学院祭準備
ユミルの小旅行から数週間後。士官学院の正門前には全校生徒が集まっており、トワ会長の号令によって学院祭の準備が始まった
―Ⅶ組の教室では
エリオット「この半月あまり……皆、本当にお疲れ様!」
クロウ「クク、まぁ何とか形になってなによりだぜ。」
リィン「ふう……とんでもない半月だったけど。」
アリサ「ええ……まさかここまで大変だとは思わなかったわね。」
なぜリィンとアリサがこんな事を言っているかというと学院祭まで半月の間、音楽室を借りて演奏の練習をしていたのだ。
いや、それが原因というわけではない。問題はエリオットの指導なのである。普段穏やかなエリオットだが音楽の指導となると人が変わったようにスパルタになるのだ。(フィーは練習の間、エリオットの事を「鬼教官」と小声で言っていた)
それが原因でリィンとアリサを始め〈Ⅶ組〉のメンバー(レイは除く)は少し疲れている
レイ「特にエリオットの指導はかなりスパルタだったしな」
ミリアム「あはは、何だか別人みたいだったよねー。」
エリオット「ご、ごめん。良いものにしなきゃって思ってたらつい……」
レイ「やり過ぎには気を付けろよ。」
ラウラ「だがそなたの叱咤があったから即席の
ガイウス「ああ……きっと良いステージになる。」
ラウラとガイウスにほめられてちょっと嬉しそうな顔になるエリオット。しかし…
エマ「はあ……」
マキアス「な、何とか歌の方は形になったとは思うが……。」
ユーシス「……くっ……本当にあれをやるのか……?」
エマ、マキアス、ユーシスは少し落ち込んでいた。まぁ、原因はエマのソロとマキアスとユーシスのデュオなのだが……
クロウ「オラオラ、いい加減、往生際がわるいっつーの。」
アリサ「フフッ、エマの歌なんてかなりの完成度じゃない。」
ラウラ「うむ、あれで衣装を纏えばさぞ舞台映えするだろう。」
フィー「男子の目、釘付け。」
エマ「ううっ、プレッシャーをかけないで下さいよ~……」
リィン「はは、マキアスとユーシスも最後には完全に合わせられたな」
ガイウス「ああ、最初の頃はどうなるかと思ったが……」
エリオット「うんうん、とっても対照的なデュオになったと思うよ」
エリオットの言葉にマキアスとユーシスはすぐさま反論する
マキアス「そ、それが納得行かないんじゃないか!」
ユーシス「フン……恥辱の極みだな。」
レイ「まぁ、そう言うな。俺もサブボーカルとして出てやってるんだから」
レイがそう言った時、教室の扉が開き、サラが入ってきた
サラ「ふふ、やってるわね。旧校舎の使用許可は学院長から取ってきたわ。今日と明日の2日間、自由に使って良いそうよ。」
エリオット「ホ、ホントですか!?」
リィン「ふう……正直、助かりました。」
ラウラ「やはり音楽室の練習だけでは本番の感覚は掴めぬしな」
アリサ「結局、講堂の舞台はⅠ組がずっと使ってたものね」
そうなのである。Ⅶ組は演奏する事になったのだが、講堂の舞台はⅠ組がずっと使っている為にⅦ組はずっと音楽室で練習していた
しかしそれでは本番の感覚が掴みにくいのでは?とエリオットから言われ、ならば旧校舎の舞台を使ったらどうだとレイが提案したのである
レイ「進言しといてなんだが、許可が取れて良かったぜ」
クロウ「だよな~。旧校舎の1階なら講堂と似たような空間だし、おあつらえ向きな舞台もあるから本番の感覚を掴みやすいしな」
ガイウス「ああ、良いアイデアだったなレイ」
マキアス「まぁ、旧校舎の1階といえば入学式を思い出すが……」
ユーシス「フン、どこぞの教官が俺達を嵌めた場所だな。」
ユーシスの言葉に全員がサラをジーッと見る。その視線にいたたまれなくなったサラは苦笑しながら…
サラ「アハハ……まぁ時効って事で。」
クロウ「そういや、嬉し恥ずかしのベタなハプニングがあったみたいだな?」
その言葉にリィンとアリサがビクッとなり、ミリアムが興味を示しフィーが話そうとするが…
―ガシッ!
レイ「本人の許可なく恥ずかしい過去をばらすのはやめようね~?」
口は笑っているが目が笑っていないレイがフィーの頭をガッシリと掴んで持ち上げる
フィー「ja…(汗)」
エマ「ふふっ、それでは今日は予定通りに動きましょうか。」
マキアス「ああ、ステージ衣装が到着するのが今日の夕方……それまでは各自、学院祭の飾りつけや出し物に協力しよう」
アリサ「そうね、明日は1日、リハーサルで潰れそうだし。」
ラウラ「せめて今日くらい協力するのが筋というものであろう。」
フィー「めんどくさいけど仕方ないか。」
ガイウス「リィンはトワ会長から課外活動を受け取っているんだったな?」
リィン「ああ、相当忙しそうだしせめて力になれればと思ってさ。ところでレイはこの後どうするんだ?」
レイ「念のために旧校舎のチェックをしてくる。その後は見回りを行う予定だ」
マキアス「そうだな……1階を使うとはいえ何があるかも分からないし。」
アリサ「もし、降りるなら
レイ「了解した」
サラ「ふふ、練習も含めてせいぜい頑張りなさい。あたしも見回りとかしてるから何かあったら連絡して」
クロウ「とりあえず衣装が届いたら全員
そして各々が自分達の部活に向かったり、旧校舎のチェックをしに向かった