普通じゃない艦娘と自称普通な提督   作:rainy@執筆開始

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初めまして。

稚拙な文章ですが、邁進していきますので宜しくお願いします。

ほぼ処女作です。


第一話 旅立ち

 

20XX年

戦争もなく平和な毎日を過ごしていた。

普通に学校を卒業して、普通にサラリーマンになって

幸せな家庭を築いていければと漠然と考えていた。

そう、あの時までは。

 

何の前触れもなく“奴ら”は海から現れた。

突然のことに世界各国は大混乱に陥りながらも迎撃を行った。

だがしかし、奴らには弾丸や砲弾はおろか、ミサイル等の現代科学兵器でも殆どの効果が見受けられなかった。

そのような存在に太刀打ちできるわけもなく、徐々に防衛線を下げざるおえなかった。

大国ですら四苦八苦するような相手に、力の持たない国は一国、また一国と滅んでいった。

我が国、日本も海に囲まれている国故に熾烈な攻撃を受けており、だましだまし凌いでいたが

多勢に無勢、我が国が陥落するのも時間の問題かと思われた。

 

しかし、そんな時に現れたのだ。

救世主が。

 

“その子”達は海を自在に走り、船についているであろう装備で“奴ら”と戦った。

時には主砲で相手を退け、時には魚雷で爆散させる。

飛んでいる艦載機に対しては機銃で撃ち落とす。

おおよそ一世代前に活躍したであろう装備にも関わらず

“奴ら”にダメージを通して轟沈させてゆく。

もうダメか・・・と絶望の淵に立たされていた人類にとって希望の光が灯った瞬間であった。

 

瞬く間に近海の“奴ら”を蹴散らし制海権を取り戻した“あの子”達は一躍ヒーローとなった。

“あの子”達は自分の事を過去に沈んだ軍船の名前で呼ぶことと女の子しかいない事から、“艦娘”と名付けられた。

人間に対して友好的な彼女達がいた為、人間達は滅びずに戦う力を手にした。

 

 

今になって思えばこの日から僕の運命はもう決まっているようなものだったと思う。

この時は何も知らずにただ怯えているだけだった。

救世主が現れた時にも、何処か他人事に感じていたように思う。

けれど、この日から確かに世界は変わっていったのだ。

 

 

 

朝・・・鳥の鳴き声よりも早くに僕は目が覚めた。

もうそろそろ起床の合図と共に点呼がある。

遅れるわけにもいかないので、僕は用意を急いだ。

 

 

カーン カーン

鳴り響く音に僕は急いで廊下へ躍り出た。

「よーし、お前ら全員起きてるな。点呼をとる!」

「はい!1!」

「2!」....

いつもの朝。いつものように点呼に応えた。

もうそろそろ3年間、毎日続いている事で一糸乱れずに点呼が終わる。

「結構だ!食事は“マルナナマルサン”までには摂りおえるように!解散!」

教官の掛け声に皆で一斉に返事を終え、思い思いに移動してゆく。

僕も食事を摂るために食堂へ足早に向かった。

 

 

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“提督”

艦娘と呼ばれる存在が現れた時に、艦娘から告げられたことがあった。

『私達は提督と呼ばれる存在が必要なの。提督に指揮をとってもらわないと、艦娘は半分の力も発揮出来ない。』

人類は急いで提督を選出していった。

しかし、誰にでも提督が務まるわけではなかった。

 

第一に“妖精”と呼ばれる存在が見えないことには、艦娘達に認められないとわかった。

そこで一般人から立候補を募った。

“妖精”が見れる人間は数百人と集まったが、次が問題であった。

 

第二に、艦娘の指揮をとれる人間が殆どいないのだ。

指揮といわれても多種多様とある。

遠方から無線で指示を出すもの。或いはボートで艦娘に付き添い指示を出すもの。

しかし、どの方法をとっても艦娘が一人で戦う際と変わらない動きしかできなかった。

 

人々は焦っていた。このままでは艦娘に失望されてしまうのでは・・・と。

形振り構っていられなくなった軍はある実験を行う。

 

過去の実験から、“妖精”が見えるのは10代~20代前半が多かった。

全国の学生を対象に、艦娘と“妖精”を連れて行きアンケートを行った。

そして提督適正アリとされたものには、有無言わさずに指揮を執らせた。

その中で成績を良かったモノを順次軍へと編入させていったのだ。

 

しかし、軍略も何もわからない人間に大事な艦娘を預けるわけにはいかない。

そこで、提督になる為だけの軍学校を開校した。

 

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食堂についた僕は朝食を頬張る。

いつもと変わらないトーストとチーズに牛乳。

少し物足りないと感じるかもしれないけど、僕にはこれだけで充分だった。

 

「あんたっていつも一人でご飯食べてるよねぇ?」

背後から声がかかる。言い方は少しぶっきらぼうに感じるが、おちゃらけているわけでもなく

こんな僕のことを純粋に心配してくれているのであろうことがわかる優しい声。

この3年間で随分と聞きなれた声だったので、僕は振り向きもせずに答えた。

 

「いいんですよ。僕が輪に入っても相手が気を遣うだけでしょうし。それよりも

このような場所で、その話し方でいいのですか?教官。」

「いいのいいの。あんたの近くにいつも人はいないし。バレやしないって。」

悪戯が成功した後のような楽しげな声色で彼女は応えた。

ニシシと口元に手を当てて笑っているに違いない。

僕は口に含んでいたパンを飲み込み、漸く振り返った。

 

 

「どうなっても知りませんからね。それで?僕に何か用がありましたか?」

やれやれとため息を零しながらも、いつもの事なので諦める。

この教官は、僕が注意したところで一度もきいた試しがないのだ。

自由奔放で飄々とした人。それが僕の中で教官のイメージだった。

 

「いやね、もう卒業でしょ?そろそろ何処の鎮守府に配属されるか決まったかな~って…。」

教官にしては珍しく、少し上目遣いに見上げながら恐る恐る言葉を発した。

以外だな…。と心の中で零す。教官のこのような姿はあまり見ることがなかったので

正直面を食らったが、表には出さずにすぐに答えた。

 

「はい、昨日に辞令が下りました。僕は“舞鶴鎮守府”へ配属されます。」

僕が答えた刹那、息が詰まった。

目の前の教官と“背後”にいる教官から殺気にも似た雰囲気が感じられ、僕は思わず息を飲んだ。

数分か、もしくは数舜だったかもしれない。漸く教官が口を開いた。

 

「ねぇ…。横須賀に配属“だった”んじゃないの?」

大の大人でも裸足で逃げ出すような底冷えする声を出す教官。

わけもわからないが、このままでは拙いと感じ、すぐに返答した。

 

「はい!いいえ!辞令は頂きましたが、私のような若輩者に務まるとは思えず

辞退した次第であります!」

咄嗟のことでパニックになってしまい、軍隊式のような返答をしてしまった。

勿論、大声で返答したので注目の的になってしまい、僕は敬礼姿のまま縮こまった。

「そうなんだ~。わかった。ちょっち用事を思い出したからもう行くね。」

 

教官は僕の返答を待たずに猛スピードで去っていった。

背後からの重圧もなくなったから、もう一人の教官もいなくなったと思う。

何なんだよ…。と小さく呟きながら、僕はいそいそと食堂を後にした。

 

 

 

“卒業”

 

この日の僕たちの胸中は様々だったと思う。

何か決意を秘めるもの。もう逃げられないと青ざめるもの。今まで通り何も変わらないもの。

僕はどうだろうか。胸が熱くなるようなこみ上げる思いもなければ、絶望することもない。

海が凪いでるような静けさだった。

変わらないことはない。そう、僕は見習いから“提督”になるんだ。

 

卒業する提督は僕含めて5人。

それぞれ、横須賀、呉、佐世保、大湊、舞鶴に着任する。

お世辞にも仲が良かったと言えないが、それぞれ日本の海域を取り返す為に戦うと思うと感慨深いものがある。

一人物思いに耽っていると教官から声をかけられた。

 

「卒業、おめでとさん。3年間なんてあっという間だったねぇ。」

確かにそうだ、と思う。

わけもわからないまま連れてこられ、訓練と称したしごきを受けて。

最初の頃は地獄の苦痛でしかなかったけど、人とは段々と慣れるもので。

最後は余裕を持って訓練に臨んだ。

 

「そうですね。色々とありましたが、教官には本当にお世話になりました。」

嫌なことも逃げ出したくなることも多々あった。

教官はその度に見越したかの如く、気にかけてくれた。

初めは怖い教官に優しい言葉をかけてもらい、思わず泣いてしまったのは僕だけの秘密だ。

過去を振り返り、万感の思いを込め精一杯伝える。

 

「教官、この3年間本当にありがとうございました!貴女なくしては今の僕はありません。

辛いときにも厳しくも優しい言葉をかけて頂いた事も一生忘れません!

今後先にも厳しい戦いが待っていることでしょう。しかし貴女の教えがある限り、私は折れません。絶対に負けることはないと誓います!」

一口で全てを伝えた僕はその場で敬礼した。

教官から返礼もなく、何も言葉を発しないことを訝しんだ僕はじっと教官の目を見つめた。

すると教官はニコニコと笑いながら答えてくれた。

 

「あっはっは。いいってことよ~。これからは国のため、ひいては人の為に頑張ってねぇ。」

伝えたい事は沢山あるけれど、先ほどの言葉に全てを込めて送った僕はそのまま踵を返した。

明日からは守ってもらうんじゃない。守る立場になるのだ。

気持ちを新たに引き締めて、僕は眠りについた。

 

 

 

“舞鶴鎮守府”

 

朝、普段より早めに目が覚めてしまった。

普段より少し気分が高揚していたのかも知れない。

周囲を散歩出きればいいかと軽い気持ちで早めに出発した。

 

 

予定時刻より30分早く鎮守府についた。

しかしそこには眼鏡をかけた美少女が立っており、僕に気付くとすぐに敬礼をしつつ声をかけてきた。

「提督、おはようございます。軽巡洋艦大淀型の大淀です。」

まだ誰もいないと思っていた僕は軽く面を食らったが、すぐに返礼した。

 

「大淀・・・さんだね、おはよう。“日本海軍大本営所属”海道少佐です。宜しく。」

大淀さんは敬礼したまま、目を見開いて固まっている。

何か変な自己紹介をしてしまっただろうか。

思い悩んでいると大淀さんは玉を転がすように笑いながら口を開いた。

 

「大淀と呼び捨てにしてくださって結構ですよ。提督。敬語も必要ありません。」

クスクスと少女のように笑う大淀さん・・・大淀が告げる。

僕の人生で女の子を呼び捨てで呼ぶことなんて無かったから、少し緊張しながらも答えた。

「わかったよ、大淀・・・。これでいいかな?」

たどたどしく応える僕に満足したのか、ニッコリと笑いながら大淀は頷いた。

 

 

「それでは鎮守府内へ案内致します。最初は執務室へ向かいますね。」

大淀は踵を返した。僕はそれに続くように後を追いかける。

大きな門を潜り抜け、一際大きな玄関口へたどり着く。

まだ朝も早く、誰もいない玄関を通り抜け執務室へ向かった。

 

「ここが執務室です。」

赤く大きな扉の前で大淀が立ち止まる。

上を見ると執務室と書かれたプレートが貼られていた。

 

「うん、部屋名が書かれているプレートがあるのは助かるね。」

そう告げながら僕は扉を開く。

中は思ったより広く、10畳以上はあるだろうか。

開け放たれている大きな窓から日差しが入り込み、その窓からは綺麗な海が見えていた。

 

「綺麗な海だ…。この景色を見ていると今が戦争中だということを忘れてしまいそうだね。」

大淀もつられて窓際へたつ。

そよ風が優しく包み込み、大淀の綺麗な長い髪を揺らす。

僕はその光景に目を奪われていた。

 

「本当にそうですよね。海はいつの時代も綺麗なものです。」

揺れる髪を抑え、目を細めながら大淀は応えた。

春のうららかな日差しに照らされた大淀は神々しく、まるで天使のように見えた。

本当に綺麗だ・・・。とつぶやく。

するとその言葉に反応するかのように声がかかった。

 

「あれぇ?提督じゃん。何~?着任して早々にナンパ?何が綺麗なのかな~?」

心の中を見透かされたかと思い、咄嗟に言葉が出た。

「ちっ、違うよ!海が綺麗だから!海のことだから!」

慌てて振り返りながら弁明をすると、そこには見知った顔があった。

 

「え・・・ちょ、ちょっと待ってください。何故貴女が・・・何故・・・。」

そう、3年間ずっとお世話になっていた教官。

“北上教官”がそこにいたのだ。

「北上教官がここに!?」

思わず大声が出てしまったことは仕方がないことだと思う。

対して北上教官は悪戯が成功したような顔でニヤニヤしながら手をあげている。

僕は顔がトマトのように真っ赤になってしまった。

 

「ふふん。それがね~?“偶然”舞鶴鎮守府に移動することになってね~。

教官も終わったから、そろそろ前線に復帰しないとね~?」

僕は開いた口が塞がらなかった。

大淀は最初から知っていたのか、特に驚いた様子もなく僕たちのやり取りを見ている。

北上教官は納得したのか、うんうんと頷きながら更に続けた。

 

「というわけで~今度は立場が逆になるよね~。提督の指示で戦っちゃうからさ~。

大丈夫~40門の酸素魚雷は伊達じゃないからね。」

何が大丈夫なのか僕に教えて欲しい。

僕は頭を抱えながら叫んだ。

 

「先に教えててくれよ!昨日の僕の言葉を返してぇ!!」




勢いで書き始めました。

次回は色々な説明会になると思われます。

シリアルちっくな笑いありの作品に出きればと思います。

肩肘張らずに読めるように書いていきたいと思いますので

開き時間などに読んで頂ければ幸いです。

誤字脱字報告や批判や感想等お待ちしております。
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