【完結】迅雷の軌跡   作:カオスカラミティ

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初めて妹との屋上イベントを見た時、リィンは人の気持ちを分かってないな~と思いました


エリゼ・士官学院へ

その後、レイは憲兵隊詰所に戻って夏至祭初日の日程を確認し、なんとか調整出来そうなので夜にミルディーヌに連絡する事にした

 

ドミニク「あっ、レイ大尉戻ってたんですね」

 

レイ「ああ。もうすぐ夏至祭だからな」

 

ドミニク「そうですね。ちなみに大尉のご予定は?」

 

レイ「ある奴に園遊会に誘われた。何とか調整出来そうだから夜にも連絡するつもりだ」

 

ドミニク「へぇ~、大尉も隅に置けませんね~」

 

そう言ってドミニクはニヤニヤしながらレイを見る。それを見たレイは一言

 

レイ「ドミニク、あんまりからかうなら夏至祭の間はずっと任務につかせるぞ(怒)」

 

ドミニク「そ、それだけは勘弁して下さい!私、一年の中で夏至祭が一番の楽しみなんですから!」

 

レイ「冗談だ。だが今度からかうような事を言ったら…」

 

ドミニク「い…言ったら?」

 

レイ「地獄の特訓を3日連続で受けさせる」

 

それを聞いたドミニクは顔が蒼白になり、ガタガタと震え始めもう恋愛関係でからかわないと誓った

 

レイ「ところで俺に何か用があったんじゃないのか?」

 

ドミニク「そっ、そうでした。実は大至急目を通してほしい書類がありまして…」

 

レイ「分かった。俺のデスクに置いといてくれ」

 

そしてレイのデスクに書類を置いたドミニクは去っていった

 

レイ(かなりの量だな。終わるのは夕方くらいになるな)

 

 

-数時間後

 

レイ「ん~、ようやく終わったか。やはり夕方までかかったな」

 

書類仕事を終えたレイがトリスタに帰る為に導力バイクに乗り道を走っていると、見知った顔を見つけてバイクを停車させて駆け寄る

 

レイ「お久しぶりですねエリゼ嬢」

 

エリゼ「あっ、レイ大尉。お久しぶりです」

 

レイ「駅に入ろうとしていたようですが、どこかに出かけるのですか?」

 

エリゼ「トリスタの方に。もちろん女学院の許可は貰ってます」

 

レイ「そうですか。しかしトリスタ方面の列車は行ったばかりですよ?」

 

エリゼ「そうなのですか!?どうしましょう…今日中にトリスタに行きたいのに…」

 

レイ「よろしかったらお送りしましょう。こちらへどうぞ」

 

そう言ってレイはエリゼを停車させている導力バイクの所へ連れてきた

 

エリゼ「これは?」

 

レイ「導力バイク。まぁ、導力車の二輪版みたいな物ですかね。ちゃんと2人乗りも出来ますのでどうぞ。ああ、乗った後はちゃんと自分の腰に手を回して下さいね」

 

エリゼ「えっ!?///」

 

レイ「導力バイクはかなりのスピードが出るので振り落とされないように…」

 

エリゼ「あ…なるほど///それでは失礼します」

 

エリゼがレイの腰に手を回すとレイは導力バイクのエンジンを始動し、トリスタへ走り始めた

 

 

-15分後・トールズ士官学院正門前

レイ「トリスタに到着しましたよ。申し訳ありませんが自分はこの後、学院長に用事があるのでリィンの元には…」

 

エリゼ「いえ、ここまで大丈夫です。ありがとうございました」

 

エリゼが1人で行こうとパトリックがこちらに近づいてくるのが見えたので、レイは声をかける

 

レイ「パトリック、丁度良いところに来た。ちょっと頼みがあるんだが…」

 

パトリック「貴方が頼み事とは珍しいですね?」

 

(Ⅰ組対Ⅶ組の模擬戦以降、パトリックはレイに対して敬語を使うようになりました)

 

レイ「そうか?まぁ、とにかくこの人をリィンの元に連れて行ってくれ」

 

エリゼ「リィンの妹のエリゼ・シュバルツァーと申します」

 

視線の先にいるエリゼを見てパトリックは顔が赤くなるが、すぐに元のキリッとした顔に戻る

 

レイ「それじゃ頼んだぞ」

 

パトリック「ま…任せて下さい」

 

エリゼをパトリックに任せたレイは校舎に入り、学院長室へと向かう

 

レイ「失礼します」

 

ヴァンダイク「おお、レイ君か。いったいどうしたんじゃ?」

 

レイ「もうすぐ夏至祭ですので部下達の指揮を取らねばなりません。なので明日からは鉄道憲兵隊に戻ろうと思いまして」

 

ヴァンダイク「うむ、分かった。サラ君や他の教官には私の方から話しておこう」

 

レイ「ありがとうございます。それでは失礼します」

 

学院長に伝えるべき事を伝えたレイは部屋を出て、そして校舎を出て寮に帰ろうとした時、扉が開く音が聞こえてそちらを振り返るとエリゼが校舎から出てくるところだった

 

レイ(エリゼ嬢?)

 

なんとなく何かあったと感じたレイは小走りでエリゼの後を追いかける。そして旧校舎の前まで来るとパトリックが何かを探してウロウロしていた

 

レイ「何をしているんだパトリック?」

 

パトリック「っ!?ああ、貴方か。いや、エリゼさんに最後に挨拶をと思いまして…」

 

レイ「彼女はこちらに来たのか?」

 

パトリック「はい、それは間違いなく」

 

レイ(となると…)

 

その時、リィンとクロウが慌てた様子で旧校舎へ走ってきた

 

リィン「レイ!パトリック!エリゼを見なかったか?」

 

パトリック「リィン・シュバルツァー!」

 

レイ「俺は校舎から出てくるエリゼ嬢を見かけた。そしてパトリックは旧校舎へと向かう彼女を見たんだよな?」

 

パトリック「はい、そうです」

 

クロウ「なら旧校舎の中にいるんじゃねぇのか?」

 

リィン「でも扉はさっき施錠したばかりですよ」

 

そう言ってリィンは旧校舎の扉のノブに手をかけるとガチャリと扉が開いた

 

パトリック「なんだ、開いてるじゃないか」

 

リィン(どういう事だ?)

 

レイ「とにかく奥へ行こう」

 

そして4人は奥の部屋にある昇降機に乗り、降りていく。だが第4層に到着した瞬間に4人が見た物は巨大な甲冑とその傍で倒れているエリゼだった

 

リィン「っ!!エリゼェェェェッ!!!」

 

甲冑が大剣を持ち上げた瞬間、リィンは昇降機から飛び降りてエリゼを守るように甲冑の前に立つ

 

クロウ「なっ!?」

パトリック「ひっ、1人では危険だ!!」

レイ「あのバカ!!」

 

3人は昇降機が止まってから急いでリィンに駆け寄るが、何か様子がおかしかった。リィンが胸をギュッと握ると体全体から物凄いオーラが立ち上ぼり、髪は白くなり、目は赤くなっていた

 

パトリック「ひっ…」

 

クロウ「髪が……それに紅い瞳…?こいつはいったい……!」

 

レイ「なるほど、まさかリィンも持っていたとはな」

 

クロウ「お前、何か知ってんのか?」

 

レイ「詳しい事は知らん。だが俺と同じ人外の力を解放したようだ」

 

パトリック「同じって……まさか…」

 

するとレイはフッと笑い、腕を胸でクロスして…

 

レイ「ハアァァァァァァッ!!!」

 

自身の体に宿っている2つの力の内1つを解放する。すると髪は変化していないが、目はリィンと同じように紅くなり、体の周囲にはバチバチッと稲妻が走っている

 

レイが力を解放したのと同時にリィンは「これ以上、呑み込まれてたまるか」と呟きながら力を無理矢理抑え込んだ

 

レイ「(力を拒否して無理矢理抑え込んだか)パトリック、お前はエリゼ嬢を安全な場所に避難させてくれ」

 

パトリック「わっ…わかりました!」

 

レイ「クロウは俺と一緒にあいつに加勢する」

 

クロウ「よっしゃ、任せとけ!」

 

レイ「加勢するぞリィン!」

クロウ「3人がかりならいけるはずだ!」

 

リィン「っ!?レイ、その姿は…」

 

レイ「今は目の前の敵に集中しろ!」

 

そしてクロウが二丁拳銃の銃撃で敵をひきつけ、その隙にリィンが〈弐の型・疾風〉を、レイが雷を纏った〈カイザーリッパー〉で巨大な甲冑を倒した

 

クロウ「…ったく、こういう修羅場は半年前に卒業してるっつーのに…」

 

リィン「はは、助かりました…。それにしても先輩もARCUSが使えたんですね」

 

クロウ「おう、お前らⅦ組の為の試験導入に参加してな。トワやゼリカ達とはその時からの付き合いってわけだ」

 

レイ「いい加減でギャンブル好きで気まぐれなお調子者のお前が試験導入に参加?そんなマジメな奴だったか、お前?」

 

クロウ「うるせぇよ!!」

 

その後、サラやⅦ組のメンバーが第4層に到着しサラにここであった出来事を報告すると今後は入らない方がいいかもと言われた。しかしⅦ組のメンバーは矢継ぎ早に反対意見を出し、サラは旧校舎探索の続行を認めた

 

そして全員が昇降機で地上に戻ろうとした時、エマがある一点を睨んでいるのでレイもそちらを見るとセリーヌがいた

 

レイ(なるほど、今回の騒動の原因はセリーヌか。まぁ、あの様子だとエマと知り合いみたいだし、後でこっぴどく怒られるだろうから俺が怒る必要はないな)

 

―夜・第3学生寮にて

 

レイ「さて、明日の準備は完了したし、後はミルディーヌに連絡するだけだな」

 

ARCUSを取り出し、ミルディーヌに通信を入れる

 

ミル『はい、ミルディーヌです』

 

レイ「ミルディーヌか?レイだ」

 

ミル『まぁ、レイ兄様ですか!?こんな遅くに通信してくるなんて、もしかして夜の帝都に繰り出していけない場所に…』

 

レイ「違うからな(汗)夏至祭初日の園遊会についてだ」

 

ミル『もちろん分かってますわ。それでどうなのでしょうか?』

 

レイ「(相変わらずだな(汗))ああ、何とか時間が作れそうだから園遊会に出席出来る」

 

ミル『本当ですか?フフッ、それじゃ園遊会楽しみにしてますわ。おやすみなさいレイ兄様』

 

レイ「おやすみミルディーヌ」


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