ソードアート・レジェンド   作:にゃはっふー

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テイル、だいぶ身内のおかげで喋れるようになりました。


第16話・予期せぬ戦い

 フィールドを探索する傍ら、たまにレベリングする。

 

「………あっ、テイルさん」

 

 そこで都はだいぶプレイヤーが行き来する中、彼女と出会い挨拶をする。

 

 そんな中、

 

「ごきげんよう、ミファー」

 

「プレミア様、ごきげんよう」

 

 こうしてたまに彼女を連れて来る。

 

 最初の頃はデータの受け答えしかなかった彼女。いまでは自分の意思を前に出して、しっかりと話したりする。自分よりも話せるだろう。

 

 そんな日々であった。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 そんなある日、彼女のイベント関係らしい場所があるので、俺、ユウキ、キリトとアスナ。プレミアと共にフィールドに出ている。

 

「ここから先に進んだ先に、大きな木があるんだって」

 

「それはいいが」

 

「ん~、まだ見えないな~」

 

 ユウキを肩車しながら歩く。ユウキはしっかり俺に捕まって、プレミアはずっとこちらを見る。

 

 その様子を微笑ましく見るアスナ。

 

 そしてプレミアと会話しながら、彼女は少しずつ学習していると肌で感じる。

 

 大樹のところでユウキを降ろし、プレミアを見ると、祈りを捧げるということはしない。

 

「反応は無いか」

 

「この木はプレミアちゃんとは関係無かったね」

 

「けど、楽しい散歩になったねっ」

 

 ユウキが腕に張り付く中、それをよく見て来るプレミア。

 

 なんだろうと思う中で、

 

 

 

「いい加減にしろよッ!」

 

 

 

「?」

 

 遠くの方、プレイヤーの叫び声が聴こえ、全員がそちらを見る。

 

 様子を確認するために見に行くと、一人のプレイヤーと、パーティーを組むプレイヤーがもめていた。

 

「あれ、は」

 

「ジェネシス………」

 

 キリトが呟く言葉、それは《黒の剣士》と呼ばれる、悪名で有名なプレイヤーだ。

 

 ついにはデュエル、いやそれすら手順を踏まず、勝負すら仕掛けようかというほどあおるジェネシス。

 

 だが結局何も起きず、パーティーが去り、ジェネシスも去ろうとしたとき、キリトと目が合う。

 

「あん? モブのヒーロー様じゃねぇか。俺に何か用があるのか?」

 

「いや、通りかかっただけだ」

 

「そうかよ………」

 

「………」

 

 その時、プレミアを見て、僅かに下に見た。

 

「なるほど、今日もモブを連れ歩いて、仲良くヒーローごっこか。ははっ、ウケるな!」

 

 ケンカ腰過ぎるな、彼は。

 

「用がねぇなら行くぜ、じゃあな」

 

 そう言って、ジェネシスは去っていく。

 

 キリトが抑えている以上、抑えるべきか。

 

 言いたいことがあるが、モラルにかけること以外、彼は何もしていない。

 

 俺はいつもと同じ、ただ黙り続けた。

 

「あの人、有名なプレイヤーって話だけど、よく思ってない人が多いみたい」

 

「楽しいゲームのはずなのに、どうしていがみあっちゃうんだろう」

 

「分からないな………」

 

 そう話し終え、今日は解散する。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「テイルって、NPCにモテるのかな?」

 

 ストレアがキリト、テイルがいない時、唐突にそのようなことを言った。

 

「なによ、またその話?」

 

 リズは嫌な顔をし、シリカはうぅっとうなる。

 

 正直いまの恋は諦めて、新しい出会いと言うのもありと言うか、相手に恋人がいるのだからそれがいいというのは分かり切っているからだ。

 

「実はこの前の、ミファーって人、テイルに対して好感度高い気がしてね」

 

「そうなんですか」

 

「尋ねたとき、テイルがいないか少し探したからね~」

 

 そう言いながら、ストレアは面白くなってきたと言う顔で言う。

 

「ミファーさん綺麗だもんね、キリトも少し、あの人に見惚れてたし」

 

「えっ、そうなの?」

 

 その時アスナから僅かな怒気を放ち、シリカたちもむっと言う、オーラが出ていた。

 

「うんだって、キリトも凄い剣士ですねって褒められてたら、顔赤かったよ~」

 

「………へえ………」

 

 いまテイルと台所にいるキリトの方を見るアスナ。

 

 キリトが謎の悪寒を感じ取る中、フィリアが少しだけ呆れながら、

 

「やっぱりテイルとキリトと似てるね~」

 

 人に好かれやすいところ、剣士としての腕前など、そう言う意味で呟いた。

 

「似てる……、似てるとは言えば」

 

 プレミアがシリカの肉まん屋で出されているバフ料理を食べていた。

 

 最近はバフ料理も出している。そして一度フォークを置き、なにか思い出したように、

 

「ここ最近、テイルは一人の時、難しい顔でなにか考えているようです」

 

「あっ、それ分かります。料理の時も、少し目を離すと難しい顔ですよ」

 

「そう言えば、片手剣の強化の時も。彼奴かなり念入りと言うか、その」

 

「SAO時代のようだな」

 

 エギルがそう呟くと、その瞬間、あの世界の彼といまの彼が合わさる。

 

「けどテイルさん、あのメッセージにはなにも反応してませんでしたよ」

 

「リーファの言う通りだが、なにか別のことで考えてるのか?」

 

「………こうして話してると、彼のこと、私たちってなにも知らな過ぎてる気がするね」

 

 アスナがそう呟くと、ユウキもまた、

 

「うん……。ボク、治療のために先生とお話しするとき、テイルのご両親も聞いてくれるようになってくれたんだけど、テイルとはそんなに話してないかも。ゲームの話ばっかし」

 

「彼が何もしゃべらないけど、私たちも聞かないのも悪い。そう言いたいの?」

 

 シノンはそう言う、確かにと頷く。

 

「まあ、話したくないことを話せってのは、マナー違反だけどよ。ここまで仲良くなったんだからよお、少しはリアルのことで知ってもいいよなオレら」

 

「確かに……。SAOの頃も、ALOの頃。そしていまもリアルも。せっかく仲良くなったんだから、彼ともっと話をして、仲良くなりたいよね」

 

 アスナがそう言い、それには全員頷く。

 

 そしてキリトと共に、調理場から彼が現れる。

 

「あっ、テイル♪ 今日も料理?」

 

「………ユウキ」

 

 難しい顔でユウキを見る。その顔に、仲間たちは、

 

「テイルさん、その、一人で抱え込まないでください」

 

「アスナ……」

 

「せっかくこうして仲良くやってるんだから、なんか悩みがあるなら聞くわよ」

 

「そうですよ、私たちも聞いてもらってます。だから、話してくださいテイルさんっ」

 

「オレらだって、オメーの助けになりてえんだよ」

 

「リズ、シリカ、クライン……」

 

「ど、どうしたんだみんな?」

 

 キリトだけが分からず、そして静かに料理を置いて、

 

「分かった……」

 

「テイルさん……」

 

 そしてテイルは意を決して、

 

「きょ、今日の料理は《ゴーゴー包み焼き肉》。材料は《ポカポカ草の実》に《トリ肉》。そして《ゴーゴートカゲ》をふんだんに使った……」

 

「………………………えっ?」

 

「結構うまいんだぜっ♪♪ 少しびりっと辛くて、なかなか。アスナ食べて」

 

「食べませんッ!!」

 

 テイルはだよな~と言う顔をしながら、ユウキたちに普通の食材を使ったものを提供する。

 

 キリトはその後アスナに連れていかれ、なにか助けを求められたが全員がそっぽを向く。

 

 結局テイルから話を聞くことはなかった。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 今日も暇なため、市場めぐりをしている。

 

 その時、プレミア……を見つけた。

 

 俺はなぜ疑問形なのだろうか。

 

「プレミア」

 

「………」

 

 また静かに、雰囲気がいつものと違う気がするが、

 

「前に言っていた、馬でフィールドを巡るか……」

 

「………」

 

 少し考え込んだが、彼女はついてくる。

 

 やはり気に入ったようで、なによりだ。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「はっ」

 

「………」

 

 今度は後ろに乗せているため、少し早く駆けられる。

 

 ひがみつくプレミアを、少し心配しつつ、色々と見て回った。

 

「いろいろな場所があるだろ」

 

「………」

 

 静かに周りの景色を見入っていたプレミア。

 

 やはりいろいろな場所を見るのが好きなのだろう。

 

(なるべく、綺麗なものを見せたいな)

 

 そう思いながら、再度馬を走らせ、フィールド探索もついでにする。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「プレミア、せっかくだから、少し周りを見て回ろう」

 

「………」

 

 馬で帰ったおかげで、まだだいぶ時間がある。

 

 たまには町の中を歩くのも悪くないだろう。

 

「なにをしているんですか?」

 

「いろいろなものを見てる……。町の中でも、かわったもの、きれいなものはあるから」

 

「………」

 

 色々見て回っていたら、NPCの雑貨店を見つけた。

 

「ほら、ここなんか」

 

「いらっしゃい、なにかお探しで」

 

「なにか欲しいのはあるか?」

 

「………」

 

 その時、彼女の視線はあるもので止まっていた。

 

 これは『ティアペンダント』と言う、簡単な装飾品らしい。

 

「これを」

 

「はいよ」

 

 どうにか資金が足り、それを購入する。

 

「ほら」

 

「………」

 

 首をかしげるプレミアだが、そのペンダントを静かに付ける。

 

 少し服で隠れるが、彼女は静かに渡されてつけてくれた。

 

 喜んでくれてるのだろうか?

 

 少しドキドキしていると、いつの間にか去っていた。

 

 気に入ってくれたのだろうか?

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「それで聖石が昔争いあって、取り合ったのか」

 

「ああ、そう言う話らしいよ」

 

 攻略会議が前回行われて、リアルのことがあり出なかったが、こうして話を纏める会議の報告を聞く。

 

 祈りの神殿なり、古い地図なりとで、攻略を進める。

 

「………だんだん規模がでかくなってないか?」

 

 それにはキリトたちも感じ取り、リーファもなんだか、クエストがちぐはぐみたいと、そう感じ取る。

 

 いや、いくらなんでも、これ以上変な事にならない。

 

 俺は変なところで、この世界をまだ創作物と思っているらしいな。

 

 もうここが俺の現実であり、仮想もまた現実だ。

 

 だが、逆にそうだからこそ、何か起きる気がしてならない。

 

「ジェネシスって言うプレイヤーも、良い噂を聞かないな」

 

 話を聞くと、《トランスプレイヤー》。簡単に言えば、違法プログラムを使用したプレイヤーのような強さだが、それは、

 

「実質不可能だ、カーディナルがある以上、チートもなにもできないはずだけど」

 

「………そうか」

 

 僅かな時間キリトと話し合いながら、次にみんなを待って、ステージボスの話になる。

 

「最近のステージボスが、すでに倒されてることか」

 

「ああ。噂じゃ、下見無しの初見で倒した、じゃなきゃこんなに早く倒されることはないぜ」

 

 クラインの言葉に、おそらく全員があるプレイヤーを思い出す。

 

「《黒の剣士》か」

 

「変な取り巻きも増えているらしいな………」

 

「新エリアは解放されていないらしい、クローズドβだから、これ以上先は無いのかもしれない」

 

「………調べるか」

 

「任せて、まだ封鎖されてるエリアが行けるのなら、その先にプレミアのクエストもあるはずだからね」

 

 みんながみんな、ここで終わらすつもりはなく、全員がフィールドを改めて調べる話になる。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

(とはいえ、一人歩き回ったが………!)

 

 崖、岩壁がある。

 

「………」

 

 登ろう。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 色々な場所で、色々なアイテムを見つける中、ある場所に来る。

 

 その時、持っていたアイテムが光り輝く。

 

「これは、この辺りの敵倒して手に入れた………。まずいっ」

 

 その時はキリトなどの仲間がいたが、今は一人。

 

 そして直感が的中して、モンスターが現れた。

 

「………」

 

 片手剣と盾を構え、静かにそれを睨む。

 

 ギリギリ行けるだろうか、やるしかない。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「セイヤ!」

 

 身体の動きからどうにか倒し、アイテムが尽きて、HPなどを確認していると、

 

「!? 岩が無くなった、幻影として設置されてたのか。聞いたこともない情報だ」

 

 しばし考えた後、メッセージを飛ばし、先に進んでみることにした。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 こうして攻略を進める中、町で一休みを取る。

 

 みんなに後を任せ、店で待機する。

 

 アイテム尽きたからな、キリトたちを待つことにした。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 そしてメッセージで伝えてもよかったが、キリトが全員を集め、話し合いが始まる。

 

 四つ目の聖石を手に入れ、プレミアが礼を言う。

 

「気にしないでいいよ、みんなやりたくてやっているだけだから」

 

 シリカの言う通り、プレミアはだいぶ成長したようだ。

 

 そしてキリトから、気になる伝承があったらしい。

 

「前は確か、『女神より授かりし力の象徴である六つの聖石。その一つをここに祀る』。だっけ」

 

「確かそれで、石が六つあり、女神の単語が出て来るんだっけか」

 

 そしてその話の中、どうも女神が二人いると、そう話をする。

 

 そうなると彼女が女神であるか、そうでないか分からないが、何者か分からなくなってきた。

 

 だが、

 

「『大地を混沌が覆う』、ね………」

 

 内心、やはり1クエストにしては、大々的な話になっている。

 

 聖石は四つ手に入った、ともかくいまは進んでいるのだろう。

 

「皆さんありがとうございます」

 

 そう静かに呟くプレミアに、みな喜んでいる中で、この疑問は飲み込んでおこう。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 しばらくして、キリトからメッセージが飛ぶ。

 

 どうも、ジェネシスが倒したボスは一体であり、もう一体いた。

 

 自分たちが転送装置などのキーアイテムを手に入れた先に、もう一体のステージボスがいる。

 

 それが来たが、さすがにフィールドを練り歩きすぎたこともあり、ボス戦は参加は遠慮させてもらおう。

 

 それでも様子を見に行ったり、別にフィールドを調べたりするため、その準備に町に出ている。

 

「ん」

 

 その時、人込みの中で視線を感じ振り返る。

 

 そこにプレミアが横切る。

 

 

 

 その姿に、謎のノイズを微かに見た。

 

 

 

「!」

 

 すぐに辺りを見渡したが、すでに姿は無い。

 

「いまのは」

 

 一瞬でノイズらしいものも見えたが、あれは間違いなくプレミア、か?

 

(………だめだ、さすがに確証が持てない。いまはボスか)

 

 頭を振り、静かにもうボス討伐の募集が始まる中だった………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 ボスが二体いた、そんな情報の下、多くのプレイヤーが動く中、俺はフィールド探索。

 

「………?」

 

 不意に、そう、また不意に気配がして、そちらを見た。

 

「!」

 

 崖の上、そこにいるのは、

 

「プレミア?」

 

 プレミアらしい影、今度は間違えない。

 

 そしてこちらを見たとき、ノイズらしいものが走り、それと共に奥へと進む。

 

「まずい」

 

 プレミアは最近、戦う術を覚えてきた。

 

 だがこの辺りのレベルはどうだ?

 

 俺は急ぎ崖を上り、彼女を追う。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「ここは」

 

 崖を上ったり、下りたりして、拓けた場所に来る。

 

 何か気配を感じる。ボスエネミーのような、そんな気配。

 

(いや、ボスはここにもいる……。三体なの………)

 

 俺は静かに驚愕する。

 

 目の前にいたのは、まぎれもないボスだ。

 

 そして………

 

 炎が迫ってきた。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「やったぞ、ボスを倒した!」

 

「………けど、何も起きない?」

 

「そんなバカなっ、ボスエネミーなのは確かだぞっ」

 

 レイドを組んだパーティーたちが困惑する中、俺たちもまた困惑する。

 

 いまのは確かに大ボス、ステージボスだ。それは間違いないはずなのに………

 

「まさか、ここのステージボスは三体いるのかっ!?」

 

 その言葉に驚愕し、ざわめくプレイヤーたち。

 

 その時だった。

 

 

 

『ガアァァァァァァァァァァァァ―――』

 

 

 

 フィールドを揺るがすほどの雄たけびが響き渡り、全員が見渡す。

 

 どんなことが起きたんだと、俺はすぐに地図を取り出した。

 

「キリトっ」

 

「クライン、分かってる。まさかと思うが」

 

 地図をよく見ると、空欄がある。

 

 もしかすればそこにいるはず。

 

 だがそこに、

 

「パーティーメンバー、フレンド登録したプレイヤーがいる」

 

「ここにいない、一人で来られるフレンドって」

 

「テイルっ」

 

 俺たちは急ぎ、このフロアに行く方法を探し出すために動く。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 あり得ない、俺はそう思った。

 

「はあ……はあ……」

 

 そこにいたのは巨大な大剣、両手斧かもしれないものを片手で持ち、ケンタウロスのような姿だが、頭部はライオンのようだ。

 

 巨大な角を持ち、盾も持つそいつは槍すら使う。

 

 炎を吐きだしたり、知らない攻撃パターンに苦戦するが、初戦で全てを知り、全てを倒す。

 

 SAOで鍛えられた俺はいま、

 

『ガァァァァァァァァァ―――』

 

 咆哮を上げる金色のライネルと対峙していた。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「………」

 

 俺たちは絶句した。

 

 とんでもないモンスターがここのステージボスとして、君臨していたんだから。

 

 だが、一番驚いたのは、

 

「ハッ」

 

 後ろへバク転し、振り下ろされた攻撃を避け、瞬時に斬り込むテイル。

 

 蒼のコートが翻り、すぐに剣撃のラッシュを決めた後、盾を構えた。

 

「き、キリの字、急がねぇとテイルがッ」

 

「分かってるッ!」

 

 だが、場所が入り組んでいて、行きづらい。そう言えば崖上りが得意だったな彼奴。

 

 崖を何度も上り下りして、体力が削れる。HPゲージ関係なしにだ。

 

 今の状態であれと戦えない。

 

 そう思った時、盾と槍を捨て、両手で剣を握り始めた。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「………」

 

 集中する。

 

 突進、火炎弾は避けられる。もう一撃食らわなければ、倒せる相手だ。

 

 豪速に振るわれる剣撃を避け、静かに耐える。

 

 まだだ、まだ。

 

 ここになぜこいつがいるか、いまはいい。

 

 こいつは俺が倒す。

 

 ただそれだけだ。

 

 瞬間、縦に振り下ろされた攻撃を避け、瞬間、

 

「その首もらう」

 

 そしてラッシュを叩き込み、雄たけびが響く。

 

 どれほど戦っただろうか。

 

 斧にも見える大剣が砕け、片手剣になり、盾が転がる。

 

『この地域のボスは討伐されました』

 

 アナウンスが流れる。

 

『新しいフィールドが解放されます。町の転移門から進む事が可能となります』

 

 全身から汗が流れ出る中、静かに剣を掲げる。

 

 それと共に喝さいが聴こえ、名前を呼ばれた気がして振り返る。いつの間にか、岩陰やら崖上にプレイヤーが多くいて、

 

「テイルっ」

 

 仲間たちが駆けつけた。

 

 ギリギリ間に合ったぜ………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 そして世間に響くのは、流れ弾でも被弾したらHPゲージを根こそぎ取る相手に、たった一人で挑み勝った男の名前が、この世界に広がる。

 

 その名はテイル、そして《蒼の剣士》だ。

 

 とりあえず、こいつが次からログインするか、俺たちはそれだけを不安にし、新たなフィールドへ挑める。




皆さんは素ですか? ヨロイソウ、ヨロイダケ。少し忘れた。私はバフ無しでは勝てないと思ってます。

少し作品で悩み中、活動でこの作品について相談があるので、お暇でしたら活動報告を見てください。

それでは、お読みいただきありがとうございます。
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