砂漠フィールドのどこか、その位置をユイちゃんが特定し、キリト、俺、アスナ、シノンで探索している。
砂漠の中、水の減りが多く、果物で水分を取らせながら歩く。
「用意してたつもりだったけど」
「意外と少なかったわね………」
「キリトは」
「いや、俺はまだ」
「ダメだ、前に飲んでから時間はかなり経っている。VRとはいえ、砂漠の中、水分をこまめに取らないのは危険だ」
そうこうしながら進んでいると、
「!? 戦闘音?」
「向こうか。確認しよう」
そうして砂漠の砂丘を越えて駆けると………
「あれは、NPCがエネミーに襲われているっ!!?」
「周りにプレイヤーはいない、クエストかなにかか?」
「けど、エネミーは」
「砂の中だ」
俺がそう言うと共に砂の中から出てきたのは、
(またか)
砂の中から《モルドラジーク》が現れた。
「なにあれっ!? 魚なのっ!!?」
「キリト、ああいうタイプは砂の中で音に反応する。注意しろ」
予測と言う形であれの特長を言う。
悪いが時間をかける気はない。
即座に突撃して、あれを捌く。それ以外に選択肢は無かった。
◇◆◇◆◇
モルドラジークはボスや中ボスエネミーに指定されていなかったからか、巨体の割に、早く決着がつく。
「すまない、助かった」
NPCは女性が多く、筋肉質で力強い。
なにか嫌な予感がする。
そこに小さな少女もいた。
「すまないな旅人よ、わらわは『ルージュ』と申す」
(やっぱりか)
女性のキャラバンのようだが、話を聞くとこのエネミーの視察し、様子を見に来たのだが、
「此度はわらわたちの考えが浅はかでな。まさか視認した時より襲いかかるとは」
「それは大変でしたね」
「汝らに礼をしなければな。この近くにわらわたちの集落がある、そこに来てくれまいか」
その時、キリトたちと目が合う。
「どうする。コンソールがあるか分からないが」
「この近くだ、念のために見に行こう」
そして彼らに案内され、集落へと向かう。
その途中で、あることに気づく。
「キリト、この辺りはマップにない」
「未開拓? けどこの辺りにはプレイヤーが来ていてもおかしくない……。彼らを助けたことで行けるクエストだったのか?」
「それでも、クエスト表示が無いのはおかしいよ」
「それって」
「コンソールのようなものがある場所。かもしれないな」
「着いたぞ」
◇◆◇◆◇
俺の知る町とは違い、男性もいるが大柄で、ハンマーなど担いでいる。
「この辺りは砂と岩しか無いからな。男衆は鉱山に出かけ、女は砂場で水を守るのが町の流れなのだよ」
そう言われながら、奥へとたどり着くと、そこに、
「族長、魔物調査の件が終わりました。魔物は彼らの手により討伐され、わらわたちも窮地を救われました」
「そうか、姪が世話になったな。私の名は『ウルボザ』」
それに驚き、もう一人、大柄の男性もいる。
「俺の名は『ダルケル』だ。男衆に変わって、俺からも礼を言わせてくれ」
そう言われながら、その時、ダルケルたちは俺を見る。
「おめえさん、ミファーたちと知り合いか」
「知っているのか」
「ああ、あの都とこの集落は交易でな。そいつはあの都の王族か、それに親しいもんしか付けないもんよ」
そう言い腕の飾りを指しているのだろう。こんなところで彼女に助けられるとは。
「あの子や、リーバルも関係してるだろうね。彼らの知り合いなら、自由にしてくれていいよ」
「本当か、それは助かる」
キリトたちと向かい合い、頷き合いながら、すぐにコンソール探しに出かける。
◇◆◇◆◇
鉱山のエリアでコンソールを見つけた俺たちは、ユイちゃんとストレアを連れて来る。
ここには俺、キリト、アスナの三人が護衛として側に。ユイちゃんに砂漠越えはきついかと思われたが、彼らと繋がりができ、ラクダを借りたり、ルートも確保できた。
(彼らと繋がりが、こうして事態を改善できる、か………)
深く考え込みながら、しばしユイちゃんとストレア、二人がコンソールを操る様子を見る。
そして分かったのは、いくつか改変と、強制起動の跡が発見された。
「『神木に祈りを捧げる』、これが強制的に大きく変えられてるのか」
コンソールが開けば手伝えるため、調べている。
この辺りも勉学に励んでよかったよ。
「このイベントはどんな感じだった」
「えっと、発生も唐突で、良く分かりませんでした」
アスナが敬語を使い、少し戸惑うが、それよりもだ。今はそれを無視して、データを見る。
「ねえねえ、プレミアのクエストを書き換えてるモジュールを発見したよ」
ストレアの言葉にそれを見る。
「このモジュール………このゲーム用にビルドされていない」
「ビルドって」
「プログラムを実行可能の状態に変換することだよ」
「つまりユイちゃんは、モジュールがこのゲームの為に作られたものではないって言ってるんだ」
「………」
いや、まさか、そんなことは………
俺がある可能性にたどり着く。いやでもそんなことは無いはず。
「テイル?」
「どうかしたの」
「いま、まさかそんなことないはず………」
そう言い、俺は少しデータを見る。
そして謎の痕跡を見つけた。
「これは、外部へデータを送受信を行われている痕跡がある。送信先は、無数のアミュスフィアっ!?」
「ねえそれって」
「どうした」
キリトたちが言うには、セブンたちのいまの仕事で、アミュスフィアの謎の処理落ちが起きていると話され、それを調べる。
「カーディナル・システム。SAOやALOに使われてるシステムと基幹プログラム」
「どうしてデータを送ってるの」
問いかけに首を振る、現状そのことで分からないとしか言えない。
ユイが憶測だが、巨大な計算を分散して行っていると考える。
「まさか、やっぱりか……」
嫌な予感が的中し、ユイちゃんが俺の画面を見て驚く。
「そんな、これは」
「なんだっ!?」
「これは………これは、アインクラッド崩壊シュミレーションモジュールですっ」
「あ、アインクラッド!?」
「なんでSAOの舞台がここで出て来るんだよっ」
驚く中、それを調べ出す俺たち。
「テイル、どういうことなんだ」
「このゲームは元々、SAOが基盤として作られたゲームだ。サーバーデータもコピー品。そしてSAOはクリアされた場合」
「その舞台であるアインクラッドを崩壊させる処理が組み込まれています」
ユイちゃんが補足してくれる中、画面操作しながら話をつづけた。
「このモジュールは、その崩壊をテストするためのシュミレーションプログラムだ」
「いやだって、このゲームはSAOと違うでしょ」
「だがコピー品だ、まったく違うとは言えないんだ」
「それじゃ」
「このモジュールは、このゲームがSAOと誤認して、独自稼働しているんだ」
それにキリトたちが驚き、青ざめる中、どうにかデータを洗い出す。
「もしもこのモジュールが最後まで処理を実行すれば、大地は崩壊し、フィールドの多くが消失してしまいます」
「フィールドが消失っ!!?」
「そんなことになれば、このゲームは続けられなくなるぞっ」
それだけでなく、蘇生しないNPCたちもみんな死ぬ。
「どうする、意図しないプログラムが動いているのなら、運営に知らせた方がいい気がするけど………」
アスナの言葉に、キリトが首を振る。
「普通ならそれで問題ない………」
「このゲームはフルダイブシステムの発展のために作り出されたゲームだ、そこに集められたスタッフが、こんな問題を引き起こすモジュールを見逃すはずがない」
「じゃ、モジュールが残ってるのは」
「カーディナルシステム。茅場晶彦が作った、VRシステムのブラックボックスに関係があるんだろう」
カーディナルシステムは、茅場晶彦が創り出した、まさに夢の結晶。
悪夢を創り出したが、その技術は高く、信用性は、デスゲームに捕らえられた者たちを助け出すことができないほど、高性能であり、現在のVR世界を支えるセキリュティー。
「おそらく、スタッフによる修正は不可能ということだ」
このままではこのゲームは稼働停止する。それしか道は無い。
それだけでは済まないだろう。
こんな致命的なことが起きたと知られれば、最悪他のVRゲームですら活動を停止する。
「けど待って、モジュールってアインクラッドを崩壊させるものなんだよね? だけどこの世界にはアインクラッドは存在しない」
「いや、存在する」
「えっ」
俺の言葉に、アスナ、キリトたちはこちらを見る。
「正確には違うが、それは《大地切断》だよ」
「っ!?」
その言葉に、キリトが言葉の意味を理解して、青ざめた。
「そうか逆、逆なのか。崩壊プログラムは、アインクラッドを創り出そうとしているのか」
「ど、どういうことっ」
「このゲームのアインクラッドの舞台はこの大地、浮遊城アインクラッドではない」
「だからこのモジュールは、まずアインクラッドを作り出すところから始めているんだ」
「作り上げた後、崩壊させるためにっ!?」
その言葉に、俺とキリトは頷く。
このモジュールはわざわざ壊す物を創り出して、システム通り動こうとしている。
矛盾しているが、これで説明がつく。
「そ、そんな………」
「だけど、アインクラッドを作ることとプレミアちゃんのクエストに、なんの関係が」
「モジュールは、プレミアのクエストを利用して、再現してるんだ。アインクラッド誕生の物語」
「それって」
「大地が切断されて、できたって世界設定か」
「ああ。さっきユイちゃんたちが言ったとおり、所々改変されているって言ったろ?」
「はい」
「それはプレミアのクエストを、《大地切断》に似せるために改変しているんだ」
前にクエストがちぐはぐだとリーファが言った。
それはできかけているシナリオだからではなく、寄せ集めの物語であったためだ。
モジュールは無理矢理話を繋ぎ合わせ、アインクラッド創世の物語を創り出した。
「そして俺たちは知らず知らずに、捻じ曲げられたシナリオを進めていた」
つまり、プレミアのクエストを進めば、大地切断が起き、浮遊城アインクラッドが誕生、そして崩壊するモジュール。
彼女のクエストは、けして進めてはいけないものになった。
◇◆◇◆◇
このことを宿、しかも個室で全員に話した、他の誰にも知られることは許されないからだ。
プレミアのクエストが選ばれたのは、アインクラッド100層からなる浮遊城は、二人の巫女が聖大樹に祈りを捧げてできたもの。
あまりに酷似しているためだからだ。
仲間たちは驚きを隠せず、静かに話を聞く。
研究の為に作られたこの世界が、手の付けられないと言う事実はあまりに痛い。
技術の発展どころか、その技術は消される可能性が高い。
今は疲れ切り、キリトはプレミアが連れていってと言われて連れていってる。
そして………
「もう一人の女神が、ジェネシスと」
「ああ……」
疲れた顔で、戻ってきたキリトが話してくれる。
やはり二人の女神はプレミアのことを指していた。
もう一人、プレミアに似た少女がいて、それがあろうことか、ジェネシスと組み、かつクエストはどうも、同時進行で進んでいるらしい。
この異常なクエストは、他人が進めたクエストを、奪えるようだ。
(うかつだった、まさか崖で会った子は、もしかしたら)
そんな心中の中、ジェネシスは世界崩壊を面白がっている。
プレミアにはあいまいに答えたが、キリトはだいぶ察しされているらしい。
今後は遊びでは無い。プレイヤーである以上避けられないクエストになってしまった。
なんとしても止める。
世界の崩壊、それによる、NPCの死を………
俺が………止めなくちゃ………
彼女たち登場。ですが事態は深刻なことに。
それではお読みいただきありがとうございます。