【完結】迅雷の軌跡   作:カオスカラミティ

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今回はリィンが戦った後にレイにも戦ってもらいます。そして邪神竜と何を話していたか、この話でわかります


〈光の剣匠〉

その後、トヴァルから実習課題を受け取ったA班は難なくこなし、遊撃士協会に戻ってくると…

 

?「おお、戻って来たか」

 

ラウラと同じ青い髪の男性がいた

 

ラウラ「ち…父上!?」

 

レイ(あれが〈光の剣匠〉…。なるほど物凄いオーラだな)

 

レイ「はじめまして〈光の剣匠〉。帝国正規軍鉄道憲兵隊所属レイ・リーヴェルト大尉です。今はオリヴァルト皇子の策略でトールズ士官学院に通っています」

 

?「ほう、君が噂の〈迅雷〉か。おっと、まだ名乗っていなかったな。私の名はヴィクター・S・アルゼイド。娘が世話になっている」

 

その後、ヴィクターがラウラに抱きつくなど、多少のビックリはあったがA班はトヴァルに課題達成の報告をし、そのままアルゼイド邸へと戻って食事をとる事にした

 

ミリアム「美味しい~!どれも美味しいね~!」

 

エマ「フフ、ミリアムちゃん。ソースが垂れてますよ」

 

皆がレグラムで取れた物で作られた夕食を楽しんでいる中、ユーシスは何故か暗い顔をしていた

 

ヴィクター「どうしたアルバレアのご子息?食が進んでおらぬようだが?」

 

ユーシス「いえ、実家がこちらにご迷惑をかけているので…」

 

ヴィクター「税によるもめ事など毎年の事。そなたが気に病む事ではない」

 

ユーシス「ありがとうございます。そう言っていただけると…」

 

レイ「ところで〈光の剣匠〉殿は…」

 

ヴィクター「ヴィクターで構わんよ」

 

レイ「はい。ヴィクター殿は八葉一刀流を興したユン・カーファイ殿はご存知ですか?」

 

ヴィクター「ああ、勿論知っている。何度か手合わせもしたが、結局決着はつかなかったな」

 

レイ「だとよリィン」

 

リィン「まさか老師と光の剣匠が…」

 

するとヴィクターはリィンを鋭い目で見る

 

ヴィクター「フム、そなたがリィンか。娘からの手紙では知ってはいたが。そなた…何かを畏れるあまり足踏みしているな?」

 

リィン「っ!!」

 

ユーシス(薄々、感じてはいたが…)

ラウラ(リィンの中に眠る“何か”か…)

 

リィン「参りました。そこまで見抜かれるとは夢にも思っていませんでした。――ですがこれで覚悟も決まりました」

 

そう言ってリィンは立ち上がり、あり得ない事を申し出る

 

リィン「子爵閣下――いえ〈光の剣匠〉殿、どうか自分と手合わせしていただけないでしょうか?」

 

レイ以外「っ!?」

 

 

その後、ヴィクターとクラウス、A班はアルゼイドの練武場へと来て、中央にはヴィクターとリィンが立っていた

 

ラウラ「リィン、考え直すがよい!父上も戯れはお止め下さい!」

 

リィン「止めないでくれラウラ」

ヴィクター「私と彼の勝負だ。そなたは下がるがよい」

 

リィンは太刀を構え、ヴィクターはクラウスから〈鉄騎隊〉の副長を務めた祖先が使っていた〈宝剣ガランシャール〉を構えた

 

ユーシス「無茶すぎる…“指南”ならともかく達人相手の“手合わせ”など…」

 

ガイウス「さすがに厳しいか…」

 

ミリアム「どー考えてもリィンの勝てる相手じゃないよね~」

 

ヴィクター「〈アルゼイド流〉筆頭伝承者ヴィクター・S・アルゼイド参る」

 

リィン(この感じ…もしかしたら老師以上か…。でもこの人なら……!)

リィン「〈八葉一刀流〉初伝リィン・シュバルツァー参ります」

 

リィン対ヴィクターの戦いが始まったが相手は〈光の剣匠〉と呼ばれる帝国の中でも3本の指に入る人物。リィンの攻撃はことごとくかわされるか、弾かれてしまい、そしてヴィクターの一撃でリィンは吹き飛ばされる

 

ミリアム「うっわー…。一撃…(汗)」

ラウラ「だから言ったのだ…(汗)」

エマ「み、見えませんでした……(汗)」

 

ガイウス「…リィンが弱いわけじゃない」

ユーシス「相手があまりに強すぎるのか…」

 

しかしヴィクターは剣を納めず、リィンの首もとに当てる

 

ヴィクター「――何をしている?未だ勝負はついていない。疾く立ち上がるがよい」

 

ラウラ「父上!?」

 

ヴィクター「そなたの力――それが限度ではない事は分かっている。この期に及んで“畏れる”ならば強引に引きずり出すまでの事…。さぁ、見せてみるがいい――」

 

そう言ってヴィクターはリィンにトドメをさすかのようにガランシャールを振り下ろすが…

 

ユーシス「き…消えた!?」

レイ「いや、“力”を解放してヴィクター殿の背後に高速で移動したんだ」

 

レイの言う通り、リィンは力を解放して目は赤く、髪は白くなってヴィクターの背後におり、太刀を振り下ろそうとする

 

ヴィクター「――甘い」

 

しかしヴィクターは予期しておりリィンの太刀を弾く。そしてレイ以外の仲間達はリィンの姿に驚く

 

エマ「え…?」

ミリアム「わわっ…!?」

ガイウス「これは…」

ユーシス「リィン…なのか…」

ラウラ「こ、これが…(リィンの恐れていた…!?)」

 

ヴィクター「そうだ。それでいい。“その力”はそなたの奥底に眠るもの…。それを認めぬ限り、そなたは足踏みをするだけだ」

 

そして力を解放したリィンは先ほど以上の力とスピードでヴィクターに挑む

 

ミリアム「わわっ…。ラウラのおとーさん、押されてるんじゃない?」

 

ラウラ「いや……」

 

リィンがヴィクターに太刀を振るうがヴィクターはいとも簡単に避け、リィンの背後に移動し…

 

ヴィクター「…ここまでか。絶技〈洸凰剣〉!!!」

 

リィン「ぐっ……あ……っ」

 

〈アルゼイド流〉の絶技をリィンにくらわし、絶技をまともに受けたリィンはその場に倒れてしまった

 

ラウラ「リィン!!」

 

そして仲間達は倒れたリィンに駆け寄る

 

ラウラ「リィン!!」

エマ「しっかりして下さいリィンさん!!」

 

その時、気絶した為か、白くなっていたリィンの髪が元の色に戻っていく

 

ガイウス「か…髪の色が…」

ユーシス「ああ…戻っていくようだが…」

 

リィン「う…。み…みんな…?」

 

レイ「リィン、大丈夫か?」

 

その時、リィンは皆に“あの姿”を見られた事を思い出し、畏れるが…

 

ユーシス「……阿呆が。お前は……こんなものを抱えていたのか」

 

リィン「え…」

 

ガイウス「ああ…。だがやっと分かった気がするな。リィンが子爵閣下に手合わせを願った理由が」

 

ミリアム「ほんとスッゴい勝負だったよねー!」

 

エマ「リィンさん、痛い所があったら私、お薬持ってきてますからね」

 

リィン「……皆」

 

レイ(今回の事で少しは成長したかな?)

 

するとラウラは父の方を向いて一言

 

ラウラ「父上、やり過ぎです!」

 

リィン「大丈夫だよラウラ…ちゃんと手加減してくれたから」

 

ラウラ「そう…か」

 

リィン「…参りました。〈光の剣匠〉の絶技、しかと確かめさせていただきました」

 

ヴィクター「フフ、どうやら分かったようだな。――力は所詮、力。使いこなせなければ意味はなく、ただ空しいだけのもの。だが――在るものを否定するのもまた“欺瞞”でしかない」

 

リィン「はい…。天然自然――師の教えがようやく胸に落ちた心地です。ですが…これで一層迷ってしまうような気もします」

 

ラウラ「リィン…」

 

ヴィクター「……それでよい。まずは立ち上がり…畏れと共に足を踏み出すがよい。迷ってこそ“人”――立ち止まるよりはるかに良いだろう」

 

リィン「はい!」

 

レイ「さて、それじゃリィンの体調の事もあるし、今日はもう休むか」

 

ラウラ「そうだな」

 

A班がレイの言葉に頷き、練武場を出ていこうとするが…

 

ヴィクター「待ちたまえ」

 

何故か〈光の剣匠〉に呼び止められた

 

ラウラ「どうしたのですか父上?」

 

ヴィクター「レイ・リーヴェルトと申したな?そなた、リィンと同じ…いやそれ以上の力を持っておるな?」

 

その言葉に以前帝都の実習で同じ班だったリィンとラウラは怪盗Bとレイの戦闘を思い出していた

 

レイ「さすが〈光の剣匠〉殿。よく気づきましたね。それでどうしようと言うのですか?」

 

ヴィクター「そなたの力、かなり強いが邪な物を感じる。どういう力か見せてもらおう」

 

そう言ってヴィクターが再び〈宝剣ガランシャール〉を構えるとレイは「フフッ」と軽く笑う

 

レイ「出来たばかりの新たな力。その相手が帝国の3本の指に入る〈光の剣匠〉ならば、うってつけですね」

 

そしてレイはヴィクターの前に立ち…

 

レイ「ハアァァァァァァァッ!!!!」

 

出来たばかりの“新たな力”を解放すると目は赤くなり、赤黒い炎と雷を纏う

 

リィン「こ…これが…」

ラウラ「レイの持つ…」

ユーシス「リィンとは違う力…」

 

ガイウス「子爵閣下の言う通り、邪な風を感じるが…」

エマ「どこか、澄んだ感じがします」

 

レイ「〈光の剣匠〉相手ですから、俺の本当の武器で戦わせてもらいますよ」

 

リィン「本当の武器?」

 

ユーシス「お前なら知ってるんじゃないか?」

 

そう言ってミリアムを見ると、本人は悪戯っ子のような笑みを浮かべる

 

ミリアム「ニシシ、知ってるけど教えないよ。自分達の目で見た方が驚くよ」

 

そしてレイは右手を上に掲げ、割れた空間の中から魔槍カイザートライデントを取り出し、次に左手を前に突き出すとまたしても空間が割れ、中から魔剣カイザーブロードを取り出して構える

 

ラウラ「なっ!?」

エマ(あれは…!!)

 

レイ「鉄道憲兵隊所属、〈迅雷〉のレイ・リーヴェルト参る!」

 

ヴィクター「〈アルゼイド流〉筆頭伝承者ヴィクター・S・アルゼイド参る!」




長くなりそうなんでいったんここで切ります。

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