インペルダウンは今、騒がしいことになっていた。いきなり空から降ってきた大量の茶色のベージュ色の丸っこい一頭身達が、次々と、何百体も、用意された巨大な監獄に詰められていくからだ。
「おいおい、何体いるんだよ」
監獄の看守も、囚人も、思わず我を忘れ見てしまうこの光景。何百体もの同じ一頭身が、次々と、同じ神妙そうな糸目をしながら、入ってくるのである。
列が終わり、全てのワドルディがLEVEL1の巨大牢に閉じ込められると、囚人達はこぞってワドルディ達のことを話し始めた。
「見たかーーー全員が全く同じ格好、全く同じ行動をしてるぞ」
「海軍のクローン兵かもしれない」
「海軍のクローン兵ならなんでインペルダウンに送られるんだよ」
「じゃあ海賊」
「海賊にそんな技術があるわけないだろ」
「革命軍ー」
「革命軍がそんなことしてるなんて噂聞いたことないぞ」
囚人たちがそう話している間、ワドルディたちはワドルディしか入っていない集団牢の中で、暇そうに転がっていた。手枷もどうやったのかはめられ、それぞれが行動できない状態のはずだが、心なしかそれぞれ、呑気そうに見えた。
ブルゴリ達もこの小さい生き物たちを珍しがって牢の外からジロジロ眺めるが、本人達は全く気にかけていない様子だった。
「おい!」
たまりかねたのか囚人の一人が反対側の牢から大声を出した。
「お前ら、何して捕まったんだよ!」
ワドルディの一人が答えようと立ち上がり、ないはずの口で話し始めた。
「わにゃわにゃ(プププランドっていう星から落ちてきて)、わにゃわにゃ(落ちてきた先がここで)、わにゃわにゃ(侵入者と勘違いされてここに送られたんだ)」
「…おい、あいつの言ってることの意味がわかるやつはいるか?」
「わにゃわにゃ、としか聞こえなかったが…」
「異国語か?とにかくわにゃわにゃとしか聞こえないんだが」
喋ったワドルディは疲れたかのようにまた座り込み、仲間と共に寝っ転がった。
話しかける囚人もいなくなり、数時間ほどした頃、事は起こった。
「おい、あいつらが…」
ワドルディたちが突然、立ち上がり外を見始めたのである。まるで何かが近くに来ているかのように。それに気づいた囚人たちが騒ぎ立て、牢内は忽然とうるさくなりはじめた。
ーーーその頃、インペルダウン入り口ーーー
「通せと何度言ってもわからんのか!」
「誰の権限でここに入るかを聞いている!」
「プププランド大王である我輩の権限で来ている!」
「そのプププランドってのはどこにあるんだ!」
さっきからこんな応対が続いていたが、看守たちが応援にドミノを読んだ事で片付いたかと思われた。
「つまみ出せ」
鶴の一声で、看守たちの態度が一気に変わった。それまでは少しなりとも対応しようとしていたのが、一気に追い出しムードに変わった。
「ええい!強行突破じゃい!」
デデデ大王は背中からハンマーを取り出すと、近づいてくる看守をなぎ倒した。
「むっ」
流石訓練された看守長だけあって、ドミノはすぐに剣を抜いて対応に走った。そして同時に子電伝虫でインペルダウン内のマゼランにも状況を伝えた。
が、マゼランは今1日八時間のトイレ中であった。
「どけぇい!」
いくらドミノに技があるといっても、圧倒的な力量差の前には無意味、デデデ大王の一撃を止めることはできなかった。ハンマーの重みに吹き飛ばされたドミノはそのまま医務室へと運ばれ、デデデ大王の進撃は続く。
少数を少しずつ当てて弱らせようとすると、当てている意味はないほど簡単に突破される。そして一箇所に大軍を置いて迎え撃とうとすると、
「ジャイアントデデデスイング!」
360度水平にハンマーを振り回すことによって、大量の看守が一撃で沈められていく。
「我輩の部下はどこじゃ〜い!」
そう怒鳴ると、牢内からほんの少しだけ「わにゃ」という音が聞こえた。
「そこか!」
だがそこはLEVEL1の奥。一度入り出口を塞がれると退路がなくなる危険な場所。デデデ大王は何も考えずに突っ込んで行った。
「これでも喰らえい!」
一撃一撃が一ダースほどの看守を吹き飛ばす、一方的な戦いが繰り広げられた。看守は銃で撃っても効かない、剣で近づくと吹き飛ばされるこの怪物相手に指揮官なしで戸惑っていた。
「なにをしている!」
その時ちょうど騒ぎを聞きつけたどり着いたのがサルデス。無論、数体のブルゴリを引き連れてである。
「行け!ブルゴリ!」
「なにぃ!?」
デデデ大王は何も考えずに突進していくが、ブルゴリは麦わら戦以外は負け知らず。同じく突っ込んでいった。
「でええいっ!」
「ウホォッ!」
同時に二体のブルゴリを力で吹き飛ばすとは流石大王だが、いくらなんでもこれを何回もやるのは無理があると考え、作戦を切り替えた。
「ミサイル!」
隠し玉であるミサイルを数発、袖の中から放つと、ブルゴリが爆風で吹き飛ばされた。
「いまじゃい!」
その隙にデデデはワドルディたちが閉じ込められている牢に向かった。
「なんじゃ、この程度の鉄柵かい。見てろ…」
ハンマーの一撃で、檻はバラバラに砕け散った。
「あそこだ!ブルゴリ!」
だがブルゴリとサルデスもすぐさまミサイルのショックから立ち直り、デデデ大王を見つけるとそこに向かった。
「看守たちもなにをしている!奴らを倒せ!」
それまであっけに取られていた看守達も次々とデデデ大王に向かう。
「LEVEL2とLEVEL3の看守の内半数をLEVEL1に呼び寄せろ!奴をここで一気に叩くぞ!」
次々とデデデに押し寄せる看守達。
「なんの!この程度!」
デデデも負けじと応戦するが、今度は圧倒的な数の差がある。大技を放つのに時間が必要なハンマーだと、敵を一掃する技を撃つまで時間がかかってしまう。
「むう…」
(このままでは数でゴリ押されてしまう…なんとかせねば)
そう考えながらも小刻みの弱い打撃しか打てない現状では、体力を少しずつ消耗していくだけである。
(あ、そういえば)
デデデは突如ワドルディたちの方を振り返った。彼らはただ、看守やブルゴリに捕まらないよう逃げ回っているだけである。
(ワドルディは命令されないと何もできない…)
「ワドルディたち!命令じゃ!戦え!」
それを聞いた瞬間、ワドルディたちの行動が一気に変わった。三人一組になり看守に襲いかかる。途中で武器を拾い、鍵を拾い、仲間を解放し始めた。
「なっ」
それまでワドルディたちを舐めていた看守たちは、彼らが三人同時に武器を手にして一心不乱に飛びかかって来た時には、かなりの狼狽があった。
「ブルゴリ!」
「ウホッ」
デデデ大王の相手をしていた内の半数ほどが戦い始めたワドルディの対処に追われ、デデデ大王はかなり楽になった。
「よし、進めぇ!」
デデデ大王&ワドルディズの快進撃が始まった。
が、その頃、インペルダウン内副署長専用トイレから、一人の大男が出て来た。
「もうあの時のような失態は繰り返さん…LEVEL4とLEVEL5の看守を半分ずつ集めろ。LEVEL1の入り口に配置するんだ」
インペルダウンは着々と反撃の準備を始めていた。
デデデ大王、強いですね。俺は好きです。
デデイストと呼んでください