ソードアート・レジェンド   作:にゃはっふー

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アイテム、キャラクター、ライネル。

どんどん多くの出来事を乗り越えながら、テイルたちの攻略は大詰めに。

ではどうぞ。


第17話・告白

 ボスを倒し、新たなエリアが開かれた。

 

「討伐おめでとうーーー」

 

「さすがだなキリト」

 

「いや、今回テイルの活躍がでかいよ」

 

「………」

 

 服装を変えようとしたが、テイルはみんなに止められ、彼が獲得した盾と剣。それは完全に証として、彼が装備していた。

 

 それでバレてしまうのだから、諦めろだ。

 

 アイテムも使い切り、ギリギリの戦いだった。もうログアウトしたい。

 

 プレミアの為に開かれた道、それに軽いお祝いをする。

 

「ボス討伐ご苦労サン」

 

 その時、猫ひげのようなペイントをした女性プレイヤー、アルゴが訪ねて来る。

 

 彼女曰く、新たな新エリアの道は開いたらしい。

 

「しかし、よくあんな道を見つけたナ」

 

「あっ、ああ、その件だけど………」

 

 その時、彼は口ごもる。少しばかり注目を浴び過ぎていた。

 

 ここでプレミアのことを言うのは、彼女にも注目が向くと思い、

 

「崖でアイテムをな」

 

 と言うしか無かった。

 

「へえ、さすが《蒼の剣士》に休みはない。SAO時代と一緒なんだナ」

 

 今回は集めさせてもらうゼと笑顔のアルゴ。

 

 アルゴ以外も、多くのプレイヤーが聞き耳を立てているのに気づきながらも、彼は静かに話すだけにした。

 

「それにしても、キー坊とテイル。いまや真のトップランナーとして、周りから絶賛の嵐だナ」

 

「俺も?」

 

「もう一体を見つけたのはキー坊だロ?」

 

 そんな話の中、キリトは苦笑する。

 

 彼もまた、諦めずに探索したのだから仕方ない。

 

 周りを気にしながら、お互いの顔を見る。

 

「プレミアのクエスト攻略を続けたかっただけなんだがな………」

 

「………」

 

 テイルも頷く中、仕方ないと諦めている二人。

 

「普通なら誰もが見落とすはずサ、あそこで騒いでいるヤツだけじゃなくてネ」

 

 その言葉に、何かを蹴った音が宿に響く。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「冗談言ってるんじゃねぇ!! ボスを倒しても、ヒントすら出なかったんだぞ!?」

 

「そ、そんなこと言われても………、実際、これだけ噂になっているんだしさ………」

 

 そこにいたのは《黒の剣士》、ジェネシス。

 

 彼はボスを倒したことで、かなり噂になっていた。

 

 いつの間にかそれらは、ボスを倒したもう一人のプレイヤーテイルと、隠されたボスを見つけたキリトに変わっている。

 

 そして手下たちに当たり散らした後、こちらへ歩いて来た。

 

「おいテメェ………、もう二匹ボスがいたっていうのは本当か?」

 

「ああ、このエリアには、ステージボスが三体いたんだよ」

 

「何で先があるって気が付いたんだよ」

 

「別に気が付いたわけじゃない、ここで終わらしたくなかっただけだ」

 

「終わらせたくなかっただけだと?」

 

 その時、エギルが前に出る。その後ろで仲間たちもこちらを見ていた。

 

「何のために攻略しているか………。その違いが今回の結果に繋がったんだ。自分の為か、人の為かっていう違いでな」

 

「誰かのために攻略だ? 哲学つもりかよ、吐き気がする」

 

 その時、テイル。彼を見る。

 

「この世はもっと単純だ、強いか……弱いか……。結局は自分一人だ」

 

「………」

 

「テメェだって、一人で倒したんだろ? それともあれか、テメェ、チートでも使ったか?」

 

「! お前っ」

 

 キリトが前に出ようとしたが、手で遮る。

 

「俺は不正もしてないし、一人で戦っていたわけじゃない」

 

「ああ?」

 

「俺が彼奴に勝てたのは、積み重ねたもので挑んで勝った。それだけだ………」

 

「ちっ、まあいい………。お前らにもそのうち、そのことを味わわせてやる……必ずだ」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「………なんで止めたんだテイル」

 

 立ち去った後、キリトは不満そうにそう言う。

 

「ケンカして欲しくなかった……」

 

 俺がチートかどうか、それは分からない。

 

 俺は骸骨の戦士から、ただ伝授されただけだ。

 

 必ず死が許させない、そんな気迫を感じる試練。

 

 それをこなしてついた技術は、そう言うものではないとはっきり言えない。

 

 だが、それでも選び、勝ち取った自信はある。

 

 それよりも、キリトが彼奴と悶着を起こす方が、俺にはきつい。

 

「………悪い」

 

「気にしないでくれ」

 

 こうして気持ちを切り替え、お祝いは続く。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 新たなフィールドは砂漠地帯。

 

「あ、暑い………」

 

「ほれユウキ、水分含んだ果物だ」

 

「ありがとうテイル………」

 

「お前さん、相変わらず妙に準備はいいよな。俺なんか、もう水が」

 

「ほれ」

 

 クラインたちに果物や水を渡しながら、まさか試練で慣れたとも言えず、こういった未開拓地域に行く際の準備をしていたのは、自分だけ。

 

 とりあえず一通り見た後、すぐに帰還して、備えることにする。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 砂漠のフィールドも探索するが、クエストもある。

 

 今回フィリアが持ってきたクエストの手伝いで、メンバー全員でダンジョンに戻っていた。

 

「大きな分岐点のたびに、みんなと別れ別れに進んで、もうボクたちだけになっちゃったね」

 

 ユウキ、アスナ、キリトと俺の四人。洞窟の奥に進んでいた。

 

 何かジメジメしてて、湿気が増す。

 

「溶岩地帯に繋がってる、ってことはないよね?」

 

「いや、そこまで強い熱気じゃない」

 

 ユウキの言葉に、俺はそう言いながら進む。

 

 そうして煙が見え、そこにあるのは、

 

「温泉?」

 

 ちょうどいい温度で、広々とした温泉。

 

 さすがに入るのはどうかと思ったが、アスナもユウキも入りたがっていて止められず、俺たちは岩陰で待つ。

 

 楽し気な会話が聞こえてくるが、キリトが少しそわそわしてる。気にすることではないのだが………

 

「キリト、他のみんなはどうなんだろうな」

 

「あっ、ああ。ここに来るまでも、アラームトラップや扉の開閉ギミック。色々やたら用意されてたからな」

 

「そんなダンジョンにこんな温泉か……、罠だったりしてな」

 

 そうボソッと言ってみる。

 

 装備を外し、モンスターをけしかける………

 

 俺たち二人して顔を見合わせた。

 

「まずいっ、急いで二人に伝えて……」

 

 その時、モンスターらしきうなり声を聞き、俺は武器を構える。

 

「キリトは二人を、俺はモンスター」

 

「分かった!」

 

 そしてキリトが奥に進み、俺は構え、エネミーを持つと、

 

「っ!?」

 

 岩の形をしたモンスター、それは《イワロック》。弱点の背中の鉱石までしっかりしている。

 

 一体だけだがこれを普通に叩くのは至難だ。

 

 ともかく攻撃を仕掛けながら、背中の鉱石を叩く。やはりダメージの入りが多い。

 

 ともかくアスナたちを呼びに行ったキリト。

 

 ………

 

「あっ」

 

 いまキリトの方が危険なのではないかっ!?

 

「キリトぉぉぉぉぉぉぉぉ、無事かぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 叫び声を上げるがそれより先に突進が放たれ、盾で防ぎ吹き飛ぶ。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「アスナ話を聞いてくれっ、これには深い訳が」

 

「どんな訳なのかなあ?」

 

 仁王立ちして睨んでいるアスナ、ユウキは苦笑している。俺の話を聞いてくれない、いまテイルが大変な事態なのにッ。

 

 そう思っていると、

 

「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 付近で来たテイルが、ユウキに激突して押し倒す。

 

「あっ」

 

「ツッ。すまないユウキ! ユウキ?」

 

「………」

 

 タオルがはだけ、少し危険な状態で、テイルがユウキを押し倒して、ユウキがボッと言う音と共に顔を赤くした。

 

「あっ、あっ、て、てぇいりゅ?」

 

「待てユウキ、気持ちは分かるがその手をやめてくれっ」

 

 いまユウキは、メニュー画面を操作して、テイルを監獄送りにしようとしているが待ってあげてくれっ。

 

「て、テイルさん。キリトくんといくら似てるからって、そんな」

 

「じゃなくって、モンスターが出たんだ!」

 

「えっ」

 

 その時、テイルはすぐに気づき、ユウキを抱き上げ、瞬時に動いて避けた。

 

 彼は後ろに目があるようにバク転で避け、すぐにステップで距離を取る。

 

 岩の塊のようなゴーレムで、背中の岩だけ色が違う。

 

 それ以外印象が岩の塊で、テイルにタゲを取っている。

 

「やばいっ、岩石の固まりのくせに早い!」

 

「テイルさん、ユウキ!」

 

「キリト弱点は背中の岩だっ、さっき攻撃したが」

 

 そう言いかけたとき、また岩の腕が迫る。

 

 それをバク転で避けたりと、器用過ぎるだろ彼奴っ。

 

 そう思った時、ひらりとタオルが、

 

「あっ」

 

「えっ」

 

「にゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 その時ユウキが彼の目を覆い隠す。

 

 俺は彼のおかげで見えない。ついでにアスナは装備操作で気づいていない助かった。

 

 そして彼はすぐにバックステップで後ろに下がるが、ガコンという音と共に仕掛けを踏む。

 

「しまっ」

 

 そのまま彼らの後ろ壁が開き、その中に入る。

 

 その瞬間、天井が落ちて来るのと同時に、扉が閉まった。

 

「テイル、ユウキぃぃぃぃぃ」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 危なかった。

 

 ともかく、俺は天井が下りてきたので、ユウキを下ろして天井を支え、外の仲間が助けに来るまで耐える。

 

 ユウキも服を着て、仕掛けが解けないか調べていた。

 

 しばらく外では戦闘音が聞こえていたが、しばらくして入口が開き、外に出られる。

 

 キーアイテムもユウキたちが見つけ出し、どうにかクエストは進んだ。

 

 進んだのだが………

 

「………テイル」

 

「キリト、この程度で済んでよかった。だろ」

 

 俺とキリトは女性メンバー全員に菓子をおごると言う謎の罰を課せられ、キリトは泣きそうだ。

 

 どうも少し金銭感覚が、性能が良い武具があるとどうしてもとか言うし。

 

「あっ、二人とも。今回だけって思わないでくださいね」

 

 ………キリトは膝から崩れた。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 悲しい事件が起きてしばらく、フィールド探索で資金を集める今日この頃。

 

「ここ最近、なにか身体の感覚がおかしい」

 

 クラインやフィリアたちと、フィールド探索をしている。

 

 ユウキは許してはくれたが恥ずかしそうに、にゃーーと言いながら避ける。心が痛い。

 

 とりあえず、それとは別に。それはライネルを倒してから、ひときわ感じるようになったこと。

 

 それは身体、感覚のズレだ。

 

「おかしい? それはどんな」

 

「身体と頭の動きに、ズレがな」

 

「ズレ? それってまずくないか? どんな感じなんだよ」

 

「………たぶん、普通の人じゃ分からない。処理落ち、かな? 僅かに本気になった時、ごく僅かにズレがある」

 

「本当っ!? 安全面は平気かな」

 

 そう言いながら身体を動かす、それでも本気の時の僅かなズレには、いささか気にはなる。

 

 そんな会話の中、メッセージがキリトから来た。

 

「プレミアのことかな?」

 

「緊急みたいだね」

 

「とりあえず、ズレなんてもんは気のせいかもしれないし、気のせいかもな………」

 

 そして俺たちは知る。

 

 プレミアのクエストは、このゲーム正式サービスで行われるはずの《グランドクエスト》だと言うことを………

 

 さらに俺は忘れている。プレミアらしき影のことを。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 プレミアのクエストは未公開のトップシークレット。

 

 ゲームが正式に起動したときに行われるクエスト、《グラントクエスト》だとセブンから教えられた。

 

 それにより、色々と合点が行く。

 

 虫食いのようなクエスト発動条件や、様々な伝承が絡む物語。

 

 そして所々で違う話のように展開するところ。

 

「公開前のクエスト、セブンもどうして受理されたか分からないのか」

 

「ああ、向こうも相当驚いていたよ。ただ、明らかに異常な状況ではあるらしい」

 

 仲間たちは皆浮かない顔だ。

 

 それもそのはずだ。彼女はいまだ、クエストの為に町をうろついている。

 

 クエストが用意されていないクエストNPC。悪ふざけにしても酷過ぎだ。

 

「パパ、管理者コンソールを探しましょう」

 

 真剣な顔で、ユイちゃんがそう答える。

 

「それは………」

 

「SAOにあった、あの端末のことか?」

 

「はい、開発スタッフがゲームの中から各データを参照し、調整するために用意されたものです」

 

「それを調べれば、このクエストが動き出したか分かる、ってことだね」

 

 その言葉に頷くユイちゃん。

 

「けど、このゲームにも、そのコンソールが存在するのかな」

 

「いや、SAOにあったのなら、それを下地にしたこのゲームにも存在するはず。ただ問題は」

 

「それがどこにあるか………」

 

「セブンちゃんなら知ってるんじゃないかな」

 

「開発スタッフなら知っているだろうから、その時は」

 

 俺を始め、みんなが頷き合う。

 

 場所は攻略中の砂漠地帯、そこを目指し、動き出す。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 そしてここ最近、探索を続ける中、事件は起きた。

 

「シノンさんが、最近、ログインしてないの」

 

「シノンが」

 

「そう言えば最近見かけてないけど、なにかあったのか? キリトたちはなにか」

 

「しばらく待ってほしいって」

 

「なにかあるんだろうな、ったく、こういうとき俺らは蚊帳の外か」

 

 クラインはそう愚痴る。かなりデリケートなのだろうか、キリトは偶然にでも知ったのかもしれない。

 

 キリトから連絡が来るのを、ただただ待つしか無かった………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「一つ聞くが、俺たちも聞いていい話なのか」

 

 苦しそうなシノンがそこにいて、静かにこくりと頷く。

 

「ええ、みんな、仲間ですもの。ちゃんと自分の口で伝えたい………」

 

 それはシノンの過去の話。

 

 シノンは11歳の時、当時住んでた町の郵便局に強盗事件が起きたらしい。

 

 ニュースなどでは誤射により、強盗犯は死んだことになった。

 

 実際はシノンが犯人の持つ剣銃を手に持ち、撃ったと………

 

 シノンがSAO帰還者ではあるが、途中、事故のようなことでログインしたらしい。

 

 それはユウキと同じ、システムの治療法で、心の病と闘っていた。

 

 いまでも拳銃の写真で吐き、苦しんでいる。

 

「私は、いままで黙って、ずっとみんなの仲間って言っていたの………」

 

「シノのんっ」

 

「黙っててごめん………だましていて、ごめんね」

 

 そう言うシノンだが、

 

「ふざけるな」

 

「! テイル……」

 

「そんなことで騙したことに入るわけないだろ」

 

「えっ………」

 

 その時、驚くシノンだが、それがどうした。

 

 こっちは前世持ちで、みんなのことを最初、小説やアニメの中の者と見ていたんだ。

 

 それを考えれば、俺が一番酷いのかもしれない。

 

「悲しいこと、言わないでほしい」

 

「テイル………」

 

「そうだよシノのんっ!」

 

 みんな、この事件の話を聞いたところで、それで仲間を見捨てたりはしない。

 

 ユウキもそう言い、クラインもまた頼るように言う。

 

「わたし、いていいの……」

 

「そんなの、もう答えは出てますっ」

 

「そうだよシノンっ」

 

 シノンは涙を流しだす。

 

 シノンの過去を知っても、ここに仲間を見捨てる者はいなかった。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 色々あったが、シノンの過去をいまさら知って、俺は後悔する。

 

 知っていたところで何もできない。ユウキの件で俺にできることは、たかが知れていることは知った。

 

 なら次は?

 

 シノンを受け入れることだろう。

 

「………結局できることなんて、たかが知れてるんだな」

 

 骸骨の戦士。

 

 彼から戦う術、生き残る術を教わった俺は、チートなのか分からない。

 

 だがこの力は俺が習得したもの、誰が何と言おうと。

 

 俺はなんなんだろうか。

 

「………俺は」

 

 あの日考えるのはやめたのだが、鉛のような重い感覚が消えない。

 

 もう考え込むのはやめておこう、そう思うが止まらない考え。

 

 チート、優遇された存在なのは間違いないSAO時代。

 

 そしてなにより、勇者の偉業、その重みが意味も無く背負っている感覚。

 

 ただ、いくら考え込んでも答えなんて出なかった………




相談も何もできない問題は苦しいですね。

それではここで、お読みいただきありがとうございます。
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