あなたならどうする?
ICU(集中治療室)にいる琴美。
様子を確認してから、茉莉沙と煤無は廊下にでる。
向こうからゆっくりとガタイの大きい男が近づいてきた。
「大変だったな」
神妙な面持ちで言葉を発したその男は牧田だった。
「どうしてここがわかったんですか?」
煤無は怪訝な顔で牧田に尋ねる。
「妹だよ。事件が起こった時、妹は空港にいたんだ。
照橋君が日本人と思われる女性二人と会話してた近くにいたらしい。
日本語が聞こえたから、振り返ったら見たことのある人で
パーティーで会った、俺の知り合いだとわかったそうだ」
「妹さん・・・ああ、弟の木菟の同級生ですね」
「そうだ。俺を出迎えにきていて、あの場面に遭遇し
妹もかなりパニくったが、搬送されるのをみて、俺に
連絡をよこしたんだ。救急隊員が、ホノルル総合病院へ!
と言っていたのがきこえたらしく、それでここがわかったんだよ」
「そう・・・・ですか(何しにきやがったんだ?)」
煤無が拳を握り締める。
「牧田さん、助けてください!どうか・・・・」
その時、茉莉沙が目に涙を浮かべて訴えた。
「ああ、その相談で君たちに話があるんだ。
他のやつらもここにいるんだろ?」
牧田の言葉に、煤無と茉莉沙は顔を見合わせた。
「他の・・・・ええ、海道俊君と弟の木菟も
きています。いま、カフェテリアにいますが」
煤無はしぶしぶ答えた。
「では、彼らをここに呼んできてくれないか?」
悪党とはいえ、紳士的に対応している以上
煤無も応じるしかなかった。トイレから戻ってきた
真己人に目配せすると、海道たちを呼ぶように指示した。
「わかりました。すぐに呼んできます」
真己人は、念で話をきいていたため、すぐに状況を理解した。
カフェテリアでは、ぐったりした海藤と
彼をいたわるように寄り添っていた木菟が座っていた。
煤無は近づいて行って、二人をゆっくりと見ながら話をはじめた。
「二人とも、落ち着いて話をきいてくれ。
琴美さんを助けることができるかもしれない」
その言葉をきいた海藤は、急に立ちあがると
煤無の肩を揺さぶりながら叫んだ。
「なんだって!助かるのか!助かるならなんでもする!!」
海道をなだめるように、煤無は話をつづけた。
「いいか、かいどっち、落ち着くんだ。
今、ある人が訪れて、もしかしたら、琴美さんを
助けられるかもしれないって言ってるんだ。
ただ、その人物は、俺たちにとって、喜ばしき客人ではない。
だから冷静に聞いてほしい」
血走った眼をゆっくりと閉じ、深呼吸をする海藤。
「わかった・・・すっさん。落ち着くよ。
琴美のためだ。俺が落ち着かなければ、話にならない」
自分に言い聞かせるように、海道は話をきく準備が
ととのったとばかり、煤無をまっすぐみた。
「かいどっち、木菟、まず、座れ」
煤無の言葉に、二人はゆっくりと椅子に腰を下ろした。
「尋ねてきた男は、医学部出身で、医療の知識がある。
また、彼の叔父も医者だそうだ。
そして、そいつはある力がある。その力で、琴美さんの
内臓損傷部位を把握することができる。
そいつの指示通りに、かいどっちが力を使えば
琴美さんの損傷部位を回復させられる可能性があるんだ」
「・・・・・・・・・・・・
すっさん・・・・・・そいつって・・・・・」
「そうだ。お前が想像している男だ」
「・・・・・不本意だが、琴美が助かるなら
やつに協力するのもやぶさかじゃねえ」
「ただし、交換条件があるらしい。それに応じれば
すぐにでも琴美さん救済プランを実行する気だそうだ」
海道の顔色が変わる。
「なんだよ、その条件ってのは・・・・」
歯ぎしりをする海藤。
「だいたい検討はついているが、詳しいことはわからない。
今、ICU前にいるから、話、できるか?」
煤無は海道を気遣って、言葉を選びながら話を進めた。
「・・・・・・・・・・・・愛する人の命がかかってんだ。
なんだってしてやるよ。魂を悪魔に売り飛ばしても
琴美を助けたい」
「無理はしてほしくないが、かいどっちの決断次第なんだ。
コーヒー飲んで落ち着いてから、行こうか」
煤無と木菟は両脇から支えるように海藤を
サポートし、牧田のところに連れて行った。
ICU前には、メイクが落ちて瞼が晴れ上がった茉莉沙と
彼女をいたわるように背中をさすっていた弟の真己人
そして
眼力鋭いガタイの良い男、牧田が3人を待っていた。
「海藤、顔面蒼白だぞ。そんなんでどうするんだ?
婚約者を助けられないぞ」
悪党なのか正義の味方なのか
こいつの真意はどこにあるのか。
しかしながらすがる思いで、海道は牧田に土下座して懇願した。
「頼む・・・・琴美を救ってやってくれ。
そのためならなんでもする。お前の条件とやらを
提示してくれ」
「おい、俺はそういうしみったれてるのが
嫌いなんだよ。どうせなら喧嘩売ってほしかったな
いいから、立て。土下座は必要ねえ」
木菟と煤無が海藤を起こし、待合椅子に座らせる。
海道の隣に静かに座り、牧田が話し始める。
「もう、察していると思うが、俺はお前たちの能力を
把握している。そして、俺にも力があることを、お前たちも
知っているだろう。
鈴木君からきいたと思うが、俺が透視をして、損傷部位を把握する。
それをお前に逐次伝えるから、お前はおれの指示通りに念じるんだ。
臓器のイメージは茉莉沙君と真己人君がキャッチして、その場で
スケッチする。おまえはそれを見ながらイメージ化して、力を調節すればいい。
そうすれば、照橋君の臓器は元に戻る」
「・・・・・・・・・成功するんだな」
「お前が冷静になれば、大丈夫だ」
「わかった・・・・それで条件とは?」
(茉莉沙さん・・・・そいつの条件に従っちゃだめ!
お願い・・・私は死んでもいいの。シュン君に伝えて。
こいつは私を奪って、あなたたちを従わせようとしているわ
みんなの力を、自分の思い通りに使おうとしているのよ!
悪魔に魂を売り飛ばすぐらいなら、死んだ方がいい!
シュン君のそばにいられないなら、このまま命を絶った方がいい!
こんなやつに添い遂げるぐらいなら、目が覚めても、舌かんで死んでやる!)
茉莉沙は、海道の手首をつかむと、茉莉沙の意思を
即座に伝えた。
海藤は号泣しながら、廊下の壁をたたき
頭を打ち付けた。
「どうしたらいいんだ・・・俺は琴美を助けたい・・・
たとえ、こいつのものになってしまっても、生きていたら
いつか会えるんだから、命を救いたいんだ・・・・
でも、それを琴美が望んでいない・・・
茉莉沙っち・・・俺は、おれはどうしたらいい?」
究極の選択に迫られた海藤。
そして他のメンバーたちの想いは?
厳しい決断は如何に・・・・・
お金をとるか愛を取るか?
あなたは家の中にいます。すると
①「赤ちゃん」が泣き出します。
②トイレに行きたくなります。
③電話が鳴ります。
④チャイムが鳴ります。
⑤風呂の水を出しっぱなしなことに気がつきます。
さぁ、あなたはどれから解決していきますか? 優先順位をつけてください!
これは心理テストですが、人生でなにを大切にしているかが
わかるのだそうです。答えは次回!