こんな感じで始まります。
第21話・リアルとの交差
それはここ最近、仮想世界へログインしない日々が続いた。
まあ大学生故に、忙しいのだが、現実ではアスナがユウキのお見舞いで会ったりするし、その程度。
そんな日々で、
「え? 連絡が」
それは俺より下の姉妹、妹ちゃんから連絡があったと、母親から電話が来た。
なので、時間帯を気を付け、電話をする。
連絡先を知っていても、親同士くらいしかしてなかったが、彼女たちは俺の幼なじみだ。
そして何度か電話を待つと、あの子の親が出て、あの子が電話先に出る。
『もしもし? あのすいません、急に電話してしまって』
「いまさら敬語はいいよ……」
それを言われ、電話先から少しほっとした感じと、僅かに苦笑する感じがした。
『そう言われても、それじゃ、向こう側ではそうさせていただきます』
「向こう側? 仮想世界か……」
『はい、その、お兄さんは、仮想世界をプレイしてますか?』
その話は、今度あるVRゲームにて、イベントがあり、そのイベント大会ペアに参加する相手を探しているらしい。
そのイベントでの優勝が目的では無く、そのフィールドのレアアイテムが目的。
(そう言えば、こっちでもリアルラックが高い扱いだった)
それを思い出し、ゲーム買う資金を考えるが、とりあえずは、
「それじゃ、まずタイトルを教えてくれるか?」
『あっはい、ゲームタイトルは《ガンゲイル・オンライン》です』
確か銃ゲームだったな。
リアルマネーも動くから、プロがいるゲーム。
とりあえず頷き、母さんに事情を説明して、資金を得ようとしたら、
「なによ、あの子からのせっかくの誘いでしょ。しばらく付き合うんなら全額出すわ」
と言われ、簡単にソフトを購入する。
その時、
「と、そう言えば、あんたのゲーム仲間には連絡しないの?」
「向こうは剣士とか、そう言うのが得意な奴が多いから、ガンゲーは無いと思う。連絡はしばらくしたらするよ」
キリトなんか、遠距離から攻撃なんか想像できない。
シノンは乗りそうだが、話してゲーム仲間が割れるなんてこと、少し困る。
多少良くなってきて、話しやすくなったとはいえ、コミュニティ不足を自覚しているんだ。これ以上はごめんだ。
というわけで、銃口が火を噴く世界へと、足を踏み込む。
◇◆◇◆◇
荒廃した世界がモチーフ、鋼の世界へと足を踏み込む。
「アバター名は伝えたが、向こうから話しかけるのを待つか」
そして、初期装備のままぼーと、
「お待たせー」
そう声をかけてきたのは、女性アバターのプレイヤー。
そちらに振り返ると、
「イベント大会の参加登録が混んでて、参っちゃった」
「君は……」
「テイル、でいいんだよね。それじゃ、口調は昔通りにさせてもらいます」
「いまも、少し丁寧語だ」
それに少し苦笑しながら、VRMMOの大会について、色々話し合う。
「そう言えば、テイルは他のVRはプレイしてるんだよね」
「ああ……。友人は多少いる」
「なんか、あなたのその感じは変わらないな。こっちではわたしの名前は『クレハ』。よろしく」
「よろしくクレハ」
「はいそれじゃ、雑談はここまで。大会について、説明するわね」
大会は今度大型アップデートを控えるこの世界、GGOの大会で目玉装備らしいそれがある。
今回は優勝では無く、そのアイテムを確保する。
さすがに銃器は、まあ、無いと言えるだろう。
そんな話をしながら初期装備を見て、リロードと撃ちの話なりを聞きながら、大会へと向かう。
◇◆◇◆◇
大会本部へと来る。クレハが大会の申し込みしている間、チュートリアルをしておく。
だがどうしても慣れない。
矢では無いからか? まあ銃のような乱射は訓練で一つしかしてない。ガトリングのような狙撃銃ってないかな?
アサルト高速弾くらいか? 少なくても、距離的にスナイパーライフルがいい。
「まあいいか」
まあ長くするゲームではない。
納得してチュートリアルを終え、クレハと合流した頃、向こうで人だかりができている。
そこには男性プレイヤーが中心になり、凄腕だろうと予測していると、
「うわ『イツキ』さんだ。あの人も大会に出るのかな」
「この世界のギルドリーダーか……」
「ああうん、こっちじゃスコードロンって言うの。わたしはそこを色々渡り歩いているけどね」
「そうか、彼とは戦いたくないな……」
初期ではさすがに、どう足掻いても無理のはず。
そう思っていると、こちらを歩いて来た。
◇◆◇◆◇
「やあ、キミたちも大会に参加するの?」
どちらかと言えばクレハに話しかけてきたイツキ。
クレハはあちこちのスコードロンを渡り歩く、凄腕として覚えられているらしい。
「そこのキミは、見たところ初期装備みたいだけど、もしかしてニュービー?」
「はい、彼女とリアルでの知り合いで。今回の大会のために、彼女にこの世界に呼ばれました」
「初日から大会に出るなんて冒険好きだね。そういうの、嫌いじゃないよ」
そして彼とも挨拶をし終え、しばらくして大会が、
「ん?」
「? どうしたの」
「いま知り合いに似たアバターがいた気が……。いや」
「わたしはむしろ、はきはき喋るあなたに驚きだよ。昔は頷いたりする程度なのに」
「……さすがに、少しは改善したよ……」
少しは前に進んでいるんだろう。
そう言えばほんと、いま彼らはなにしてるんだろうか?
◇◆◇◆◇
レアアイテムが狙いとはいえ、大会中は他プレイヤーもいる。
それを撃退しながら進む。
「すごい、よく被弾せず、前で戦えるわね」
「とはいえ、リロードが少し……」
躱すこと慣れているとはいえ、リロードにはなれない。爆弾があるが、まあいいだろう。
そう長くプレイするつもりは無い、ここじゃ爆弾以外慣れないだろうし………
そんな会話しながら、歩いていると、
「! 気づくのが遅かった」
「えっ……」
その言葉通り、少しして、プレイヤーが二人現れる。
それは、
「うそっ、イツキさん」
「おや、キミたちは」
イツキたちは余裕の様子で、クレハに緊張が走る。
「テイル、逃げるわよ。イツキさんの仲間なら、相当の手練れのはず……」
「無駄だ……。この距離じゃ、後ろから撃たれるだけで釣りが来る」
「それは」
「だからと言って、勝てる見込みもないな……」
そう言いながら、向こうも向こうで気にしないそぶりで、こちらの会話に参加する。
「逃げる相談かい? 言っては悪いけど、クレハくんならともかく、ニュービーのキミは、一撃で終わりだよ」
「だからって、前を向いても撃つだろ?」
「正解、ん~どうだろう」
向こうは楽しみながら、こう相談を持ち掛けた。
この先に、多少強いエネミーがいて、俺たちがそれを撃破する。
できれば見逃すと、弾を節約するために、こう持ち掛けてきた。パートナーであるプレイヤーは少し呆れていたが、彼はこういうプレイスタイルらしい。
◇◆◇◆◇
そして俺たちはそれを撃破して、どうにかこうにか、二つの道が開いた。
「これで文句は」
「ないよ、キミたちが先に選んでいい。もちろん、後ろから撃ったりしないよ」
「テイル、あなたが選んで」
「無駄にある俺のリアルラックか、まあ発動しそうだ」
そんな会話をして進むと、後ろの扉がロックされた。引き戻れない状態だが、それはこっちは少し助かる。
少し進み、どうにかなったと一息つくが、回復手段の無い装備の為、そろそろやばい。
ともかくこれ以上戦闘は避け、レアアイテムを手に入れる話をしていると、なにかの部屋にたどり着く。
クレハはすぐにモニターなどに近づき、俺は部屋の真ん中にいた。
「だいたいこういう装置を操作すると、なにかしら先に進めるのよね」
そう言って、ボタンを押す。
その瞬間、光が辺りを包んだ。
◇◆◇◆◇
「………最悪だ」
まさか転送装置のど真ん中にいたとは。
見知らぬ部屋に飛ばされ、HPは僅か、武器は弾だけある銃のみ。
(さすがにやばい)
ともかく、部屋は他にも通路がある。
危険だが対処できるよう、見渡せる場所に移動すると、
「?」
カプセルのようなものがあり、それが起動する。
ユーザー名テイルがどうとか言いだしている、なんだこれ?
何か起動し出して、カプセルのようなものが開いて、女の子が出てきた。
「………なにこれ」
そう思っていると、瞬間背筋が凍り付く。
「!?」
瞬間浮遊して出てきた女の子を抱え、その場から離れた瞬間、銃声が聴こえ、すぐにその発生源へ銃弾を放つ。
遅い、ダン、ダン、と言う音が鳴り響き、なにも聞こえない。
「まずい」
その瞬間、すぐに別の場所に気配を感じ、銃を構える。
遅い、低いの最悪状態、少女を床に置き、すぐに構えると、物陰から人が出てきた。
「なっ………」
その出てきた男に驚く。
キリトそっくりなんだ。
光る剣を構え、斬りかかるキリト。
弾丸を放つがすぐに切り払い、もうだめだと思い、少女の前に盾になる。
「マスター………?」
その時、キリトは一瞬剣閃が緩んだ。
いましかない。
◇◆◇◆◇
突然そいつは腕を掴み、一本背負いの応用で投げ飛ばす。
その時、はっきりとわかった。
「テイルっ!?」
「キリトぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
そして吹き飛ばされた後、彼が俺たちの友人、テイルと知った。
◇◆◇◆◇
「わ、悪いキリト、斬りかかられたからいましかないって」
「い、いや、ダメージはそんなにないよ」
そう会話していると、
「止まりなさいっ」
クレハが現れ、銃口を向けるが。
「あなたこそ、止まりなさい」
「!? いつの間に背後を」
そんなやりとりの中、こちらはせっぱ詰まっていた。
「ま、待てアスナっ、彼だ。よく見ろ、アバターもコンバートでそのままだ」
「えっ、えっ!? うそっ、彼なの」
「え………。ど、どういうことテイル!?」
ともかく、話を纏めると、
「友人だ……」
「はっ……はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
◇◆◇◆◇
「驚いたよ、まさかあなたがGGOに来ていたなんて」
「しかも間に合わなかった。もうアファシスは、マスターとして認めたようだし」
「マスター?」
「あの子が、レアアイテムっ」
「そうなのか」
「知らなかったのか? 正確には、大型アップデートで実装された、プレイヤー用サポートAIの『アファシス』だよ」
これがレアアイテム。サポートAI、NPCだったらしい。
銃かなにかと思ったが、これが………
ん? マスター登録?
「キリト? それって、一か月でGGOトップランカーにのし上がったって言う《光剣》使いのキリト………さんっ!?」
「……キリト?」
「いや、お前が最近ログインしないのが悪いだろっ。なんでログインしなかったんだ」
「正確には、この話をする間だね、それにリアルじゃ会ってたよ。ユウキのお見舞いのとき」
「そう言えばそうだった」
「えっ、えっ!? テイル、キリトさんと知り合いなのっ」
「知り合いもなにも、彼は仲間だからな」
「もう驚きすぎて、理解が追い付かない………」
ともかく、恐れていることを回避しないと、
「アファシス、彼女が君のマスター。クレハだ」
「アファシステムタイプX、A290・00。マスター登録はすでに完了しています」
あっ、まずい。
「テイル、この人がわたしのマスターです」
視線が一斉に俺に集まる。
クレハは怒り狂い、襟を掴まれ、振り回された。
◇◆◇◆◇
「マスター、わたしの名前を決めてくださいっ、変更可能ですが、変な名前を付けたら爆発しますっ」
元気いっぱいにそんなことを言われ、俺は困惑する。
まず見た目をよく見る。長い白い髪に、アメジストを思わせる紫の瞳。
小柄でユウキに………
ユウキに似ている………
「どうしましたマスターっ」
「………」
頭が痛くなってきた。
「どうしたの、名前を早く決めないと」
「シロは安直だからだめ?」
「ダメですっ、かっこいい名前を希望します!」
「そうは言っても………」
その時、手の甲を見た。
それを見ながら、あの眩しい光を思い出す。
こうしてアファシスタイプX、彼女を『ヒカリ』と名付け、大会が終了した。
さてと、
(キリトたちから、どう逃げよう)
ほげ~と現実から逃げている俺は、間違っていないはずだ………
ゼルダは無理だろ? この子でゼルダキャラに似せるのは、少し抵抗が。頭が固いのかな。
とりあえず、この世界に木材加工とかはあるよな。爆弾うまく使いたい。
お読みいただきありがとうございます。