彼女はエスパー   作:coltysolty

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花見はもう終盤ですが
通勤時間1時間かかるので

コーヒーと和菓子持参で
ドライブ花見を楽しみました。





宝物(番外編)

茉莉沙のブティックでは

その年の日本代表の

レプリカユニフォームが期間限定で

発売されていた。

 

この店はサッカーリーグのスポンサーだったため

指定取扱店になっていた。

 

ある日

店の前を行ったり来たり覗いたりしている少年がいた。

 

茉莉沙はちょうど自分の弟と同じ年ぐらいの

その男子が気になり声をかけた。

 

「君、もしかしてサッカーやってるの?」

 

「あ・・・・はい」

 

少年は一瞬驚きながらも、気づいてもらえたことがうれしかったようだ。

 

「あの・・・レプリカって、いつまで売ってますか?」

 

店員に声をかけてもらったことで

話しかけやすくなったと、その少年は安堵した。

 

 

「今度の世界大会が終わるまで売っているわよ」

 

「そう・・・ですか・・・でも、売切れたら

終わりですよね?」

 

「そうね・・・取り寄せはないから

期間内に売切れたら終わり。万が一売れ残ったとしても

すぐにメーカーにもどさなければいけないの」

 

「そっか・・・取って置いたりとか

できないんですよね?」

 

「そうね・・・」

 

きっと欲しくてたまらないのだろう。

ただ、小遣いが足りないとか、なんらかの理由で

この少年はすぐにレプリカTシャツを購入することが

できないようだ。

 

「もしよかったら、特別取り置きしておいても

いいわよ。」

 

「え!!!いいんですか?」

 

「そのかわり、内緒ね。特別にとっておいて

あげるわ。ここに連絡先を書いておいてくれる?」

 

「ありがとうございます!お金できたら

すぐに取りに来ます!」

 

少年は笑顔で店をあとにした。

 

本来は取り置きはできないのだが

茉莉沙が自腹で買ってとっておいたのだ。

 

万が一少年が取りにこれなくても

弟に譲ればいい、そう思ったからだ。

 

Tシャツを見つめていた少年の目があまりにきれいだったため

願いを叶えてあげたいと思った茉莉沙だった。

 

国際大会が終わりに近づいたある日、茉莉沙の友達から連絡が入る。

茉莉沙の店が協賛店であることを知った友人が

レプリカTシャツを譲ってほしいと言ってきた。

 

友人のいとこが災害の被害に遭い、

両親を失ってしまったのだそうだ。

そのいとこにレプリカTシャツをプレゼントして

励ましてあげたいという申し出だった。

 

通常なら断る依頼も、理由が理由だけに

断ることはできなかった。

 

取り置きを頼んだ少年からも

連絡がないままで、一旦電話をかけてみたが

通じなかった。

 

茉莉沙は友人に送るため、Tシャツの発送を業者に依頼し

ちょうど品物を引き渡したその数分後

 

取り置きを頼んだ少年が息せき切って店を訪れ

ドアに手をかけようとしたその時

 

少年の腕をつかむ女性がいた。

 

「30分遅かったわね。君の欲しかった品物は

他に渡ってしまったわ」

 

「え・・・」

 

愕然とする少年。

 

「私の腕をつかんで。

30分前に戻ってあげる。

 

後悔しない人生を送りなさい。

自分にとってかけがえのない大切なものは

決して手放してはいけないよ」

 

一瞬、少年の目の前に光が差した。

振り向くと、先程の女性は消えていた。

 

はっと我に返り、店に入っていくと

店員が笑顔で、Tシャツを差し出した。

 

「間に合ってよかったね」

 

少年は手に入れたTシャツを

大事に持ち帰った。

 

この宝物は、決して手放さないと

少年は心に誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

花見たけなわ、中央公園では老若男女が

桃色一面の絨毯の上で、宴会を開いていた。

 

トコトコと小さな子供が歩いている。

バランスを崩して転びそうになり、

手に持っていた風船が、子供の手から離れ舞い上がり木の枝にひっかかった。

 

近くにいた少女が木のてっぺんに登り、枝にくっついていた

風船をとり、こどもに差し出した。

 

「ぼく、いくつ?」

 

手で3を示す子供。

 

「そっか。3歳か。手をだしてごらん。」

 

少女は子供の手から離れないように風船を巻き付けてあげた。

 

「気を付けていくんだよ」

 

男の子はこくりとうなづくと、

親のいる方に歩いて行った。

 

------------------

 

 

中学の入学式に向かおうとしていた少年がいた。

急いで渡ろうとしたため、横断歩道中央で

生徒手帳を落としてしまう。

 

気づいたときには、信号は赤に変わってしまい

信号待ちしていた車が発進しようとしていた。

 

すると、少年の目の前に光が差し

車が止まった。

 

背後から女性の声がした。

 

「これ、君が落としたんでしょ?

慌てると危ないよ。きをつけてね。」

 

 

そういうと、少年に手帳を渡した。

礼を言おうと顔を上げると、先程の女性の姿はなく

信号待ちの車も発進していた。

 

13歳の少年は、手帳を拾ってくれた女性の声に

聞き覚えがあるような気がした。

 

 

----------------------

 

入社式が終わり、一旦実家に戻ろうとしていた青年は

コンビニに立ち寄り、コーヒーを飲もうと思った。

イートインコーナーで、ショートメッセージの着信を見る。

 

「あんたももう23歳なんだね。入社式の写真

ばあちゃんに送っておきなさい」

 

母からのメッセージを確認し、コンビニの駐車場に向かうと

車のカギがないことに気がつく。

 

スーツのポケットを探してもない。

青年は焦って記憶をたどろうとしたとき

 

「これ、落とされましたよ」

 

背後から女性に声をかけられた。

女性は、青年が落としたカギを持っていた。

 

礼を言おうとすると、カギを渡した女性は

いなくなっていた。

 

「今の女性、どこかで会ったことがあるような・・」

 

青年は気になったが、実家に戻るため

家路を急いだ。

 

 

-------------------

 

「おーい、新しい助っ人が

入ったらしいぞ。もうすぐ来るって」

 

 

「新しい助っ人ね・・・

33歳はさんざんな年だ、なんて言われているけど

助っ人に期待したいね。」

 

 

新人が挨拶しに男の方に近づいていった。

 

「こちらの担当になりました。よろしくお願いします。」

 

男は女性の顔をみた瞬間

どこかで会ったことがある、1度ではなく

何度か・・・・

 

どこで出会ったのか思い出せないが

間違いなく、この人とはこれまで数回会っている

 

でも、どこでだったのだろう・・・

 

思い出せずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戻ってみたい時間がある

どうしても戻りたい時間がある

戻ってもどうにもならない時間もある

 

 

 

時の流れには逆らえない

だから今を生きる

後悔しないように

 

 

 

 

 

 

 

 




〇ぶん〇れぶんの
コーヒーはうまい・・・

そんでもってスィーツも
クオリティ高い・・・

近道せずゆったりまったり
ドライブしながら通勤♪

なかなか乙ですよ


土曜日完全休みにならないかな~(まだ言ってる)

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