ここは激戦区だった、けどユウキ好きすぎてできた話にしては良い方かな。
それではホロウリアリゼーション編の最終回です。どうぞ。
新たな剣の世界で巻き起こる、様々な出来事が過ぎ、ようやく平和になり、気楽にゲームができるようになった。
あの後、VRゲームを、個人サーバーでも運営できるプログラム。名を《ザ・シード》というものが世間に広まる。
俺は聞かないが、茅場からキリトに渡された物だろう。
キリト、和人たちにとってもう一つの現実の未来は、こうして芽吹き、広がるのだろう。
俺もまた、俺の可能性を見出さなければいけない。
もうここが俺の世界であり、前世の知識はこの世界、和人たちに降りかかる火の粉を払う材料程度だ。
昔はチート、優遇されている。そんな罪悪感があったが、もうそれは軽くなった。
俺は俺、この世界の可能性の一つだ。
背負うものは、勝手だろうと背負い、そしい生きる。
こうして俺は、新たな気分の中、この世界の可能性を楽しむことにした。
同じく生きる、仲間たちと共に………
◇◆◇◆◇
「親権ゲット」
「………マジで」
ある日、ついに母親は、多くの問題を跳ね除けて、木綿季を手に入れた。
「保護者だけどね、まだ油断できないけど元気になってるし、そう遠くないうちに無菌室から出られるって、先生の方が嬉しそうだったわ」
そして両親からの遺産を持つ少女の保護者を、彼女の意思もあり、我らが両親が、欲望渦巻く中からついに勝ち取った。
親戚の人たちも、病気のことで避けていたのだから、いまさら保護者としてあの子を見ることはできなかったのだろう。
木綿季に遺書を書けとまで言う始末だ、あの子の先生も味方になり、こちらも使えるコネは使いまくった。
こういう時、ウチは本当に強い。ミケを膝に乗せながら、少し驚く。
ここ最近木綿季たちの病気に効く薬も発見されたと大きく取り上げられたりと、まるで世界が味方でいるような気がする。
(いや、神様が裏にいたら、あるいは………)
妙な形で俺の願いが叶えられ始めている。
それでもいいか、過去が変えられないのなら未来を変えよう。
あの子の未来を、明るくしたい。そう思う大人がもぎ取った、その道のチケットだ。
「いつかここで、あの子を連れてこられたらいいわね」
「………」
静かに頷く、その時母親が驚いていた。
「どうしたの?」
「あんたでも笑う時があるのね」
そう嬉しそうに言い、どうやら、俺は笑って頷いていたらしい………
「にゃ」
飼い猫のミケも、それに嬉しそうに同意した。
◇◆◇◆◇
そんなある日のこと。
目が覚めると猫がいたのはよくリアルである。
「………」
ログインしたら、
「おはよう、テイル」
女の子がいたのは初めてだ。
◇◆◇◆◇
「申し開きはあるかな?」
セブンにせがまれ、この世界、SA:Oへとログインした姉。レインが仁王立ちする。
最近リアルでも知名度が上がりだし、なかなかゲームができないのだが、せっかく来て、鍛冶師として働く中、できた武器をわざわざ届けに来て発見された。
そして彼女、プレミアとそっくりな少女『ゼロ』といたところを目撃される。
彼女はおそらくはグランドクエストのバックアップキャラが用意されていて、一連の出来事で活動し出したようなのだ。
彼女は本当に全てが無く、色々な情報を求めて彷徨っていたところを保護した。
「そんな彼女が、どうして君がレンタルしてる部屋にいるのかな?」
「待ってくれ、俺も分からない」
「分からないはずないよね……」
お怒り気味のレインだが、
「そもそも、なんでレインもこの部屋に? 俺の部屋の鍵、IDは教えてないよな」
「………えっ」
◇◆◇◆◇
それはキリトも同じだった。
プレミアがキリトの部屋にいて、アスナとひと悶着があったらしい。
そしてみんなと相談の中、二人して正座し、詳しく話を聞くと、
「ほら、二人とも本来ある、NPCの家ってものがないじゃない? だからあたしとユイで、誰かの家に居候させた方がいいって話になったの」
「本来、NPCは寝泊まりする場所が設定されてるものですが、お二人はそれがないので」
「それでその……、あたしとユイの力で、二人の鍵のアイテムIDを調べて……。IDが分かれば複製ぐらい、ねぇ」
「それでどうして俺たちの部屋なんだっ」
「確かに、パパはともかく、なぜテイルさんの部屋のIDまで?」
ユイちゃんはお怒りだが、パパは少し傷付いている。
ストレアは苦笑しながら、
「ゼロちゃんからのお願いで、キリトの部屋はプレミアだからいいかな~って」
「そもそもこの行為はやっちゃいけない行為だからなっ」
「しかも話を聞く限り、全員に渡されていた……」
ともかくそんなやり取りをしながら、それを静かに見る女性がいる。
大剣を使い、ある出来事で身体が成長してしまったティアだ。
あの後も騒動があったものの、解決し、こうして共にゲームする仲になった。
「ゼロ、お前はある意味末っ子だ。わたしの部屋に泊まるといい」
「私はテイルの部屋に居たいです」
そう言い、腕に抱き着くゼロ。
ティアは明らかに不機嫌そうな顔になりながら睨む。
「待って……、これ、なに……」
「さあ、なんだろうね………」
冷たい声でレインも睨む。
ユウキはうぅ~とうなり、プレミアもキリトの部屋で問題ないですと言う。
「そろそろ家を買えるほど金が貯まる、そちらにみんな移住はどうだキリト」
「賛成だテイルっ、俺も少し融通するよ!」
そんなことを言い、そこがプレミアたちの家になることになる。
ティアもそこに住めばいい、これでみんな、
「つまり、わたしはテイルの『ほんさい』ですね」
魂が抜け、周りはどよめき、ゼロは微笑む。
「待て、それはどういう意味だゼロ」
「どうもこうも、『だんな』が貯めたお金で買った家に住む。『ほんさい』とは、そういうもののはずです」
どう言えばいいのだろう、そう悩んでいると、
「それならわたしもテイルの『ほんさい』だな」
「それは」
と言い合う二人の側で、
「テイル………」
元気が売りのユウキがとても冷たい声でそう呼び、
「テイルさん……」
悲しそうにこちらを見るユイちゃん。
「テーイールー?」
お怒り気味のレイン。
「………俺が悪いのか」
そしてキリト側も、
「キリトも資金を出す。これでキリトの『あいじん』ですね」
「えっ、キリトくん、いまのどういうことかな?」
「き、キリトさんっ」
「キーリートーっ」
「お・に・い・ちゃ・んっ」
「………」
「お、落ち着けみんな!」
向こうも向こうで助けは出ず。
新たに騒動の中、クラインとエギルは、
「平和だな」
「だな」
「これのどこが平和だよっ」
「落ち着いてくれ」
この騒動を落ち着かせ、マイホームを買うところまで時間がかかった。
◇◆◇◆◇
この世界に生まれ変わり、色々あった。
SAOの中に飛び込められて、チートだ優遇だなんだの考えていたが、それはもうないと言えば嘘になる。
だが特別だったのかなんだのか、もはや過ぎ去った考えだろう。
「………」
資金を溜めて、三人が住む家を買う俺は、色々あったが家はいるということで、用意した。
これから先も、この仮想世界に問題は起きるだろう。
俺はともかく、キリトが関わり合い、どうにかするのなら、
「よし、家購入」
仲間として彼と共に、それに関わろうか。
ここがもう俺の現実世界なのだから。
この仮想世界で新たな可能性、プレミア、ティア、ゼロは喜び、部屋に入るのを見ながら、女性たちは内装の為の買い物に出るなど、色々話している。
俺と彼らは同じですよね、先生。
(そう言えば)
最後に来てくれた人たち、そしてあの話からして、あっちの勇者だろう。
そう考えていると、
『そっちの私たちもよろしくね………』
不意にそう聞こえ、辺りを見渡すが何も無い。
だが、不思議と頷きたくなった。
いま、イベント後で、町のNPCたちは行き来するようになり、彼女らともよく会う。
それならな………
◇◆◇◆◇
現実世界、集まる者だけ集まり、エギルの店でパーティーする。
プレミアたちは新居にいる、さすがに無理だった。
ユウキ、ユイ、ストレアは《視聴覚双方向通信プローブ》を使う。
これは簡単に言えばアミュスフィアを使い、仮想世界を通して現実世界を見る機械。
キリトがユイのために作った物だが、こうして三つも用意できた。
『まだ来てないのはテイルだけ?』
「うん、なにか用意があるって言ってたよ」
パーティーは軽いものであり、みんな楽しむ。
そんな中、クライン、壺井遼太郎は、
「そういや、リアルの彼奴とは、こうして会うのは初めてだな」
「だな、大学生になってる。ってのは聞いたけど、それ以外何も聞いてない」
『せっかくだからテイルのこといっぱい知ろうよっ♪ おねーさんがいっぱい聞くんだからね』
『ストレア、あまりテイルさんを困らしてはいけないですよ』
そんな会話の中、バイク音が聞こえ、エギルは気づく。
「話をすればだな」
そして静かに開けて入るのはテイルであり、SAOの頃と変わらない、落ち着いた男性が入る。
「すまない遅れた」
「いやいいよ」
和人はそう言い、彼が何かを持っているのに気づく。
「? それは」
「ああこれ……、それは?」
テイルはテイルで、ユイたちが使用する機械を詳しく聞き、少し天を仰ぐ。
「? どうしたんですか?」
明日奈は聞く、かなり大きく、それに関して彼は無言で立っている。
この時の彼は、どう説明すればいいか、頭の中で考え込むときの癖だ。
「………俺が知る限り、ユウキやユイちゃんたちは、通話装置で参加する。そう聞いてた」
「ええ、そう説明しました」
「だから………、せっかくだしって、思いつきで作った物があったな」
「まさか、テイルも」
それに少し、どうすればいいか分からず困惑するテイル。
彼は正直、引き出しが多い。それが仲間たちの認識であり、今回も知らない引き出しを使ったようだ。
「………これを作ったのは」
「俺だけど」
少し和人に悪いと言う顔をしながら、まだテスト中で、試作品で、まだ問題点が多いいなど、前置きを多く言いながら、それを出す。
それは、
『凄いですっ♪ まるで猫になった気分です』
『アスナ~』
『凄いよテイルっ』
猫の形をしたロボットが、そう言いながらテーブルの上で動いていて、和人は驚愕していた。
「こんな滑らかに動くロボット? 凄いぞテイル」
「大学の機材も使ったからな」
だが和人が驚くのは、特定のパスワードを入力し、コードレスで動かせること。
しっかりユウキたちの動きに合わせて動き、いまのところ急な動き以外問題は無い。
『はははっ、まるで猫になったみたい』
「うちの猫、ミケの動きはよく見てるからな」
それでいてデザインも、
「かわいいです、ホント、商品で出てる猫のおもちゃみたい」
『にゃーにゃー』
和人は負けたと言うより、テイルの知識力と行動力に驚いていた。
これを三機も用意して………
「テイル、ちなみにこれっていくらだ? かなり値はあるはずだぞ」
「俺は普段から貯金派だから、バイクやパソコン以外で大きく使った。まあ、ユウキの為に用意するって言ったら、親が少し融通してくれた」
「羨ましい」
視界も限定されているが、まだまだ改良できる点があるのは見てわかる。
正直彼は、こんな世界なんだからできるだろと軽いノリで考えて始めた。元々彼はSAOの件もあり、電脳関係の知識だけは人一倍吸収した。
その上ここ最近は、ユウキが使用している病院が使う、例の機具の勉学も初め出し、進路も決まっている。
どこか無表情な彼だが、ユウキが楽しそうなことに、少しほっとしている様子。
「貯金して無駄使いしない、顔立ちは良く、勉強も運動もできる年上」
「性格も良い、料理もできますから、家事も理解してくれる」
「本当に有力物件過ぎるわね………」
少しばかり頭を痛める者が数名いる中、ユウキのロボットを抱き上げ、少し周りを調整する。
「まだ少し……、駆動音も静かでスムーズだけど、それだけか」
「テイル、今度話をしようぜ。俺もそっちの分野の話を聞きたい」
それに静かに頷き、にゃ~と鳴くユウキ。
そしてこの後は………
◇◆◇◆◇
新たなクエストの為に、フィールドを歩く。
今度は料理対決であり、シリカは店のこともあり燃えている。
「何か良い食材は」
「ともかく色々な食材を手に入れよう。マップは把握している」
「味見は任せてください」
プレミアは嬉しそうに言い、担当分けの中、ユウキと組む。
「それじゃ行こう、テイル♪♪」
そう言い、ここ最近元気になるユウキを見ながら、静かに、
「ああ」
新たな世界、仲間とともに楽しもう。
そうしなければ、また先生が夢で出てきそうだ。
後日談、俺は部屋のIDを変え、キリトは変え忘れ、プレミアが習慣で部屋に入り、えらいことになるとも知らずに………
テイルの親はユウキを手に入れました。
そして彼の表情筋も少しずつ緩くなる。
それでは次は火薬と鉄の世界で。
お読みいただきありがとうございます。