一つも減らない・・・・・By YK
昏睡状態の琴美。果たして突破口は見つかるのか・・・
憔悴しきった海藤。
「何一つ・・・何一つ伝えていないのに
このまま伝えられないままなんて・・・
どうしたらいいんだ!!!!」
海藤はカフェのテーブルを思い切りたたき、頭を打ち付けた。
「にいさん!たのむ!落ち着いてくれ!
冷静になったらきっとなにか解決の糸口がみつかるかもしれないだろ?」
木菟は海藤の肩をゆすりながら、落ち着かせようと言葉をかける。
「とりあえず、カモミールティーでも飲んで、落ち着いて。
俺、ティーバック持ってるんだ。試合でいつも落ち着こうってときに
飲むために。お湯注ぐだけでいいから。それ、飲んで、ね?」
木菟が心から心配してくれている気持ちが痛いほどわかった海藤は
取り乱した自分を戒めた。
そして、木菟の薦めに応じて、カモミールティーを飲んで
落ち着こうと努めた。
一方、病室近くでは、茉莉沙が号泣していると、廊下の向こうで聞き覚えのある声がした。
どうやら、男性が琴美の病室を尋ねているようだ。
その男性の姿をみた煤無は、一瞬かたずを飲んで、立ちすくんだ。
泣いている茉莉沙の肩を優しく抱きながら、
廊下に立っていた男の存在をそっと教えた。
そう、廊下にいたのは、あの牧田だった。
(!なんで彼がここにいるの!)
茉莉沙は思わず立ち上がった。
煤無が心で話しかけた。
(茉莉沙、落ち着いて。今こそ冷静にならなくちゃ。
やつの心を読み取るんだ)
茉莉沙は、大きく深呼吸しながら、牧田の意識を読み取ろうとした。
以前、読み取ったことのある思考は、すぐに飛び込んでくるのだが
牧田のように自己コントロール力が高い男は、リーディングが難しい。
茉莉沙は目を閉じて意識を牧田の方に集中した。
(あの女の病室を突き止めて、どういう状況か
確認する必要がある。場合によっては、取り込む必要のある人間だ)
牧田の思考を読み取った瞬間、茉莉沙の顔色が変わった。
(どうした!茉莉沙?)
煤無の呼びかけに、茉莉沙は無言で、煤無の手を握った。
動揺している茉莉沙を落ち着けようと、煤無は茉莉沙の背中をゆっくりとさすった。
(こいつらになんらかの能力があることはわかっている。
特に照橋という女は生かしておかなければならない。
私の力を使えば、再生させることも可能なのだ。)
牧田の思考がはっきりと流れてきた。
琴美が助かるかもしれない。ただし、この牧田の力が
必要であることは明白だった。
つまりこういうことだ。
牧田の叔父は医師であり、本人も医学部出身だ。
今は実業家をしているが、医学の知識も当然あるため
この男の透視能力で損傷部位を確認し、どのように臓器を再生させたらよいかということを
牧田の指示通り、海道の念力を使って琴美を再生させることが可能なのだ。
そのことを瞬時に悟った琴美は困惑しながら、牧田がみえないところまで
煤無の腕をひっぱって移動した。
「煤無さん・・・・実は・・・・」
事情が分かった煤無は、海道を説得するより手だてがないと
茉莉沙に告げた。
茉莉沙も同意見だったが、あの海藤が牧田に協力するのだろうか。
また、牧田の真の狙いはなんなのか。
牧田が提示する条件を、海道やほかのメンバーが納得し、同意するのか・・・
すべては、海道達の意思にかかっていた。
琴美の命とひきかえに提示される条件とは?
-続く-
事故のシーンを書いた次の日・・・
なんと、わたくし、交通事故の現場の横を通り過ぎました。
ガラスが散乱していて
うわぁ・・・ここ通ったらタイヤにぃいいいいい
って思いながら通過・・・
怖いんですけど・・・