タイプXことヒカリから《アルティメットファイバーガン》、略してUFGをもらい、大会終了まで練習する。
実装前のレア中のレアらしい。まだ経験値0の俺にぴったりと、ヒカリがくれた。
移動を短縮するレーザー型のアンカーのようなそれは、フックショットを思い出す。
そして大会はキリトが優勝して、専用フィールドから帰還した。
「でも、今回の本当の優勝はきっとあんたね。一番のレアアイテムをゲットしたんだもの」
マジっすか。
◇◆◇◆◇
「やあ、クレハくんたちも生き残ったんだね。あの後どうなったか、心配してたんだよ」
「イツキさんっ」
軽く頭を下げ、軽く話す。どうも向こうはトラップだらけだったらしい。
それが本当かどうかは分からないが、こちらは、
「ん、その子は」
「はじめましてっ!」
「キミは……、プレイヤーじゃない。まさかこれは……アファシス!?」
「一部訂正を求めます、アファシスの中でもとてもレアな、タイプXですっ」
「……まったく。なんで僕が落としたパンは、いつもバターを塗ったほうが下になるんだろうな」
少し分かりにくい例えだな。
マスターが俺であることも驚かれつつ、こちらを興味深そうに見る。
トッププレイヤーも一目置くアイテム扱いのサポートキャラ。
これは、少し本腰を上げて鍛えないとな。
そう考えていると、
「テイル」
「ここにいれば会えると思ったよ」
キリト、アスナが話しかけて来た為、俺は手を振る。
「あんた、本当にキリトさんたちと知り合いなのっ!?」
「知り合いも何も、彼はALOやSA:Oじゃトッププレイヤーだぜ」
「………本当なんだ」
驚かれる中、どこか寂し気なクレハ。
「俺は俺だよ」
「あっ、うん、まあGGOじゃわたしが先輩だものね」
「なにより得意な剣が無いんだ、そこがね」
「なに、君も光剣を使えばいいじゃないか」
「なぜガンゲーで剣……」
さすがにそこはどうだろう。キリトが意外そうな顔をしてこちらを見て、アスナはそれが普通だよねと同意する。
「キリトくん、無理して光剣使ってるからね」
「いや、君も光剣使うだろっ!? ユウキだってそうだし」
「とりあえずいまはいいか? クレハにみんなのこと言わないと……」
「うんそうだね、あなたがいない時に話してたことや、みんなのこと、アファシスのことについても話をしないと」
アスナの提案にクレハも納得し、イツキは仲間の下に。
イツキからは君は、世界一幸運なプレイヤーとも言われたが、果たしてどうだろう。
ともかく、キリトのマイルームへと足を運ぶ。
◇◆◇◆◇
「パパ、ママ、優勝おめでとうございます!」
そこにはユイちゃんを初め、みんなほぼいて、説明会がまず行われた。
リーファ、シノン、シリカ、リズ、エギル、クライン。
ユウキもまた嬉しそうにそこにいて、話し合いが始まる。
「色々あって、君がいないとき、このGGOにコンバートする話が出て、一か月前からプレイしてるんだ」
「まさかテイルもしてただなんて」
「俺はその、クレハのレアアイテムを手に入れる約束で、少しだけのつもりだった」
そう言う話をしつつ、今度はクレハとヒカリの紹介だが、
「型番では呼びにくいと思います、なので好きにお呼びください。短いのが好ましいのです」
「ヒカリは?」
「マスターからもらった名前は特別なのです!ですからマスター以外の方に使われるのはお断りします!」
そんなことに、クラインが俺が可愛いサポートキャラがついて羨ましいと叫び、全員が呆れる。
リーファの案で、ナンバー00からレイと名付けられ、それで呼ばれることに。
「マスターがお留守の時も、どんどんお使いください!」
「ん? 待ってくれヒカリ」
「はい、なんでしょうマスター?」
「留守と言っても、俺はまだ宿も何も用意していない。その時、ログアウト中は」
「マスターはすでに《SBCグロッケン》にマイルームがあります。そこをお使いになってもらいます」
「アファシスゲットで俺もマイルームがっ。少し調べる」
「あっはは……、ホント君は、リアルラック高い」
おそらく苦労してマイルームを持つキリトがそう呟く中で、俺のマイルームがしっかりあるのに驚く。
「さっそく噂になってるぜ、ニュービーがアファシスを手に入れたってよ。GGO最強のリアルラック持ちプレイヤー登場ってな」
「ALOから君を知る俺たちからすれば、いずれ本当に最強になれる気もするけどね」
「情報屋のアルゴさんも、ニュービーの情報なら買うって言ってたよ。みんな欲しがってるから、いまなら高く値段がつくって」
「………」
「マスターっ、心拍数が上がりだしました! なにか嬉しいことでもあったのですかっ」
「どちらかと言えば、注目を浴び過ぎてるからじゃ……」
心臓に悪い。
アファシスから色々と話を聞きながら、未実装の移動サポート機能の武器や、マイルーム、情報が交差する。
リアルラック高い? 正直悪い方向に働いているよ。
救いなのは、クレハがみんなの輪に加わってることか。
◇◆◇◆◇
ともかくアファシスは色々できるらしい。クレジット、この世界の資金の管理から、掃除やアイテム管理。
色々なことがあり、新たなイベントにアファシスが関わるなど、情報が出て来る。
そう言えばキリトやユウキが光剣使うか聞いて来たが、まだいいだろう。
「マスターがへなちょこな所為でわたしもへなちょこですが、マスターが強くなればわたしも強くなるのです! 共に頑張りましょう!」
「ああ」
少しは初期よりいいんだけどな。まあいいや。
まずは精神安定のため、瞑想しようかな?
◇◆◇◆◇
GGOの設定は、遥か昔争いが起きて荒廃した星に、宇宙から帰還した宇宙船を元に、プレイヤーが荒野を駆けるガンゲー。
そう言えば、ヒカリについて、髪が長いだけで、ユウキとは、やはり似てる気がする。
元気なところとか……
「マスターっ、わたしが迷子にならないように手を繋いでおきますね」
そう言うのは勝手に動き回る我がアファシス。
しかしまあ、服装は宇宙スーツ、アファシスの初期装備だからか目を引く。
「おいあれ、アファシス連れてるぞ。レンタル代高いはずだけど……」
「いや、あれタイプXじゃねぇ? キャプチャしていいか話して来るっ」
そんな中、プレイヤーぐらいならいいが、商人などが言い値で買うと言う話も持ち込まれる。現在リアルマネーで三十万円。
「売る気は無いです」
まあ、リアルマネーがいくら行こうが、このAIが付いたアファシスは、プレミアやティアを思い出す。金で取引することはない。
そんな中ショップに着き、買い物をする。
「アサルトライフルかな、二丁持てるのならハンドガン」
「購入に迷ったらわたしに相談してください、マスターに現実を見せてあげます!」
「ああ」
ステータスによって装備できない銃もあるし、予算管理も大事だもんな。
しかし、買い物か。
ガトリング並みの速射ができるスナイパーライフルないかな? あったらバグだろうけど。
そう思い、まずはNPCショップで買い物をしていると、
「君たち買い物? NPCショップじゃ、たいしたもの買えないよ」
そこに一人のプレイヤーが話しかけてきた。
「俺、レアアイテムをいくつか持っててさ。格安で譲るからどう?」
と、それはまずい。商人ギルドの信用も何も無いし、信用問題で買い物はできない。
断ろうとするが、
「それは本当ですかおじさんっ?」
すごく食いつくこの子、色々危ないな。
「やめときな。半端な知識じゃ騙されるぞ」
何か言う暇は無い、クレハ、キリト、俺はまだダメのようだ。
おじさんその二とか言うし、情報で勝負するのはありだが、ニュービーは所持金巻き上げられても困る。
それが目覚めが悪いと言い、止めに入ってくれた人が正しいらしい、それで話しかけた人は去っていく。
さすがにこれで少しショック受けるが、銃好きに悪い人はいないと、『バザルト・ジョー』と仲良く会話する。俺より人とは話せるらしいのが救いだ。
「助かった」
「いやいいぜ、お前さんも銃使いとして、頑張ろうぜ」
そう言う話をしながら、アサルトライフル系統を軸に考えて買い物する。
「マスターからのプレゼントですっ、さっそく試し撃ちして来ます!」
そう言って、元気に銃を持っていく。
試し撃ちができるエリアにいるのを遠くから見守っていると、
「……!」
「やあ、久しぶりテイルくん。っていうほどでもないか」
「イツキさん」
「さんはいいよ、たぶん、それほど歳の差は無いだろうからさ」
そこにイツキが現れ、そんな雑談をする。
軽い雑談を少しできる、昔なら考えられないな。
「そう言えばキミに一つ聞きたいことがあるんだ」
「それは」
「キミ、なぜNPCであるアファシスを守るように戦ったんだい?」
「それは」
「大会の記録を見て、感覚的な話は嫌いだけど、そこが引っかかってね」
そんなことを言われても、なんだろうな。
ここはプレミアたちがいる世界では無いのだから、NPCは蘇生する。
かは、まだ分からない。
「無我夢中、だった……。理由の後付けになるなそれ以外」
「キミは、理屈に合わずに動くことができるのか……。失礼、疑問に答えてもらって、まずは礼を言うべきだね」
そんな会話の後、ちゃんとわかれる。
なんなんだろう。
「マスターっ、弾薬が無くなりました~」
「………」
もう無くなった弾薬を買い、俺はフィールドに早く出なければいけなくなる。
◇◆◇◆◇
クレハにキリトたちのことを紹介するため、コンバートしたメンバーも知るため、仲間たちと会ったり、話したりする。
「正直、リアルのことを詮索するのはマナー違反だけど」
「キリトは別におじさんと言われる年じゃない、俺より下だ。アスナがそうだし」
ユイちゃんもいて驚きながら、明日奈の時を思い出す。
「はい、そう言えば、リアルでお会いした時がありましたよね」
「ああ、ユウキに会いに来た時だったね」
そんな会話をしながら、光剣使いにならないことに、ユウキとキリトが不満そう。
会話をしながらアファシス関係のイベント、クエスト《SBCフリューゲル》と言うイベントが関係する。
今後、このイベントを攻略する気らしいキリトは、アファシスを連れている俺と組みたい。
「またよろしく」
「ああ、頼むぜテイル」
そんな会話後、
「光剣っ、光剣っ」
「マスターっ、光剣を買うんですかマスター!」
「………」
心が折れるよユウキ。
ユウキは苗字こそ変わっていないが、我が家の娘として預かることになった。
その為、家族は一人娘としてユウキを可愛がり、妹の頼みに、光剣を買うに出かけることに。
「ヒカリは先に、マイルームに戻っててくれ」
「マスターだけで買い物ですかっ、了解なのですっ。余計な物は買っちゃいけませんよ」
そう言ってヒカリはマイルーム、俺はショップへと足を向けた。
◇◆◇◆◇
「………重みが無い」
キリトたちには悪いが、これなら使わない方がいいな。
こういう理由なら納得してくれるだろう。
そう思い、NPCショップを後にする。
「さてと」
やることは、今度ある大型アップデートによるイベント、《SBCフリューゲル》と、ショップ開拓。
情報屋などのことも……
「マスターーーー!」
「!?」
見知らぬ少女と共に、こちらに来るのは、
「ヒカリ」
「マスターっ、お財布を忘れているのです!」
「いや、クレジット番号を知っていれば、引き出せるから」
「………」
「………」
しばらくなんとも言えない。ともかく頭を撫で、同じくらいの少女を見る。
「君は……、君もタイプX」
「はい、彼女と同じアファシスタイプX、『デイジー』です」
「急に走ったら危ないわよ、デイジーちゃんに迷子ちゃん」
そして現れた女性プレイヤーは、デイジーのマスター。
「マスター、運動に関するプログラムは規定値をクリアしています。この程度の走行で転倒や衝突は起こしません。どうかご安心を」
「あなたたちのようなかわいい子には、別の危険もあるの。わたしの側から離れちゃだめよ」
そう言われ、返事をするデイジーを見てから、こちらを見る。
「あなたが、迷子ちゃんのマスター?」
「ああ、すまない。ちゃんと話し合っていればよかった」
買い物の件をちゃんと話していれば、こんなことが無かった。
「この迷子ちゃんは、ウチのデイジーちゃんと同じタイプX。レア中のレアなの。GGOでいまでは注目の的ね」
「もう噂が流れてるのか」
「あなたもこともね、幸運のニュービーさん。けど、その幸運もいつまで続くか分からないわね。目を離したら、盗まれちゃうわよ」
アファシスタイプXの使用は明らかになっていないが、アイテム扱い。
なるほど、やりようはあるのか。余計に気を付けないと………
総督府でこのゲーム初の大型アップデートの目玉扱い。余程の使い手以外、連れ歩かない。
だが俺の場合はすでに知れ渡っているため、意味はないとのこと。
どこまで俺の情報が流れてるんだろう。
色々、ヒカリのことを気にかけてかアドバイスを送られ、彼女こと『ツェリスカ』と別れた。
ボウガンあればためらいなく買いそうだ。
一からとなるとやはり無理がある。ともかく剣をいつか持たせないとな。
それでは、お読みいただきありがとうございます。