ソードアート・レジェンド   作:にゃはっふー

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第28話・スコードロン

「まずは皆さん、心配をかけてしまってすいません」

 

「すまない」

 

 ホームで囲まれながら、みんなに謝る。心配はかけたが後悔はしてないが。

 

「気にしなくていいわよ、一番はこいつなんだし」

 

 クレハたちが厳しい視線を向けて来るが、気にしないでおこう。

 

「イベント達成おめでとうございます」

 

 デイジーとツェリスカもいて、イツキももちろんいる。

 

「始めはリアルラックの高いニュービーさんって思ってたけど、まさかALO最強の剣士《蒼炎》だったなんてねえ。びっくりしちゃった」

 

「それは本当かい? あのソロで《スヴァルトエリア》の最初の島を踏破したプレイヤー」

 

「そんな話が……」

 

 それに関してキリトを見ると、すぐに目を背けた。

 

 仕方なくため息を付き、それにツェリスカは微笑みながら、

 

「ねえ、一つ提案なんだけど」

 

「提案」

 

「私のパートナーになってくれないかしら」

 

 それにみんなが驚き、俺も一番驚く。

 

「なぜ?」

 

「《SBCフリューゲル》にはかなり強いエネミーが出るでしょうし、なにが仕掛けられているか分からないもの。攻略系スコードロンに入るのも手だけど、信頼できるパートナーが欲しいの」

 

「マスター、私には戦場でのサポート機能もあります」

 

「ありがとう、もちろん分かっているわ。だけど、私はあまりデイジーちゃんを戦場に出したくないのよね~。もちろん、いざというときは頼りにさせてもらうけど」

 

 デイジーがその返答に不満そうにすねている。そう言われれば、デイジーはヒカリほど戦闘スキルがある様子は無い。

 

 キリトたちから正しい条件を聞いたが、それ以外は連れて行きたくないようだ。

 

「パーティーの一人でなら」

 

 俺はすぐに出せる答えとして、そうしか言えない。

 

 向こうも分かっていたのだろうが、残念そうに苦笑していた。

 

「私は二人きりのチームのほうがいいのだけど~」

 

「俺の答えが分かっていても」

 

 それに微笑むツェリスカ、やはり答えが分かっていたらしい。

 

「僕らの前で、よく言えるね」

 

「あら、なんのことかしら~」

 

 イツキとは、馬が合わない程度だろう。そんな印象を受ける二人の会話。

 

 ともかく、現状確認しないといけない。

 

「ヒカリ、それで俺は」

 

「はい、マスターは《SBCフリューゲル》へ入る資格を得ました。マスターの友達なら一緒に入れます」

 

「パーティーメンバーか、もしくばスコードロンってことか?」

 

「それならあたしはタイプAをレンタルして、資格を取るわ。自由に出入りしたいもの」

 

 確かに、必ず俺がいなきゃいけない、もしくば所有者のスコードロンに入るしかないらしい。

 

 そんな話をしていると、

 

「テイル、君がスコードロンを作ればいいじゃないのか?」

 

「ぐはっ」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 別段、HPゲージが減ったわけでもないのに、彼は倒れかけた。

 

 それには仲間たちみんなが呆れながら、キリトは続ける。

 

「そんなに嫌がらなくても……。君の腕前なら、スコードロンリーダーは問題ないだろうし、俺たちは君のスコードロンに入ればいいだけだし」

 

「キリトくん、それって君が楽したいだけなんじゃ」

 

「それは」

 

「俺には、無理だ」

 

「そんな苦しそうに言わなくても。俺はどこかに所属するのは苦手だけど、君のならいいかな」

 

 そんな話の中、イツキも自分のスコードロンがあるものの、入るらしい話をしていた。

 

 無茶苦茶であるため、何度もごねる中、クレハも立候補して来たりして、もう収拾がつかない。

 

 結果、勝負方式で、強さを示して決めることになる。

 

 無論テイルも勝負に出るが、彼の顔から、負ければいいやと言うのが読み取れて、

 

「テイル、負けたらリーダーね」

 

「………」

 

 クレハからの言葉に、彼は逃げ場が無くなった。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 嫌がらせをすることにした。

 

 ランチャーを使用して、超遠距離から攻撃する。けして剣士で戦わないぞ。

 

「だからなんでそんなに」

 

「テイルうまっ、どうしてそんなに動けるの。どこから」

 

「くっ、スモークがッ。どうして居場所が」

 

 かさかさと動き、煙をたいて、背を低くして、相手のバックを取りながら撃ったり、撃ち終えたら煙で隠れたり。

 

「くそっ、やりずらいわねっ」

 

「あーーーもう、どこだーーーー」

 

 重点的にキリトを狙いながら、かく乱して勝ち、渋々スコードロンリーダーになる。

 

 ユウキたちは不満の声が出るが勝ちは勝ちだ。

 

「マスター、おめでとうですっ」

 

「ぐはっ」

 

「まっ、マスターが突然膝をついて倒れましたっ。ダメージが残ってるようです!」

 

「いやたぶんリーダーの重責だと思うよ?」

 

 このままリーダーなんてやり続けたら、俺はVRゲーム引退を視野に入れないといけない。

 

「………悪いが《SBCフリューゲル》攻略を目的としたスコードロンだ。すぐに解体はしないが、それまではスコードロンとして活動する。イツキは、攻略目的で一時的にウチに入る。でいいよな?」

 

「それでいいよ」

 

「僕もそれでいいよ」

 

 こうしてトッププレイヤーが集まるスコードロンが結成され、しばらくリアルで胃薬を買うことを決める………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 二人のプレイヤーが話し合う。

 

「負けか……」

 

「やっぱり悔しい?」

 

 ツェリスカとクレハ、彼女たちは仲間たちの輪から離れ、先の戦闘を思い出す。

 

 不本意ではあるが、彼はしっかりとした戦術で勝った。文句はあるが、強くは言う気は無い。

 

「悔しい、ですね……。別のゲームじゃトッププレイヤーでも、GGOはあたしが先にプレイしてましたから」

 

「そうね~、まさか彼もあそこまで器用な人とは、思いもしなかったわね」

 

「昔から変わらないな、あの人はあたしたちのお兄ちゃんで、あたしはその後ろ」

 

「えっ」

 

 ツェリスカが驚く中、クレハは失言に気づきながら、そのまま続けた。

 

「あの人はあたしと、お姉ちゃんより年上なんです。いつもあたしたちのことを見ててくれて、あたしはそれを良い事に、いつもの感じで話してて」

 

 黄昏る少女は、現実世界の彼を思い出す。

 

「表情も良く変わる、あの人は変わったな……あたしは」

 

 そう呟きながら、風が荒野の世界に吹いた。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「胃が」

 

「大丈夫ですっ、マスターはやればできる子です!」

 

 ヒカリは生き生きしていて、俺は死にそうになる。

 

 そんな中、町を歩いていると、

 

「イツキ?」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「イツキさんどういうことですかっ、俺たちなにも聞いてませんよ!」

 

「申し訳ありません、どうしても彼らがイツキさんと話がしたいと」

 

「イツキ」

 

 その中にテイルが出て来ると、やはりというか、スコードロンリーダーが別のスコードロンに入ることで、問題を起こしてしまったらしい。

 

「イツキ……」

 

「ごめんごめん」

 

「あんた、イツキさんにいったいなにしたんだっ」

 

 スコードロンのリーダーの引き抜きなんてあまりいいことではない。モラルにかけるなので、彼はちゃんと説明することにした。

 

「イツキは一時的に《SBCフリューゲル》攻略のために入っただけで、それ以上にウチのスコードロンに入った理由はないよ」

 

「えっ、そうなんっすか?」

 

「そうですよ、イツキさんからそう連絡が来てます。申し訳ない、話が途中でして」

 

「いえ、スコードロンリーダーを引き抜くのは、さすがにですから」

 

 パイソンからそう言ってもらえれば幸いですと言われるテイル。

 

 イツキもやれやれと、ほっとする団員達。

 

「なんだイツキさん、いつもの退屈凌ぎですか」

 

「………」

 

 少しだけ黙るイツキだが、すぐに切り替えたように笑う。

 

「まあそう言うことだよ、キミ達に話をしてすぐだったけどね。退屈したらすぐ戻るさ」

 

 それを聞き、安心して去る団員たち、パイソンから後を頼みますと言われて、テイルはイツキを見る。

 

「まさか話してすぐだったとは」

 

「ごめんごめん。彼らは、僕を買いかぶりすぎてる。僕のことを英雄かなにかと勘違いしててね」

 

「そうか、それは大変だな」

 

「まあキミとなら、退屈はしないだろうかなっと思って、すぐに出てちゃったけど」

 

「イツキ」

 

「ははっ、なんてね。冗談だからそんな顔しないでくれ」

 

 そんな会話をしながら、せっかくだから街を歩いた。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「テイルがリーダーか、キリトくんもなかなかやりますな~」

 

「レイン、俺は別に嫌がらせのためにさせてるわけじゃないからな」

 

 フィリアやプレミアもいる中、キリトは自分のホームで話をしていた。

 

「けど、あそこまで拒否するとは……」

 

「まあ私の知る彼は、そう言うのほんと苦手って感じかな」

 

「そうか、レインさんはテイルさんがなにしてたのか知ってたっけ」

 

 レインはSAO時代からの彼をよく知る、数少ないプレイヤー。

 

 いや、もしかすれば唯一彼の過去を知る者だろう。

 

「うん、いつも妙な注文受けてね」

 

 SAO、彼の昔を知るのは、このメンバーでレインだけだ。周りのみんなも話を聞くためにレインを見て、レインは昔を思い出す。

 

「ん~なんて言えばいいんだろう? いつもなにか思いつめてて、いつも何かと戦ってるってイメージかな」

 

 彼の当時のことを話すと、狩り場では無い危険なエリアを狩り場にし、ソロで槍や投擲、刀や、数少ない弓矢を使う。

 

「ブーメランも得意で、釣りも得意だった。食べ物は自給自足で集めてて、宿はハウスを宿屋にしたプレイヤーを転々としてたな」

 

「レインは彼のことを良く知ってますね」

 

「まあ、途中からだけど、彼が所属するギルドに入ったからね」

 

「そう言えばギルドリーダーは名前は聞いたことがあるけど、彼の名前は知らないな」

 

 俺ことキリト、クライン、アスナはすぐに彼が所属した後方支援ギルドを思い出す。

 

 彼らはブラウニーと言う名前の通り、縁の下でサポート。常に攻略戦で大量の回復アイテムと多少の結晶アイテムを用意したり、武器防具の整備をしてくれたりしてくれた。

 

 だからこそ名前は知っている。そのリーダーも少ないやり取りの中で信用を勝ち取ったり、このギルドの強みをアピールして人手を集めたりやり手であったと言う印象。

 

 それでも彼ほどのプレイヤーが所属していると言う話は、聞いたことは無かったのが不思議でならない。

 

「まあね、信用を勝ち取る為だろうけど、ギルドは彼の功績を隠してた。彼は気にしてもいないし、私たちも深くは言えない立場だったし、本当かどうかも分からなかった」

 

 ギルドがまさかリーダーでも何でもないプレイヤーが居なければ回らない。商人ギルドとしては致命的な部分であるため、レインはなんとも言えない。

 

 だが、一人だけはっきりと言える男がいた。エギルは腕を組みながら、静かに告げた。

 

「いや、俺は信じるぜ。なんせ彼奴、俺が中層プレイヤーに金をつぎ込んでるって知って、イベントボスが落とす鉱石を流しに来たぜ」

 

 エギルからそれを聞き、彼が《白竜》を退治していたことを知って、俺とリズは驚愕する。

 

「強いんですか?」

 

「ああ厳しいぜ」

 

「それを流してたのって、まさかそのレアアイテムが流れてたのって」

 

 それを全て彼の仕業なら………

 

 SAOのプレイヤーの大半は、彼によって助けられていたことになる。

 

 攻略戦も、生活することも全部含め、彼一人が全てを支えていた。

 

「どうして彼はそこまで」

 

「それは本人に聞かないと分からないよ、あの性格じゃ、喋るか分からないけど」

 

 そんな話をしながら、彼はいまなにをしているのだろうか………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「コアが手に入らないのは、違うからなんだろうな」

 

 そう思いながら、ガーディアンたちを倒す。

 

 手に入れた《アンチマテリアル・ライフル・ティアマト》は速射連射をすれば、敵なしのように強力であり、ガーディアンを好きなだけ狩れた。

 

「あの時、お前が居れば楽だっ………」

 

 首を振り、言葉に詰まる。

 

 あの時の体験は、けして人に言えない、俺の秘密だ。

 

 レーザーに焼き殺された日々がある中、少しだけ腰を下ろし考えた。

 

「もうあの日々はなんなんだろうな」

 

 意味が無い日々、意味がある日々。

 

 人に言えない、理解されない、されたくもない日々だ。

 

 気楽に話せるレインにも、ユウキにも話す気は無い。

 

 腰に下げた二本の剣、そして背負う銃の重みを感じながら、軽いとも思う。

 

 あの日々は、アイテム回収、モンスターとの闘い、フィールドを歩き回り、精神も何もかもダンジョンに奪われたり………

 

「やめよう、これ以上意味が無い」

 

 例え受け入れたとしても、あの日々の、鉛のような重みがそう簡単には消えない。

 

 一人でいると、どうしてもそちらに引っ張られる。

 

「ん?」

 

 そう考えていると、気配を感じ、隠れた。

 

 狙撃体制に入り、狙うが、フィールドマップで味方と分かり、近づく。

 

「シノン」

 

「あなた………」

 

 一人フィールドを歩くシノン。それに気づき、近づく。

 

「まさかこの辺のエネミーあなたが? ここのエネミーかなり強いって聞くけど」

 

「あっ、うん、たぶん。ここのは慣れると楽しいんだ」

 

「そう、なの………」

 

 少し戸惑うようなシノン。一人でフィールドとはいったい?

 

「ねえテイル。あなたはこの先に行ったことは?」

 

「? いや無い」

 

「………」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 彼からあるクエストを聞いた。狙撃銃、そのレアドロップすると言うエネミーがいるフィールドに向かう。

 

 その途中にも、厄介なエネミーがいると言う噂の場所に、彼はいた。

 

 彼はなんてことも無いようにいて、それに少し戸惑う。

 

 最初はそんなに強いプレイヤーとは思わず、変わったプレイヤーと思っていた。

 

 だけど彼は、キリトとは違う強さを持ったプレイヤーで、仲間になってから、時折目が追っているのが自覚している。

 

 それでも気になる。彼の強さ。

 

 昔ほど強さに執着してなくても、彼は何か人とは違う、何かを持っている。

 

 その強さが知りたいのは、いまでに事件を引きずっているのか、好奇心なのは分からない。

 

「ねえテイル、お願い」

 

 それでも、私はいまは仲間のためにも強くありたい。

 

 そして、彼をもっと知りたい。

 

 仲間みんなが思う。

 

 教えて………

 

 あなたはなんで、一人で強くなるの?

 

 こうして彼と共に、狙撃銃が手に入ると言う、イベントボスがいる、場所へと向かう。




シノンイベ突入。

スコードロンのリーダーでなにするんだろう? マシンガンぶっ放す奴らしかあまり知らないな。

お読みいただき、ありがとうございます。
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