ソードアート・レジェンド   作:にゃはっふー

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攻略の中、不安な影が差す。


第32話・荒野の闇

 それはカードキーを集め、みんなそろそろボス戦を考え、弾薬補給やアイテム見直しなどで町に戻った時、

 

「ねえ、どこかでお茶にしない? 今日はずっと砂漠で狩りをしていたから疲れちゃって」

 

「そうだな、さすがに冷たい飲み物が欲しい」

 

 イツキとツェリスカ、クレハと組み、デイジーとヒカリがいる中で、クレハはそう言う。全員が満場一致で近くのカフェで休むことに。

 

 中はそこそこ混んでいる席を見つけ、各々が飲み物を頼む。

 

「ずいぶん混んでるな、珍しい」

 

「なにか放送してる? モニター」

 

「MMOストリームじゃない?」

 

 バーのような店で、大型スクリーンに映るテレビ番組。別VR空間の様子など映している。いまは人気のVRゲームの紹介や、攻略情報の特集のネット番組だ。

 

 そこから何度もインタビューのオファーが来ていて、もう嫌になるほど聞いていた。

 

 テレビの中の、ゼクシード? と言うプレイヤーがかなり自信満々にインタビューを受けている様子が流れている。

 

「ははは、気持ちいいくらいに調子に乗っているねえ。AGI型最強論を唱えていたのはゼクシードじゃないか」

 

 イツキの言葉通り、確かそんな話を聞いた。

 

 事前にアバターの成長方針に、色々調べた辺りだろうか? もともとこれはコンバート、引き継ぎだが、ヒカリは違うので参考にしようとしたが、結局あまり参考にならなかったな。

 

 そんな彼だが、いまの彼は手のひらを返したように否定して、雑談する。

 

 こちらはどうなんだろう。そう考え込んでいると、

 

「ん……」

 

 一人のプレイヤーが静かに立ち上がる。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

『ゼクシード! 偽りの勝利者よ! 今こそ、真なる力による裁きを受けるがいい!』

 

 そう高らかに宣言し、ゼクシードに拳銃を発砲。

 

 それは画面を通り過ぎて言ったのを見ていた。

 

 すると画面の中のゼクシードが苦しみだし、強制ログアウトした。

 

「えっ、なに、なにが起きてるのっ!」

 

「ゼクシードは緊急ログアウトしたようだけど……。あの苦しそうな表情、おかしいわね」

 

「それにさっきの拳銃使い。確か死銃(デスガン)って名乗ってたっけ? 彼奴は」

 

「イツキが追いかけた」

 

 すぐに周りを確認するが、目で追った記憶を思い出すが、やはり弾丸は画面を貫通している。

 

 ゼクシードが苦しみだしたとき、自分のことを名乗っていたが、アバター名は隠されていた。

 

 すぐに動けず、イツキが動くのを見て、四人を落ち着かせると同時に、先ほどの男の行動を思い返す。

 

「いまのはゼクシードに攻撃を?」

 

「まさか、それはあり得ない。ここはGGO、《ソードアート・オンライン》ではないのよ」

 

「そ、そうだよね。なにかの演出かトラブルよね」

 

「そもそも《MMOストリーム》はGGO内の番組じゃないわ」

 

 ツェリスカはそう言って、断言している中、多少のざわつきだけで、店の中はすぐに落ち着きを取り戻し始めた。

 

 番組の方は彼の強制ログアウトに驚きながらも進行していて、そんな会話の中、なにか違和感を感じる。

 

 結局イツキも彼を見失い、そんな影を残す。一日だった。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 しばらくして、現実世界で朝、いつものランニングを終えて帰ると、

 

「お帰り」

 

 俺の父親が珍しく、そして慌ただしく家の中で出かける準備をしていた。

 

「父さん、仕事?」

 

「ああ少し、しばらく帰れそうにないな」

 

 父親が仕事の為、出かけていく様子を見送る。

 

 なんかあったのだろうと、親の仕事に納得しながら、冷蔵庫からミルクを取り出す。

 

「最近物騒なのかな」

 

 そう呟き、飼い猫がすり寄ってくる。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 謎の事件からまた少しして、

 

「マスター、メールが来ました! ジョーからですよ!」

 

 バザルト・ジョーから最後の果たし状が来た。

 

 最後らしいので、行くことになるが………

 

「ギャラリーが多いことにはすまないと思っている……」

 

 フィールドのとある一角、たった一人待っていた彼に悪いが、俺たちは大所帯で着てしまった。

 

 ヒカリだけではなく、クレハだけでなく。キリト、アスナ、リーファ、シノン、ユウキだけでもなく。

 

 イツキやツェリスカまでいるという、なんていうかな………

 

「ともかく、最後の試合。でいいんだよな?」

 

「おう、男の二言は無い。この勝負、お前さんはアファシスちゃんを、俺は一番大事にしているものを賭けての勝負よっ」

 

 そうお互いルール確認す。別になにもいらないのだが、ヒカリを渡すわけにはいかない。

 

「勝負方法は」

 

「男の究極勝負と言えば、決まってらあ! 一対一の決闘だっ」

 

「なら俺はガンゲーであろうと、全力を出す為に全力でやろう」

 

 それは光剣も使うと言う意思の表れであり、ヒカリだけは誰にも渡す気は無い。

 

「それならいい、お前さんとアファシスちゃんの絆は知っている。だが、男には引けないときがある! 全力で行くぜ!」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「始まったな」

 

「バザルトくんはああ見えて凄腕だからね。彼は」

 

 スナイパーライフル、それも《アンチマテリアル・ライフル》の連射速射。

 

 そして向かってくる弾丸は二刀流で切り払うテイル。

 

「相変わらず狙っているそぶりの無いのに、的確に撃つな………」

 

 ほぼ取り出すと共に、彼は速射する。

 

 射撃予測円(バレット・サークル)の中ならそんな荒業できるのだろう。キリトたちはそう納得していた。

 

 ただ速射が速過ぎる為かは知らないが、彼は射撃予測線(バレット・ライン)が見えず、より厄介だ。

 

「ええ。狙撃の連射や速射なんて聞いたことないわ~……。それに光剣の二刀流」

 

 それに爆弾も器用に使う中、爆発の中で一気にUFGで近づき、接近戦を仕掛けた。

 

 道具の切り替えと扱い。そして精密射撃。キリトとユウキには無いプレイヤースキルに、シノンには無い精密度。

 

 各々がそれに深く観察する中、彼は全く動揺も何もなく、静かに確実に動く。

 

「これは、経験の差を埋めるな………」

 

 銃の乱射の際、光剣を取り出し全て斬り落とすなどの芸当も見せる。

 

 それにクレハたちは驚くが、キリトは面白そうに笑う。

 

「お兄ちゃんみたい……。前々から思ってたけど、テイルさんって何者なんだろう」

 

「リアルの詮索はマナー違反でも、ここまでくると知りたくなるわね」

 

 リーファもシノンも驚く中、イツキは静かに戦いを見ながら、

 

「みんなも彼のことを知らないのかい」

 

「いえ、あたしは、小さい頃の幼なじみです。ですけど、ここまで凄いなんて」

 

 言葉を無くすクレハ。

 

 明らかなトップレベルの動きに、ただ見つめるしかない。

 

「どうして……」

 

 その様子をただ静かに見守った。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「たぁぁぁ〜、負けた」

 

「勝った」

 

 戦いはだいぶ時間が経ち、それでも彼は機械的に呟き、ジョーはその場に座り込む。

 

「一対一の戦いでも負けるとは」

 

「ジョー、マスター。お疲れ様です!」

 

 ヒカリが二人に近づき、ジョーは立ち上がる。

 

「アファシスちゃん?」

 

「わたしはマスターのアファシスです。ジョーのアファシスにはなれません。でも、ジョーは銃が大好きないい人です、わたしの友達になってください」

 

 ヒカリはそう言い、俺は一息つく。

 

「マスターもありがとうございます、とてもかっこよかったです!」

 

「ああ」

 

 頭を優しく撫でながら、その様子にジョーは天を仰ぐ。

 

「くぅぅ、男に涙は不要だって言うのに、なぜか目から水分が出ちまうっ。いや、これは鼻水に違いねえ」

 

 それはそれでどうだろうか。

 

「テイル、約束通り。オレ様の一番大事なものをくれてやるっ」

 

 そう言えばそう言う話だった。

 

 彼からいったい何が? カードキーだろうか?

 

「オレ様だ」

 

 その時、空気が読めない俺でも空気が分かった。

 

「はっ?」

 

「へっ?」

 

「それは」

 

 女性たちもあまりのことに言葉を無くし、全員なにも言葉が出ない。

 

 こうしていぶし銀なプレイヤー、バザルト・ジョーが時々クエストに参加する。

 

 ちなみに彼のスコードロンから、文句も何も無かった………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「この前は大変だった」

 

「お疲れ様ですマスター!ステータス振り直しのアイテム確保と武器の整備ですか?」

 

「色々考えないと」

 

 今回みたいな一対一はどちらかと言えば、俺の得意分野。

 

 長い年月一対一、それも巨大な敵に対しての戦いで、俺はそうそう負けないだろう。

 

 だが過信はできない、なにより昔より俺は、幾分か気が抜けているのは分かる。

 

 そんなことを考えていると、キリトからメールが届く。

 

「なんだ」

 

 急にホームに呼ばれ、急ぎらしいのでホームへ向かう。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「キリト、どうしたの? 突然、全員集合なんて、めずらしい」

 

 レインやフィリアなどもいる中、全メンバーいる中で、キリトは重々しい顔でそこにいる。

 

「ああ……実は。突然で悪いけど、みんなにはしばらくGGOにログインしないでほしい」

 

 その言葉に全員が驚き、キリトを見た。

 

 だがすでにアスナなど、彼女らには話は通していた様子が分かる。

 

「そんな、それじゃ《SBCフリューゲル》の攻略はどうするの?」

 

「どういうことかしら~? もちろん、相当の理由はあるわよね?」

 

 キリトが静かに、真剣な顔で話し出す。

 

 それはまさにキリトが厄介ことに首を突っ込んだらしい。

 

 別に自分から首を突っ込んだわけではないらしい。ある人物から、このGGOで不穏な事件が起きている。

 

 訳があって言えないが、ある事件をきっかけに知り合った役人。

 

 その言葉にレインたちの事件を思い出す。

 

(確かSAO事件で、俺たち帰還者のケアを担当した役人か?)

 

 レインやスメラギと繋がり、VR業界を見極めようとした役人。

 

 キリトが言うには、依頼を引き受ける条件として、この極秘情報を俺たちに話すことで引き受けたらしい。

 

(主人公過ぎるだろ彼……)

 

 こんなんだから自分は彼のことを主人公とイメージしてしまう。

 

 彼の話から、ある事件の相談と言う名の協力体制を約束したようだ。

 

 ある日、死亡事故が二件起きた。どちらも一人暮らしで発見が遅れ、死体はだいぶ痛んでいた。

 

 死亡解剖の結果、死因は急性心不全と判断される。

 

 二人とも、VRゲーム中に死んだと思われるらしい。

 

 そして彼らはあるゲームのトッププレイヤー。

 

 それはランキングにも上がるプレイヤーで、その名前の中に、

 

「『ゼクシード』、それに『薄塩たらこ』と言うプレイヤーさ」

 

「ゼクシード? それって《MMOストリーム》で変な人に銃で撃たれた?」

 

 それになにか嫌な汗が流れ出す。

 

「銃で撃たれた? そいつは死銃(デスガン)と名乗らなかったか?」

 

「そう名乗っていたはずだ」

 

 どうも彼が薄塩たらこも撃ったらしく、詳しい話を聞かれてくるが、

 

「アバター名はプライバシー機能で隠されていたよ。顔の方はマスクで全体を覆っていたので分からない」

 

「身長はクラインくらい、細身の鍛えられたアバターだった」

 

 イツキと共に当時を思い出す。それと、

 

「気になるのは、ローブみたいなものを纏っていたところか」

 

「それと、僕の記憶が正しければ。使っていた拳銃は、これかな」

 

 そう言い、カタログからその拳銃を見せてくれた。物はその辺でも手に入る品らしい。

 

「これが死銃(デスガン)が使っていた……。ッ!? この銃、なんで!?」

 

 その時シノンの様子が変わる。

 

 急に呼吸が乱れ、何かに恐怖していた。

 

 シノンが銃によるトラウマがあることを知っている。これに関わりがある?

 

 ともかく、知らないイツキたちはあえて聞かないことにしてくれた。

 

 そのまま話が進むが、GGOで殺人事件が起きている。そんな方針で、役人は事件の裏取りをしているらしい。

 

 だがGGOの使用、アミュスフィアの性能から見て、人を殺すのは不可能だと結論はもう付けていた。

 

 それでも裏取りが必要で、彼も万が一を考えて、みんなにこのことを伝え………

 

 ………?

 

(待て、俺はどこかでこの話を聞いたことないか?)

 

 記憶の糸を探る中、あることを思いだす。

 

 俺は転生者、この世界は俺の知る物語に酷似した世界。

 

 まさかこれもと考えつつ、ともかく、一連の事件は無関係と言い難い。

 

 あくまでも万が一の可能性を考えて、ログインしないで欲しいそうだ。

 

 とりあえず、まだ確定ではないが、トッププレイヤー狙いなら危険なのは、

 

「キリトくん、アスナくん、シノンくん、ツェリスカくんに、ついでに僕。そして」

 

「俺か」

 

 クレハたちが青ざめる中、俺は冷静だ。

 

 幸運のニュービーやら、話題だけなら尽きていない俺。狙いとしては的過ぎる。

 

 ともかく、アスナたち、すぐに話を聞いたメンバーはキリトが残るなら残るとのこと。

 

 イツキたちも、結局は残るを選択するだろうが………

 

(俺は)

 

 まず考えよう、事件のことを。

 

(まずVR内で『殺人』をする場合か……、どうすればできる。まずソードアート・オンラインはどうだ)

 

 そして考えれば、少しずつ答えらしいものが見えるし、可能かと思う。

 

 だがそれでも『条件』が整わ………

 

(………本当に整わないか)

 

 そう思い、調べものをしながら、攻略を考えないといけない。

 

 物凄く頭が痛くなる。

 

(シノンのこともある、考えないといけないことが山積みだ)

 

 事件ばかりが残り、荒野の世界に冷たい風が吹いていた………




キリトくん主人公と思いたくなくても、行動でそう感じてしまいますね。

それでは物語はそろそろ終盤へと進みだします。

お読みいただきありがとうございます。
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