どうぞよろしくお願いします。
馬を歩かせ、集落らしき水の都に来る。
その美しさにプレミア、シリカ、リーファは言葉を無くした。
岩壁を削った造形美、美しい水の集落に驚く一同。
そしてしばらく待つ。
「よお、凄いところじゃないかここっ」
「ホント、綺麗なところ。キャラバンはあったけど、ここも凄くいいね」
キリトとアスナが興奮が収められずに驚きながら来て、続いてクライン、シノンにリズも連れてこられた。
「けど内容はパーティー戦らしいクエストなんでしょ、アイテム補充したわよ~」
「ほらよ、テイルたちの分もしっかりとな♪」
「ありがとうございます」
「きゅる♪」
アイテムを補充し、リーバルがこちらに来る。
するとクエスト承諾メニューが現れた。
「内容は」
「タイトルは《水の乙女》か。怪物により恐怖に包まれた都、生贄に捧げられそうになる少女を救えか。ベタだけど、難しいか?」
「ともかく」
全員で顔を見合わせて、選択を受ける。
「君ら、そろそろいいかな? 代表の方が君らをお呼びでね」
「ああ」
俺に話しかけてきたので代わりに頷く。
「ここのパーティーリーダーは」
「テイルでいいだろ、最初に来たのは君だし」
「………分かった」
そうなるよな、話しかけてきたのも俺メインだし。
そして案内された先で、
「ッ!!?」
クラインに電流が走る様子が見えたが、俺は別の意味で驚く。
そこに一人の美しい少女がいた。
長く深紅の色を持つ髪、瞳の色も独特でほんのり化粧をした綺麗な女性。
腕や服に装飾を付けていて、ティアラのようなものを身にまとう。
あの服を思わせる服を纏い、ふわりとスカートを翻す。
「始めまして、この都の領主の娘……。名を『ミファー』と言います」
それに顔色は変えなかったが、驚愕する内容だ。
「領主ということは」
「話は聞いていますか? 私はこの都を収める『ドレファン』。いまこの都には怪物が大事な湖に住み着いています」
「それは」
「その湖は神聖なものでね。この都に魔獣が襲われないようにするものだったんだ」
だがその湖事態に怪物が居座り、その効力を無くす。
結果魔獣が都に攻め込むようになり、その怪物も食べ物を求めて襲うようになる。
「認めたくは無いけど魔獣くらいはどうにかできる。だけど怪物はお手上げなのさ」
怪物から放たれる爆発する魚を抑え込むため、奴に食わせる食べ物を渡していた。
だけどそれも尽きかけ始め、ついに生贄を出すしか無くなる。
「それで私を捧げることになったのです」
弱々しいがはっきりと、彼女はそう言う。
「いけねえ……、そんなのいけねえよ!」
クラインは立ち上がり、すぐに領主にはっきり言う。
「領主さんよ任せてくれッ、その怪物っていうの、このオレたちが必ず退治するぜっ」
「ま、君たちがエサになれば、まだ時間稼ぎくらいできるからね」
リーバルは隠す気も無く、そんなことを呟く。
「リーバル、私たちの問題に、関係ない人を」
「いいじゃない、彼ら、自分から退治するって言うんだしさ」
ミファーがリーバルに抗議するが、彼は態度を変えず、俺は前に出て、
「ともかく、その怪物退治をやらせてくれないか」
「………すみません」
領主はそう短く言い、せめて遠方より援護する話をし、戦いの場である情報を話してくれる。
◇◆◇◆◇
「できれば弓矢をくれればいいのだけど」
シノンはそう言い、まあまあとキリトが落ち着かせながら、話を纏める。
「つまるところイベント戦で、水辺か水中戦の可能性があるな」
「そうなると、少人数が前に出て様子見。攻撃パターンを見てから全力か」
「死に戻りなしを前提にするなら、俺と君でパターンを確認した方がいいな」
キリトはそう言い、俺は頷く。
この世界のNPCは蘇生されない。もしかすればここで俺たちが倒れればミファーは変わる可能性がある。
それは嫌だ。彼女が、あの彼女ではないのは理解できるが、それでも抵抗を覚える話。
「オレはやるぜっ、ミファーさんのためにもな!」
うるさいのがいるため、シノンとリーファ、リズが呆れ、俺はリズに槍の替えを頼む。
「そうか、あんたなら騎乗して戦えるもんね」
「そうなると剣より槍がいいから」
「そうなると、俺は状況によっては離れていた方がいいな。サポートはするよ」
「ああ頼む」
そして戦闘の準備並び、この都で情報を集める為に、一度解散する。
「ああクライン、あんたミファーさんに聞きに行くの禁止ね」
「なんでだよッ」
「あんたじゃちゃんと聞かないからよ」
リズとシノンにそう言われ、クラインは黙り込み、キリトは話をつづけた。
「それじゃ、プレミアはどうする」
「わたしはミファーと言う人から話を聞きたいです」
「俺もリーバル、たぶんそっちは最初に関わったプレイヤーの方がいいだろう」
「なら私も付いて行きます。お兄ちゃんはアスナさんとシリカちゃんとで」
「その方がよさそうだな」
「それじゃ、時間を決めて、合流しましょう。怪物退治も、私たちがアクション起こさなければ発動しない、って保証もないしね」
アスナの言う通り、こういうのに時間をかけ過ぎて、突然怪物が暴れ出したとか言われて呼び出されても困る。
こうしてすぐさま別れ、行動に移った。
◇◆◇◆◇
彼女の部屋へと案内され、彼女から怪物の話を聞く。
内容は、触手のようなものの中に目玉があり、触手に触れたものは食われてしまう。
配下に爆発する魚がいて、それを大量に放つ。
湖は周りを滝に囲まれた場所で、周りは崩れた遺跡が水没してたりする。足場少なく、聖なる馬の力を借りなければ行き来はできない。
「テイル、わたしたちは戦う際どうすれば」
「俺はいいが、キリトたちは誰に乗せてもらうしかないだろう」
「お話は私から付けておきます」
そしてリーバルに会う為、その書類を書きだすミファー。
見た目人間の少女だが、やはりあの『ミファー』を連想する。
「あの、すいませんが、あなたはなぜ、怪物の生贄になったのですか」
リーファは少し悲しそうに聞くと、彼女は凛として胸に手を置き、はっきり告げる。
「私には弟がいます、領主の跡を継ぐのはあの子で十分。このようなことを民の方々に押し付けるわけにはいきません」
恐怖はあるのだろう。だがリーファの問いかけに、しっかりと答える。
やはりなにがなんでも攻略しなければいけないな。
そう思っていると、プレミアが絵本を見つけた。
「これは」
「それは……、私の好きな、勇者と異種族の姫様の、恋の物語です」
「それは」
「はい。種族が違うこともありますが、勇者様にはすでに大切にする、同じ種族の姫様が居ます。それでも勇者を慕う、異種族の姫様の物語です」
そう言い、本を手に取り抱きしめるミファー。
そんなところまで似ていることに違和感を感じながら、彼女には、
「安心してくれ」
「えっ」
「俺たちが怪物を倒す」
「はい、任せてください」
それを聞き、最初驚くが、すぐに頭を下げ微笑んだ。
◇◆◇◆◇
「僕らがするのは、怪物への弓矢の攻撃と、馬で君らを怪物にけしかけることだね。問題ないよ、君は……一人で問題ないね」
リーバルの方も、本質が同じなら、彼は仲間を守ることを優先しているだけだ。
ともかく話を聞きながら、怪物は水底に身体半分を沈ませ、触手だけ伸ばしているらしい。
目玉と爆発する魚だけを放出して、ともかくメインアタッカーは俺になるようだ。
「ともかく、やるんならきっちり倒してくれよ。僕らも手を貸すんだからね」
「ああ」
「………」
難しい顔でこちらを見ながら、軽く舌打ちする。
「君、友達少ないだろ。何でもかんでもできる奴って、僕嫌いなんだよね」
「テイルは良い人です」
「はいはい、だからなお悪いんだよ………」
後半プレミアには聞こえていないが、彼は念入りに弓矢を整備する。
弓の発射や、場所などの指示はこちらの要望を聞く。シノンに言って、彼女の指示を聞くように話を通しておく。
◇◆◇◆◇
広い開けた空間で、滝に囲まれた湖の真ん中に、透明な触手が浮いている。
キリトたちも騎手がいる馬に相乗りさせてもらう。リーバルを含め、弓兵が五人がシノンの指示。残りは槍を持つ騎馬兵。
プレミアを乗せている方だけ、ある意味気になる。だがいまは気にしていられない。
「まずは俺が先陣を切る、キリトたちは慣れないだろうから、しばらく俺が戦う。援護射撃とバフを頼む」
「分かった、みんな、用意は良いかっ」
キリトの号令に、アスナたちがバフをかけて、俺は突進する。
俺の予想が高ければと思いながら近づくと、無数の触手が現れ、その中に目玉が一つある。
(もう話したが、あれがまずの弱点だろ)
足場を気にしながら、まず俺がタゲを取り、弓兵で目玉を狙う。
キリト、クライン、リーファが分かれ、スイッチの待機。
リズとシリカ、プレミアは、
「水面、爆弾三体ですっ」
俺に指示を出して、下から迫る爆弾魚を避ける。
こうして無数の触手が出る中、
「いまよっ」
正確に弓矢の指示を出し、着実にダメを与える。
無論可能なら、
「でやッ!」
槍で俺も攻撃に参加する。
「ゲージが見えないっ、ともかく注意しろ!」
そしてリーバルの矢が目玉を捕らえた瞬間、巨大な悲鳴が響き渡る。
「離れろッ!!」
すぐに離れ、体制を整える。
水面が荒れ、突然現れるのは、
(こいつは《覚醒多触類オクタイール》っ!!? まさかまさかと思っていたが)
巨大な長い魚であり、こちらに向かって水面から飛び出し、巨大な口を開き迫る。
それを避けながら、タゲはいまだ俺のようだ。
「ハッ、スウ」
水面を駆けて、突進する。
「今度はゲージが見えているっ、狙いは目玉!!」
さすがキリト、まだ背中に目玉があるのに気づいた。
「うまく誘導してっ」
「了解ッ」
迫る攻撃を避けつつ、シリカとリズ、プレミアの爆弾の指示を的確に聞く。
「アスナそろそろスイッチする、テイルの回復準備」
「スイッチ」
「待ってましたッ」
三人が変わって動き出し、水面から飛び出す際に斬り込みだす。
「大技じゃなく、的確にダメージを与える。弱点狙いはシノンたちに任せ、タゲを取らせないようにするんだっ。シリカたちの指示も忘れるな!」
「分かったよっ」
「おうとも!」
俺はアスナの下に行き、回復サポートを受けながら、次に備える。
キリトたちは三人で飛び出すオクタイールに苦戦はする。やはり自分の足場では無く、騎馬による戦いになれていない。
「バフ掛け終え後、参戦する」
「分かったわ、キリトくんっ、テイルさん回復後前線復帰!」
的確に目玉を狙う弓兵たち、その時、
「タゲ取られたっ」
シノンの指示を聞き、バフが間に合い、駆けだす。
「はっ!」
すぐに真横に着き、槍で目玉を突く。
悲鳴を上げ、タゲが俺に変わり、すぐに応戦するが、爆弾魚の指示が多い。
「クライン、プレミアは俺と共に爆弾魚の除去。テイルのサポートをする」
「了解!」
「分かりました」
攻撃を加え爆発させる音の中、的確にオクタイールのゲージを削る。
「ゲージはっ!?」
「あと一本半っ」
その時、真正面から突進してくるオクタイール。すぐにグラニを操るが、
「! 爆弾来ますっ」
「!?」
指示が遅れ、側で爆発する魚。
それに驚き、グラニの操作を誤った。
(まずい)
そう感じながら、この場合どうするかすぐに切り替えた。
グラニだけを攻撃から抜け出させ、俺は飛ぶ。
「テイルっ!?」
持っていたロープを取り出し、すぐにそれをオクタイールに引っ掛ける。
そのまま目玉の側に来て、短剣を取り出す。
「こうなればッ」
水中に入りながら俺を振りほどこうとするオクタイール。
だが水中だろうがなんだろうが、しがみついて斬り続けるのは何度もした。
そのまま攻撃し続け、キリトが、
「激突するぞッ」
それにすぐに離れ、水中に落とされ、岩に激突するオクタイール。
「射撃隊っ」
すぐにシノンが用意していた射撃が一斉に放たれ、リーバルの矢が穿つ。
その瞬間、悲鳴を響かせ、ゲージが消し飛び、ポリゴンへと変わり消え去った。
「助かった」
同時に爆弾魚も消え、水中に浮いていると、グラニに近づいて、俺はほっとした。
◇◆◇◆◇
こうして領主の下に呼ばれる。都は賑やかな雰囲気で、クエストは成功したようだ。
「旅の方。怪物の撃退、見事です。これをどうかお納めくださいな」
「これは、聖石っ!? ここはプレミアのイベント場所だったのか」
そう言うキリト、プレミアは祈りを捧げながら、石は光、側に。
「やはりあなたは《聖大樹の巫女》様でしたか。ならばこれは貴方の物です」
「ありがとうございます」
祝いの席を用意されながら、みんながクエストクリアの表示に喜び、報酬も出た。
だが俺はある意味、一抹の不安だけは残るが………
◇◆◇◆◇
他のメンバーもここまで運んでもらえるらしい、クエストクリアしたキャラとパーティーを組んだ者ならば、ここまで運んでもらえるらしい。
アルゴはその情報に喜びながら、イベントボスだがおそらくこの様子では一度だけだろう。
そんな中、俺は町を見て守っていると、
「あの」
「ミファーさん」
その時、あの可憐な少女が現れ、ゆっくりと近づく。
「怪物退治、ありがとうございます。おかげで都は救われました」
「俺だけじゃない、貴方たちの力もあったから」
「そうですね、リーバルたちには感謝しなければ」
「あの場にはあなたもいましたよね?」
それに驚く中、少しだけ目線を泳がせる。
「………どうしてお分かりに」
「騎馬の人が持つ槍、あなたのだけ特別性ですから」
それにああと納得されるが、実際『彼女』が用いた槍だから。
なにより、
「民の為に生贄の道を選んだ者が、大人しく待つとは思えない……」
それに驚きながら、僅かに口を両手で多い驚いていた。
「凄いですね、まるで絵本の中の勇者様のようでした……」
それに、その言葉は、嫌になる。
その言葉だけは俺は背負いたくないと願い、懇願し、否定した言葉。
その重みが一気に伸し掛かる。
「………俺は勇者になんてなるつもりはない」
鉛のような重み、黒い感情がまとわりつく。
勇者なんて、勇気なんて俺にはない。
やめてくれ、なりたくない、俺はそんなもの背負いたくないんだ。
「だが」
だけど、
「仲間くらいは守る、それだけできればいい」
それだけは背負う。それくらいは背負ってみせるさ………
聞きながら、ミファーは、
「それでも、あなたは………」
だが途中で言葉を飲み込み、静かに微笑む。
その頬が少し赤い気がしたが、気のせいだろう。
いくら人間でも、似ている以上、彼女は勇者に恋していてほしい。
「これを」
彼女はそう言い、腕につけていた飾りを渡して来る。
「これはこの都に深く関わる者しかつけないもの。なにかあれば我々が貴方たちの力になります」
「いいのか」
「私は替えの物を付ければいいだけですから」
そう言われ、俺は両手にそれを装備する。一応話はつけるが俺が装備していいか聞かないと。
能力はいいが、アタッカーばっかだからな。他にも付けた方がいい奴いっぱいいるよこれ。性能良すぎる。
そんな会話をして、彼女たちと別れた。
◇◆◇◆◇
俺は勇者にはならない。
(俺はテイル、彼、先生じゃない)
だけど………
だからと言って、仲間を守ることに関しては、負ける気もない。
そう心の中で思いながら、都にやってきた仲間たちの下に出向く………
必死に考えて、こいつしかいなかった。水中戦専用アイテム多い。
ソードアートオンラインは、自分が考えるよりも難しく、凄い場所だった。考え無しにユウキ救う話作ろうってのは甘かった。
そんな弱気ですが、多くの人が読んでくれてると思うと嬉しいです。この調子で頑張ります。
それでは、お読みいただき、ありがとうございます。