―バルフレイム宮・第二迎賓口にて
オリヴァルト「いや、君達には本当に世話になってしまった。兄妹共々、士官学院に足を向けて眠れなくなったくらいさ」
リィン「いえ、そんな…」
アルフィン「いいえ、私とエリゼとミルディーヌなどあのまま連れ去られていたらどんな運命が待ち受けていたか…。何度お礼を言っても足りないくらいの気分です」
ミル「私も最初は恐怖で何も出来ませんでしたが、最終的にはレイ兄様に抱いてもらえましたし、結果的に人質になって良かったですわ♥️」
レイ「恥ずかしがってた癖にもう良い思い出の1つになってるのか…(汗)」
ミル「ウフフ、何でしたら皆さんに私達の熱い夜の話を…」
レイ「やめろ!お前の話術だと冗談が本当の事になるから!」
オリヴァルト「あはは…(汗)私とセドリックの方もB班の働きには助けられたよ。…改めて礼を言わせてもらうよ」
エマ「ふふっ…お役に立てて光栄です」
サラ「〈Ⅶ組〉設立のお礼をやっとお返しできたみたいですね。それにしても〈帝国解放戦線〉ですか…」
オリヴァルト「ああ…、ノルド高原での一件さらには帝国各地のいくつかの事件。今回ついにその名前を明らかにした。仮面の男〈C〉をリーダーとする数名の幹部達に率いられた純然たる
レイ「奴等の事は現在、情報局で洗い出しを行っている」
アルフィン「こう言っては何ですが…不思議な人達でしたね」
ミル「ええ。私達を連れ去りながら悪意をあまり見せることはなく…」
エリゼ「それでいて内に秘めた激情に取り憑かれているかのようでした」
フィー「そんな感じはしたかも」
リィン「『静かなる怒りの焔をたたえ度し難き独裁者に鉄槌を下す……』彼らのリーダーの言葉です」
ユーシス「フン…また露骨な言葉だな」
オリヴァルト「『静かなる怒りの焔』に『度し難き独裁者』…まぁ、何を示しているのかは明らかだが…」
?「皆さん!」
その時、オリヴァルト達の後ろからレーグニッツ帝都知事と共に1人の少年が現れた
アリサ「こ…皇太子殿下!?」
セドリック「初めまして皆さん。セドリック・ライゼ・アルノールです。この度は姉の危機を救っていただき、本当にありがとうございました」
ラウラ「勿体無いお言葉」
リィン「ありがとうございます殿下」
フィー「皇太子…想像してたよりも可愛いかも」
マキアス「こ、こらフィー!」
レイ「セドリック殿下もご無事で何よりでした」
セドリック「ああ、レイ大尉!レイ大尉も姉と姉の友人達の為に尽力してくれたと聞きました。本当にありがとうございます!」
そう言ってセドリックはいつぞやのバルフレイム宮内でやったのと同じようにレイの手を取り、ブンブンと音が鳴る位に腕を動かす
レイ「い、いえ鉄道憲兵隊として当たり前の事をしただけで……。というかセドリック殿下、腕が痛いんですが…(汗)」
セドリック「ああっ、すいません!またやってしまいました…」
レイ「いえ、別に嫌というわけでは…」
アルフィン「ふふっ、セドリックはレイ大尉に憧れているから仕方ないわよね。その影響でもっと逞しくなってくれれば私も安心なのですけど…」
セドリック「ちょ、ちょっとアルフィン…」
カール「かなり変則的ではあったが、無事今回の特別実習も終了した。士官学院理事としてまずはお疲れ様と言っておこうか。〈Ⅶ組〉の運用、そして立場の異なる3人の理事。思うところはあるだろうが…君達には君達にしか出来ない学生生活を送って欲しいと思っている。それについては他の2人も同じだろう」
ユーシス「っ!」
マキアス「父さん…」
アリサ「……そう言っていただけると」
カール「その点に関しては殿下もどうかご安心下さい」
オリヴァルト「はは…わかった。元より貴方については私も信頼しているつもりだ。だが…」
?「――どうやらお揃いのようですな」
オリヴァルトが何か言おうとした時、背後から何者かの声が聞こえ、全員がそちらを振り向くとそこにいたのは…
セドリック「オズボーン宰相!」
そう、鉄血宰相と言われている帝国政府代表ギリアス・オズボーンだった
カール「実は先程まで共に陛下への謁見を賜っておりまして」
オズボーン「アルフィン殿下におかれましてはご無事で何よりでした。これも女神の導きでありましょう」
アルフィン「ありがとうございます宰相」
オズボーン「オリヴァルト殿下も――。〈帝国解放戦線〉に関しては既に全土に手配を出しております。背景の洗い出しも進んでおりますのでどうかご安心下さい」
オリヴァルト「…やれやれ手回しのいい事だ。これは来月の〈通商会議〉も安心という事かな?」
その時、オズボーンはオリヴァルト達の後ろにいるⅦ組達に気づく
オズボーン「これは失礼、諸君への挨拶がまだだったな。帝国政府代表ギリアス・オズボーンだ。〈鉄血宰相〉という名前の方が通りが良いだろうがね」
エリオット「あ…」
アリサ「は、初めまして閣下」
マキアス「そ、その…お噂はかねがね」
オズボーン「フフ、私も君達の噂は少しばかり耳にしている。帝国全土を股にかけての特別実習。非常に興味深い。これからも頑張るといいだろう」
フィー「ども」
ラウラ「精進させていただきます」
オズボーン「それと…久しいな遊撃士。転職したそうだが息災そうで何よりだ」
サラ「ええ、おかげさまで。“その節”はほんっとーにお世話になりました」
オズボーン「フフ…。諸君らもどうか健やかに強き絆を育み、鋼の意志と肉体を養ってほしい。――これからの“激動の時代”に備えてな」
エマ「激動の…」
ガイウス「時代…」
その時、エリゼは兄が会話に参加していない事に気づき、そちらを見るとリィンは胸を押さえていた
リィン(何だ…?この感覚は…?)
オズボーン「それとレイ、後で話したいことがあるのだが大丈夫か?何、そんなに時間はかけん」
レイ「はっ、問題ありません。悪いが皆は先に駅に行っててくれ」
リィン「わかった」
―バルフレイム宮・宰相執務室にて
レイ「それで閣下。話とは何でしょうか?」
オズボーン「うむ。来月の〈通商会議〉についてだ。私やオリヴァルト殿下には凄腕の護衛がつくのだが、トールズ士官学院の生徒会長の護衛は君にやってほしいのだ」
レイ「自分が?確かに自分は生徒会長と面識がありますが…」
オズボーン「彼女も知らない者より知っている者の方が安心するだろう。どうだ、受けてくれるか?」
レイ「ちょっと待って下さい」
そう言ってレイは頭の中で〈通商会議〉と〈特別実習〉の日程を考える
レイ(今までの傾向から考えると特別実習の日程は通商会議に被る可能性があるな。まぁ、もしそうなったらサラに進言すれば良いか)
レイ「分かりました。鉄道憲兵隊大尉レイ・リーヴェルト。トールズ士官学院生徒会長トワ・ハーシェルの護衛につきます」
オズボーン「うむ。頼むぞ」
レイ「はっ。それでは失礼します」
そして宰相執務室を出たレイはARCUSを取り出し、今からそちらに向かうとリィンに告げ、駅へと向かった
初めてギリアス・オズボーンを見た時、何か異様な雰囲気を感じました。まさか、かの皇帝の生まれ変わりとは…