デジタル リアライズ 作:棃音
「……こんなものか?」
「いや、まだだ」
少女の指揮で研究員は奔走していた
全く未知な、全く進まない仕事を形にする
0と1を形にするならそれはネットだけの話なのだ
しかしそれにとらわれない発想
デジタル リアライズ
少女は口を三日月のようにし笑う
「早く進めてくれ、被験者などいらない、私がやる」
「しかし!」
批判の声は当然だ、彼女はいわゆる王女だ
「命令が聞けんのか、早く進めろ、猶予はない、一刻も早く進めるのだ」
心中で理不尽なことを言ったことを反省する
しかしそれほどに焦る
そして期待する
誰も手にしたことのない力
そして、それさえあれば、きっと完成する
望むことが
夢が
そう思うだけで楽しく
待つ時間が嫌になる
しかしこんな生活を数年すれば少しは余裕ができる
時にこうまで急ぐには訳がある…
電子の旅人達に会うためだ
そして、女神の騎士に再開したい
それだけが望み
女神の騎士は彼女を救った
それ故に再開を強く望んでいる
電子の旅人達は所謂リアル側の存在
ネット側の存在である彼女とはどうあがいても
なにをしようと、共に過ごせない
そう思っていたが微かに可能性を感じた
彼らがこちら側の世界に入り込んだ
彼らは生身でネットに入り込んだ
リアル デジタライズ
と言うものだ
それができるならネットからも……
デジタルリアライズ
これが可能になると考えそして今それを進めている途中だ
実際は可能だと誰もが思ってはいる
そしてなんども説得された、だが強引にそれを進めさせる
もはや誰にも止められない
それほどの勢いだ
そしてその成果は実る
「完成したか!」
完成の報せを受け、そして早速実行へ移しにかかる
「まずポットへ入り、デジタルの肉体をリアルの肉体へと組み替えます、いいですか?これが失敗すると確実に死にます、そしてリアライズ、どこまでリアライズできるかですがおそらく体に異変があるはずです」
「異変?」
「髪の色が変わるとか肉体に損傷があるとかその類の物になるでしょう、そして出現場所もわかりません」
「そこはどうにかならんのか?」
「ええ、不可能です、ですが屋内になるかと、電子機器の側に出現します」
「何故だ」
「ネットワークが近いからです、そこから出現する事になるはずです」
「帰還方法は」
「帰還方法は……まだ完成しておりません」
「なるほど、もしかすれば私は1人リアルに取り残される訳だ」
「……はい」
「まあよい…いつか用意してくれ」
「かしこまりました」
「では、行ってくる」
ポットへと滑り込む
電子の体が分解されて行く
謎の感覚に包まれる
どうなるのだろうか
これでリアルへ行けるのか
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頭に浮かんだ