ではどうぞ、ゼルダ強めで行きます。
新たなフィールド探索中、やはり考え込むことが多くある。
魚もそうだが、やはりアイテムがあの世界の物ばかり。
「テイルさん」
「きゅう?」
シリカとピナが心配して話しかける。今日もお互い、バフ料理の情報を交換していた。
「すまない、考え事していただけだ……」
料理がうまくいくとバフで、逆だとデバフ料理になる。
シリカのはとても好評であり、魚も仕入れ始めた為、レパートリーが広がっていた。
こんな日々の中、彼女はずっとこちらを見つめていた。
◇◆◇◆◇
「テイルって、笑わないんだよね」
「そういやあ、そうだよな」
ユウキの何気ない一言に、クラインはうんうんと頷く。
「そうかな? 何気ないことには、ちゃんと反応してるよ」
アスナの言葉に、ユウキも頷く。
だが、
「いやいや、それでも彼奴は。ああ、とか、うん、とか、そんなんばっかだぜ」
「確かに、不愛想と言うか、何と言うか……」
「本人が宣言した通り、口下手なのはもう分かってますけど」
「あんまり過ぎるってところがね」
クラインの言葉に、アスナもなにも言えなくなり、シリカ、リズも頷く。
「それより、ここ最近難しい顔ばかりです。この前も食材の交換で、難しい顔をしてました」
「そう言えば、あの人、私たちと仲が良いけれど、まだちゃんと話し合ったりして無かったね」
「あっ、ならさっ♪」
ストレアが嬉しそうに、なにか思いついた。
◇◆◇◆◇
「………」
ターゲットは物静かにショップを見て回る。
手に《コハクの耳飾り》を手に取っていた
「あ、あのっ、テイルさんっ」
「シリカ……」
「お、おはな、お話がありますっ」
そう顔を真っ赤にして、何か恥ずかしそうに話しかけられ、
「どうした」
彼は無表情なのは相変わらずで待っていると、意を決して、
「す、すす、好きですっ」
シリカは顔を真っ赤にして告白し、彼はそれを聞き、ぼりぼりと頬をかき、空を見上げ、そして静かにシリカを見る。
真っ赤な顔のシリカに、
「ギャラリーはどこだ」
すぐにそう呟いた。
◇◆◇◆◇
「一番手ですぐにバレたね~」
「シリカがいきなり告白してきても、分かるぞ」
一応彼らとの交友がある者なら、キリトに好意を寄せるメンバーぐらい、クラインじゃなくても分かる。
それが急にこんなこと言いだすのは、
「俺が無表情だからって、無理に表情を変えさせようとしないでくれ」
呆れながら言うと、ユウキとストレアはえぇ~と言い、周りは苦笑する。
「友達は少なくても、知り合いはいる。こんなことは一度二度じゃない」
「なんでえい、もうされてたのか」
「けどテイル、あまり笑わないと楽しそうに見えないんだもん」
「分かってくれていれば、俺はそれでいい」
「あっはは、まあテイルはその方がかっこいいって言う、女の子プレイヤーがいそうだし、このままでいいんじゃないかな?」
フィリアの言葉に、女性プレイヤーはわーきゃー言い始める。
テイルはぼーとして、ただ無口で通しているだけで騒がれる。それに少しクラインは羨ましそうに見ていた。
そうしてたら、
「えーい♪」
そう言ってストレアがぎゅーしてくる。
「どうどう? おねーさんにぎゅ~されるの」
「嬉しいよ」
だが無表情であるためか、むむむっとうなり、うぎゃーとストレアが構ってくる。
ユウキも楽しそうとか言って参加して、二人の首根っこを持って、キリトとアスナに渡す。
◇◆◇◆◇
メンバーはユウキ、リーファ、ストレアで、湖のフィールドを探索する。
「いつもここで魚の採取してるんだよねテイル。あたしたちもできるかな?」
「やろうと思えばできる」
「そう? どうやるの」
ストレアがそう言い、俺は、
「まず魚影の集まりを見つけ、ソードスキルの準備……」
「テイルそれ違う」
ユウキがすぐにそう言い、これが一番効率がいいんだが………
そんなやり取りの中、広い湖を見つけ、奥が滝であり、滝音が聞こえる。
「向こう側いけないかな?」
「この辺りの岩壁は垂直過ぎて、登れるかどうかわからないし、一人じゃな」
「それじゃ、探索はここまでにして、一度戻りますか?」
リーファの言葉に頷き、全員が一度引き上げた。
◇◆◇◆◇
「結構探索したけど、採取アイテム豊富なフィールドだな。シリカ、テイル。この魚はどんな効果あるんだ?」
「それは《シノビマス》ですね、どうもモンスターから狙われにくくなるようです」
「へえ」
「キリトくん、魚の影にソードスキル使うからびっくりしちゃったよ」
「ふむふむ、それが一番なのか。あたしもやってみよ♪」
「いや絶対に違うと思います。お兄ちゃんとテイルさん、変なところがほんと似てますね………」
リーファが呆れるが、俺はキリトがまたこっそりと《ゴーゴーガエル》系採取してる。
「採取系で、結構採取するプレイヤーは多いみたいだぜ。クエストもそうだけど、バッタ系とか面白いからな」
「おおっ、オレが手に入れた《ツルギカブト》ってのも、結構でけえのがいて、面白かったぜっ」
そんな会話の中、一人のプレイヤーが近づいてくる。
「景気はよさそうダナ、キー坊」
アルゴがそう言いながら現れ、こちらの戦利品を見る。
「おっ、新フィールドのアイテムカ。オレっちも欲しいから情報は高く買うゼ」
「それより、なにか用事があったんじゃないのか?」
「ああ、それも大事だガ、テイルにナ」
「俺か」
静かに側に近づく。アルゴは俺の無口度は知っているので気にせず、
「テイルはあるモンスターをテイムしたらしいナ、それなんだが………」
「『グラニ』か」
シグルドの愛馬の名前。最初は『エポナ』と名付けようとしたが、元ネタが説明できないといけなかったのでやめた。
プレミアはその名前を聞き、嬉しそうに微笑む。
「あの子の話ですか?」
「ああ、実はあの馬、高難易度のクエストなんだ」
まず野生のに気付かれないように近づく。
次に騎乗し一定時間乗り続け落ち着かせる。
他の方法でエサで時間をかけて懐かせるらしい。
「んで、いまのところはテイル以外にテイムした奴はいないって話ダ」
「その情報欲しさに、テイルの所に来たのか?」
「いいヤ。あの馬、別フィールドにも連れて行けるだロ? 実は新フィールドでいけない湖の場所があるんダ」
「あああそこ」
ストレアの言葉に、俺もあの場所を思い出す。
そして、
「どうもあの馬、水の上を歩けて、滝を上ったり、下ったりできるらしいんダ」
「えっ、それホントっ」
目を輝かせるユウキたち、ある意味湖を馬で走るのはどんなものか、興味があるらしい。
すでに野生のモンスターが行き来しているのが目撃されていて、プレイヤーも行けるのではと、その検証らしい。
「情報さえくれればオネーサンはいいんダ。報酬も出すゼ」
「そうか、試してみよう」
そう頷くと、すぐに手を上げる者たちがいる。
ユウキやプレミア、リーファやストレアはもちろん、未開拓地にキリトまで。
「待て、彼奴で運べるのは最低二人まで。最低あと一人だぞ」
「そうなると」
「うん、私も気になるし」
そして静かに立ち上がり、拳を固め、全員がジャンケンを始めた。
◇◆◇◆◇
装備を槍に変え、シリカとピナ、プレミアを前に乗せて。後ろにはリーファを乗せている。
愛馬に乗り、平然と野を駆け、湖の前に来た。
「それじゃ、行くぞ」
全員が頷くのを確認して、手綱を引っ張り、先に進む。
「水の上を歩いてます」
目を輝かせて言うプレミア。シリカもピナを抱きしめながら、リーファも頬を緩める。
俺はそのまま走り、滝の前に来た。
「行けるか」
そう聞くと、グラニは吠え、平気らしい。
「ハッ」
そして一気に駆けだすと、ジェットコースターのように水の上を滑り、一気に進む。
広い大きな滝で、意外と高く、そのまま滑り降りた。
「びっくりしたけど凄いよテイルさんっ♪」
「はひ………、凄いですねグラニちゃん」
「きゅる♪」
「凄いです………」
リーファが後ろから抱き着きながら、水を滑るように先に進む。
プレミアが寄りかかり、シリカは馬の首にしがみつく。
そんな中槍を片手に、静かに進んでいくと、
「野生の子たちもいますね」
「ああ」
水の上にいて、近づくと離れていく。
その様子を見ながら、しばらく進んでいると、
「っ!? さすがに来たか」
「来たって………」
その時、槍を振り回し、何かを弾く。
「いまの」
「後方四時の方角」
「敵っ!?」
スピードを上げて陸地を探す。
それに平行して馬の足音が聞こえ、同じように来る者達を確認する。
「いま視認しました、数は四人っ。二人は弓矢です」
「エネミー側だけ弓矢装備なんだよな」
そう冷静に槍を右手、左腕に手綱を巻き付け操った。
槍はまあまあの物であり、静かに前を見ながら、リーファに合わせる。
「右側から」
攻撃を弾きながら、陸路まで走る。
「もうすぐ陸路ですっ」
「そこに入れば飛び降りてくれ、その後は俺が対峙する。リーファ残り二人の武器」
「片手剣と槍です」
陸地に乗り上げた瞬間、三人は指示通り飛び降り、そのままUターンし、川の上で激突する。
「片手剣はそっちに行く、任せるぞ」
「了解!」
返答を聞き、弓矢のカバーを受けつつ、槍使い同士の激突が始まる。
「ハッ、でやっ!」
「くっ」
相手はNPC、エネミーモンスターじゃない。ならば、
「なぜ俺たちを襲うっ」
「侵入者を攻撃して何が悪いか」
会話を返した。そのまま、対峙して、
「いきなり宣告も無く攻撃か、俺たちは冒険者だ、ここを荒らしに来たわけでは無い」
「ふざけるな、悪いがここで捕縛させてもらう!」
だが攻撃は本気であり、自分らはともかく、プレミアは危険だ。
仕方ないので、馬を駆使して、槍を弾き、突進して馬を蹴る。
驚いた瞬間、槍で乗っているNPCを叩き落した。
「うまいねっ」
そう軽口をたたくのは、黒っぽい髪の、化粧を施したスカーフを巻く男が弓矢を構え、即座に落とす。
「へえ、やるな君。僕ほどじゃないけど」
その口調と、顔のタトゥーみたいな顔。
どこかで覚えがある。
「『リーバル』殿ッ、不審者にそんな悠長に」
………なに?
「そうは言うけどさあ、もう僕ら以外倒されたよ?」
そう言い、片手剣の剣士も落とされ、取り押さえられている。
暴れる馬は、シリカが落ち着かせ、その様子を見ながら、
「不審者と言えば不審者だけど、いま僕らの抱える問題と、関係ないんじゃないかな? ま、この状況で君らを守りながら戦うの僕無理だよ」
「それは……」
「それじゃ聞くけど不審者さん、君ら、水の都になにかご利用かな?」
「………なにも知らない、この先に何かあるか調べに来ただけだ」
「なんだい、まあ不審者なのは間違いないね」
そう言いながら、俺は内心驚く。
確かに口調や顔の模様など、彼を人間にしたような男だ。
ともかく馬を操り、何か考える彼らから離れる。
「あの、私たちこの先に行っちゃいけないんでしょうか」
「ああ、ああうん少し待って、うん」
何か考え込むリーバルは、何か思いついた顔でこちらを見る。
「君ら冒険者って言ったよね? 怪物とか倒せる?」
「リーバル殿っ」
「落ち着きなって、正直僕らだけじゃ、あの怪物倒せないんだし、彼らなら死んでも痛くないし、いいじゃないか」
そんなことをさらっと言いながら、こちらに話しかけて来る。
「怪物退治?」
「そ。いま都がピリピリしてるのは、危険な怪物がいて、それを鎮めるために人柱を出さなきゃいけないの。んで、都の領主の娘が選ばれた。ここまで言えば分かるよね?」
「………代わりに怪物に向かって、死ぬか倒すかしろってことか」
「そう言う事、話が早くて助かるよ。かわりに君ら、他に仲間いる? 良ければ彼らも呼ぼうか?」
「………」
少しそのまま歩き出して、リーファたちの下に近づく。
「クエスト、でしょうか? まだ発生してませんけど」
「仲間を呼ぶってのは、他にいるメンバーを呼べるようにするための処置だろう。メッセ飛ばせばキリトたちならすぐに来られるだろうし」
「なら、呼んでみます? 皆さん来たがってましたし、クエストも大掛かりそうですし、アイテムのことも考えて」
「だな。何人まで連れて来られる?」
それに五人までらしく、メッセージを飛ばす。
彼らの案内で先に水の都へと進むのだが、正直驚くことが多い。
(正直もうどーにでもなれ)
そう思いながら、ピナが頭に止まり、そのまま水の都へと入り込む。
そこでまた新たな驚きがあるが、この時も表情が働かなくってよかったと思った………
ちなみにテイル、リーファに抱き着かれても何とも思わない。この子精神大人だから、気にしない。
エポナにしてあげたかったけど、仲間からどういう意味?とか聞かれたらとか色々思い、結局有名どころを選ぶ。
それでは、お読みいただきありがとうございます。