インペルダウン入り口では、壮絶な戦いが続いていた。無限のように溢れ出してくるワドルディ達に対し、看守達は入り口近く、数の利があまり効果を成さない場所で迎え撃った。
現所長であるハンニャバルはバンダナワドルディに足止めをくらい、サルデスはデデデ大王に倒され、そのデデデ大王を今怒り狂ったマゼランが圧倒している。
「一人も逃すなぁ!」
マゼランの叱咤が獄内に響き渡る。
「なんとかして突破するぞい!」
デデデ大王はワドルディ達を激励する。
今のところワドルディ軍団対看守達は互角、バンダナワドルディ対ハンニャバルはワドルディ優勢、そしてデデデ大王は今マゼランの猛攻をなんとか耐え抜いてるといったところだ。
(ぬぬぬ、一瞬の隙も見出だせん…)
そう考えながらデデデ大王の体力は消耗していく。
デデデの戦場はこの状態のまま長く続いた。一番変化があったのはバンダナワドルディの戦闘である。
バンダナワドルディは押していた。が、それは勝ちに繋がらないことはワドルディ自身知っていた。デデデ大王や他のワドルディ達よりも少しは頭が回るワドルディは、突破口を探していた。
(このままじゃあいつかは敵の増援が来て負ける…一気に突破する手立てを探さないと…)
しかし、ハンニャバルのケタ外れの生命力と体力、そして執拗なまでの防御力と執念がワドルディに決定的な一打を与えることを許さなかった。
「わにゃ!(百烈突き)」
その技名の通り100回もの突きが繰り出されるが、ハンニャバルはそれを器用に薙刀で受け止めた。しかしワドルディは連撃を狙い、空に飛んだ。
「わにゃぁ(月落とし!)」
重力を重ねてかかる圧倒的な力を、ハンニャバルは剛で受け止めた。避けることもせず、ただ薙刀を構えた。
「うおおおお!」
珍しくハンニャバルが雄叫びを上げ、力でワドルディの攻撃を跳ね返そうとする。しかし、流石のハンニャバルもこの一撃は耐えれず、ついに防御を崩された。
(今!)
このチャンスを逃してはと思い一気に攻めに出る。一撃一撃、一つ一つ。ハンニャバルはなんとか受け止めているものの、幾度となくかすり、血が吹き出た。
「わにゃ(はああ!)」
とどめの一撃と思い槍を一気に前に繰り出したのが仇となった。この状況でも冷静さを保っていたハンニャバルは、すぐさま薙刀を返すと下から上えワドルディの突きを流した。
「なぁーめぇーるぅーなぁー!」
あまり気迫のない叫び声をあげると、防御が完全でないワドルディの横から強力な一撃を叩き出した。かろうじて槍で受け止めたものの、軽いワドルディの体はそのまま吹き飛ばされてしまった。
(くっ)
すると、何か思いついたのかワドルディは味方のワドルディがいるところに走り出したではないか。ハンニャバルはこれでは見失うと焦り駆け出す。
「待て!」
ハンニャバルがいくら静止をかけても、バンダナワドルディは止まらない。ただただ看守達を倒し、味方のワドルディを助ける。
そしてまた一人の看守に槍を繰り出した時、ハンニャバルがやっと追いついた。
「この…」
振り上げられた薙刀が振り下ろされた。
が、それよりも早く動くものがあった。
その時間およそ0.3秒。看守に突き刺さった槍を引き抜き、そのまま後ろに返さず回転し、槍の穂先を後ろに刺す。
裏突き。ワドルディの隠し技である。
「な…」
その瞬間、ワドルディにはそれまで冷静だったハンニャバルの精神に隙ができたのを見た。
「わにゃ!」
すぐさま槍で連続攻撃を加える。まだ防御体制も何も整ってないハンニャバルの精神はすぐに混乱に陥り、それまでは数手先を読んで行動していたにが、二手先、一手先、その瞬間のみの変わっていき、その瞬間にくる攻撃にも圧倒された時、強烈な一撃がハンニャバルを襲った。
それはハンニャバル自身を狙ったものではなく、ハンニャバルの薙刀を狙っていた。あまりの衝撃で薙刀を放すと、反動で大きく後ろへ飛ばされた。
ーーが、これで終わりではない。
ほんの少し助走をつけて、ワドルディは槍を投げた。防御する時間も装備もなくなり、なんとか生存はできたものの、ハンニャバルはこの戦場を退くことを余儀なくされた。
バンダナワドルディは槍を拾うと、再び戦場を見回した。
ーーデデデVSマゼランーー
デデデ大王は苦戦していた。得意の近距離攻撃がマゼラン相手に通じないのである。
「ちぃ、そこの貴様、そんなみみっちぃ攻撃方法は男らしくないぞい!」
いくら挑発しようとしても、マゼランは聞く耳を持たない。むしろ、毒龍(ヒドラ)の数をさらに増やしデデデ大王の体力を奪っていくだけである。
「ぬうん!」
一つの龍を消しとばすと、今度はもう一つがくる。この数十分ほどそんな攻防が続いていた。
(この戦いに終止符を打つには…)
大王はその瞬間、覚悟を決めた。
「ええい!」
自らマゼランの方向に躍り出た。攻撃してくる毒の龍を消しとばし、潰し、三体目の龍を倒したところで、ついに龍を一つ、正面から受けてしまった。
ーーそれでも大王は怯まない。
ハンマーを振り続け毒龍を吹き飛ばし、マゼランにハンマーが当たる距離まで近づいた時である。
「地獄の審判!」
巨大な毒の化け物が現れ、大王に迫る。
「この毒はハンマーで触れるだけでも…」
マゼランが説明を終える前に、デデデのハンマーがマゼランの頭を穿ち抜けた。
「毒程度がなんぞい。こちとら毎日地震雷火事親父、親父は余計で他には吹雪や格闘、忍者なんかも相手してるぞい。そんな何百種類もの能力を持った相手がいるのに、毒程度を怖がって大王は務まらんぞい」
しかし、マゼランの言った通り、毒はハンマーを通りデデデに感染した。
「どうだ、これで貴様は俺が何もしなくても1分以内には死ぬ…貴様の生命力がどれほどあってもだ!」
するとマゼランは突然、力が抜ける感じがした。
「?」
「負けは貴様ぞい」
後ろを見ると、バンダナを巻いたワドルディが一人、海楼石の手枷をつけているじゃないか。
「我輩だってバカじゃない。毒がその手枷を触れても感染しなかった」
「しかし…部下を使うとは…卑怯な…」
すると、数体のワドルディがバケツを持ってくると、その中の液体を全てデデデ大王にぶちまけた。
「ふう、すっきりするぞい」
解毒剤。それが答えである。
「な…しかし…看守達がまだ…」
マゼランが慌てて辺りを見回すと、バンダナワドルディの活躍によって看守のほとんどは倒され、生き残りもほぼ全員医務室行きといった感じだった。
「…く」
「人の上に立つ者なら、自分の戦いじゃあなく全体をみるぞい!」
そういうとデデデは再びハンマーを構えた。
「鬼殺し…」
「やめ…」
「デデデハンマァー!」
この日、インペルダウンは、麦わら大脱走事件以来最悪の脱走劇を許すことになる。
こんにちは。デデデの生命力ゴキブリ並ですね。
次回はリック、クーとカインが魚人島を散歩し、グーイが船の留守番をしているチョッパーと会います。
次回、番外編です。よろしく〜
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