〈10月23日、8;30〉
―第3学生寮・食堂にて
士官学院祭当日という事で朝からトリスタはざわついているが、第3学生寮では別の事でざわついていた。それは…
「クロスベルが独立宣言!?」
昨日のラジオの緊急ニュースで言っていたクロスベルの独立宣言だった
リィン「あぁ、昨日のラジオで言っていたんだ。」
アリサ「私も偶然聞いたけど、緊急ニュースって言ってたからデマじゃないと思うわ。」
マキアス「独立に向けて動いていると聞いてはいたが…」
エマ「本気で共和国に対抗するつもりなのでしょうか?」
ユーシス「あの程度の戦力で防衛できるわけがないだろう。どうせ撤回するのがオチだ。」
レイ(正式に2大国からの独立宣言か。確か、名前も〈クロスベル独立国〉と名乗り、〈国防軍〉と呼ばれる軍隊の保持も宣言していたな。)
その後、〈Ⅶ組〉メンバーは戦争になるのではないか、共和国も絡んでくるのではないか、と不安になり重い空気が漂っていたが…
クロウ「おらおら、お前ら辛気くさいぞ。」
そんな空気に耐えられなかったのか、クロウがイスから立ち上がって手を叩く。
クロウ「そりゃ落ち着かないのは分かるけどよ、俺達がこの件に関して何か出来るのか?」
リィン「それは……」
クロウの言う通り、約一名を除いてここにいるのはただの一学生に過ぎない。問題が国家レベルになれば何も出来ないのだ。
クロウ「だったら、まずはバッチリとステージを成功させて見に来る奴らを楽しませようぜ。それが今の俺達に出来る事じゃねぇのか?」
レイ「クロウが真面目だと……」
邪神竜「何かの前触れでは?」
クロウ「俺だって真面目な時ぐらいあるわ!!」
そんなやり取りを見て全員が笑いだし、しばらく笑っていると先ほどの重い空気は吹き飛んだ。
レイ「クロウの言う通りだな。クロスベル独立を不安に思っているのは俺達だけじゃない。他の不安に思っている人達を少しでも元気づけられるようなステージにしなければな。」
アリサ「だったら明日に備えて今日は目一杯楽しまなきゃね。」
リィン「そうと決まれば早速出発しよう。そろそろ学院祭が始まるはずだ。」
〈同日、9;00〉
―トールズ士官学院・正門
リィン達が到着したのと同時に正門が開かれ、生徒や一般客が雪崩れ込んでいく。どうやらトリスタだけでなく各地から人が集まっているようだ。
レイ「盛り上がっているな。しかし、何かしらの行事の警備は何回もしたが俺自身がこのような行事に参加するとはな。」
アリサ「どんだけ現実離れしてんの貴方?」
レイ「それよりクロウ、ステージ関係で何かあるか?」
クロウ「そうだな。今日1日は自由行動だが、明日に備えて機材のチェックをしときたいから夕方には集まってくれ。」
ミリアム「りょーかい!それじゃあレッツゴー!」
言うが早いか、ミリアムは駆け出してあっという間に人混みの中に消えた。
ユーシス「相変わらず落ち着きのない奴だ。」
マキアス「同感だな。」
ラウラ「フフ、それでは我らも行こうか。」
レイ「あっ、悪いが俺はここで待ち合わせしてるんだ。」
エリオット「もしかして、女学院で会ったあの人?」
クロウ「ヒューヒュー!やっぱり将来の伴侶を――うがっ!?」
全部言わせる前にレイはクロウの鳩尾に拳を叩き込んでやった。
レイ「まぁ、そういうわけだから俺はここでミルディーヌを待つ。皆は先に行っててくれ。」
ガイウス「分かった。ではお言葉に甘えて先に行かせてもらう。」
ガイウスがそう言うとレイ以外は人混みの中に消えた。
―10分後
ミル「お待たせしましたレイ兄様!」
レイ「大丈夫だ、ミルディーヌ。そんなに待ってな――」
正門の壁に寄りかかり、目を瞑ってミルディーヌを待っていたレイ。そしてミルディーヌが来て、閉じていた目を開けるとそこには…
ミル「どうかしましたかレイ兄様?」
レイ「いや、どうかしましたかって……。ミルディーヌ…その髪の色……どうしたんだ?」
いつものミント色の髪ではなく、パープル色に染めたミルディーヌが立っていた。
ミル「これですか?せっかくレイ兄様が学院祭デートに誘ってくれたので心機一転してみました。似合いますか?」
レイ「あっ、ああ…すごく似合ってるぞ///」
ミル「ウフッ、良かったですわ♥️それではレイ兄様、エスコートお願いしますね♥️」
そう言ってミルディーヌはレイの腕に自分の腕を絡ませて学院内に入っていった。
ミルディーヌの髪の色ですが、閃の軌跡Ⅲでのパープルヘアーです。
にしても閃の軌跡Ⅲでミルディーヌの髪色をパープルヘアーにすると物凄く可愛い…