レイ「旧校舎の見回りは終了したし、出し物関係での見回りも終了。後は…」
~♪~♪
レイ「ARCUSの着信音?誰からだ?もしもし、こちらレイ・リーヴェルト」
クロウ『相変わらず堅苦しい返事の仕方だな』
レイ「なんだクロウか。どうかしたか?」
クロウ『あぁ~実はちょっとまずい事になってな。お前達の衣装が届くのが遅れそうなんだ。悪いが取りに行ってくんねぇかな?』
レイ「こう言ってはなんだが、こういうのはリィンの仕事では?」
クロウ『あいつはトワの手伝いで忙しいそうだ』
その言葉にレイはハアァ~と深いため息をついた
レイ「分かった。帝都のブティックに頼んでるんだよな?導力バイクで取りに行く」
クロウ『悪いな。んじゃ頼むぜ』
そう言って通信は終わり、レイは第3学生寮に向かい導力バイク(サイドカー付き)のエンジンを始動する
シャロン「あら、レイ様。お出かけですか?」
レイ「ええ。帝都のブティックに頼んでいた衣装が届くのが遅くなりそうだとクロウから連絡があったのでこちらから受け取りに行くんです」
シャロン「そうでしたか。でも12人分となるとかなりの量になりますよ?お供しましょうか?」
レイ「大丈夫です。憲兵隊でも大量の荷物を1人で運んだ事があるので。それでは」
シャロン「お気をつけて」
シャロンが一礼した後、レイは導力バイクを発進しさせて帝都に向かった
―帝都ヘイムダル〈ブティック・ルサージュ〉
レイ「ここだな。」
到着したレイは導力バイクを邪魔のならない所に停車し、店に入ろうとした時…
?「あら?貴方もしかしてトールズ〈Ⅶ組〉の生徒さん?」
声をかけられて振り返ると1人の女性がいた。
レイ「その声、もしかしてミスティさん……いえ〈蒼の
ヴィータ「っ!?よく分かったわね……。貴方と同じクラスの黒髪の子、確かリィン君だったかな?彼は私の声を聞いてようやく分かったのに。」
レイ「まぁ職業柄、人の顔を無意識に覚える癖がついてるんで。にしてもヴィータさんもこのブティックに用があるんですか?」
ヴィータ「ええ。トリスタにも系列店があるけど帝都の本店の方が品揃えが良いからね。君は?」
レイ「もうすぐ学院祭があるのはご存知ですよね?その学院祭で自分達は歌う事になりまして、その衣装を受け取りに来たんです」
ヴィータ「へぇ、面白そうな事をするのね。当日私も見に行こうかしら?」
レイ「ぜひ来て下さい。本業の方には負けますが」
ヴィータ「ウフフ、音楽は心よ。っとつい話し込んじゃったわね。それじゃ入りましょう」
その後、2人はブティックに入りレイは学院祭の衣装を、ヴィータは自分の買いたいと思っていた服を買い、店を出た
ヴィータ「それじゃ私はこれで…」
レイ「トリスタにお帰りですか?」
ヴィータ「ええ、そうだけど?」
レイ「良かったら送りますよ。サイドカーに荷物を乗せるのでヴィータさんは俺の後ろになりますが…」
ヴィータ「フーン、なかなか面白そうな乗り物ね。せっかくだしお願いしようかしら?」
そしてサイドカーに荷物を乗せ、ヴィータを自分の後ろに乗せてトリスタに向けて導力バイクを発進させた
―トリスタ近くの街道
ヴィータ「へぇ~、なかなか良い風ね~」
レイ「気に入ってもらえて良かったです。後もう少しでトリスタですよ」
―数分後
レイ「トリスタに到着しました」
ヴィータ「送ってくれてありがとね。学院祭、楽しみにしてるから」
レイ「ありがとうございます。それでは」
そう言ってヴィータを降ろしたレイはそのまま士官学院へ向かった
その後、男子と女子はレイが帝都から受け取ってきた衣装を身に纏っていた。明日はリハーサルに集中したいのですぐに衣装合わせとなったのだ。
ちなみに女子の衣装は黒を基調としたノースリーブとミニスカートで胸の部分には赤いリボンが付いている。
アリサ「へぇ、なかなか良いじゃない。」
ラウラ「ふむ、露出は少し多めだがこれなら問題ないな。」
フィー「悪くないかも」
ミリアム「黒でお揃いなのもカッコいい感じだよね~。」
エマ「うぅ…落ち着かないです……。」
女子で最後に着替え終えたエマがソワソワしながらシャロンと共にこちらに来る。
今のエマの姿はクロウのギャップを出そうという提案で三つ編みの髪を解いてストレートヘアに、更には眼鏡を外してコンタクトにしていた
ミリアム「いいんちょ、色っぽいね~!」
ラウラ「まさかここまで華やかになるとは……。」
フィー「ぶっちゃけエロい。」
エマ「うぅ……。」
アリサ「流石シャロン、髪のセットも完璧ね。」
シャロン「ふふっ、恐れ入ります。」
クロウ「よう、こっちは終わったぜ~。」
クロウの声が聞こえ、女子がそちらに振り返ると同じく衣装を纏った男子メンバーが歩いてきた。
男子の衣装は女子とは対照的に白を基調とした服でネクタイは赤になっていた
アリサ「あら、似合ってるじゃない。」
フィー「エセ王子っぽいけど悪くないかも。」
ユーシス「フン、この手の衣装は着馴れているがお前が着ると冗談にしか見えんな。」
マキアス「ほ、放っておいてくれ!」
レイ「はいはい。お決まりのやり取りが終了した所で、この後はすぐにリハーサルか?」
クロウ「ああ。今日中に出来る限りのリハーサルをやっちまう。」
エリオット「今日を入れて1日半。もう本当に時間が無いから、ノーミスで終わらない限り今夜は帰れないと思ってね?」
エリオットの黒いオーラを放ちながら言ったこの一言で和やかな雰囲気が一転し、一瞬にして周囲が凍りついた
アリサ「本当に音楽の事になると性格変わるわね……。」
レイ「鬼教官エリオット、再来。」
ラウラ「こうなったら腹を括るしかあるまい。」
これから始まるであろう地獄を想像したエリオットとクロウ以外のメンバーはため息を吐きながらも、完璧なステージにしようと気合いを入れ直す
レイ「委員長も無理せずに頑張ろうな?」
エマ「えぇ、分かってますよ……」
レイ「ん?どうした?」
エリオットの威圧感に気圧されながらも本番の為だと覚悟を決めた中で何やらエマの様子がおかしい。心配になったレイが近づくと…
エマ「こうなったら恥も外見も捨てて開き直るしか……、ブツブツ――」
ミリアム「いいんちょが壊れた!?」
ラウラ「まぁ、そっとしておくが良い。」
ちょっとヤバい感じでブツブツと一人言を喋っている為、落ち着くまで放っておく事にした
その後、エマが立ち直ると鬼教官エリオットの指導の下、地獄のリハーサルが夜まで続いたのだった