ベル・クラネルとアイズ・ヴァレンシュタイン 【台本式Ver】   作:へたくそ

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8 ダンジョン

ベルがロキ・フォミリアに入団してから10日。アイズ達の訓練を終えたベルはステイタス更新の為にロキの部屋を訪れていた。フィン、リヴェリア、ガレスは居ないものの、ベルの更新には必ずアイズが同席のが恒例となっていた。

 

 

 

ロキ「さてっと、これで更新したでベルたん。いや〜今日も沢山頑張ったみたいやな〜」

 

ベル「は、はい。それでロキ様。僕のステイタスって今日も見せてくれないんですか?」

 

ロキ「悪いな、こっちもベルたんの事をいじめてる訳やないんや。ベルたんに見せれない理由(わけ)があってな。理由も話さないで信用してくれって方がおかしい話やけど、うちらの事を…、何や…」

 

ベル「信じますよ!ロキ様の事」

 

ロキ「そ、そんなあっさり、うちが言うんのもおかしいけど大丈夫なんか?」

 

ベル「はい。実はアイズさんに相談した事あるんです。ロキ様達が僕に何かを隠しているんじゃないかって。そうしたらアイズさんが言ってくれたんです。ロキ様は絶対に僕のことを見捨てたりしないって。だから信じてるんです、アイズさんを、ロキ様を。みんな、僕の大切な家族ですから!」

 

ロキ「ぅぅぅぅ、ベルたあああああん!」

 

 

 

ベルの言葉に、ロキはベルに抱きつこうとする。しかしそれは横で見ていたアイズに阻止された。

ベルにとっては抱きつかれる相手がロキからアイズに変わっただけなのだが。

 

 

 

アイズ「ベルに迷惑かけちゃダメ、訓練で疲れてるから。それにロキはいつもベルに抱きついているから今日は私の番」

 

ロキ「そんなアイズたん勘弁してえなぁ。これが1日に一回の楽しみやねん」

 

アイズ「でも今日はダメ」

 

ベル「あ、あのぉ、僕に拒否権って…」

 

アイズ「…イヤ?」

 

ベル「いえ全く!」

 

アイズ「良かった」

 

ロキ「ベルたんが堕ちた…。でもな、アイズたんにちょっと話があるからベルたんを離してあげてな」

 

アイズ「分かった…。それじゃベル、また明日ね」

 

ベル「はい、おやすみなさい。アイズさん、ロキ様」

 

ロキ「おやすみ〜!」

 

アイズ「おやすみなさい」

 

 

 

ベルが部屋を出ていくとロキは自分の机の引き出しから秘蔵の酒を出して飲み始めた。

アイズはそれを黙って見ていると、ロキは鋭い目つきで

 

 

 

ロキ「10日後の強化遠征にベルたんを連れて行こうと思っている」

 

アイズ「ロキ、言っていい事と悪いことがある。今度の強化遠征は35階層まで降りるはず、ベルを連れていくなんて何を考えているの」

 

 

 

アイズは珍しくロキを睨みつける。それはベルの事を思っての事だろう。それでも神に対してこんな事をできるのはオラリオでも10人もいないだろう。

 

 

 

ロキ「アイズたんの言う事も最もや。でもな、それは普通の冒険者やったらの話や。ベルたんが普通じゃないのはアイズたんもよぉく分かってるやろ?」

 

アイズ「それでもまだ恩恵をもらって10日しか経っていない、それにまだ実戦だって」

 

 

 

アイズの話に割り込むかの様に、ロキはベルのステイタスをアイズに見せた。

 

 

 

 

 

ベル・クラネル

 

LV1

 

力 F 432

 

耐久 C 648

 

器用 E 453

 

敏捷 C680

 

魔力 0

 

 

 

魔法【】

 

スキル【英雄願望(アルゴノゥト)

   【隠された力】

   【護り手の鎧(ガーディアン)

 

 

 

 

ロキ「ベルたんの成長スピードはホンマに異常や。たったの10日でステイタスにCが2つ、もう何が何だか。これ以上ステイタスが上がる前に実戦を覚えてもらわんきゃアカン。そこで問題が一つある、上層のモンスターでは恐らくもうベルたんの経験値にはならんやろ。それでこれから遠征までの10日間、アイズたんにはベルたんと一緒にダンジョンに行ってもらう。そして遠征に参加してもらう。」

 

アイズ「確かにベルの成長スピードは早い。でもだからって遠征は早すぎる。サポート役だってLV3の冒険者にやってもらっているのに、LV1のベルを連れていくのは危険すぎる」

 

ロキ「確かにな。でもなアイズたん、ベルたんのあの目を見て何も感じてへんっちゅう事はないやろ?」

 

アイズ「……なにが言いたいの」

 

ロキ「恐らく、その遠征でベルたんはレベルアップする」

 

アイズ「それは、フィンの親指が疼いてたの?それとも…」

 

ロキ「いんや。ウチの、神ロキ(トリックスター)の勘や」

 

 

 

アイズはロキの目を見て確信した。冗談のカケラもない。勘と言うには確信がありすぎる目をしている。しかし確信と言えるだけの十分な情報も揃ってない。むしろ不十分過ぎると言える。それでもロキの目を見ると、その言葉を信じてしまう。

 

 

 

アイズ「…分かった。ロキがそこまで言うなら」

 

ロキ「悪いな、色々任せきりになってしもうて」

 

アイズ「大丈夫、私もベルの事が心配だから」

 

 

 

 

アイズが部屋からいなくなり、ロキは一人で酒を飲む。いつもならリヴェリアに止められているので思いっきり飲むのだが、今回に限ってはそうも行かない。ベルの事を何としても守らなければいけない。しかしそれはアイズ達の力を借りるだけでは解決しない。ベル自信にも力をつけてもらわなければならない。

 

 

 

ロキ「さぁて、ベルたん。これからちと大変になるで」

 

 

 

ロキの目に映るのはどんな未来なのか。ロキはベルの未来になにを見たのか。

それはロキ()のみぞ知る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベル「ここがダンジョンですか…」

 

アイズ「緊張する?初めてだもんね」

 

ベル「はい。リヴェリアさんの座学はちゃんと受けてたので知識は大丈夫なんですけど、やっぱり本番となるとちゃんと対応できるか心配ですね…」

 

アイズ「最初は一階層でゆっくり慣らそうか。危なくなった時は私がサポートするから大丈夫だよ」

 

ベル「そ、そうですか…」

 

アイズ「??」

 

 

 

ベルの顔が暗くなっていく。アイズはベルを守れると絶対的な自信がある。それは自分がLV5である事と、今まで培ってきた経験があるからだ。

それなのにベルは何でこんな顔をするのか不安になった。自分ではベルの不安を消せないのか、と。

 

 

 

アイズ「私じゃ不安かな?」

 

ベル「いえ、そう言う事じゃ…。ただ、ここがおじいちゃんの落ちていった深い谷と少し似ていたので。何だかか怖くて」

 

アイズ「大丈夫、今は私がいる。それにベルだって前とは違う。自分で自分を守る力を持っている。だから自信を持って?」

 

 

 

アイズは不安そうなベルの頭を撫でる。ベルは撫でられて安心したのか目をほっそりさせて気持ちよさそうにしていた。

 

 

 

アイズ「それじゃモンスターを倒していこうか。まずは一対一から。しばらくは多対一の戦闘は避けていくからね」

 

ベル「は、はい!」

 

アイズ「ちょうどあそこにゴブリンがいるから、落ち着いて倒してみようか」

 

ベル「わ、わかりました」

 

アイズ「今までの訓練の事を忘れないで」

 

ベル「あ、はい!」

 

 

 

ベルは今カチカチに強張(こわば)っていた。無理もない。いくら訓練を積んできても、一発目で本場を切り抜けるのは至難の技だろう。

それ程に違うのだ。アイズは本番でも訓練通りにできた人間だが、ベルの様な新人冒険者はたくさん見てきた。

殆どのものは者は思考が止まり、頭が真っ白になると言う事を知っている。そこでアイズはベルに助言をする。

今までベルが培ってきた訓練をの事を。

 

 

 

アイズ「まずは冷静に、そして状況判断を正確に把握。肩の力は抜くけど、最低限の力を込める」

 

ベル「!…そしたら腰を適度に落として膝を曲げ、いつでも動ける様にバネを準備する」

 

 

 

そうしてベルは自分と対峙しているゴブリンを観察する。手の動き、視線の先、足の向き。全てに気を配らせる。

 

 

 

アイズ「そして相手を良く観察して、隙を見つけたら…」

 

ベル「突くっ!!!」

 

 

 

ベルは足のバネを最大限に利用してゴブリンに突っ込む。だがのスピード、反応はアイズの予測を遥かに上回っていた。

そしてゴブリンはベルに反応する事もできないまま、ベルの剣の餌食になった。

やはりベルには何かある。そんな事を考えてながらベルを見ると、ベルの背中が僅かに光っていた。ガレスと戦ったあの時の様に。

 

 

 

アイズ(あの光、確かガレスと戦った時にも。訓練の時より動きが早かった、けどあの時ほど早くはない。)

 

ベル「ふぅ…、アイズさん!どうでしたか?」

 

アイズ「うん、すごく良かった。集中していたせいか訓練の時より凄くいい動きをしていたよ。けど一体の敵にあんなに集中していたら、数が増えてくる時に反応できなくなるから、今度はそこを意識していこうか」

 

ベル「はい!!」

 

 

 

そこからベルはモンスターを倒していった。ロキの命令で初日は5時間と決められていたので、昼過ぎにダンジョンを出る。

そして魔石を換金してフォミリアに戻り、アイズは一人でベルの報告をロキにしにきた。

 

 

 

ロキ「お疲れさん!初めてのダンジョンはどうやった?訓練と本番の戦闘はちゃうからな。大体10体倒れせば多い方やけど何体くらい倒せたんや?」

 

アイズ「40体以上」

 

ロキ「…念のために聞いとくけど、アイズたんが手を貸した数も合わせてか?それとも…」

 

アイズ「ベルが一人で倒したモンスターの数。それに私は一度も手を貸していない」

 

ロキ「やっぱり普通の結果にはならんかったか。分かってはいたけど、ホンマにこうなってしまうと驚かずにはいられんな」

 

アイズ「私も分かってはいたけど驚いた。それに予想外の事も起こった」

 

ロキ「予想外の事?これはまた面白そうやな。それで、何があったんや?」

 

アイズ「詳しくは分からない、けどもしかしたらステイタスを一時的に向上させるスキルがあの3つの中にあるかもしれない」

 

ロキ「何やて?それはホンマか?」

 

アイズ「うん。その時ベルの背中が光ってた」

 

ロキ「それってもしかして、ガレスと戦った時と同じか?」

 

アイズ「そうだと思う、けどガレスの時よりは遅かった。何か条件があるのか、それは分からないけどスキルである事は間違い無いと思う」

 

ロキ「そっか、それなら今度の更新で何かしらに変化があるかもしれへんな」

 

アイズ「うん…」

 

ロキ「何やアイズたん、不安そうな顔して」

 

アイズ「少し気になる事があって」

 

ロキ「何や知らんけど、言える事なら今のうちに言っときや。一人で抱えきれない事もあるやろうからな」

 

アイズ「うん。実はベルが笑ってたの」

 

ロキ「笑ってた?それって普通のことじゃ…」

 

アイズ「違うの。モンスターを倒している時に、楽しそうに笑ってた。ベルがベルじゃ無い様に見えて、それを見たら何だか怖くなった」

 

ロキ「あのベルたんがか…、それは確かに気になるな。けど分からない事を考えても仕方ない。今は見守る、それだけや」

 

アイズ「分かった」

 

 

 

 

ロキはアイズのベルを心配そうに思う顔を見て少し嬉しくなった。あれ程強さに執着していたアイズが他人を思いやってる。

 

 

 

 

ロキ「アイズたんも変わったな」

 

アイズ「そう??」

 

ロキ「ああ、ベルたんが来てからやな。柔らかくなったっちゅうか、安心できる様になったわ」

 

アイズ「なんかごめん…、反省してる」

 

ロキ「まぁ今のアイズたんやったら何も心配いらんやろ。今度はアイズたんがベルたんの事を守るんやで?」

 

アイズ「任せて」

 

 

 

アイズはベルの事をどこか特別視している。それは周りの皆も同じだ。。ベルがロキファミリアに入団してから団員の、特にフィンやガレス、リヴェリアなどレベルの高いものが大きな影響を受けてる。その中で一番影響を受けいてるのはアイズだ。ベルを連れてきた張本人でもあるアイズだった。

ロキにベルの事を改めて任された後、アイズはベルの部屋を訪れた。別に用があったわけでもない。ただベルの顔を見たかっただけだった。

 

 

コンコン

 

 

 

ベル「はぁーい、誰ですかー…ってアイズさん!?ど、どうしたんですか!?」

 

アイズ「いきなりごめんね?ベルの事が心配で。今日初めてのダンジョンだったし、どこか怪我とかして無いかなって」

 

ベル「ありがとうございます。でも大丈夫ですよ。怪我もアイズさんんからもらったポーションで回復しましたし」

 

アイズ「それは良かった」

 

ベル「はい」

 

アイズ「……」

 

ベル「……」

 

アイズ「……」

 

ベル「…??」

 

 

 

アイズがベルの部屋の前から動かない。ベルはアイズの意図が分からずにいた。

 

 

 

ベル「あの、良かったらお茶飲んで行きますか?」

 

アイズ「ありがとう、それじゃお邪魔するね」

 

 

 

どうやらベルの選択は間違いではなかったみたいだ。

ベルはアイズにお茶とお茶菓子を出した。何を話すわけでもなく、ただただ黙って菓子を食べていく。

ベルはアイズが何をしたいのか全く分からないでいた。

 

 

 

 

ベル「あの、アイズさんは何をしにきたんですか?さっき言ってた事も何か建前の様に聞こえて…違ってたらすみません」

 

アイズ「ううん、違わないよ。本当はベルに会いたかったの。何でかは分からないけど、最近ベルと一緒にいると何故か安心できて、心が落ちつて和やかになるの。その、迷惑だったらごめん」

 

ベル「迷惑だなんて、そんな事ないですよ!僕もアイズさんと一緒にいたいですし、仲良くなれたらなって思ってます」

 

アイズ「そっか。良かった」

 

 

 

ベルとアイズ、二人はどこか似ている様で似ていない。二人は互いに特別なものを感じていた。

アイズはベルを初めて見つけたあの日に、ベルはガレスに負け目覚めたあの日に。

そんな二人の眷属の物語(ファミリア・ミィス)が徐々に加速していくのを傍観者達()は感じていた。

 

 

 

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