私は知らないうちに429個のアンダーアーマーを手に入れていたのか。
転校してからはや2年。オレは高校三年生になった。
この通学路も通い慣れた道になった。
男女問わず周りを歩く生徒達からの強い視線。
これも慣れた。
何せ“駒王学園の生けるエロス”とか“歩く芸術”とか“アプロディテの愛し子”とか、嬉しくない二つ名を沢山つけられる位には、知名度がある。
オレが走ったら、走れエロスってか。
やかましいわ。
この二つ名のせいでどれだけ被害を被っていることか……。
どこに行っても四六時中視線がまとわりつく。
ストレスで頭がハゲそうに……。
いったん落ち着こう。
ーーホントに色々あった。本当に。
ただ一つ言える事は、二回目の高校生活が思いのほか楽しすぎて、柄にも無くエンジョイしてしまった事が最大の失策、と言う事だ。
いやね? 最初は原作開始までにいろいろ準備しないと死んじゃうよー怖いよー、とか。
神器とかたぶん持って無いから戦う術を得なければ、とか。
仮に神器を持っていたとして神器の正しい出し方? 何それ美味しいの? この年齢で恥ずかしいポーズとか、嫌なので遠慮しておきます。
とゆうか生まれてこのかた喧嘩もした事無い人間が、人外と戦えるか?。
よく二次小説とかで、神の如き力を得て、俺強えぇぇぇえええ‼︎ってしているけどさ。
普通に考えて無理。
だって元はただの一般人だよ?。
元軍人さんとかなら話は変わるけど。
……最悪いざとなったらこの槙島スペックをフルに使うことも
でも、いざその場面に出会ったら戦えるのか?
そんな思考ばかりをしていたオレの脳みそはついにーー。
逃げた。
ーー青春に。
逃げた要因の一つはこの見た目とスペック。
見た目はそれこそ並ぶモノ無しのザ・イケメンで、運動と勉強もぶっちぎりの一位。
当たり前だ。
オレの元になった人物ーー槙島聖護は優秀な警察すら軽く出し抜き、狂気的とも言える犯罪を今日の夕飯感覚で思いつく頭脳と、訓練を受け、実戦経験も数多く経験している警察官を、持ち前の身体能力と戦闘センスと格闘技術で捻り潰していた。
そんな訳で、RPG的に言えば、レベル99の最強装備で始まりの村周辺の雑魚をぶち殺すより
今まで本気で高校生やってました。
もう一つの要因はーー。
「省吾クン?どうかした?」
腕を絡ませ、これでもかと惜しげも無く豊満な体を押し当てながら最上の笑顔を向けてくれる。
あー、可愛いなあ。
「何でも無いよ朱乃さん」
オレ、初めて彼女が出来ました。
……いやね? 最初はどうせ、この顔のせいだろうと、めっちゃ悲観してたのよ。
だってさ、オレに惚れたわけじゃないじゃん。
槙島聖護の姿に惚れた訳でしょ?。
少なからずショックを受けたよ。
晩御飯が喉を通らなかったさ。
まあ原作を知っていたから、この子チョロインその1だし、とか考えてたんだけどね。
どうせ原作開始すれば、あの変態主人公にホイホイついて行ってしまうからノータッチで行こう。
そんな決意を心に秘めた。
ーームリでした。だって可愛すぎるもの。しょうご。
あー、心がぽかぽかするんじゃー。
考えても見てくれ。
自分の一番好きなお気に入りのキャラが愛情たっぷりのお弁当を、紛いなりにもオレの為に作ってきてくれるんだよね。
満面の笑顔を添えて。満面の笑顔を添えて。大事な事だから二回言った。
隙あらばめっちゃ腕組んでくるし。
なんか、口調もお嬢様口調から素の口調に変わってるし。
それ以外もアプローチが半端じゃあない。
オレの前では、お
原作では、主人公が気になりはじめ、そして恋心が大きくなるにつれて行動や言動、立ち振る舞いの変化があった。
そした最大の要因にして、惚れた理由の一つに、
だからまあ、父親との確執もいまだ残っているから、どうせ今だけだし、好きなキャラと今の時間を好きなだけ楽しんでおこう、なんて考えていた。
ーーそれが大きな間違いなのだと気づきもせずに。
誰が“この世界は原作通りに史実が進んでいる”と言った? そう。誰も原作通りなんて言ってない。
勝手にオレが思い込んでいただけなのだ。
それを理解したのは、進級して間も無く、彼女に物凄い力で引っ張られ、家に招待された時。
いたのだ。彼女の母親ーー姫島朱璃が。
ふつーに居間にいた。けろっとしていた。テレビを見ながら煎餅とお茶で和んでた。
原作では、彼女が幼い頃に目の前で殺され、それが原因で、助けに来れなかった父親と絶縁に近い関係になったのだが。
いる筈のない人間がいた事に驚きすぎて、「トテモ綺麗ナ、オ母様デスネ」なんて口走っていた。
朱璃さんも満更でもない感じで、「もう、オバさんをからかっちゃメッ」とか言いながら鼻先を人差し指で押してきた。
大人版朱乃さんと言っても良い見た目だから破壊力がヤバかった。
ーー横にいた般若が、オレの背中を引き裂かんばかりに
あの時の朱乃さんの
そんなこんなで、家にお邪魔してから数日後、彼女から告白されてオッケーを出し、彼氏彼女になった。
そこから彼女の甘え度がMAXになった。
移動時は腕を組んで指を絡ませる。
休み時間は、オレの膝の上が特等席。
お昼はあーん、がデフォルト。
食べ終われば交代で膝枕をし合う。
オレの家に一緒に帰り、彼女の愛情天元突破の手料理を食べる。
そして夜は引っ付いて寝る。
これのローテーション。オーケー?。
まだ、いたしてはいない。
当たり前だ。いきなりエッチなのはいけないと思います。
ーーちなみに両親は、オレと朱乃さんが付き合っていることを知っている。
だからオレの世話を朱乃さんに任せて、海外旅行でこの先一年は世界を周るらしい。
出かける際にオヤジがオレの肩を叩きながら、「この旅行でお前に妹か弟ができるかもな」なんてセリフ言い残していった。
それをオレに言うなよオヤジィ……。
ーーえ?無能姫はどうしたかって?。
それがなあ……なんと言ったら良いのか。
教室で朝礼までの時間を潰していると、見慣れた“
「部長。おはようございます」
「グレモリーさん。おはよう」
「朱乃さんおはようございます。牧島さんもおはようございます」
噂をすれば何とやら。
そうです。この子が“元”無能姫ことリアス・グレモリーさんです。
原作では、年齢に合わない精神年齢と、
なぜ“元”とつけたのか。
それはもちろんーー。
「朱乃さん。牧島さん。今日は部活に顔を出して頂けますか?先日の件についてお話ししたい事がありますので。お時間は、30分前後で終わる予定です。決して2人のお時間を邪魔するつもりはござませんので、よろしければご一考ください。では、失礼します」
彼女は申し訳なさそうに告げると、美しい小さなお辞儀を見せ自分の席に帰っていく。
そう、この世界の彼女はどういう訳か、有能姫なのだ。
というか、一切の欠点を無くした
原作のリアス・グレモリーは、いかにも我が儘言いそうな高慢ちきな無能姫。
この世界のリアス・グレモリーは、まず髪型から違う。
背中の真ん中あたりで切り揃えられており、邪魔にならないよう頭の上でお団子になっていて出来る女らしくなり、更にはフォーマルな眼鏡をかけている。
容姿は原作同様、非常に整っており、オレに次ぐ成績優秀者にして、運動神経抜群、誰に対しても柔らかい物腰に、ここぞという時は一本筋を通す性格。
そして人を
その姿、凛として咲く花の如し。
この時点で、ソーナ・シトリーのお株が消え失せた。
何をどう間違ったら、こんな廃スペックキャラが生み出されるのか。
付け入る隙が一ミリも無くて、このままだと原作崩壊待ったなし、と、逆に不安になるオレであった。
やってしまった。
ついつい我慢出来なくてリアスと朱乃さんを改変してしまた・・・。
これで原作崩壊待ったなし。
とはいかないようにする。
前書きで誤字脱字はほんとに恥ずかしい
修正完了4.28