【完結】迅雷の軌跡   作:カオスカラミティ

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なぜドラマCDの話がゲーム内にないのだ……


断章・温泉郷ユミルへ
温泉郷への旅行


〈9月29日、14:00―ドライケルス広場にて―〉

 

今日この日、まだ学生達は学校にいるはずなのに〈獅子心皇帝〉であるドライケルス像の前に3人の制服を着た男女がいた

 

トワ「緊張する~……」

 

レイ「大丈夫ですよトワ会長。あのアホ皇子の事だから悪い話ではないでしょう」

 

リィン「はは、俺も1度しか入った事がないから緊張するな」

 

バルフレイム宮へと向かう途中でトワはあまりの緊張からかお腹を抑えて、リィンは少し表情が固かった

 

なぜこの3人がここにいるのかというと、それは9月の〈特別実習〉が終わった翌日の早朝にレイがオリヴァルトから『明日、バルフレイム宮に来てくれないかな?』と呼び出しをくらったからだ

 

 

回想

レイ『んで?本来なら学業がある俺を呼び出して何の用だ?』

 

オリヴァルト『実は君に頼みがあってね』

 

いつになく真剣な顔になるオリヴァルトを見て、レイはまさか〈貴族派〉もしくはそいつらに雇われた〈猟兵団〉が何かを起こそうとしているのか、と思ったのだが……

 

オリヴァルト『29日に君とリィン君、そして生徒会長のトワ・ハーシェル君を連れてきてほしい』

 

レイ『えっ?それだけか?』

 

オリヴァルト『うむ。詳しい事はその時に話す』

 

そう言われてレイは頷き、この日は帰った

 

 

回想終了

 

レイ「にしてもあのアホ皇子、何で俺達3人を呼び出したんだろうな?」

 

トワ「レ、レイく~ん。一応皇族の方なんだからそんな呼び方は……(汗)」

 

リィン「いや、鉄道憲兵隊に入ってからオリヴァルト皇子との関係が始まったらしくて……今では本人の前では呼び捨て、本人のいない所では呼び捨てか今みたいな呼び方になるようですよ(汗)」

 

トワ「そっ、そうなんだ……(汗)」

 

レイ「雑談はそれくらいにして、さっさと入るぞ」

 

そして3人がドライケルス広場を通り過ぎると目の前にはバルフレイム宮とそれを見学する人々が目に入る

 

トワ「改めて見ると凄く大きいよねぇ~」

 

リィン「正面から……で良いんだよな?」

 

レイ「ああ、ちょっと待ってろ」

 

2人にはその場に待機してもらい、レイはバルフレイム宮へと続く道に立っている近衛兵に敬礼する

 

レイ「お疲れ様。トールズ士官学院所属レイ・リーヴェルト、リィン・シュバルツァー、トワ・ハーシェル。ただいま到着した」

 

近衛兵「14:00、了解しましたレイ大尉。オリヴァルト皇子からお話は伺っていますので、どうぞお入り下さい」

 

こちらの到着の報告すると相手も敬礼で返し、入る許可を得るとレイは後ろで待機していた2人に「許可を得たから来い」という意味を込めて手招きし、広場からバルフレイム宮へと続く道を歩く

 

リィン「なぁレイ……後ろからの視線が気になるんだが…」

 

レイ「まぁ、こんな昼間に学生が堂々と正面から入ったら目立つな」

 

リィンの言葉にレイが振り返ると広場にいるほとんどの人がこちらを見ていた。

 

トワ「それにしてもさっき兵隊さんに話しかけているレイ君カッコよかったなぁ。」

 

レイ「そうですか?」

 

トワ「うん!さすが現役の軍人だね」

リィン「確かに、学院にいる時とは雰囲気が違ったな」

 

 

―謁見の間

 

バルフレイム宮に入った後、レイはオリヴァルトの指示された通りに謁見の間へと来た。しかし、呼び出した当人はまだ来ていなかった

 

レイ「オリヴァルトからはここで待つように言われている」

 

トワ「ひ、広いね~……」

 

リィン「ここは夏至祭の時に来た所だな」

 

レイ「おっ、来たみたいだな」

 

オリヴァルト「やあ、待たせてしまってすまないね」

 

レイの言葉通り、奥からオリヴァルトが現れて3人は頭を下げる

 

リィン「オリヴァルト殿下、先日はありがとうございます」

 

トワ「ご、ご無沙汰しております……」

 

オリヴァルト「そんなに畏まらなくてもいいよ。そうだ。緊張をほぐす為に一曲歌ってあげようか?」

 

―バチンッ!!

 

オリヴァルト「あ痛っ!」

 

レイ「やめんか。さっさと本題に入れ」

 

レイがハリセンを取り出し、一瞬でオリヴァルトの近くに移動しておもいっきり彼の頭を叩いた。ミュラーが側にいない時はレイがツッコミ役になるのが常であるようだ

 

オリヴァルト「やれやれ、相変わらずレイ君は手厳しいね。さて、君達を呼んだ理由の1つはお礼を言いたかったからなんだ」

 

リィン「お礼…ですか?」

 

オリヴァルト「先々月の夏至祭、先月のガレリア要塞とクロスベル、そして今回の鉄鉱山で起きた事件において君達〈Ⅶ組〉と一部の2年生には非常に世話になった」

 

トワ「い、いえ……私達は出来る事をやっただけで……」

 

大慌てのトワにオリヴァルトは笑って話を続ける

 

オリヴァルト「ハハハ、謙遜しなくて良いよ。本当なら君達を全員呼んで正式に勲章を与えたいが、そうするとうるさい輩達がいるからね」

 

レイ「貴族連中だな。確かに実績だけ見たら正式に勲章を与えられてもおかしくない働きをしたが、平民が皇帝から勲章を与えられるというのは奴らにとっては面白くないんだろうな」

 

オリヴァルト「その通りだよレイ君。そこで代わりと言っちゃなんだけど、とある場所への小旅行を用意しておいたよ」

 

トワ「りょ、旅行!?」

 

オリヴァルト「ああ。まぁ、リィン君の場合は帰郷という形になってしまうけどね」

 

リィン「それってもしかして……」

 

オリヴァルトの言葉にリィンはハッ!とした表情になる

 

オリヴァルト「温泉郷ユミル。日程は今週末からの1泊2日ではあるがそこでゆっくりと羽を伸ばしてくるといいよ」

 

トワ「ユミルって確かリィン君の……」

 

リィン「あぁ、俺が12年間住んでいた所だ」

 

レイ「なるほど。アルノール家とシュバルツァー家は昔から縁があったと聞く。そこで今回の計画を思い付いたっていうわけだな?」

 

トワ「そっ、そうなの!?リィン君のご実家って凄いんだね……」

 

アルノール家とシュバルツァー家に縁があると知り、驚くトワだが辺境に住んでいる男爵家と皇族が繋がりがあると聞いて驚かない人の方が少ないのではないだろうか?

 

オリヴァルト「それじゃ、現地への案内はリィン君に任せるよ?」

 

リィン「お任せ下さい」

 

オリヴァルト「こんな形でしかお礼が出来なくて申し訳ないが、目一杯楽しんできてくれ」

 

その後、3人は謁見の間から出ていこうとするがレイがオリヴァルトにまだ少し用があると言って戻る

 

レイ「おい、アホ皇子。俺にあの2人を連れてこさせたのは今の事を言う為か?」

 

オリヴァルト「そうだけど?」

 

その言葉を聞いてレイの怒りのボルテージがMAXになった

 

レイ「だったら真剣な顔して言うんじゃねぇ!!また何かあったと思っただろうがぁぁぁっ!!」

 

オリヴァルト「いや、だって僕はリィン君やトワ君の番号知らないから……あっ、ああぁぁぁぁぁっ!!!」

 

その後、謁見の間からオリヴァルトの悲鳴が響き、中からスッキリした顔のレイが出てきた

 

 

〈同日・16:00―ドライケルス広場にて―〉

 

リィン「まさかこんな形で帰郷するとは……」

 

レイ「何だ?帰りたくないのか?」

 

リィン「いや、そういうわけじゃないんだ。ただ急だったから実感が湧かなくてさ……」

 

トワ「でも温泉郷かぁ。私は行った事ないんだけどレイ君は?」

 

レイ「ユミルの事は知ってましたが一度も行った事がないですね」

 

?「あら?兄様にレイ大尉?」

 

声がした方を見ると聖アストライア女学院の制服を着た黒髪の少女――エリゼ・シュバルツァーがこちらに歩いてきた

 

レイ「エリゼ嬢…」

 

リィン「久しぶりだな。元気そうで安心したよ」

 

エリゼ「えぇ兄様とレイ大尉もお変わりないようで何よりです。ところでそちらの方は?」

 

エリゼの目線の先にはトワがおり、本人はニコニコしながら手を差し出す

 

トワ「トールズ士官学院2年生のトワ・ハーシェルです。よろしくねエリゼちゃん」

 

エリゼ「シュバルツァー家長女のエリゼ・シュバルツァーと申します。兄がお世話になってます」

 

レイ「彼女は士官学院の生徒会長なんですよ」

 

エリゼ「そうなんですか!?凄いんですね」

 

トワ「あはは、そんな事ないよ~。皆が手伝ってくれるから出来てるだけで…」

 

リィン「そういえば何でエリゼはここに?」

 

エリゼ「オリヴァルト殿下に用がありまして。」

 

レイ「もしかしてユミルへの小旅行についてですか?」

 

エリゼ「はい。ユミルに着いてからは私が案内する事になっているんです」

 

レイ「なるほど。なら当日はお願いしますねエリゼ嬢」

 

エリゼ「はい、お任せ下さい。では私はこれで…」

 

 

〈同日、18:00〉

 

トリスタへと帰ってきたレイとリィン、トワ会長は軽く当日の確認だけをしてそれぞれの寮へと帰っていった

 

―第3学生寮にて

 

皆「ユミルへ温泉旅行!?」

 

そしてり夕食を食べた後、その場で皆に今日の事を説明すると何人かが同時に驚きの声をあげた

 

リィン「ああ。向こうからのお礼らしい」

 

エマ「でも全額負担してもらうのはさすがに……」

 

レイ「こういうのはありがたく受け取っておくべきだ。遠慮し過ぎると逆に失礼だしな。何より……」

 

そう言ってレイは内ポケットから人数分のユミル行きのチケットを取り出す

 

レイ「すでに手配は済んでるみたいだしな。確かに相応の費用はかかったんだろうが、鉄鉱山に万が一があった時の損失に比べれば安いものなんだろう」

 

アリサ「ユミルかぁ、幼い時に行った覚えがあるわね」

 

ラウラ「オリヴァルト殿下が用意して下さった場所なら、さぞかし良い場所なのだろう。」

 

サラ「温泉に浸かりながらのお酒。今から楽しみね~」

 

レイ「やっぱり呑むのか……」

 

 

ガイウス「そういえば学院祭のステージはどうなったんだ?」

 

ガイウスの疑問に全員がリィン、エリオット、クロウを見る。やる事は一応決まってはいるが、士官学院祭まで残り1ヶ月を切っている。そんな中で肝心の内容を聞いてなかったので心配ではあった

 

エリオット「大丈夫だよ。昨日リィンとクロウの3人である程度内容は決まったから。」

 

リィン「それもユミルに到着したら話すから安心してくれ」

 

クロウ「なかなか凄ぇステージになるぜ。練習は相当ハードになるな」

 

アリサ「そういえば演奏の練習しなきゃいけなかったのよね……(汗)」

 

ユーシス「その練習に備える意味でも今回の旅行はゆっくりと休ませてもらうとしよう」

 

そしてその場で解散して数日後、シャロンに見送られながら〈Ⅶ組〉と一部の2年生はユミルへと出発した


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