見た目は槙島。頭脳は小市民。その名は神様転生   作:あたまや

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はじめまして。ではさっそくどうぞおたのしみくださいましまし。


第1話

「はじめまして、だね。はじめクン」

 

 

「はじめまして……ですね。ところで貴方は? そしてここは? あと、なんでオレの名前を知っているのですか」

 

 

白。真っ白で。まっさらで。

上下右左すべて白。

ホワイティすぎて思考も真っ白。

 

故に、初対面の人? に対して、大したことの無い質問を投げかけてしまった。

 

 

「私が誰なのか、そうだな……君たちヒトの言葉を借りるとすれば神と言う存在に近い。ここがどこか、これも言葉を借りて言うなれば死後の世界だ。細かく説明するのも、君の思考回路では到底、理解出来ないモノなので勝手ながら割愛するよ」

 

 

Oh……my GOD。

なんて、下らないこと言ってる場合じゃあ無いのだ。

 

 

「あと、何故名前を知っているのか、については、そうだな……知っているからとしか言いようが無い。はじめクンは誰かに呼吸の仕方を教わったかい? キミは産まれた時から、誰に教わるでもなく呼吸の仕方を知っていただろう。私からすればそれと同義だ。私が私として存在した時から、はじめクンの全てを知っていた。だからキミの名前はモチロン、生い立ちから終わりの時まで全てを知っている。無論キミだけではなく他のヒトの全てを知り記憶している。全知と言い換えても良い」

 

 

なるほど。理解した。

したくないけど、そう言うのであれば、たとえ初対面であろうと信頼するしかない。

何故なら、この目の前の人物? 以外に回答を得る方法がないからだ。

 

 

「最後に1つだけ質問を良いですか?」

 

「なんだい? 私は今、機嫌というモノがすこぶる上向きだからね。はじめクンの問いに答えよう」

 

「それでは失礼して。……何故、あなたの見た目がミーアキャットなのか、理由が知りたいです」

 

 

美しい、とため息を吐きたくなるほど芸術的なまでに垂直に伸びた背。

 

胸の前でバランスをとるために垂らした二本の前足の愛くるしさは、饒舌しがたい至高のそれである。

 

薄茶色の毛色は記憶の底から母なる大地を呼び覚まし、その毛一本一本が絹のように滑らかで、撫でやかで、黄金に匹敵する価値があると言っても過言では無い。

 

目つきは幾億千の戦場を生き抜いた歴戦の戦士のような獰猛さ彷彿とさせ、そして、時に優しく、時に厳しく寡黙な父を思わせる精悍な顔立ちが全てを物語っている。

 

 

そう、ミーアキャットだ。

 

 

「ふむ。かなり哲学的だな」

 

「いや、どこが哲学なーー」

 

「ミーアキャットに対してミーアキャットを問うたのは、他でも無い。キミなのだよはじめクン」

 

食い気味に反応してきた。

 

返す言葉が見つからない。

仮に、もし、見つかったとしても返さない。

いや返せない。

目の前のミーアキャットは、全身で己がなんたるかを語っていた。

 

いまだ理解に苦しむオレに「私は、まごうことなきミーアキャットである」と、目で、体で、姿勢で、訴えかけている。

 

 

「ヒトはなぜ、ヒトなのだろうか。分かりやすく置き換えれば哲学的になるだろう。ゆえにミーアキャットはなぜ、ミーアキャットなのだろう。と、思考をするとしよう。それは私からしてみれば哲学と言えないかな」

 

 

なんという神、否、ミーアキャットだろう。

深淵を覗く時、深淵もまた、こちらを覗いている。とはよく言ったものだ。

 

ミーアキャットを覗く時、ミーアキャットもまたこちらを覗いていたのだ。

 

ん? なんか違う気がするが、まあ良いだろう。

 

 

「ごほん。唐突で申し訳ない、だが、本題に入ろう。はじめクン。キミをキミの好きな創作物の世界に招待しよう」

 

 

それは文字通り、唐突だった。

ただでさえ思考がうまく働いていないのに、さらなる混乱を生みだした。

 

 

「……はい?」

 

「好きな創作物を選びたまえ。私がその世界に送ろう。これはささやかな私からのプレゼントだ。プレゼントする理由は気まぐれさ。だからキミも気兼ねなく好きな世界を選ぶと良い」

 

 

ミーアキャットと視線がぶつかる。

潤んだ瞳からは何も感じ取れない。

それはそうだ。ミーアキャットだもの。

 

 

「え? いや、少しまってください! 頭が追いつかない」

 

「決めかねるかね。では僭越ながら、私がはじめクンの記憶の中から適当な世界を選ぶよ。ーーああ、安心してくれ。キミの感情の振れ幅が大幅なプラスに向いた時の世界からチョイスした」

 

「ちょっと、ストッーー」

 

 

止まらないのか。止められないのか。そもそも止まることを知らないのか。

 

姿形は愛くるしいのに、声が無駄に渋すぎて味が有り余る。

 

 

「あとは能力と容姿か。きっと戦闘をするだろうから、能力は一回の経験から得られる情報と容量の拡大、容姿はキミの好きな創作上の人物でいいか。身体的能力の上がり幅はその世界の基準に準ずるからよく覚えておくように。ついでに容姿で選んだ人物の能力をはじめクンの土台にしよう」

 

 

すごく不安になる呟き。

戦闘? しかも容姿を好きなキャラクターにするって事は、つまりーー。

 

「容姿だけはやめーー」

 

「ふむ。これで完成か。あっけないものだ。あとは、はじめクン。キミがどういう物語を紡ぐのか、ここで見届けさせて貰うよ」

 

「ちょっと待てくださいお願いしーー」

 

「では行ってきなさい。これからのキミの人生に幸……と波乱があらんことを」

 

「ミーアキャットォォォォオオオオッ‼︎‼︎」

 

 

 

オレの目の前が黒に染まった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

人生の中で若い内の時間はとても長く感じる。

心理学的に説明すると50歳の人間からすれば、一年と言う時間を50回過ごした事になる。

5歳の子供からすれば、たったの5回。

この50と5の差が両者が感じる時間の長さに関係する。

 

人は一年を50回も過ごせば慣れるのだ。

逆に言ってしまえば、たったの5回しか一年を過ごしていない子供には慣れというモノがまだ存在していない。故に一日一日を長くかんじる。

これをジャ何とかの法則という。

 

ーー何故、オレがこんな話をしているのか。

それは二回目の人生が0才スタートだったからさ!

元の年齢が26歳、プラスそこから更に上乗せ16歳。

分かるか? 今普通に年を取っていたら42歳なんだぜ?。

そのせいか1年経つのが早いんだ。

 

42歳、高校生、童貞。

 

こんな酷い言葉の羅列は初めて見た。

 

閑話休題(かんわきゅうだい)

黒板に書かれた牧島省吾の文字を背に、こちらを見つめる40人分の視線を受け止める。

痛いイタイいたい。視線が刺さるし、無言なのが余計に心にくる。

 

 

「はじめまして。牧島省吾です。よろしくお願いします」

 

「はい! よろしくお願いします! そしたら牧島クンは……後ろの空いてる席に座ってください」

 

 

オレ、 牧島省吾。高校一年生になりました。

二度目の人生の二回目の高校生活。

 

 

ーーほんとうに最悪だった。現実に絶望した。

自分の名前を聞いた瞬間に、理解してしまった。

……知らぬまに犯罪者になっている、と。

 

 

別にオレ自身が何か犯罪を犯した訳ではない。

この牧島省吾(漢字を元に戻すと槙島聖護(まきしましょうご))と言う人物。

 

PSYCHO-PASS(サイコ パス)という作品にでてくる犯罪者なのだ。

個人的な見解だが、犯罪史上最も優れた頭脳と卓越した身体能力を持つ凶悪犯だと思う。

狡猾さ、残忍さ、冷徹さ。

どれを取っても最悪にして最高と言って良いほどのモノを持っている。

 

オレは確かにこのキャラクターが好きだった。

見た目の美しさと格好良さもさる事ながら、立ち振る舞いや言動、価値観やカリスマ性などに多大な興味を抱いたのを覚えている。

 

だが、それは創作上の人物だからこそ好きになれたのだ。

実際、自分の為人(ひととなり)がその人物になってしまうとは……予想外デス。

 

とにかく、犯罪者の見た目だからと言って犯罪者になる必要もない訳で、と言うか小市民のオレには重すぎる荷だった。

 

まあでも、見た目が、腰が抜ける位に整った顔立ちと、誰もが羨む均整のとれた体躯なので良しとしよう。

 

アイドルや俳優でも目の前にいたら裸足で即逃げるレベルなのだ。この槙島聖護の見た目は。

 

ーーまあ、見た目に関しては“まだ”いい。

 

問題なのは、あのクソミーアキャットが選んだ世界だった。

 

 

「はっ、はじめまして。姫島朱乃です。これからはお隣さんですから、よろしくお願いしますね牧島クン」

 

 

ニコッと微笑む彼女に、元祖直伝槙島スマイルで返す。

 

あ、ちなみにヴォイスもアニメ基準だからめっちゃ美声です。

 

 

「よろしくね姫島さん。さっきも紹介したけど改めまして牧島省吾です。色々わからない事もあるだろうから、その時は教えて欲しいかな」

 

 

目の前で、この微笑みを直視した姫島さんは、一瞬でオーバーヒート気味に顔を赤くして、少し垂れ目気味の目はウルルン滞在記待ったなしで見上げてくる。

 

ひとえに、姫島さんの上目遣いの赤面が可愛かったのだ。

 

……だが、他人の姿形を使ってこういう好意的な視線を貰うのは、いい気持ちじゃあない。

男のオレですらホレボレするくらいイケメンだから、好意的に見てもらえるのは嬉しい、けど、気にくわない。

 

それにしてもミーアキャットよ……なんでハイスクールD×Dの世界を選んだのか……。

確かにさ、このおっぱいアニメ好きだったよ? 小説も集めてたしさ。

内容はご都合主義のオンパレードとおっぱいしか無い物語だけれども。

女の子の立ち絵とか設定がかなり好きだったんだよ。

 

だからはじめ、親から「駒王町に引っ越すよ」って言われた時、内心かなり嬉しかったさ!。

 

でも、考えてみたらその時点で、死ぬ確率が9割り増し。

そして、たった今、原作ヒロインに出会ったおかげで10割逝きました本当にありがとうございます。

 

ーーあーかわいいな。リアルで会うとこんなにも可愛いのか。

それともオレが一番好きなヒロインだからかな。

今まで女性とお付き合いした事のないオレが、こんな可愛い子に対して噛まずに紹介できたんだ。

自分で自分を褒めてやりたい。

 

 

 

……考えないようにしていた、原作開始までの後3年。

3年後には死亡フラグが狂喜乱舞、パワーインフレが起こり世界滅亡待ったなし。

主人公は人格最低の主人公補正しか能のないハーレム願望持ちのレイパー未遂変態ビチクソ野郎だし。

姫島さんを含む、ヒロインのほとんどが見た目特化の無能ポンコツ集団だし。

ヒロインどころか主要人物のほとんどがアホしかいない。

神(笑)天使(笑)悪魔(笑)堕天使(笑)神滅具(笑)。

お先が真っ暗すぎて目眩がしてきた。

 

 

そんな事を考えていたら転校一日目が、流星の如く過ぎていった。

 

 

 

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何時もと変わらない毎日の始まり、その時までは思っていましたわ。

 

 

先生の口から「今日ははじめに、転校生の紹介をします」と切り出されるまでは。

黒板に流れるように文字を書き込んでいく先生ーーそこには、牧島省吾という名前が書いてありました。

 

 

名前からなんとなく人となりを想像しているのか、周りの生徒達も騒めきを隠せないようです。

男子は「なんだ男かよ」が大半で、女子は「カッコイイ人がいいなー」や「可愛い系でもアリかも」など口々に言いたい放題です。

 

 

「牧島ク-ンどうぞ!」

 

 

先生の呼びかけに対して、数秒後、音を立てながら開くドア。

そこから姿を現したのはーー。

 

 

芸術のような美貌をもつ青年でした。

 

 

月と雪を連想させるその銀色の髪と瞳。

一つ一つの顔に配置されたパーツはナノ単位まで正確に、限りなくシンメトリーに造られているのでは、と思わざるを得ないです。

横に並ぶモノを許さない、彼だけに許された美。

ただの無表情ですが、その余りにも整いすぎた容姿のせいか冷たさすら感じましたわ。

 

ーーいつしか喧しさは消えてなくなり、無音になってしまいました。

 

 

彼は教室を一瞥(いちべつ)すると、その口から誰しも聞き惚れるであろう美声で自己紹介を始めました。

 

 

「はじめまして。牧島省吾です。よろしくお願いします」

 

 

その紹介と合わせて浮かべた笑みに、男女問わず感嘆とため息が漏れています。

皆さんぼーっと、彼を見つめてうっとりしています。

女子の中にはあまりの美しさに下を向いて顔を赤く染める子までいらっしゃいます。

()く言う私も、見惚れて口を半開きにしていましたわ。はしたない。

 

 

 

「はい! よろしくお願いします! そしたら牧島クンはーー」

 

 

……失礼ですが、先生の声が雑音にしか聞こえませんでしたわ。

 

 

ーーですが、この時、馬鹿にせずしっかりと先生の言葉を聞き逃さなければ、となんども自分を叱りたくなりましたわ。

 

 

何故なら、来たからです。

 

 

私の席の隣に。

誰が?。彼が。

……私の席の隣に⁉︎。

彼が⁉︎。

いまだ色恋も知らない私には、冥界の山よりハードルが高すぎましてよ。

 

 

そんな私の横に、気になりすぎる異性がくれば、それはもう、何をどうすればいいのか分かりませんわ。

落ち着きなさい姫島朱乃‼︎ しっかりとあいあい挨拶をををを。

 

 

「は、はじめまして。姫島朱乃です。これからはお隣さんですから、よろしくお願いしますね牧島クン」

 

 

少し噛んでしまいました……でも、なんとか、なけなしの勇気と精一杯の思考で何時ものキャラを取り繕い、自己紹介を出来ましたわ。

ーーこれが、命取りだとは知らずに。

 

 

「よろしくね姫島さん。さっきも紹介したけど改めまして牧島省吾です。色々わからない事もあるだろうから、その時は教えて欲しいかな」

 

 

今まで浮かべていた笑みとも違う、溢れんばかりの慈愛に満ちた笑顔は、どこか懐かしさすら感じました。

 

 

そんな笑顔はーー反則です。

さっきまでの笑顔は嘘で、こっちがほんとう?。

だとしたらズルい。ほんとうにズルいです。

 

 

恋に落ちる音って、するのですね。

 




姫島さんのポンコツ具合とかチョロさを上手く書けてればいいなー
こんな展開どうよって言うのあったらくだしあ

めっちゃ参考にしまふ

修正完了4.28
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