願わくば、この鬱積を。   作:めたきん

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 私――フェイト・T・ハラオウンにとって、白崎空は癒しである。

 

 一番の癒しは娘であるヴィヴィオだ。次いで親友のなのは。ここは生涯不動だろう。執務官の仕事はかなりハードだ。元々各世界の取り締まりをする役職のため、只でさえ激務なのに、事務所に戻っても書類仕事とかいうこの世全ての闇を煮詰めたようなナニカが私を追い詰めるのだ。故に仕事が忙しくて家に帰れないなんてことはよくあることで。そのためすべての仕事を終わらせてヴィヴィオ達に会いに行くともう……なんかすごいのだ。あぁ癒されてるんだなーって心から思える。

 先の私の言葉からわかる通り、私は娘であるヴィヴィオと一緒に暮らしてはいない。執務官は前述した通りとてもブラックな仕事だ。家に帰って親がいないなど話にならない。自分がそうだったように、ヴィヴィオには寂しい思いをしてほしくない。故にヴィヴィオはなのはと一緒に暮らしているのだ。……まぁ私が寂しいため休暇が取れれば全てなのはの家に行っているのだが……。

 

 そんな生活を3年程続けていたころ――つまり一年ほど前、私の住んでいるマンションの隣に、一人の少女が引っ越しの挨拶にきた。白崎空という不思議な雰囲気を持つ、おそらくヴィヴィオとそう歳が変わらない少女だった。聞いてみたところ10歳で一人暮らしをするという。

 最初はかなり心配した。学校はどうするのとか、家事は大丈夫とか。彼女は苦笑いしながら

 

「学校とかはもう義務教育終わらせてまして。家事の面は…まぁ人並み程なので大丈夫です」

 

 と言っていた。何かあれば私に言うように、と結構食い気味に念を押してその日は別れた。

 

 それから2か月ほどだっただろうか、私は玄関前で倒れてしまった。その週は特に仕事が舞い込んできて、碌に睡眠をとらずに書類を片付けていた。そのツケがきたのか、頭痛とめまいで倒れてしまったのだ。

 その時ちょうどランニングでもしようかなと考えていたらしい空は、倒れていた私を発見し、持っていたバッグから鍵を取り出して私の家に入り、ベッドに私を寝かせて看病してくれたらしい。

 私が起きてしばらくしたあとに体は大丈夫か、症状の心当たりはあるかなど聞いたあとため息を吐いた。

 

「……いやまぁ私と貴方はそこまで仲良くはないですし、他人の仕事のやり方に口出しするのは本意じゃないんですけど……せめて仲のいい人は頼ってください。今の状態でずっと仕事を続ければ、必ずどっかで体壊してぽっくり逝っちまいますよ。」

 

 ……娘と同じ年頃の子に説教される22歳。うぅ、とても惨めになってきたよ…。……?やけにハッキリと、こう…亡くなるなんて言うんだなぁ…()()()()()()()()()()()

 

「それと、すこし部屋を見させてもらいましたが。……仕事に熱中しすぎて家事してませんでしたね?」

「……えっ、嘘、見ちゃったの……?」

「リビングとキッチンと…あとはクローゼットを。あぁ、興味本位とか悪用とかそういうのではないですよ?キッチンはさっき作ったおかゆのために使わせてもらっただけで、クローゼットのほうは着替えが必要かと思いまして。……まぁクローゼットのなかを見る限り整理整頓されてましたし家事能力はあるんでしょうけど……」

 

 見 ら れ た 。

 人を部屋に上げるときには絶対にキレイにしてから上げていた。だらしない姿は見せたくなかったし、なにより恥ずかしいから。

 

「……そっかぁ、見ちゃったかぁ……」

「…あー、それで提案なんですけど。貴方が家を離れる間私が家事をするってことでどうでしょう?」

「……あははははは……あ、えっと…それってどういうこと?」

「まぁ簡単に言っちゃうと家政婦みたいなモンですかね。料理は人に出せるレベルじゃないんで無理ですけど、それ以外の家事ならやっときますよ。」

 

 うーん…その場合私は助かるけどこの子になにもメリットがないよね…なによりこの子の負担になるし…。

 

「でもあなたに迷惑がかかるし…その話は」

「あぁ、なら対価をもらいましょうか。ギブ&テイクってやつです。それなら少なくとも信用はできるんじゃないですか?」

「いやでも…」

「あの惨状をお忘れになられたか」

「うっ」

 

 それを言われると何も反論できないよ……。…はぁ、ここは諦めて提案に乗るしかないかなぁ……。

 

「じゃあ、その…よろしく、おねがいします」

「はい、任されましたっと。んじゃ自給とか、そういうの決めましょうか。まぁ言っても掃除洗濯するだけですし、午前中に終わりそうですし。ミッドの最低賃金の前後あたりが適切ですかねェ」

「えっ、……君はそれでいいの?」

 

 この位の年頃の子はよくお金を使うしもっといるかとおもったんだけど…そんなことないのかな…?

 

「…あー、貴方って損するタイプだって言われません?」

「?ううん、そんなことないけど…」

「さいでっか…気を付けた方がいいかもなぁ…」

 

 ……そんなこんなで私の日常に新しく一人加わったわけだが――良い。とても。

 

「あぁ、お帰りなさいフェイトさん。今日は早かったんですね」

「お帰りなさい。お風呂はもう沸かしておきましたよ」

「あぁ、フェイトさん。ちょうど良いところに。ちょいと料理にチャレンジしてみまして。味噌汁とか作ってみたんですけど、試食…試飲?してみてくれませんか?」

 

 休暇はなのはの家に行っているが、それ以外でミッドで過ごすのは事務所と自分の家だけ。今まで一人で過ごしていたのもあって、誰かが家で迎えてくれるというのはとても新鮮で、暖かかった。それまでただの休憩場所染みていた自宅がこうなるとは思いもしなかった。

 

「ソラー」

「なんですフェイトさん。今洗い物開始したところですンで雑談ならこのままで――」

「いつもありがとね」

 

 ピタッと止まる。すぐに作業を開始したが、少し耳が赤い。……うーん、照れてるのかな?

 

「いや、まぁ、…ありがとうございます。」

「あはは…ねぇソラ、ヴィヴィオと会ってみない?」

「…ンー、確かフェイトさんの娘さんでしたよね。それはどういう?」

「かなり前に私が倒れたでしょ?それでソラのことをなのはとヴィヴィオに話したんだ。それでお礼がしたいーって」

 

 ソラのことを伝えたときに私が倒れたことも伝えたんだけど…あの時のなのは怖かったなぁ…うん、なのはには逆らわないようにしよう……。

 それにソラをヴィヴィオ達に会わせたいのはお礼だけではない。彼女は学校に行っていないため同年代の友人がいないのだ。いや、恐らくこの子は友達がいない。前に友達と遊ばないのかと聞いたところ、苦い表情をしたあと笑ってごまかしたのだ。

 この関係が始まってかなり経った。私はこの子のことをよくできた妹だと思っている。その子のためになるのならできるだけいろんなことをしてあげたい。

 

「……あー、まぁ…機会があれば、ってことで」

「……うん!じゃあ、次の私の休暇に一緒に行こうか!」

「え、そんな急に決めるンです?…あーまぁ空いてますし行きましょうか」

 

 ソラは落ち着いた子だが、いろんなことをソラなりに楽しんでる。多分今も楽しみにしてるんじゃないかな。

 ヴィヴィオと気が合えばいいなぁ……。

 





正直キャラがあやふや。

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