こんな感じのリアスめっちゃ良いわ。
放課後、リアスさんに言われた通り、朱乃さんと2人でオカルト研究部の部室に向かった。
扉を4回ノックすると部屋の中から入室を許可する声。
音を立て開いたドアの先には何時もの光景が広がっている。
部室ーーなんて可愛い物では決して無く、仕事場としか言えない部屋。
ここも、この世界のリアスさんの影響をモロに受け、ゴテゴテした魔術的な内装やシャワールームなど必要の無いものはついておらず、それこそ会社の部署を
部屋の主であるリアスさんは、重要書類の処理中なのか、流れるようにペンを走らせ、時には判子を押し、処理に時間がかかりそうな案件はいったん横に
オレから向かってデスクの右側では、一年生の塔城“白音”ーー白音ちゃんがその愛らしい見た目に似合わない、正確なプライドタッチでパソコンを入力している。
あれ、小猫じゃ無いの? とか初めは思ったが、いきなり「お姉さんと仲直りしたの?」なんて聞ける訳も勇気もなく、いつか聞いてみようと思っている。
そんなリアスさんと白音ちゃんだが、彼女達の間に高校生らしい会話など無く、あってもーー。
「部長。こちらの案件の裁決をお願い致します」
「分かったわ。優先的に処理するわね。さっき頼んでいた申請書類の作成はどれ位進んでいる?」
「あと5分後にはまわせます」
「ありがとう。そしたら引き続きお願いね」
くらい。
これじゃあ部長は部長でも、部長の意味が違ってくるよ。
2年前、朱乃さんに初めてリアスさんを紹介された日。
その際に訪れたのが、この部室だった。
一番初めこの光景を見た時、
ーーどこぞの会社の部署かと。
そして、作業する彼女達の表情も高校生特有の垢抜けた感じは一切無く、ひたすらに真剣で、どこまでも事務的な大人の顔になっていたのだ。
前世の自分を見ているようで、何とも言えない感情になったのは秘密。
ーー余談ではあるが、初めて会ったリアスさんは最初はかなり友好的だった、が。
オレははっきりと断った(何故なら
『何の力も持たない人間を! 守るべき対象である“彼”を危険に晒すつもりですかッ‼︎ 私には朱乃さんと牧島君の関係についてとやかく言うつもりも、権利も一切無いです。でもっ‼︎ 表の住人である彼を裏に関わらせる、そんなの私は絶対に許さないっ……。彼を危険に晒す位なら……。そんな事なら……。いっそうの事、私が退学して裏から遠ざける方がよっぽどマシです……』
それはどこか、彼女自身の
目を伏せ、一筋の涙を流す彼女を見て、心にダメージが。
それこそ、初対面の人に対してここまで心配してくれる人? 悪魔? は中々いない。
しかも、原作の彼女とのギャップが凄すぎてダメージ倍増。
汚すぎるオレの心が、
そこから、生前、右に出る者は無しとまで言われたオレの交渉スキルをフルに使って、事なきを得たのだ。
ーーすいません。嘘です。テンパりすぎて何を言ったのか、
確か最後の方は、ある事無い事言って褒めちぎろう作戦をしたような、ないような……。
閑話休題。
ーー作業をしていたリアスさんは、ペンを置き、眼鏡の外して目頭を揉む。
そして、ほどなくしてこちらに言葉をかける。
「来て頂いてありがとうございます。どうぞお掛けください。・・・最近、ただでさえ急増したはぐれ悪魔の処理に追われているのに、堕天使からの通行許可申請と、天使から教会建設申請が増えてまして……。町長や日本の神々と土地やその他諸々の折り合いもつけないといけないですし……はあ。いきなり愚痴を言ってすみません。紅茶を淹れてくれてありがとう白音」
コト、とオレと朱乃さんの目の前にアンティーク調のカップとクッキーの盛り合わせが置かれた。
え?あーん?。
朱乃さん……とても嬉しいのですが、その両手のクッキーおいてください。
あともう少し周りの空気を読んーーモゴッ⁉︎。
「白音ちゃん。お仕事お疲れさま。私達の分まで紅茶をありがとう」
口に無理矢理クッキーを詰められ、喋れない俺の代わりに朱乃さんが感謝を告げた。
「どういたしまして、です。それとお気遣い、感謝します。この作業には慣れてしまったので何とも無いです」
ふんす、と
するとリアスさんは、それを否定するように力なく首を横に振った。
「実際、白音がいなかったら早いうちに破綻していたわ。私からも改めてお礼を言わせて。至らない私の力になってくれて、いつも本当にありがとう」
「部長……」
「なんか私のせいでしんみりしてしまいましたね。駄目ですね……ホント。話を変えましょう。今日お二人を呼んだのは先日、無許可で進入した堕天使2名に対しての対応と対策を伝えるためです」
リアスさんは「白音、2人に書類を」と言うと、既に準備をしていた白音ちゃんから三枚の書類を受け取った。
そこには堕天使2名の事細かな詳細が記された二枚の書類と最後の一枚は堕天使側からの書類だった。
その堕天使側からの書類に記載された内容はーー。
階級、下級堕天使。
名、レイナーレ。
階級、下級堕天使。
名、ドーナーシーク。
右の者は、堕天使側の業務命令とは一切の関係無く人間、及び、悪魔の領域を許可無く進入、侵害し、組織規約に違反したとみなし、来る日をもって、破門をここに宣言する。堕天使代表、総督アザゼル。
つまりは、そう。除名処分。
その2名が堕天使陣営に所属しているからこそ、それが後楯となり、こちらからは手を出せない。
しかし、この書類があると話が変わってくる。
除名処分により、その後楯が無くなる。
つまり、こちらでその堕天使2名を“処分”しても一切関与しない、と堕天使側から回答が来たのだ。
「この2名に関しては、
リアスさんは紅茶に口をつけ、喋りすぎで渇いた口内を潤す。
その間に、空いたカップに紅茶を注いでくれる白音ちゃんに今度こそ礼を言う。
本当に気がきく良い子なのだ。ほんと良い子。
「この件を堕天使側に伝えたところ、事態を重く見た堕天使上層部から来たのが、先ほどご覧いただいた除名処分証と言う訳です。あと遠回しにですけれど、人的被害が出る前に早急な対処を願う旨も聞き及んでいます」
「見つけ次第、処分しても?」
……朱乃さん、なんという怖いセリフを。
「構わないです。改めて言いますが、もし止む終えず戦闘になり、被害が拡大しそうな場合、牧島さんを優先して逃がしてください。これは牧島さんだけでは無く、周囲にいる人間にも言える事ですが」
ーー不意にリアスさんが、朱乃さんに顔を近づけ、耳打ちした。
すると、朱乃さんのニコニコした表情が一瞬、ほんの一瞬だけ歪む。
恐ろしく早い表情の変化。
俺でなきゃ見逃しちゃうね。
「予定より5分オーバーしてしまいました。お話はここまでにしましょう。何か疑問点などはありますか?」
リアスさんが無言で確認をとると、最後に締めた。
「今日はお集まりいただきまして、ありがとうございます。人々が安心してこの町で暮らせるよう、尽力して行きますので、もう少しだけ私に皆様のお力を貸してください。お願いします。・・・それと牧島さん。・・・いえ。何でもないです。さようなら」
何その後ろ髪をおもいっきり引っ張られる終わり方。
凄く気になるんですけど。
何だろう。朱乃さんがどんどんアホの子に・・・。
そしてリアスさんの評価が自分の中でメキメキ高くなって、なんかメインヒロイン間違えたかなとか思い始めてきた・・・。
まっ、まぁこの小説ハーレムモノだし? セーフでしょセーフ。
そして次のお話でとうとう“ヤツ”が出てきます。
マグロ。ご期待ください。
4.28修正完了