おかげで日々成長しています。
それではどうぞ。
オールドサウスという場所で、最後のアファシスパーツを集め終えて、次のステージへ進む話になる。
そんな中、だいぶ装備も安定し出して、そろそろステータス振り直しアイテムを手に入れようかと思う中、
「こんにちは、幸運なニュービーさん。でももうニュービーなんて言い方良くないかしら」
「ツェリスカ、デイジー」
「あなた、別のVRじゃ、凄腕のプレイヤーだったのね。まさかここまで凄いだなんて」
「………キリトか」
話は聞いていたが、口を滑らして………
その様子に微笑むツェリスカ。
「口下手なのも聞いてたけど、そんなに表に出たがらないのも、どうかと思うわよ」
「俺は、あまり目立つのが、心臓に悪い」
「もうあなたはGGOでの話題の中心、攻略もここまでくれば、もうトッププレイヤーの一人よ」
とりあえず、この調子ならアップデートにも間に合うらしく、先に進むのだが、
(彼女はどうしてそれを知ってるのだろう)
そんな疑問があるが、ともかく、ステージを攻略に進む。
◇◆◇◆◇
「マスター、これを買うのはいかかですか」
「ヒカリ、それは俺には必要ないよ」
忘却の森に行けるようになり、身の回りを整えることにした俺たちは、いま買い物中。
「なぜです?
「俺はいい、それに今日はヒカリの強化が優先」
俺はHPが回復し出すアイテム類、ヒカリは防御力を上げつつ、武器だけの強さで戦うヒーラー。
そう言ったようななって、ヒカリも渋々下がり、買い物は続く。
そうしていると、
「マスターっ、メールです」
「ああ」
その内容は、
アップデートの知らせだった。
◇◆◇◆◇
「とうとう《SBCフリューゲル》に、お家に帰れます。とってもうれしいですっ、マスター、早く行きましょう」
「よかったねレイちゃん、パーツも集まったし、これで準備万端ですね」
キリトたち全員が集まる中、忘却の森に現れた《SBCフリューゲル》に、もう進出するプレイヤーは多数いる。
イツキもいて、彼がヒカリに質問をし、《SBCフリューゲル》にはヒカリ、アファシスのおかあさんがいるらしく、ヒカリがいれば大丈夫らしい。
「おかあさんが言ってましたっ、えっと……確か、おやつは一人までです!」
「おやつ?」
ヒカリもよく覚えていないらしく、中にはいれば思い出すと言う。
よくわからない言葉の中、新フィールドには、キリト、クレハ、俺とヒカリが行くことになり、船へと向かう。
◇◆◇◆◇
「解放したあとに、アップデートされてよかった」
そう言いながら、船の前までくる。
大きな橋がかけられ、そこ以外に侵入口はなさそうだ。
「ゲートがあるわね」
「はいですっ、おかあさん、ただいまです!」
その時、ゲートから妙なノイズが聴こえだし、それに耳を抑える。
「これは」
「気を付けろっ、なにが起きてるか分からないが、友好的な反応ではなさそうだ!」
「えっ……。どうしたのです? この人はわたしのマスターと友達です!」
「レイちゃん、あれがなんて言っているか分かるの?」
「わたしたちが入って来てはダメ……、排除する、って言ってます!」
「!?」
巨大なロボットが現れ、戦闘が始まる。
すぐに動き周り、キリトがひきつけている間、集中してこの手のエネミーの弱点を集中した。
だがゲージの減りがおかしく、これに違和感を感じる。
「テイル、分かるか」
「ああ。撤退イベントか」
こういうことをし出して分かったのだが、条件をクリアできないと攻略が難しすぎるクエストがあると知った。
いまの戦闘はまさにそれだ。
「ああっ」
「無茶よっ、ログアウトする時間も稼げない。こんな場所じゃ」
「俺だけなら逃げられる。か」
UFGを構えながら、キリトは頷く。
「ああ、君とアファシスだけで逃げてくれ、時間は稼ぐ」
そう言われ、クレハをすぐに見るが、
「あたしは残るわよっ、このまま逃げるなんてできない。だけどあんたは違う」
プレイヤーはフィールドでHPゲージが無くなると、アイテムを落とすときがある。
もしもここでヒカリを落としたら………
仕方ないか。
「……分かった。ヒカリ」
「マスター」
俺はすぐにUFGを使い、振り子のように身体を動かし、ヒカリを救い上げ、その場からミサイルが発射されながら避け、崖の方へと飛ぶ。
「ギリギリか」
そう冷静にUFGが引っかかる場所を見つけ出し、そこに発射し引っ掛けた。
キリトたちがひきつけている間。どうにか脱出する。
◇◆◇◆◇
今回は下調べ不足だと反省をし、キリトたちと話し合いをする。
パーツは全て集まり、すでにアファシスを連れたプレイヤーは中に入っているようだ。
それを考えると条件を見逃したようで、その話し合いをする。
ともかく、一度解散し、情報を集めに入った。
「ヒカリ」
「マスター……」
しょんぼりするヒカリの頭を撫でる。
「マスター、わたし」
「いまは情報を集める、な?」
「………」
黙り込むヒカリに、ログアウトする時間になるが、少し溜息を吐く。
「少し散歩しよう」
「です、けど」
「散歩だヒカリ」
有無を言わさず、ヒカリを連れて、散歩に出た。
◇◆◇◆◇
町の広間から、町を見渡す中、ヒカリはずっとなにか考え込んでいた。
「……やっぱり。マスター、決心しました。登録を……解除してください」
「………」
「たぶんわたしは、ポンコツなのです。どこか故障しているのかもしれません」
「本気か」
「マスターの役に立たないアンドロイドはいらない子なのです、わたしは、いつも失敗してばかりでした。おかあさんに報告して、なおしてもらいます。その後はどうなるか、分かりませんが……」
「ヒカリ」
「名前も返します、わたしにはもう呼んでもらう資格はありません」
「………」
静かな沈黙が二人の間に流れる。
その時、テイルは背を向けて、静かに、
「先に帰ってろ。俺はやることがある」
「………はいです」
◇◆◇◆◇
翌日、俺はみんなと共にアファシス、彼のホームを訪ねた。
「キリトさんっ」
「クレハ、それにみんな」
「どうしたの?」
「それがレイちゃん、テイルのマスター登録を解除して欲しいって言って」
「なんだってっ!?」
話を聞くと昨日からだろうか、朝一にクレハが来た時からずっとこの調子。
フィリアたちも心配してくる中で、俺は彼女を見る。
「一つ聞くけど、君は本当にそれでいいのか」
「キリト……」
「本当に、彼が、自分以外のアファシスを連れて行ったりしてもいいのか」
「!」
それにハッとなる彼女は、
「………いやです……。マスターのアファシスはわたしなのですっ、あの人はわたしの、たった一人のマスターなのです!」
そう言った時、ハッとなるアファシス。
「そうです……一人、一つじゃなく一人なのですっ」
「? どういうことだい?」
「おやつは一つじゃなく、友達は一人だったです」
彼女が言うには、《SBCフリューゲル》に入るには、まず登録が必要。
その条件は最初に登録できるのは、アファシスと同行した一人だけ、ゲートキーパーのテストを受けなければいけない。
「なのにわたしは約束を破り三人も連れて来て、おかあさんを怒らせるのは怖い、マジですよ」
「なんでい、アホシスの凡ミスじゃねえか。まったくよお」
「AIがこんなミスするものなのかい?」
「勘違いや忘却と言った行動は、プログラム的に相当高度なことですね」
ユイがそう補足する中、アファシスは申し訳なさそうに下を向く。
「思いだせたんならそれでいいさ、そうなると彼と君でまず条件をクリアしよう」
「分かりました、必ず汚名挽回します」
「それも少し違うよな……」
なぜ彼女をこう設定したのか、プログラマーの趣味だろうが……
「ところで彼は」
「それが、メッセ飛ばしても来なくて。ログインしてるのは確かなんですけど」
「まさかマスター、わたし以外のアファシスを探して」
「それは無いよレイちゃん、彼はそういうことを絶対にしない人だよ」
アスナの言う通り、彼はそんなプレイヤーではない。
元々やる気も無いこのGGOを続けているのも、彼女のためでもある。
だが、それならどこに?
「あいキー坊、いるカっ」
「アルゴ?」
慌てた様子でアルゴが入って来て、全員がそちらを見る。
「アルゴさんどうしたんですか?」
「どーしたもこーしたもないゼっ、彼奴が」
それは彼は予想を超えたプレイヤーであると、改めて思い知らされる話だった。
「テイルが一人で、《SBCフリューゲル》のゲートキーパーに戦いを挑んでるんダ」
全員が驚き、目を見開く。
「なにを言ってるんだ、あれは強制撤退イベントだろっ」
「待って、彼奴いまパーティー組んでないのなら、もし倒れてレイちゃんドロップしたらどうする気なのよっ」
「あのバカはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
レインは話を聞き終えて出て行き、俺たちも後を追う。
◇◆◇◆◇
「………あら、あなたたち」
「ツェリスカさんっ、ってなにこれっ!?」
崖の上などから、観客のようなプレイヤーが多くいる。
「これ全員、彼が倒されたときドロップする品物狙いのプレイヤーよ」
「それって」
「わたし……」
ヒカリは青ざめる中、爆発音が鳴り響く。
「あれは」
「半分はここまでで削り取ったようよ」
人型のロボット相手に、二刀流のアサルトライフルで削る、一人のプレイヤーがいた。
「マスター……」
「何を考えているか知らないけど無謀よ、あの敵は倒せるには倒せるけど、条件を整えないと絶対に勝てないわ」
「被弾を恐れて他のプレイヤーから攻撃は受けませんが、このままでは彼のHPゲージは」
デイジーの言葉に、全員が助けに出向くべきかと考えたとき、
「ここから本番だッ!!」
彼の咆哮が轟いた。
◇◆◇◆◇
彼奴が《SBCフリューゲル》に入れないために、思いつめ、登録解除を要求してきた。
ふざけるな。
俺のアファシスは一人だけだ。
この中に入れればいいんだろ?
アサルトでは弾薬が切れた。
なら、
「ここから本番だッ!!」
ダインスレイブを取り出し、レーザーが放たれる。
ここからは全て本番だ。
俺の動き、速さは、全てこの一撃に変える。
◇◆◇◆◇
「………なにあれ」
「これは」
「うそ……」
「そんなこと」
ビームが放たれた。
放たれたビームに対して、彼は何かを掴み、そして、
「ビームを跳ね返しやがったっ!?!」
誰かが言ったように、放たれたビームを跳ね返し、ダウンを取った彼。
ツェリスカは驚いた顔で硬直し、仲間たちの中には口を開けて驚く者も。
「あれって」
「光剣の二刀流っ!?」
一つは見たことも無い、青く輝く、普通の光剣よりも刃のように輝くそれと、ユウキと共に手に入れた実体のある光剣。
二つを二刀流で持ちながら、静かに、
「ビームが撃てなきゃ跳ね返して撃てばいい」
意味が分からない言葉と共にラッシュを始めた。
GGOのメンバーは彼の動きに驚き、観客のプレイヤーも驚いている。
光剣に変えた瞬間、彼の動きが劇的に変わった。
ミサイルは全て見切り、レーザーは跳ね返す。まるで本人が撃つように。ガトリングなどの弾丸は、全て叩き斬る。
「そんなこと、あり得なくは無い、無い、けど」
「彼奴ならできる」
攻撃を捌き、躱すことに関して、彼は二年少し、それで多くのプレイヤーを支えた。《沈黙の蒼》と言う名を持つ。
HPゲージを守り通し、ひたすらにダメを与える。
「彼奴の連続攻撃、いつも凄いと思う」
「うん」
手首をうまく使い、何度も切り刻む様に、俺もユウキも驚いていた。
重心が無いとできないと彼は言う。俺も真似したが、落としてしまうことがまれにある。
極限に研ぎ澄まされた集中力、極まれた躱すことに対しての技術が、ゲージを消し飛ばす。
「俺のアファシスはたった一人だッ」
怒りにも似た言葉が彼から放たれた。
グレネードも投げていて、爆発の瞬間も把握し、身体に触れる瞬間、空中で爆発する。
それに追い打ちをかけるように、同じ光を持つナイフを投擲していた。
「貴様の所為で先に進めない」
そう言い放ち、彼はレーザーが放たれたが、受け取るように二つの剣で受け止め、発射する。
激突し、ダウンするゲートキーパー。狙うはあの手のエネミーの弱点。
「俺のヒカリのためにここで散れッ!」
無数の斬撃とスキル攻撃後、彼は着地して剣をしまう。
ロボットは爆発しながら、ポリゴンになり、何かをドロップした………
◇◆◇◆◇
「これは、スナイパーライフルか」
「マスターッ」
ウインドを操作していたら、ヒカリが泣きそうな顔で走ってくる。
他のみんなも来ているが、時間がかなり経っていた。
「みんな」
「ナイスファイトテイルっ、まさかあの敵を一人で倒すなんて」
「イライラしていたから」
「そんな理由で、キミは」
イツキが驚いたり呆れたりしながら、ヒカリの頭を撫でる。
ゲートからなにかノイズが流れた。
「!? マスターっ、マスターはいまその腕前を見込まれて、《SBCフリューゲル》に入る権利を得ましたっ。それともう一つ、《SBCフリューゲル》にある《アンチマテリアル・ライフル》を譲渡されました」
「《アンチマテリアル・ライフル》ですってっ!?」
シノンが身を乗り出して俺を見る。
「本当なのかいそれっ、凄いな」
「それは」
「このゲーム、GGOですら十丁程度しか存在しない、防弾プレートの上からでも相手を即死させられる威力持ちの銃のことだよ。値段も何もかも破格で、僕ですらそれを持っているスコードロンは一つしか知らない」
それを言われ、先ほどの《ティアマト》を思い出す。
「ね、ねえ、少し見せてくれないかしら」
冷静なシノンも、少し慌てている。
かなりの重量なスナイパーライフルだが、ステータス整理すれば持てそうだ。
「それよりも、テイルあんたまた無茶したわねっ」
「そうでしたっ、どーして一人で戦ったんですか!?」
「むしゃくしゃした」
「ふざけないッ」
レインから怒られながら、もう一つ、
「その剣はなんなのよっ、あんた実体がある剣しかできないって」
「ナイフは別だ」
「それのどこがナイフだーーーーっ」
レインとそんな話をするが、こいつはガーディアンエネミーを倒していたら手に入れたもので、強化も面白半分で大金つぎ込んでし終えていた。
「ヒカリと別れた後、こいつでビームくらいどうにかならないか確認しに、ビーム系のエネミーで試し斬りしてビームを跳ね返して撃てたから、いけると」
「これでテイルも光剣使いだねっ、ライフルで凄いの手に入れても」
「な、なあ、その光剣どこで手に入れた? 俺も少し」
そんな顔の二人もいて落ち着いてもらい、少しぐったりするが、
「ヒカリ」
「マスター」
「お前の俺の、俺だけのアファシスだ」
「マスター……」
「これで中に入れるから、あんなことは二度と言うな」
「はい……」
抱きしめながら頭を撫でると、ミケ、飼い猫のようになつきだすヒカリ。
ツェリスカがともかくいまは帰るべきと言われるまで、そんな会話が続いた。
ビームは出せない、こればかりプログラマーがきっとボツにしている。
あっ、ビームが撃てなきゃ跳ね返せばいいんだ。
こうして彼はビームを撃てます。
あれはナイフ、ナイフならいける。
なぜ彼は二刀流になりました。
それでは、お読みいただきありがとうございます。