今回は短めの番外編となっております。どうぞお楽しみください。
「おい、大変だ!」
魚人島。そこは魚人や人魚が暮らす、素晴らしい場所。
そんな場所に、珍客がやってきた…
「なんだ、ゼオ。騒々しい」
いつも騒がしい魚人街の中で、奇妙なほど静かな街角。そこに、新魚人海賊団を名乗る集団の主な顔ぶれが集まっていた。
「魚人島に侵入者だ。それも何やら変な…」
「人間か?」
ゼオは少し考えると答えた。
「いや、違う。降りてきたのは三人…三匹だ。それもそれぞれ別々な形で、憎たらしいぐらい呑気な顔をしてる」
「…魚人ではないな」
「どう見ても違った。あいつらはもっと…いや、一匹は魚に似ていたが…とても魚人とは…その上に強い…」
「魚人以外は」
「「「敵だ」」」
ダルマ、イカロスとハモンドが口を合わせて言った。唯一口も聞かないヒョウゾウは、酒瓶を3本の腕で持ち、飲み干している。
「ちょうどいい。今日は見せしめの海賊がいなくて困ってたところだ。狩るぞ」
静かだった魚人街の角は、突然と騒がしくなり始めた…
ーーーその頃、当の珍妙三匹組は、魚人島を満喫していた。察しの通り、この三匹はおなじみカービィ桃太郎。リック、カイン、クーの三匹/人である。
「ねぇねぇ、こんどは何をするの?」
「そうだなぁ…じゃあ、これならどうだ!」
リックは近くの大きなビーチボールを取り、大道芸人のごとくのその上を走りながら道を駆け回る。子供たちの注目の的。
「ふん…」
日陰で休んでいるクーは、味をしめたのか、わかめのコールドスープを大きめのボウルに入れて飲んでいる。
「ボーッ」
人魚達の遊び場に落下したカインは、本人は知らずに人魚達の人気者になっていた。もちろん、本人は気にせずボーッとするだけである。
3人がこうなるまでは、少しの経緯があった。
ーーーおよそ3時間前ーーまず最初に落下したのはクー。だがクーは持ち前の反射神経を使って、うまく落下直前ではばたいて止まることができた。
次に落下したのはリック。不幸なことにも、落下を未然に防いでかっこつけていたクーの脳天にリックが衝突し、重傷は避けたものの、二人とも地面に衝突した。
そしてその上にカインが衝突し、二匹とも数時間は意識不明の重体になった。カインはその衝撃で地面から跳ね、ちょうど見事に水に着水した。カインにとって幸運(?)だったのは、それがたまたま人魚の遊び場だったことである。
カインはそのままぼーっとし続けたが、リックとクーはそうもいかない。クーが先に起き、リックの重みで自分だけでは立ち上がれないと知ると、
「おいリック!」
その一声でリックは飛び起き、クーから降りた。そのあと何回もの謝罪があったのは言うまでもない。
謝罪の途中で事は起こった。クーがリックにだらだらと説教をし、リックもそろそろ飽きてくると…
「おいこら、貴様、人間に血を提供したらしいな!」
黒い頭巾を被った細身の男が一人、大声で家に怒鳴りこんでいた。
「なんだあれ」
リックとクーの注目はそっちに行き、特に退屈していたリックは飛び跳ねると家の方へ走って行った。
「くそ!おい待てリック!」
クーが慌てて追いかけるが、リックの転がる速度は早い。あっという間に突き放すと、もめている家までついた。
「それがなんだって言うんだ!死にそうな人間に血を分けることの何がいけないんだ!」
「高潔なる魚人の血を低俗な人間に分けていることが気に入らんのだ!」
「おじさんたち、何やってるの?」
あまりにも空気を読めない呑気なリックに、二人とも黙ってしまった。
「どっちが悪い人?」
リックがもう一度聞くと、二人とも我に帰ったように喋り出した。
「こいつはな、我々高貴なる魚人の血を、人間ごときに分け与えたんだ!」
「それがなんだって言うんだ!死にそうな人を放っておけるか!」
リックの決断は早かった。
「リックスパーク!」
電撃のようなビームが空を切り、見事に命中すると、ゼオの顔を覆っていた黒い頭巾は跡形もなく燃え尽きた。
「むうっ」
驚いたのかゼオはチェーンを取り出すと、すぐさまリックを攻撃した。
「リックストーン!」
岩のような形に固まり、チェーンを押しのけるよう転がる。
「おらおら〜」
ゼオを潰し、岩を解除すると、そこにはムカつくほど偉そうな顔をしているボロボロのゼオがあった。
「ふ、ふはは!はめられたな!これこそ俺が狙っていた、貴様の体力を消耗させるためにあえてその技を切らせ」
「別に全然疲れてないけど。てかおじさんめっちゃゼーゼー言ってるけど大丈夫?」
呑気にリックが聞くと、ゼオは舌打ちした。
「戦略的後退だ!一時後退して罠を仕掛ける!追ってこない方が身のためだぞ!」
ゼオが魚人街の方角に走り出すとほぼ同時に、クーがたどり着いた。
「なんだなんだ?」
リックが手早くクーに状況を説明すると、クーは少し考えているような顔をした。
「なんでこの二人は争ってたんだ?」
「知らない?」
「知らないで片方を攻撃したのか?」
「うん」
「なぜあっちを」
「敵顔だったから」
的確かつ正論な答えを出すと、クーは諦めたように地面に倒れた。
「何がどうなってるんだ…」
ーーー続きは、番外編Ⅱをお楽しみにーーー
これは、麦わら一味がまだ空島にいたころの話。
「よーし、船番、頑張るぞ!」
少し一人でいるのが怖かったのか、自分自身を大声で激励すると、船の見回りに取り組み始めた。
「なぁに。空から火を吹く鳥が来るわけでもないし、人を丸呑みにする怪物が来るわけでもないんだ。こんな船番楽勝だ」
自分自身を激励している時に、事は起こった。
「なんだ。殺っていいのは一人だけか?」
(ピギャアアアア!!!)
心の中で叫んだチョッパーは、慌てて笛を吹こうとするが、船のマストを見るとそこに笛はなかった。
「笛は…」
そして、チョッパーが見回すと、看板に何か黒い物体のようなものが落ちていた。目と口を認識して生物だと確認すると、その口に中に笛が放り込まれるのを目撃した。
(ギャアアアアア!!!空の騎士ぃ!!!!!)
しかし、その叫びは届かない。
はっと考え後ろに振り向くと、そこには怒ったシュラがいた。
「おい、狸。俺を無視するんじゃない。他の奴らはどこに言った」
チョッパーは少し考えて、ポケットから一つの薬を取り出した。
「誰がお前なんかに教えるか!ランブ…」
だが、飲み込む前に事は終わった。
「…ペロリ」
シュラは体ごと、小さい黒い生物によって丸呑みにされた。
「今…舌が…カエルみたいに…」
「グーイ」
「?」
「グーイ」
「この生物の鳴き声…?」
シュラが食われたショックからようやく抜け出したフザは、危険を察知してすぐさま看板から飛びだった。
が、遅かった。
ハエを追うカエルがごとく、鞭のようにしなる舌がフザを襲うと、シュラと同じようにフザは無と化した。
「ふー。これで敵は消えたな…」
チョッパーは安心したそぶりを見せながら部屋に戻って行った。そしてグーイはそれを追いかける。
『バタン』
グーイが入るとほぼ同時に、チョッパーはドアを閉めた。
「…」
顔を叩いて、水で洗う。それを何回か繰り返した後、グーイの方向を見る。
「夢じゃなかったぁぁ!!!!!」
全速力で壁に逃げ、ゼェゼェと息を切らしながら怯える。
「俺は美味しくないぞ!別の生き物を狙え!」
グーイはそれを聞く気なしに、堂々とチョッパーに近づいていく。
「やめてくれえええええ!!!」
シュラの惨劇を見たチョッパーは、覚悟を決めてグーイに殴りかかる。
「ベロッ」
するとグーイは舌を上手くしならせて、その腕に舌を巻きつける。
「グーイ」
そう言うと、グーイはチョッパーの腕を引っ張り、チョッパーを船の下に連れていく。そしてグーイが止まったのは、キッチンの中。ちょうどサンジがいつも料理をする場所。
「な、な、なんだ!調味料をつけて美味しく食べようって言うのか!やめてくれぇ〜!!」
舌がチョッパーの腕を離し、チョッパーが終わりだと諦めると、
『バンバン』
という音を聞いた。
「…?」
まだ生きていることに気づき、チョッパーが顔をあげると、冷蔵庫の鍵を叩き続けるグーイが見えた。
「…鍵、ならここだけど?」
チョッパーが懐から鍵を出すと、グーイは器用に舌を操り、冷蔵庫を開ける。そして中から食べ物を取り出すと、次々と食べて行った。
「ちょ、全部食べちゃダメ〜!」
心配してチョッパーが駆け回ると、外から声が聞こえた。
「お〜い、チョッパー〜」
「サンジ!」
声を聞いたサンジが駆けつけると、チョッパーが泣いてサンジに駆け寄った。
「うお〜ん!大変だったんだ!まず敵が来て、笛が食われて、敵も食われて、鳥が食われて、俺も食われそうで…」
「…その食いまくったやつはどこだ?」
「え?それは…」
チョッパーがさっと冷蔵庫の方を見ると、グーイはすでに姿を消していた…
グーイ、再来の可能性大
終わりました