集中治療室に入ったままの琴美。
朦朧とした琴美の意識を読み取ろうとしている茉莉沙。
ほとんど寝ずにリーディングしようとしていたため
かなり疲弊していた。
書き留めていた真己人もたまにコックリすることがあり
茉莉沙はボイスレコーディングに変え、ヒソヒソ声で
録音することにした。
混濁した意識には事件前後のものの他
昔の記憶もよみがえっているようだ。
どうやら琴美がまだ小学生の頃のようだ。
両親とみられる大人の男女と一緒に、子供の琴美は車に乗っている。
どこかに行こうとしているのだろうか。
その時、前方から外車がこちらに向かってくる。
運転手は居眠り運転のようだ。
琴美の乗っていた車を運転していた男性は、咄嗟にハンドルを切る。
琴美の隣に座っていた大人の女性は、琴美をかばうように
体をかぶせた。
その瞬間、大きな衝撃が車の外から伝わる。
おそるおそる目をあけると
目の前にはおぞましい光景が広がっていた。
運転していた男性は血だらけで意識を失っているようだ。
琴美をかばった女性も、微動だにしない。
少しして、救急車が到着した。
救急隊員が、何やら話をしている。
「大人二人は即死ですね。子供は
目を開けています。意識があるようです。」
そういうと、隊員は琴美に近づいてきた。
「おじょうちゃん、わかる?」
琴美は茫然としながら、静かに頷いた。
「それじゃ、こちらの車に乗るからね」
と、救急車に運ぼうとしたその瞬間
(いやーーーー!!!!!)
琴美は意識を失った。
数秒だろうか数時間だろうか
どれぐらい経ったのかわからないが
目を開けると、琴美は車の中にいた。
(あれ・・・・変な夢を見たのかな・・・・)
「ねえ、パパ。トイレ行きたい」
小学生の琴美は運転していた男性に話しかけた。
「え?トイレ・・・。じゃ、次のサービスエリアで
止まろうか?」
「うん。おなかもすいたから、なにか食べたい」
すると、隣に座っていた女性が優しく話しかけた。
「あらあら。お昼食べたばかりなのに。
お菓子が食べたいのね?こっちゃんは」
「うん、ママ。あのね、サービスエリアで売ってる
お菓子っておいしいんだって。この間、児童会で
6年の会長が言ってたよ。」
「おう・・ことみは4年なのに、児童会に
加わっているのかい?」
父親と思われる男性が話しかけた。
「うん。代表委員に選ばれたの。
この間、はじめて委員会があったから、
そのとき児童会長とお話したんだ」
「琴美ははっきり自分の意見を言うから
委員に選ばれたのかもな。いろいろ体験してみるのは
いいことだな」
「うん。パパ、サービスエリアで
お土産とかいろいろみていい?」
無意識か、意識してか、琴美は
時間を稼ごうとしていた。
「そうだな。いずれどこかでお土産は買おうと
思っていたから、次のサービスエリアでゆっくりしようか」
男性が言うと、母親と思われる女性も続けた。
「そうね。パパもずっと運転して疲れているだろうから
少し休んだ方がいいわ。ごめんなさいね。私が
代わってあげられたらいいんだけど、高速道路は怖いわ」
「いいんだよ。ママ。僕は運転がすきだからね。
ハンドル握っているほうが、ストレス解消になるよ。
でも、サービスエリアでは休むから、心配しないで」
琴美は休憩を取ることで時間が
ずれることを潜在的に認知し、少々安堵していた。
サービスエリアでは、お茶を飲みながら
デザートを食べたり、お土産を買ったりしながら
30分程の時間を費やした。
それから、皆で車に戻り、高速道路に
再び入った。
しばらく行くと、前方の車がハザードを点けている。
どうやら、渋滞しているようだ。
「連休だからかなー。混んじゃってるのかな?」
父親が言うと
母がスマフォで情報を見ていた。
「パパ、どうやら事故みたいよ。気を付けてね」
「そうか!徐行してるんだな。わかった」
そういうと、スピードを落とし、後方の車に知らせるために
ハザードを点けた。
しばらく進むと事故現場に近づいた。
「うわぁ・・・・派手にやったなあ・・・・」
事故車両の横をゆっくり通過した。
琴美は後部座席から、事故車両を見ると
見たことのある大きな車がめちゃくちゃになっていた。
(この車!・・・・・)
琴美は背筋がぞっとするのを覚えた。
意識を失う前に目の前に向かってきた
あの外車だったのだ。
琴美は無意識にタイムトリップをし、過去にさかのぼっていたのだった。
事故渋滞を過ぎて、速度を上げていった。
数分走ったころだろうか。
車から変な音がする。なにか異物でも挟まっているのだろうか。
ガンガンガンガンガーーー
音が大きくなったかと思うと、バランスを崩し
車は制御不能となり、スピンしていた。
どうやらタイヤがバーストしたらしい。
先程の事故現場に落ちていた、車両の破片を
琴美の乗っていた車が巻き込んでしまったのだ。
車は思い切り、ガードレールにぶつかり
回転して止まった。
琴美の隣に座っていた女性は、琴美をかばうように
覆いかぶさっていた。
「ことちゃん、大丈夫?」
「うん・・・ママ・・・・・」
すると、後ろからものすごい勢いで
車が突っ込んできた。
車は大破。運転していた男性と
後部座席に座っていた女性は死亡。
子供は奇跡的に助かった。
咄嗟に母親が娘をかばいながら
運転席の下に押し込み、自分の体で
守っていたのだった。
病院に運ばれた琴美は
数か月、言葉を発することができなかった。
精神的に問題があるとされ
治療を受けながら病院でしばらくリハビリをした後
担当医師の知り合いの家に預けられた。
数学教師をしていたある男性は
妻がいたが、子供がいなかったため
琴美は、この家に養女として引き取られた。
「こんなことがあったのね・・・・・」
涙でぐしゃぐしゃになった目をぬぐうと
茉莉沙は、録音の画面を一旦閉じた。
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【キャライメージ】
茉莉沙・・七つの大罪のエリザベスが大人になった感じ
真己人・・エバシンジ
煤無・・・ハイキューの日向が高身長になった感じ
木菟・・・ヒロアカのいずく君
海藤・・・斉木楠雄
琴美・・・進撃のミカサ
牧田・・・知恵のついたジャイアン
牧田妹・・プリキュアトワイライト
ポテトサラダって、かつおだしとか昆布だしとか入れても
おいしいんですよ。
目から鱗の隠れレシピです。