―飛行艇内にて
レイ「―以上が先程までに起こった出来事の全てです。」
オリヴァルト「なるほど…」
レイから一連の出来事の全てを聞いたオリヴァルトは顎に手を当てる
ミュラー「こちらが憲兵隊から聞いてない情報まであるのか。」
オリヴァルト「レイ君が来てくれて良かったよ。第三者から見た視点というのは貴重だからね。」
レイ「お役に立てたようで何よりです。」
オリヴァルト「ルーレに到着したらすぐに鉄鋼山へ向かおう」
レイ「すでにルーレ空港には憲兵隊の車を待機させてます。それと言い忘れていたのですが、鉄鋼山に向かったメンバーにはログナー家の息女、アンゼリカ・ログナーも一緒です」
ミュラー「なんと…。噂通りの破天荒ぶりだな…。」
オリヴァルト「何言ってるんだいミュラー君、僕は良い事だと思うよ。人は自由に生きるべきだ。」
ミュラー・レイ「お前の場合は自由に生き過ぎだ」
ミュラーとレイはオリヴァルトの言葉に全く同じツッコミを入れる。まぁ、皇族でありながら“放蕩皇子”と呼ばれているので自由という言葉はあっているが…
ミュラー「しかし彼らだけで大丈夫なのか?〈Ⅶ組〉はそれなりに出来ると聞いてはいるが、相手はテロリストなんだぞ?」
オリヴァルト「フフッ、ミュラー君は心配性だなぁ、彼らなら大丈夫さ」
レイ「ええ、オリヴァルト皇子の言う通りですよ。俺がクロスベルに行っている時、テロリストがガレリア要塞を襲撃し、列車砲を起動しましたが見事取り返したんですから」
ミュラー「まぁ、そうだが…」
オリヴァルト「それに、仮に領邦軍が突っかかってきたとしても私が彼らの正統性を保証するから安心したまえ」
レイ「ありがとうございます」
邪神竜「レイ、操縦士によるとそろそろルーレに到着するそうだぞ。準備をした方が良い。」
ルーレ空港に到着するとレイが用意させていた憲兵隊車両に乗り込み。レイの運転でザクセン鉄鋼山へと向かう
その道中、レイの
レイ「こちらレイ・リーヴェルト」
クロウ『おう俺だ、クロウだ。』
レイ「クロウか、どうした?」
クロウ『実は連絡路…あの集まっていた所な。あそこは鉱山まで続いていたんだが、その連絡路が崩落で塞がっちまってな。』
レイ「そうなのか?というか何でそんな事が分かるんだ?お前、リィン達と一緒に鉱山に侵入したんじゃ…?」
クロウ『ああ、実はな鉱山内で捕まってた鉱員達を街まで送ったんだ。その後、また戻ろうとした時に崩落に鉢合わせしてな。まぁ、俺は傷1つ無いが崩落のせいで別ルートで鉱山内に行かなきゃならなくなった』
レイ「そうか。こっちは今、憲兵隊車両で鉱山に向かっている。お前はそのまま別ルートで鉱山に向かってくれ」
クロウ『了解だ。』
そしてレイが
レイ「何かあったのですか?」
オリヴァルト「ああ。私の父、ユーゲント皇帝陛下が先ほど鉄道憲兵隊に対してザクセン鉄鋼山の調査許可書を出したそうだ」
レイ「という事は姉さんは……」
ミュラー「我々が鉱山に到着する頃には突入出来るはずだ」
レイはそれを聞いてホッとする。いくら〈四大名門〉の一角であるログナー侯爵の命令で動いている領邦軍ともいえども、さすがに無視は出来ない
ミュラー「そういえばレイは彼らのリーダーと一度手合わせをしたそうだが?」
レイ「帝都の夏至祭の時ですね。〈C〉という男の得物は暗黒時代の遺物・
オリヴァルト「〈帝国解放戦線〉の中で〈C〉という男の正体だけ分かっていないのだ。オズボーン宰相との接点も不明だしね。レイ君は戦った時に何か分からなかったかい?」
レイ「そう言われましても……。自分のSクラフトを受けて〈C〉の仮面が少し欠けましたが、黒いバンダナ以外に何も見えませんでしたし……」
ミュラー「さすがにそれだけでは何者かは特定出来ないな」
ミュラーの言う通り、この世に黒いバンダナをしている人間などごまんといる。その人を片っ端から調べていくなど不可能だ。
オリヴァルト「おっ、もうすぐ到着だね」
ザクセン鉄鋼山に到着すると一旦、車両を鉱山が見渡せる場所に止めて3人は降りる
レイ「鉄道憲兵隊と領邦軍がいないという事は、もう突入した後か?」
オリヴァルト「どうやらそうみたいだね」
ミュラー「よし、我々も急いで中に……」
―ドォォンッ!!
ミュラーを先頭に鉱山内に突入しようとした時、凄まじい爆発音が響き渡るのと同時に少しだけ地面が揺れた
3人「っ!?」
突然の爆発音に3人はそれぞれの武器である鉤爪、剣、導力銃を構えて背中合わせに立って周囲を警戒するが特に異常は無い
レイ「今のは一体……?」
ミュラー「爆発音と同時に一瞬、鉱山の奥が光ったようだが…。どうやら何かあったようだな」
オリヴァルト「のんびりしていられないね。我々も急ごう!」
マズイ状況にあると判断した3人は再び憲兵隊車両に乗り込み、鉱山入口に向かう。そして鉱山に入り、しばらく歩いていると最奥と思われる場所に到着した
レイ「この先が最奥だな」
テロリストの罠や〈結社〉の人形兵器がいないか、警戒しながら扉に近づくと中から話し声が聞こえてきた
アンゼリカ『どうして鉄道憲兵隊の妨害するのか事情を説明してもらおうか?』
領邦軍隊長『アンゼリカ様、我々は侯爵閣下の命令で動いているのです!我々の領地を土足で踏み荒らす者を許すなと…』
レイ(1人はアンゼリカの声でもう1つは領邦軍の隊長の物だな。にしても…)
ミュラー「この鉱山に対して完全に我が物顔だな。」
レイ「侯爵閣下の命令なら何をしても良い、みたいな言い方だな。呆れ果てる。」
オリヴァルト「まさかここまで露骨とはね。」
そのままオリヴァルトが先頭に立ち、扉を開いて中へ入りながら口を開く
オリヴァルト「やれやれ、いつからザクセン鉄鋼山が侯爵家の物になったのかな?」
中に入ると、そこには〈Ⅶ組〉の面々と鉄道憲兵隊、領邦軍が勢揃いしていた。皇族であるオリヴァルトの登場に先ほどまで喧騒に包まれていた場所が一瞬で静かになる
領邦軍隊長「オリヴァルト殿下……!」
リィン「レイも帰ってきたのか。」
アンゼリカ「ナイスタイミングだよ、レイ君」
レイ「皆、無事のようだな」
そしてレイはオリヴァルト、ミュラーと共に前へと進み、崖から下を見下ろすとそこには煙を上げてバラバラになった漆黒の飛行艇の姿があった
レイ「RF製の飛行艇……テロリストが使っていたやつだな。」
ミュラー「恐らくな。詳しい検分は必要だろうが。」
オリヴァルト「さすがにこれは予想外だったね。」
オリヴァルトは少し考える素振りを見せるとすぐに振り返る
オリヴァルト「そちらの士官学院生たちの行動の正統性は私が保証する。異論はないかな?」
領邦軍隊長「も、もちろんでございます!」
オリヴァルト「さらに鉱山所有者であるアルノール家の名の下にこの場の全ては私が預かる。領邦軍の諸君は速やかに撤退を、鉄道憲兵隊の諸君は私の指揮下に入ってもらうよ。」
レイ:その後、オリヴァルトの指揮下で鉄道憲兵隊は忠実に任務を果たし、俺の進言で俺は〈Ⅶ組〉A班と共に残された人形兵器の駆逐していき、鉱員達も全員無事に解放された
レイ:しかし、余波はそれだけでなく領邦軍は明らかにテロリストの行動を黙認するかのように動き、貴族派が牛耳る第一製作所による鉄鋼石の横流しの証拠もテロリストによって破棄されていた。それでも第一製作所は限りなくクロであり、オリヴァルトはイリーナ会長の全面協力のもと、徹底的に調査を行う事を発表するのだった
―夜・ザクセン鉄鋼山最奥
シャロン「やはり、どこで作られたかは分かりませんか」
レイ「だがその超長距離狙撃ライフルはRFでは作られていない武器だろ?」
クレア「という事は“例の工房”ですよね?」
シャロンがテロリストの飛行艇を墜落させたライフルを見ていると背後からリーヴェルト姉弟が現れた
シャロン「ええ、間違いないかと。」
クレア「それで、貴女の雇い主はどこまで関与しているのですか?」
シャロン「それはどちらの雇い主の事ですか?」
レイ「もちろん両方だ。」
姉弟「っ!?」
その時、姉弟は何かを感じ取った
クレア「すいません。掃討し損ねていたようです」
そう言った瞬間、3人の目の前に〈結社〉が作った拠点防衛型の大型人形兵器が3体出現した。しかし…
シャロン「ヒュッ!」
クレア「ハッ!」
レイ「セアッ!」
シャロンは鋼糸で、クレアは導力銃で、レイは魔剣で大型人形兵器を攻撃し、一瞬で倒した
シャロン「ウフフ。さすがクレア様とレイ様。〈
クレア「貴女の方こそ…」
レイ「〈死線〉とはよく言ったものだな」
シャロン「先程の問いですが、イリーナ会長の方は何も。もちろん今回の事を最大限利用なさるでしょうが…」
クレア「でしょうね」
シャロン「そしてもう一方は…いつもの戯れでしょう。」
レイ「そうか」
そして3人は夜の闇に消えた
3700文字まで行ってしまった……。次は断章でユミルへ行きます。そしてまた……