スタートまで待つは、蒼いコートを翻すガンマン。
「なんか色々な人がボクらを見てるね」
「幸運のニュービーだからな」
この噂だけは先行して先に進む中、ユウキと共に、
「勝つか」
「うんっ」
こうしてレースが始まった。
◇◆◇◆◇
レースが始まる前、転移でランダムにビークル、乗り物の取り合いのステージが決まる。
俺たちは幸運にも街並みの中であり、すぐに事前に話した通りに動く。
◇◆◇◆◇
「レースが始まったのに、まだ誰もレースコースに入らないな」
「その前にまだ銃撃が可能です。ですので、有力なレーサーをビークルを手に入れる前に潰す作戦の方もいるのでしょう」
「そうね~、このレースはかなり過激らしいから、レース前は百組ほどいても、レースが始まるときには半分以下にもなってることがあるわ」
そんな中、一番先にマシンに乗り、動き出す選手が続出し、レースコースに入り中、彼らも動き出す。
「マスターですっ」
「乗り物は、バイクね」
「あれは」
◇◆◇◆◇
「よし、配置に着いたか」
「考えることは一緒でしたね」
レース開始時、すでに銃撃戦が始まった。理由は狙撃ポイントの奪取。
自分たちのスコードロンのチームを勝たせるため、あえてマシンに乗らず、狙撃に専念するチームもいた。
「ここから狙撃する、いまから来る選手は」
マシンに乗った選手はナビにより映るため、すぐに確認する。
「幸運のニュービーです」
「新人か、悪いが、奴の幸運も今日までだ」
そう言いスナイパースコープで相手のマシンを見る。
「あれは、高速バイクっ!? やはり素人か」
高速バイクは文字通り、バイク型の中でトップレベルの速さを誇るが、耐久力が全くない。
このレースは攻撃も可、そんな貧相なマシンではすぐにクラッシュする。
「マシンを狙いますか?」
「ああ、いや、せっかくだ。選手を狙うぞ」
数分間、こちらの銃口の前を走るマシン。
真正面から狙撃を避けるのは、
「あのスピードだ、気付いたころには終わる」
そう
◇◆◇◆◇
「そろそろ狙撃が来る、くっついてろ」
「うんっ」
ユウキが後ろで張り付く中、静かにスピードを上げ、バイクがうなる。
(車輪があるバイク、高速で運用するテクニック)
現実でもバイクに乗る。そして、
(あの世界でもな)
そう思いながら、狙撃の気配を感じた。
◇◆◇◆◇
ハンドルとスピード、ブレーキを操り、身体とマシンをずらして、狙撃を躱す。
「……はあ?」
「狙撃に気づかれたっ!?」
「予測線で見切られたのかっ!?!」
「狙撃だぞっ、撃て撃て撃て撃てえぇぇぇぇぇぇ」
狙撃にて今度は赤い狙撃線が無数彼らを捕らえるが、弾丸が放たれる瞬間、全て見切られたかのように避けられる。
「あのスピードでどうしてクラッシュしないッ!」
バイクが一瞬後ろ向きに走行するようなテクニックを披露する中、彼らの狙撃ポイントは走り抜けた。
◇◆◇◆◇
「ちっ、なにしてるんだか!」
「こうなれば後ろからやっちまえっ」
彼らのチームの乗り手が後ろから迫る中、それに彼らは驚く。
「はあ?」
◇◆◇◆◇
「よっと」
ユウキは
光剣を光らせ、静かに、
「いつでもいいよっ」
「ああ」
◇◆◇◆◇
「射撃可のレースで光剣だとっ、ふざける」
瞬間、スピードを一気に落とし、急接近するバイク。
「なっ……」
回転するようにバイクがうなり、その上で平然としているユウキ。
「ハッ!」
ユウキの斬撃を受け、一組がリタイアする。側にいた選手もそれに驚き、すぐに射撃するが、巧みにかわされ、斬られる。
「乗り心地は」
「問題無し♪ 空飛んでるときと同じだよテイル」
「なら次は前だ」
「OKっ」
テイルに捕まりながら、バイクと言う足場のみで剣を振るう《絶剣》は、即座に近づく敵選手を切り裂く。
「くっそ、なんだあのチームっ!」
「まずいっ、スピードの出はあっちが上だぞ!??」
それだけでなく、その高スピードの中、アサルトを取り出し、的確に射撃するテイル。
その様子に選手たちは絶叫した。
◇◆◇◆◇
「そんな、ことって」
「あらあら……」
デイジーとツェリスカは驚き、
「………」
「凄いです、マスターとユウキ」
クレハとヒカリもまた、驚きを隠せない。
「《絶剣》と《蒼炎》のコンビか、そりゃ絶叫もんだろうな」
「キリトくんっ」
「あっ」
「そうえん……、それってサラマンダーの剣士で、噂じゃALO最強の剣士の名前っ。えっ、テイルが……」
キリトはあーと、仲間たち、クラインたちは首をかしげた。
「クレハちゃんたちは知らなかったのか?」
「いやけど、テイルなら」
「知り合いでも秘密なことは秘密にしてそうですもんね」
「………納得しました」
クレハはそういう中、剣士を乗せ、騎馬を操る剣士を睨む。
「………彼奴が………」
◇◆◇◆◇
「くそこのままじゃっ」
「ニュービーにやられてたまるかっ、あれ使えあれっ」
◇◆◇◆◇
「……キリトがミスった気がする」
「えっ、キリトはいま関係なくない?」
少し俺をまたぐ形でユウキがバイクの上に立つ。
その時、爆発音が響き、前の方を見ると、爆破で前の建物が倒壊する。
「って、まずいよっ」
「ユウキ前に来い」
「えっ」
「早く」
前の方に座り込むユウキ。すぐに抱きしめ、身をかがめてスピードを上げる。
「って、いくらなんでも」
「すぅ……」
そのまま隙間へと滑り込むように車体を傾け、UFGを前の道路、安全圏へと放つ。
隙間をすり抜ける中、絶叫するユウキ。
身体を起こすのはUFGと片腕でどうにか戻させ、無理矢理突破した。
「ふう」
「………」
「どうした?」
「い、いや、にゃんでもない……」
少し頬を赤くするユウキ、すぐに後ろへと戻る。
少し怖かったのかな?
◇◆◇◆◇
高スピードで走り、トップの位置を確認する。
しばらくすればまた狙撃ポイント、トップとの差を確認して、
「スイッチ」
「うんっ」
◇◆◇◆◇
「あれは」
「ユウキと運転を入れ替えたっ!?」
「ゆ、ユウキバイク運転できるのっ」
アスナが青ざめるが、喜々としてハンドルを握る。
キリトはコースを確認すると、
「ここからはほぼ直進だ。他の妨害選手は狙撃者だけ」
「それにスピードも落として、ユウキでも走行可能状態にしたってわけね」
「スナイパーライフルを持ちますっ」
◇◆◇◆◇
「落ち着けっ、相手は初めてから間の無い素人。走行中のバイクの上から正確に狙撃なんて不可能だっ」
そう言って、立ち上がるスナイパーは、
「っ!?」
瞬間、クリティカルヒットし、その場でポリゴンになった。
◇◆◇◆◇
「一」
ユウキの運転は良いとは言えない。
かすかに揺れ、安定しない走り。だがそれがどうした?
構わず撃てばいいだけだろう。
「二、三、四五六七八」
脈拍も安定してるし、こういうことには慣れている。
連射、速射、瞬殺の繰り返し。
どんな状況下でも的確に敵を射貫く。
それはスナイパーライフルでも同じだった。
◇◆◇◆◇
「………は?」
シノンは驚愕し、仲間たちも驚いていた。
狙い澄まして撃つのはいい、できるだろう。だがそれを速射による連射に驚く。
キリトはここで彼の悪いところを思い出す。
それは本人は進んで役を買って出ず、頼まれたことしかしないこと。
タンクならタンクしかしない。それ以上のことが可能であろうとしないのだ。
「相変わらず、引き出しが多いな」
キリトの言葉に、狙撃者をだいぶ撃ち終える。
◇◆◇◆◇
「前見えてきたよっ」
「このままカーブは曲がれるが? まだ数人スナイパーいる」
「だいじょうぶっ」
「ならいい」
スピードでカーブを曲がる中、ユウキは一瞬判断ミスした。
「ぶつかるッ」
その瞬間、スローモーションに入る。ここでするべきことは、
「ふんッ」
そう言われたので彼は激突しかかった壁を蹴り飛ばし、それと同時に狙撃した。
「うそっ!!?」
「撃破」
バランスも崩さず、狙撃を淡々とこなす男。
時々UFGでカバーしつつ、滅茶苦茶な走行をしていた。
「……! 後ろから来る」
「って、うえっ!?」
ユウキに覆いかぶさるように、バイクのハンドルをユウキの手ごと握りしめて、バイクを運転し出す。
すぐにバイクが激突しようと接近してきて、車体が浮く。
山なりのコースに、空中の滞空時間、相手のバイクを蹴り飛ばし、手を伸ばす選手を蹴り飛ばして、車体を着地させた。
「すごっ、凄すぎないテイルっ!?」
「………やれるから」
「練習してもやれないよっ」
エンジンを鳴らし、スピードを上げた。
「と、そろそろ作戦やらないと」
「うんっ」
トップスピードを維持するために、選んだ作戦。
それをしながら先に進む。
◇◆◇◆◇
「なかなかやるのう若者よ」
「ここからはスピード勝負か」
老人のようにアバターの男女が側に、別に車を走らせるプレイヤーが一人。
少なくても彼らの攻撃は避けられる、その隙を付ける自信はある。
「アタシら《シルバーファング》に勝てるかね」
「ワシには勝利の女神が乗っておるぞ」
「それはこちらも同じだ」
「にゃっ」
そう言い合い、ただのスピードバトルに入る。
「て、てい」
「このまま姿勢低く」
耳元で言い、そのまま真っ直ぐ、ただまっすぐ走る。
ゴールに並ぶビークルたち、先にゴールラインを超えたのは………
◇◆◇◆◇
バイクを止め、モニターを見る。
高速バイクを選んで正解だった。
「勝った」
会場が拍手喝さいが鳴り響き、テイルは気にせず、頬をかく。
そう静かにしていると、老人アバターの二人組が近づいてくる。
「負けたか……」
「お前さんら、初っ端からハイスピードじゃったろ、燃料はどうしたんだい?」
「他のバイクから燃料だけ頂戴して、走行途中で補充した」
「ほう」
感心されながら、ユウキはと、
「? どうした」
「………テイルのバカ」
顔が真っ赤で、そう言われ、よくわからないがご機嫌斜め。《シルバーファング》の二人に苦笑され、ヒカリ、レインから苦情を言い渡された。
◇◆◇◆◇
「はははっ、彼はやっぱりすごいなっ」
「楽しそうですね」
「ああっ、ほんと。こんな気持ち久しぶりだよ」
イツキはモニター録画した映像で、テイルの映像を見る。
安定しない位置からの狙撃、ハイスピードによる激突を、蹴りで回避。
走行しながらの燃料補給に、バイクの走行技術に体術。
それを見ながら、久しぶりに面白いとはしゃいでいた。
◇◆◇◆◇
「まさか優勝するなんて」
「おめでとうございます」
「ツェリスカ、デイジー。ありがと」
「それで、本当に光剣でよかったのかしら」
「ああ、ステータスも振り分けて、装備する準備もできてる。しばらくしたらちゃんと活用する」
「すぐに装備できなくて残念だよ」
ユウキは呟き、キリトがそわそわしていた。
「使わせてなんて言わないように」
「い、言わないよ。さすがに」
そんな会話の中、光剣を確保して、アイテムボックスに置く。
ともかく後はこのまま、パーツ集めとステージ解放だけになる。
速射、連射、後は力技。
引き出しの多い男であり、なぜかヒカリとレインに怒られるのは、映像で音声も拾われています。
それでは、お読みいただきありがとうございます。