため
助かったようだ。
詳しい状況はまだわからないが
とにかく、自分が置かれている事態は飲み込めてきた。
すぐにでもタイムスリップして事実を塗り替えたいところだが
どの時間に戻って何をすればみんなを助けることができるのだろうか・・・
ハンマーで殴られたような重苦しい痛みをこらえながら
琴美は懸命に思考しようとしていた。
果たして琴美はこのクライシスを救うことができるのか。
無数に存在すると言われている
パラレルワールド。
どの時空を選べば全員生還させられるのか
今、琴美の手腕が問われる。
ほとんど死んじゃいましたね。
復活するんでしょうか？
どうやって？？？
ミルキーのあまおう味食べてるんですけど
おいしい～！！！
自分は桜味が大好きです（きいてません）。