ソードアート・レジェンド   作:にゃはっふー

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第19話・暗雲

 クエスト情報を集める中で、今度はクエストを進めていなければ起きないマップが場所になる。

 

 本来そこに双子の女神を連れて行かなければ、聖石を手に入れられないらしく、ジェネシスからプレミアを守る方針になった。

 

 マップ攻略にも顔を出さず、どうももう一人の女神を鍛えている。向こうは世界崩壊クエストを進める気らしい。

 

 キリトは難しい顔で考え込む。

 

 そして、二人の時に………

 

「テイル」

 

「?」

 

「君に……、頼みがある」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「でえぇぇぇぇ」

 

「ハッ!」

 

 剣撃音が鳴り響き、盾で片手剣を弾く。

 

 いつの間にか二刀流になっているキリト。その相手として、いま手合わせをしていた。

 

「スッ」

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 

「!」

 

 さすがキリトと言わんばかりに、やればやるほど、洗練されていく。

 

 そんな日々だった。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 崖を上り、キノコを採る。

 

 あれからジェネシスから動きは無く、プレミアを守って、別のクエストする日々。

 

 にしても、こういうのはまるでと思う。

 

「とりあえず、材料集めはここまでにするか」

 

 カーディナルシステムと、色々思うことがあるが、やはり問題が起きた。

 

 これから先どうなるか。

 

「それでも」

 

 もうここは俺の知る世界ではない。なら頑張るしかない。

 

 そう思っていると、剣音が聞こえる。

 

「………誰かが戦っている?」

 

 マップを見ると、マーカーでキリト、プレミア、アスナを確認して、走り出した。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「そらそらそらそらっ!」

 

 そこには苦戦するキリトがいて、アスナはもう一人の女神と立ち会っていた。

 

 キリトには悪いが、その間に入り込み、ジェネシスを睨む。

 

「へえ、チート野郎が登場か」

 

「ツッ、テイル!」

 

「任せろ」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 大剣を振らわれるが、手首を回し、盾でのカバーを駆使して防御する。

 

 分かっているが、テイルは攻撃を捌くことにかけて、俺を遥かに上回っていた。

 

 攻撃も視線から読むことはできず、またこちらの死角から攻撃を、なぜか見切る。

 

 どうすればあの動きができるんだっ!?

 

「チッ、ぐっ、アァ」

 

 そうしているとジェネシスは苦しみだし、すぐにステップで後ろに下がる。

 

 困惑するテイル。俺もテイルが何もしていないのは分かる。どうしたんだ。

 

「おい……一旦引くぞ」

 

「はい、分かりました……」

 

「《祈りの神殿》……続きはそこからだ」

 

 そう言って立ち去るジェネシス。

 

 こうしてテイルは、構えるのをやめた。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 プレミアそっくりの子に、NPCを襲わせるジェネシス。

 

 普通ならプレイヤーはそれでブルー、違反者になるが、もう一人の女神は違う。

 

 彼女にNPCを襲わせ、クエストをショートカット。石を手に入れたようだ。

 

 聞いていて胸糞悪くなる。

 

 クエストを進めるつもりか、《ブルーカーソル》になることは恐れても、《オレンジカーソル》は問題ない様子。

 

 ともかく、もう一人、プレミアにとって双子の子を止める為にも、クエストを進めるしかないと話し合う。

 

 だが、

 

「ジェネシスの様子がおかしかった……」

 

「うん……。奇声を上げて襲い掛かってきたと思ったら、急に苦しそうになって」

 

 アスナの言葉に、俺は相手の様子を考える。

 

「………彼奴は、普通の動きをしてなかった」

 

 俺は正直にそれを感じ取った。あれは普通にプレイしている動きでは無い。

 

 キリトも、見る分には《トランスプレイヤー》に共通する部分があるが、

 

「ちょっくら調べたんだけどよ、《デジタルドラック》って、使用者にかなりの負担があるらしいな。常習性もさることながら、過剰に使い過ぎるとかなり危険だって話だぜ」

 

「じゃ、ジェネシスが苦しがってたのは、《デジタルドラック》を使い過ぎたから……」

 

 ユイちゃんの話では、痛覚はアミュスフィアで遮断されているが、精神には反映されるらしい。

 

 でもそう言ったプレイヤーは、アミュスフィアの安全機能で強制ログアウトされる。

 

 まずアミュスフィア以外のフルダイブシステムを使用した案が出たが、ナーヴギアは政府が回収していた。その可能性は低い。

 

 次にアミュスフィアを改造して、ステータスを上げる方法が挙げられた。

 

 だがナーヴギアを元に改造されたアミュスフィアでそれも難しいらしい。

 

 と、

 

「いや、待てよ」

 

「キリト?」

 

「アミュスフィアは確かにナーヴギアの後継機だけど、全ての機能が受け継がれたものじゃない……。むしろ、茅場が絶対に付けなかったものが付いている!」

 

「!?」

 

「パパ、それはまさか………」

 

「ああ、あれだ」

 

「なるほどです! 確かにそこなら改造できる余地があります」

 

 さすがキリト、分からないところに分かるのが凄い。

 

 娘のユイちゃんも分かるのか、説明してくれ。

 

「さっき話に出てきた、アミュスフィアの安全装置の部分さ」

 

「そうか、そこはSAO事件後に付けられた、後付けの部分」

 

「ジェネシスは、アミュスフィアのその部分に、何かしらの改造を加えているってこと?」

 

 フィリアの言葉に、キリトは頷く。

 

 それでデジタルドラックを使用し続けても、安全装置に引っかからないようにしている可能性が出てきた。

 

 そうして覚醒した状態を維持し続けていれば、異常なほど高まった感覚を持ったままゲームをプレイできる。

 

「まるでバーサーカーのように」

 

「そんなことをしてまで強くなりたいなんて、並じゃない執念深さだね」

 

 悲しそうに言うユウキ。確かに、それでもわかる部分がある。

 

 俺も五歳から夢の世界で骸骨の戦士から訓練を受け、現実では勉学と言う繰り返しを生きた。

 

 ともかく、どんな理由があれ、そんな力でこの世界を壊していいはずはないが。

 

 運営に話すことも話に出たが、証拠が無い。

 

「しかし、それならテイルはなんで対処できたんだ?」

 

「俺は普通のやり方で対人していない」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「どういう意味だ?」

 

「キリトやユウキみたいに、視線から相手の動きを読んだりしている」

 

「………それだけじゃないだろ」

 

 俺の問いかけに、テイルは頷く。

 

 それは、

 

「見るべきは別に視線だけじゃない、キリトなら覚えられると思う」

 

「………そうか」

 

 俺はきっと笑っている。

 

 きっとテイルの強さに近づけることに。

 

 なによりいまはその力を手に入れる。

 

 もしもジェネシスが不正をしているのならば、これ以上、この世界を好きにさせるわけにはいかない。

 

 今日の訓練が楽しみだぜ!

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 祈りの神殿で二人の女神に祈りを捧げて、無理矢理クエストを進めるだろう。

 

 だからプレミアを守る為に、キリトが一人で倒すと決意し、そこに向こう話になる。

 

 みんなはキリトの勝利を信じ、彼を向かい討つ話で、そこへと向かう。

 

「いたぞ」

 

「さすがヒーロー……逃げ出さなかったみたいだな」

 

 ジェネシスの側に、プレミアに似た少女がいる。

 

「ジェネシス」

 

 もう一人の子が前に出ようとしたが、それを止め、キリトと、俺を目の敵にしていた。

 

 キリトの予測通り、仲間の誰かを傷つける気でいたジェネシス。

 

 そして始まる、この世界をかけた、バトルが。

 

「でやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

「ヒャッハハハハハハハ―――」

 

 大剣を振るうジェネシス。だが、

 

「ッ!!?」

 

 キリトはジェネシスの攻撃を巧みにさばき、攻撃を当てる。

 

 その動き、もう物にしたのかと嫉妬するぜ。

 

「クソが、しぶてぇ……」

 

「お前の強さについて、分かったことがある……」

 

 距離を取り、お互い探る中、会話が始まる。

 

「お前の強さは、最前線の攻略プレイヤーをも凌駕していると思う。正直、普通にプレイしているだけじゃ、そこまではたどり着けないはずだ」

 

「だったらなんだ? 俺が普通のプレイヤーじゃないって言いたいのか?」

 

「ああ、俺と同じようにな」

 

「……お前が、俺と同じ?」

 

「意外そうな反応をするんだな、お前も俺と同類だろ?」

 

「はあ? バカ言うんじぇねーよ。同じわけがねえ……」

 

「なぜそう思うんだ? 別に俺たちみたいなプレイヤーがいたって、不思議じゃないだろ?」

 

 一呼吸を置き、ニヤリと笑うキリト。

 

「誰だって、どんな手を使ってでも他の奴らより先に行きたいって思うに決まってる。特に『あの味』を知ってしまったら……、彼奴みたいな奴に勝てたなら、退き返せないのも分かるぜ」

 

「……ありえない」

 

 こちらを見るジェネシス。俺は静かに無言を貫く。

 

 この距離なら、会話は普通は聞こえない。

 

 普通なら。

 

「まあ確かに、自ら名乗るような人は少ないと思うけどな」

 

「はあ、お前らみたいな凡人がッ、簡単に手を出せるもんじぇねえんだよ! どんなツールを駆使したって、カーディナルのセキュリティは崩せねえ……。違うか?」

 

「いや違わないな。でもそのカーディナルでさえも目を光らせていないところは存在する」

 

「……じゃあお前もアミュスフィアに手を付けたのか?」

 

 !

 

「………」

 

「答えろ! お前は何をしたんだッ」

 

「………ジェネシス、お前はいったい何の話をしているんだ?」

 

 そう、キリトの作戦は成功した。

 

「なに?」

 

「俺はフルダイブ経験量のことを、技術のことを言っているだけだぞ。VRゲームでの強さはステータスだけじゃない……。経験している時間だって大事な要素の一つだ。そしてVRゲームにハマって、その『味』をしめたら、全力で挑んでやっと強敵に勝てたら引き返せなくなる」

 

 そう、ジェネシスに挑む前にキリトは、俺の技を盗み、俺に勝利したとき、物凄く喜んだ。

 

 ほんと、こっちは五歳児から手に入れるために必死なのにな。

 

「食事を抜いたり、学校をサボったり、どんな手を使ってでもダイブしたくなる。それに何十時間ダイブし続けたとしても、カーディナルから文句を言われることはない」

 

 たぶん、リーファ辺りが、キレるとは思うが………

 

「お前の並じゃない強さは、ダイブ歴が長いからだと思ったんだが……。そうか、アミュスフィアを改造なんてしていたのか」

 

「くっ……、てめえ……」

 

「ようやく違和感の正体を掴めたよ、やっぱり、俺とお前は違うみたいだ」

 

「聞こえていたかセブン!」

 

 大きな声で俺は耳に手を当てた。その様子に、ジェネシスは驚愕する。

 

『ええ、バッチリとね』

 

「通信、お前ら、誰だっ」

 

「彼女はこの《SA:O》開発協力者……、七色博士って言った方が分かりやすいか」

 

「なんだと」

 

「いまの俺たちのやりとりは、通信と共に全て彼や彼女にも聞こえていた。それが意味することは分かるだろ?」

 

『アミュスフィアの改造とは、到底許されることをしているわね、アナタ』

 

「くだらねえ誘導尋問してるんじゃねえよ!!」

 

 その怒声には覇気が無く、俺は通信機兼、プレミアの守り。

 

 仲間たちも外でこの会話を聞いている。

 

「俺をこのゲームから消すつもりか? はっ! ふざけんじぇねえぞ。終わらせてやる、消えるのはてめえの方だ!」

 

 そして何かアイテムを使用するが、使用するアイテムも分かる。

 

 デジタルドラック。

 

「見せてやるよ……俺だけが手に入れた、力をぉぉぉぉぉぉ」

 

 戦いの続きが始まる。

 

 だが、この勝負は、

 

「なぜだぁぁぁぁ、なぜ攻撃が当たらねえんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 

 攻撃のさばき方、それは刀剣の刀身を相手に映して見る。

 

 俺は盾と剣、死角をそれでカバーし、視線からの読み以外からも攻撃を読む。

 

 静かにかわしながら、確実にラッシュを決めるキリト。

 

 雄たけびを上げ、振り回すだけの力では、キリトに当てるのは難しい。

 

 正直周りからできるかと言われたが、

 

(キリトはできた)

 

 それがキリトとジェネシスの違いだった。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「ふざけんな、なんで……」

 

「お前に《黒の剣士》は似合わない」

 

 ポリゴンになり消えるジェネシス。

 

「キリト……」

 

「終わったな……」

 

「心配させたな……」

 

 二人してキリトに駆け寄る。さすがにあれは集中力を使い過ぎる。

 

 汗を流すが、すぐに呼吸を整えるキリト。

 

 そしてふとっ、すぐに気づく。

 

「もう一人の女神は」

 

「奥に………彼が倒されたあと」

 

 プレミアの言葉に俺たちは急ぎ、奥へと進む。

 

 そこにいたのは、あの子だ。

 

「あの人はわたしを必要としてくれた」

 

「君は」

 

「なにも持たないわたし連れ出し、戦う術を……この世界で生きていく術を教えてくれた」

 

「………」

 

「そして、わたしを『ティア』と名付け、存在することの意味を与えてくれた……」

 

 あのNPCをモブと言い、消すジェネシスが名前を授けたことには驚いた。

 

「だけど世界は彼を拒絶した、たったいま、あなたも」

 

「それは……」

 

「はじめての人を失った……また、わたしはひとり。やはり、あの人教えてくれた通り、人は憎むべき存在。人の存在がわたしたちを傷つける、人の存在が、この世界を醜くする」

 

「君は」

 

「わたしたちを拒絶する世界なんて必要ない、わたしたちを拒絶する人々なんて必要ない!」

 

 その時、黒い影がノイズのように見えた。

 

 それを見たとき、頭に何かかすめる。

 

 記憶が、それを知っていると言う。

 

 そして祈りを捧げる。六つの聖石が彼女の周りに飛び、人なんかがいるから汚れていくんだと叫ぶティア。

 

 たった一人で祈りを起こそうとする。

 

 髪が銀色に変わり、光が放たれた。

 

 転移したのか姿は無く、そして、

 

 大地が揺れ、起きる。《大地切断》

 

 だがそれよりも………

 

 あの影がなんなのか、それが分からない………




キリトくん、テイルが血のにじむような努力を短期で習得。さすがだ。

それでは、お読みいただきありがとうございます。
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