【完結】迅雷の軌跡   作:カオスカラミティ

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実習1日目・終了

ミリアム「ところでさ、前から聞きたい事があったんだけど…」

 

レイ「何だ?」

 

ミリアム「レイってさ、何で〈鉄血の子供たち(アイアン・ブリード)〉に入ってないの?僕やクレア、レクターより凄く強いんだからオジサンにスカウトされててもおかしくないと思うんだよね」

 

レイ「一応、仮という形で〈鉄血の子供たち(アイアン・ブリード)〉には入っている」

 

ミリアム「そうなの!?」

 

レイ「姉さんが俺を宰相に紹介した時、俺の能力に気づいてな。『クレアと同じ〈鉄血の子供たち(アイアン・ブリード)〉に入らないか?』って言われたが俺は『ありがたい話だがすぐには決断出来ない』と言った。すると宰相は『では仮という形で入ればいい』だとよ」

 

ミリアム「オジサンらしいね。良い人材を見つけたら絶対逃さないんだから」

 

レイ「だが仮でも〈鉄血の子供たち(アイアン・ブリード)〉に入れたのはありがたいな。鉄道憲兵隊には無い資料を見れるし…」

 

ミリアム「クレアといつも一緒にいれるしね~にしし」

 

レイ「俺はシスコンじゃねぇ。ふざけた事ばかり言ってるとアガートラムぶっ壊すぞ(怒)」

 

その言葉にミリアムは器用にアガートラムの手の上で土下座する

 

レイ「まったく……っと目的地に到着したぞ」

 

2人が到着した場所は共和国軍の基地近くの崖だった

 

ミリアム「相変わらず物々しいねぇ~」

 

レイ「仕方ないだろう。すぐ傍のノルド高原には帝国正規軍でも5本の指に入るゼクス中将率いる第三機甲師団がいるんだ」

 

ミリアム「だよね~。でも、あいつらの気配は無いね」

 

レイ「まだ作戦が開始されてないという事なのかもな。仕方ない、ここは後にして先にノルド高原の方に行こう」

 

ミリアム「ラジャー!」

 

そしてミリアムはアガートラムに乗り、レイは雷の翼を形成してノルド高原へと向かった

 

 

-ノルド高原にて

レイ「どうやらこちらでもまだ作戦が開始されてないみたいだな」

 

ミリアム「えぇ~…。それじゃどうすんのさ~」

 

レイ「そうだな~…」

 

これからどうするかレイが思案しているとミリアムが何か見つけた

 

ミリアム「ん~…あれって…シカンガクインの人達だ!何でこんな所にいるんだろ?」

 

レイ「前に手紙に書いただろ?俺が所属している〈Ⅶ組〉は〈特別実習〉っていう帝国各地を舞台にした活動をしているって」

 

ミリアム「なるほど~!なんだか面白くなりそう!」

 

レイ「それじゃミリアム、俺は一度彼らと合流しなければならないから後は頼んだぞ?」

 

ミリアム「了~解!」

 

そう言ってミリアムはアガートラムの腕に座り、空を飛んでいき…

 

レイ「さてと…」

 

レイは近くの木に繋いでおいた馬に乗り、集落へと向かった

 

 

-ノルドの集落にて

 

レイが帰ってきたと同時に夕餉の支度が整い、帝国時報のノートンとラインフォルトの前会長グエン・ラインフォルトと共にいただく事にした

 

ノートン「いや~何というか驚いたね。あのグエン・ラインフォルトがこんな場所で暮らしてたなんて」

 

ユーシス「ラインフォルトと言えば昔は火薬を使った武器工房というイメージだったが…いつの間にか鉄道や導力兵器を大々的に手がけていた印象だな」

 

ノートン「ああ。実際ラインフォルトは帝国だけじゃなく大陸諸国でも手広く販路を拡大しているし…その意味では帝国では珍しい「国際人」とも言えるかもしれないね」

 

ガイウス「なるほど…物知りだとは思ったがそこまでの人物だったとは…」

 

ノートン「しかしその彼がどうして会長を辞めたのかは謎なんだよな。一説には病気と言われていたけど全然元気そうだし…(汗)こりゃああの噂の方が正しかったのかもしれないな」

 

リィン「あの噂?」

 

ノートン「おっと何でもない。ゴシップみたいなものだよ。それより噂に名高い鉄道憲兵隊大尉、〈迅雷(サンダー・クラップ)〉のレイことレイ・リーヴェルト君に会えるとはラッキーだよ。後でインタビューさせてくれ」

 

レイ「本来なら姉さんの許可を得なければならないのですが、まぁ良いでしょう」

 

そしてノートンがレイへのインタビューを開始した直後、アリサが出て行った

 

レイ(どうしたんだ?まぁ、リィンに任せれば良いか)

 

ノートン「レイ君?」

 

レイ「ああ、すいません。続けてください」

 

ノートン「それじゃ次の質問だけど、レイ君には彼女さんはいるのかい?」

 

レイ「ふぇっ!?///」

 

ノートン「おっ、今の驚き方を見るといるみたいだねぇ」

 

レイ「えっ…ええ、名前は明かせませんがいますよ///」

 

その後、残りの質問に答えてしてノートンの独占インタビューは終了し、レイはリィンとアリサがどうなったか確認する為にユーシス達と共に外に出るとなにやら良い雰囲気になっていたのでしばらく見守っていたがアリサがリィンの言った『こんな風に皆と』という言葉に違和感を覚えてこちらを振り向き、ようやくレイ達に気づいた

 

アリサ「あ…あ…あなたたち!!?」

 

エマ「あはは…。なかなか帰ってこないので様子を見に来たんですけど……」

 

アリサ「いったいいつからいたの!?」

 

するとユーシスが一呼吸置いて…

 

ユーシス「『--でもそう言う風に言えるっていう事は……多分前に進めるきっかけが掴めたっていう事でしょう?』」

 

アリサ「いやぁぁぁぁ、やめてぇぇぇぇ!!!」

 

先ほどのアリサの言葉をそのまま復唱し、それを聞いたアリサは真っ赤になる

 

エマ「フフッ、思わずジンときちゃいました」

 

ガイウス「ああ…悪いと思ったが良い場面に立ち会わせてもらった」

 

レイ「まるで恋人同士みたいだったぞ」

 

アリサ「あれは…!リィンの恥ずかしい台詞をそのまんま返したでけで…っ!ああもう!何で私が一番恥ずかしい人になってるの!?ええい、こうなったらあなた達も加わりなさいっ!恥ずかしい青春トークを一緒にぶちまけてもらうわよ!」

 

エマ「ええっ!?」

 

ユーシス「フン、お断りだ」

 

アリサが騒いでいるとガイウスがリィンの傍に来て一言

 

ガイウス「お疲れだったな」

 

リィン「いや、こちらの方が力付けてもらったくらいさ。--なぁガイウス本当に…良い所だな」

 

そう言って空を見上げるリィンの目にはノルド高原の満天の星空が広がっている

 

ガイウス「ああ…そうだろう?」

 

その時、レイとアリサの言い合う声が聞こえた。どうやらアリサがレイを青春トークの標的にしたようだ

 

レイ「断固拒否する」

 

アリサ「何でよ?私達より3つ年上なんだから青春トークの1つや2つあるでしょう!」

 

レイ「確かにお前の好きそうな話はあるが絶対に話さん」

 

アリサ「ぬぐぐぐぐ…」

 

するとリィンが2人の間に入ってきた

 

リィン「ならレイ、実技テストの時に何で悲しそうな顔をしていたか話してくれないか?」

 

レイ「お前、気づいていたのか。……話してやっても良いが、なかなか重い過去だぞ?」

 

リィン「かまわない。話してくれ」

 

レイ「分かった。でも遅い時間だからかなりはしょって話すぞ」

 

そしてレイの昔の話が始まった

 

 

レイ「2年前に鉄道憲兵隊に入るまで俺は各地を渡り歩いていた」

 

エマ「旅をしていたんですか?」

 

レイ「いや、強い奴との戦いを求めていたんだ」

 

アリサ「どういう事?」

 

レイ「俺が14の時、故郷の村が猟兵に襲われて壊滅した。あの時、俺に力があればと自分自身を恨んだ」

 

ユーシス「その為に各地を渡り歩いていたのか?」

 

レイ「ああ。各地を渡り歩き始めてから1年後、ある武器を手に入れた」

 

リィン「ある武器っていうのは鉤爪の事か?」

 

レイ「違う、だがいつか話すと約束する。とにかくその武器を手に入れてからは人間では俺の相手にならなくなった。だから俺は戦う相手を魔獣に変えた」

 

エマ(その過程で雷の幻獣を倒したんですね)

 

レイ「しかし、いつしか俺は魔獣だろうが人間だろうが関係なく襲い始めた。そして俺は人々から〈狂戦士(バーサーカー)〉と呼ばれるようになった」

 

ガイウス「〈狂戦士(バーサーカー)〉……。恐ろしい呼び名だな」

 

レイ「そして2年前、俺はレグラムに恐ろしい魔獣が出るという噂を聞きつけて向かったがその魔獣は噂ほどではなかった。俺は強い奴と戦えないストレスがたまり、レグラムの町を襲ってやろうと思った時だった。彼女が現れた」

 

 

クレア『あなたですね?最近、巷を騒がせている〈狂戦士(バーサーカー)〉というのは』

 

レイ『あん?だったら何だ?』

 

レイが振り返るとそこには鉄道憲兵隊で〈氷の乙女〉と呼ばれているクレア・リーヴェルトと部下が数人いた

 

クレア『身柄を拘束させていただきます』

 

レイ『ハッ!やれるもんならやってみな!』

 

そう言ってレイは魔槍と魔剣を取り出して構え、クレアも導力銃クルセイダーを構える

 

 

レイ「そして姉さんに挑んだが、俺はあっさりと負けてしまった」

 

アリサ「〈狂戦士(バーサーカー)〉って呼ばれる貴方を簡単に倒すなんて…」

 

レイ「その後、俺は姉さんの義弟になって今に至るって訳だ。かなりはしょったがこれで良いか?」

 

リィン「ああ、ありがとう。と言うことはあの時悲しそうな顔をした理由は…」

 

レイ「〈狂戦士(バーサーカー)〉時代に何人も傷つけてきたからな。だから俺はやり返されても文句は言えないって事だ。それじゃもう寝るぞ。明日の任務に支障を来したくはないからな」

 

それだけ言うとレイはベッドに潜り込み、目を閉じて3秒で寝息を立て始めた。それを見たリィン達もベッドに入り、眠り始めた

 

まさかその間に監視塔が攻撃されたとも知らずに…




レイの過去話は幕間で詳しく書こうと思います

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