【完結】迅雷の軌跡   作:カオスカラミティ

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怪盗の挑戦状

その後、レーグニッツ帝都知事は〈Ⅶ組〉に特別実習の課題を渡して帝都庁へと帰り、リーヴェルト姉弟は憲兵隊の詰所に帰還した

 

レイ「さて、この後は…」

 

ドミニク「レイ大尉!!」

 

―ガンッ!!

 

ドミニク「あっ、クレア大尉お疲れ様です!!あのレイ大尉はどちらにいますか?」

 

クレア「貴女の下…(汗)」

 

ドミニク「へっ?」

 

そう言われて恐る恐る足下を見ると頭を押さえたレイがうつ伏せに倒れていた(しかもドミニクが背中を踏んだ状態で)

 

レイ「ド~ミ~ニ~ク~(怒)」

 

ドミニク「キャアァァァァッ!!!ごめんなさいレイ大尉!!!」

 

レイ「お前なぁ、いきなり扉を開ける奴があるか!!俺もずっと扉にいたのは悪かったが、それでもノック位しろ!!」

 

ドミニク「すいません!!すいません!!急いでいたもので!!」

 

クレア「それでレイに何の用なのですか?」

 

ドミニク「あっ、はい。実はこのような物がレイ大尉宛に届きまして。」

 

ドミニクが差し出したのは一枚の封筒だった

 

ドミニク「最初はレイ大尉のファンの人からかと思ったんですが…」

 

クレア「違ったのですか?」

 

レイ「どうやらあの変態もとい〈怪盗紳士〉からの挑戦状だな」

 

封筒の裏をクレアとドミニクに見せるとそこには確かに怪盗Bと書かれていた

 

クレア「内容は?」

 

レイ「え~っと、『やあ、〈迅雷〉。バリアハート以来だね。今回、〈Ⅶ組〉A班の面々にとあるゲームに挑んでもらっている。なので君にもそのゲームに参加してほしい。断れば、君の大切な宝物がどうなるか分からないぞ』だってさ」

 

クレア「ドミニク少尉、何か盗まれたという報告はあがってますか?」

 

ドミニク「いえ、そのような報告は来てませんが…」

 

レイ「リィンに聞いたほうが早いな」

 

レイはARCUSを取り出し、A班のリーダーであるリィンに連絡する

 

レイ「リィンか?ちょっと聞きたい事があるんだが、お前達の方で怪盗B関係で何か起こってないか?」

 

リィン『なっ、何で分かったんだ!?実は…』

 

レイ「なるほどな。俺の方にも怪盗Bからの手紙が来てな。お前達のやっている事に参加しろと言ってきた」

 

リィン『それじゃ、ドライケルス広場に来てくれ。すでに1つ目の謎は解いてそこにいるから』

 

レイ「分かった」

 

通信が終わったレイはクレアとドミニクにリィンから聞いた事を話す

 

クレア「なるほど、わかりました。ではレイはこのままリィンさん達に合流して下さい」

 

ドミニク「本来なら鉄道憲兵隊が出動しなければならない事案ですが、相手が我々の介入を禁じているなら仕方ありませんね」

 

レイ「それじゃ行ってくる。もし、怪盗紳士関係で新しい情報が入ったらすぐに連絡してくれ」

 

ドミニク「了解しました!」

 

そして士官学院の制服に着替えたレイは〈Ⅶ組〉A班の待つドライケルス広場へと向かう

 

 

―ドライケルス広場

レイ「待たせたな」

 

リィン「いや、大丈夫だ」

 

レイ「それで?通信では第2の謎を見つけたという話だが?」

 

ラウラ「ああ。これなんだが…」

 

ラウラから渡された紙には『第2の鍵は光透ける箱庭の中、北東の座に』と書かれていた

 

レイ「ずいぶん分かりやすいな」

 

フィー「分かるの?」

 

レイ「帝都に住んでる者なら分かる。最初の光透ける箱庭はマーテル公園だな」

 

ラウラ「何故その公園だと?」

 

レイ「行けば分かる。さぁ、俺が乗ってきた憲兵隊の車両に乗れ。導力トラムを待つより早い」

 

そして憲兵隊車両に乗って部下にマーテル公園に向かうように指示する。

 

数分後、マーテル公園に到着するとレイはある所を指差す

 

レイ「あれが怪盗Bの第2の鍵の答え、クリスタルガーデンだ」

 

ラウラ「なるほど、確かに光透ける箱庭だな」

 

中に入ると、クリスタルガーデン内の北東に位置する椅子に新たな怪盗Bのカードが張りつけてあった。その後もいくつかの謎を解いていって遂に…

 

レイ「最後の鍵は『歌姫を迎える絢爛な客亭、深紅の宝は黒き匣に包まれてその門に眠る』だったな。ならここしかないな」

 

レイ達が立っているのは帝都では知らない者はいない老舗ホテルだった

 

レイ「行くぞ」

 

そう言ってレイはホテルに入っていき、リィン達も後に続く。そしてホテルの支配人に事情を話す

 

支配人「黒い匣ですか?そのような物があると伺ってはいませんが…」

 

マキアス「うーむ、ホテルには来たが…」

 

エリオット「歌姫っていうのが引っかかるよね?」

 

?「あら?支配人、その子達は?」

 

女性の声が聞こえ、振り返ると蒼を基調にした美しいドレスを着た女性が階段を降りてきた。それを見たマキアスとエリオットは…

 

2人「あっ…ああああっ!!!」

 

マキアス「ヴィ…」

エリオット「ヴィ…」

 

2人「ヴィータ・クロチルダ!!!」

 

エリオット「す…凄い。本物だ…!!」

マキアス「ま…まさか、会える日が来るとは…!!」

 

リィン「えっと、その人は?」

 

レイ「ヴィータ・クロチルダ。有名なオペラ歌手で蒼の〈歌姫〉と言われている人物さ」

 

しかしリィンとラウラとフィーはレイの説明を聞いても理解していなかった

 

エリオット「…って知らないの!?」

 

ヴィータ「ヴィータ・クロチルダ。オペラ歌手をやっているわ。良かったらご贔屓にね。有名って言ってもオペラの世界だけだもの。知らなくたって無理ないわよね」

 

リィン「ど、どうも…」

フィー「綺麗な人かも…」

 

ヴィータ「どこかの学生さん?もしかして私のサイン目当てでわざわざ来てくれたのかしら?」

 

エリオット「はいっ、それはもうっ!!」

マキアス「それ以外に用事などあるわけがありません!!」

 

リィン&レイ(いやいや、違うだろ!?)

 

リィン「俺達はトリスタにあるトールズ士官学院の者です。今日は実習でこちらに来ていまして」

 

ヴィータ「今の学校では面白い事をやってるのね。ところでそちらの貴方、どこかで見た事があるわね?」

 

レイ「ああ、この制服では分かりませんよね。鉄道憲兵隊所属レイ・リーヴェルト大尉です」

 

ヴィータ「やっぱり。式典などでよく見かけるわ」

 

レイ「ありがとうございます。それより劇場に向かわなくてもよろしいので?」

 

ヴィータ「あら、いけない。時間が押してるんだったわ。それじゃ実習頑張ってね」

 

そしてヴィータはリィン達に手を振って劇場に向かった

 

エリオット「はぁぁ~、雑誌で見るよりも何倍も綺麗だったね~」

 

マキアス「うむ、さすがに本物は違うな」

 

2人「……。ああ!結局サインもらい損ねた!!」

 

―ゴスッ!!

 

レイ「まだ言うか。今は実習に集中しろ」

 

2人「はい…」

 

レイに殴られた頭を押さえながら頷く2人。すると支配人が何かを持ってリィン達に近づいてくる

 

支配人「お客様、先ほどおっしゃっていた箱というのはこちらでは?ロビーに置かれていたそうなのですが…」

 

そしてリィンが黒い匣を受け取って開けると中には盗まれた〈紅蓮の子冠〉が入っていた

 

ラウラ「これが〈紅蓮の子冠〉…。まるで燃えるような輝きだな」

 

フィー「これ、一億ミラって言ってたよね?」

 

リィン「ああ、早く宝飾店に届けよう」

 

レイ「わざわざありがとうございます」

 

支配人「いえいえ、探し物が見つかって何よりです」

 

レイ「ですが、そろそろ正体を現したらどうですか?」

 

支配人「なっ、何をおっしゃっているんですか?」

 

レイ「他の者ならともかく、俺を騙せると思ったか?」

 

レイの殺気を含んだ言葉を受けた支配人は「フフフ」と軽く笑うとホテルから逃げ出す

 

リィン「あっ、待て!」

 

偽支配人を追いかけてリィン達は裏路地のような所に来た

 

ブルブラン「フッ、これだから…これだから、青い果実はたまらない」

 

声がした方を見ると貴族風のマントを羽織って仮面を着けた男がいた

 

ラウラ「さっきの男爵!」

マキアス「か…怪盗Bの仮面じゃないか!」

 

ブルブラン「改めて、〈怪盗B〉こと〈怪盗ブルブラン〉という。ブルブラン男爵は仮初の姿に過ぎない。しかし〈迅雷〉、なぜ私が支配人に変装していると分かった?」

 

レイ「お前と1度戦っている俺をメンバーに加えるとは、お前らしくないミスだったな。俺は1度でも接触した人間の気配は覚えてるんだ」

 

ブルブラン「ほう?それは迂闊だったな」

 

レイ「さて、お前はここで拘束させてもらうぞ」

 

レイの言葉にリィン、ラウラ、フィーの3人が武器を構えるが…

 

ブルブラン「フフ、威勢の良い事だ」

 

そう言ってマントを翻すと一瞬で姿が消え、側の建物の屋上にいた

 

ブルブラン「此度は存分に楽しませてもらった。諸君らの活躍、これからも期待している。次なる邂逅を楽しみにしていてくれたまえ」

 

レイ「次なる邂逅などない」

 

ブルブラン「っ!?」

 

レイ「シャアッ!」

 

いつの間にかブルブランの横にいて〈サンダードラコ〉の力を纏ったレイが鉤爪を振るうが、ブルブランはそれを間一髪で避けて転位術でその場から消えた

 

レイ「チッ!逃げ足の早い奴だ」

 

鉤爪をしまい、皆の元に戻ってくるとリィン以外の皆が呆けたような顔をしていた

 

レイ「どうした皆?」

 

ラウラ「いや、そなたの力に皆が驚いてしまってな」

 

レイ「ああ、そういえば俺の持つ力の事をキチンと話した事がなかったな。今回の実習が終わったらゆっくり話してやるよ」

 

その後、レイはリィン達を憲兵隊車両に乗せてドライケルス広場で降ろすと自分はそのまま憲兵隊詰所に戻っていった

 

―憲兵隊詰所

レイ「戻ったぞ」

 

ドミニク「レイ大尉、お疲れ様です!」

 

クレア「お疲れ様レイ」

 

レイ「怪盗のせいで肉体的、精神的に疲れたからしばらく休ませてもらうぜ。この後の仕事に支障を出すわけにはいかないからな」

 

クレア「分かったわ。その間のレイの仕事は私がやっておくから」

 

レイ「サンキュー、姉さん」

 

そしてレイは仮眠室に入り、3時間ほど寝る事にした

 

 

―3時間後

レイ「さて、仮眠して疲れは取れたし夜の見回りに行くか」

 

そう言ってレイは憲兵隊車両に乗り、見回りを開始する

 

ー数時間後

 

レイ「ヘイムダル港は異常無しと…。次のマーテル公園で見回りは最後だな。そういえばフィーとラウラはまだあのままか?」

 

実は2人が帝都で同じ班になってから更にギクシャクしているのをレイはあっさりと見破っていた

 

レイ「まっ、今回俺は特別実習の班に入ってないから何も言えないが、早めに解消してほしいな」

 

そしてレイはマーテル公園に到着して公園内を見回っているとクリスタルガーデンの横にある休憩所から若い男の声が聞こえた

 

レイ(この声はまさか…マキアスか?)

 

休憩所に近づくと巡回兵に一生懸命言い訳をしているマキアスとリィン、そして武器を持ったフィーとラウラがいた

 

レイ(あ~、何となく理解したわ。しょうがない、助けてやるか)

 

なぜリィン達がここに居るか分かったレイは更に休憩所に近づく

 

レイ「お前ら、何をしている?」

 

巡回兵1「レ、レイ大尉!?お疲れ様です!!」

 

レイ「お前達もお疲れ様。それで、何やってるんだ?」

 

巡回兵2「はい。付近の住民から公園内で妙な音がするという通報があったので駆けつけたら、彼らが…」

 

巡回兵2が指さす先には「申し訳ない」という感じのリィンとマキアスとあまり「申し訳ない」という感じが出ていないフィーとラウラがいた

 

レイ「ああ、彼らがここで戦うのは俺が許可した」

 

その言葉に巡回兵達はもちろん、リィン達も「えっ?」という顔つきになるがかまわずにレイは続ける

 

レイ「俺がトールズに在学しているのは知っているだろう?彼らは同級生でね。いつも寝る前に軽くやりあうのが日課だからどこか良い場所は知らないかと聞かれてここを推薦したんだが、ミスったな。まさかここまで激しくやるとは…。とにかくこの件は俺が預かるからお前達は帰って良いぞ」

 

巡回兵1「そ…そうですか?それではお言葉に甘えて…」

巡回兵2「失礼します!レイ大尉!」

 

巡回兵達はレイに敬礼してマーテル公園から去っていった

 

マキアス「た…助かった~…」

リィン「ありがとうレイ」

 

レイ「フィーの過去を知る為とはいえ、近くに人家もあるんだから通報されるのは当たり前だろうが」

 

フィー「あれ?私の過去を知る為にラウラと戦ったなんて言ったっけ?」

 

レイ「言ってないが、現時点でお前とラウラが戦う理由なんてそれ位しかないだろう」

 

ラウラ「見事な推理だな。まさにその通りだ」

 

レイ「全く…感心してる場合か?俺が通りかかって巡回兵に嘘言わなきゃ、お前ら2時間はたっぷりと説教されてたぞ?」

 

マキアス「なっ!?」

 

レイ「とにかくお前らの宿泊先まで送ってやるから、今日のレポート書いたらさっさと寝ろ。これ以上の面倒事はゴメンだからな」

 

リィン「すまない…」

 

その後、リィン達は昼間と同じように憲兵隊車両に乗せてもらい、元遊撃士協会の建物まで送ってもらった




予想以上に長くなってしまった…(汗)書きたいものを書くとやはり長くなる…。これからは気をつけます…

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