それはカードキーを集め、みんなそろそろボス戦を考え、弾薬補給やアイテム見直しなどで町に戻った時、
「ねえ、どこかでお茶にしない? 今日はずっと砂漠で狩りをしていたから疲れちゃって」
「そうだな、さすがに冷たい飲み物が欲しい」
イツキとツェリスカ、クレハと組み、デイジーとヒカリがいる中で、クレハはそう言う。全員が満場一致で近くのカフェで休むことに。
中はそこそこ混んでいる席を見つけ、各々が飲み物を頼む。
「ずいぶん混んでるな、珍しい」
「なにか放送してる? モニター」
「MMOストリームじゃない?」
バーのような店で、大型スクリーンに映るテレビ番組。別VR空間の様子など映している。いまは人気のVRゲームの紹介や、攻略情報の特集のネット番組だ。
そこから何度もインタビューのオファーが来ていて、もう嫌になるほど聞いていた。
テレビの中の、ゼクシード? と言うプレイヤーがかなり自信満々にインタビューを受けている様子が流れている。
「ははは、気持ちいいくらいに調子に乗っているねえ。AGI型最強論を唱えていたのはゼクシードじゃないか」
イツキの言葉通り、確かそんな話を聞いた。
事前にアバターの成長方針に、色々調べた辺りだろうか? もともとこれはコンバート、引き継ぎだが、ヒカリは違うので参考にしようとしたが、結局あまり参考にならなかったな。
そんな彼だが、いまの彼は手のひらを返したように否定して、雑談する。
こちらはどうなんだろう。そう考え込んでいると、
「ん……」
一人のプレイヤーが静かに立ち上がる。
◇◆◇◆◇
『ゼクシード! 偽りの勝利者よ! 今こそ、真なる力による裁きを受けるがいい!』
そう高らかに宣言し、ゼクシードに拳銃を発砲。
それは画面を通り過ぎて言ったのを見ていた。
すると画面の中のゼクシードが苦しみだし、強制ログアウトした。
「えっ、なに、なにが起きてるのっ!」
「ゼクシードは緊急ログアウトしたようだけど……。あの苦しそうな表情、おかしいわね」
「それにさっきの拳銃使い。確か
「イツキが追いかけた」
すぐに周りを確認するが、目で追った記憶を思い出すが、やはり弾丸は画面を貫通している。
ゼクシードが苦しみだしたとき、自分のことを名乗っていたが、アバター名は隠されていた。
すぐに動けず、イツキが動くのを見て、四人を落ち着かせると同時に、先ほどの男の行動を思い返す。
「いまのはゼクシードに攻撃を?」
「まさか、それはあり得ない。ここはGGO、《ソードアート・オンライン》ではないのよ」
「そ、そうだよね。なにかの演出かトラブルよね」
「そもそも《MMOストリーム》はGGO内の番組じゃないわ」
ツェリスカはそう言って、断言している中、多少のざわつきだけで、店の中はすぐに落ち着きを取り戻し始めた。
番組の方は彼の強制ログアウトに驚きながらも進行していて、そんな会話の中、なにか違和感を感じる。
結局イツキも彼を見失い、そんな影を残す。一日だった。
◇◆◇◆◇
しばらくして、現実世界で朝、いつものランニングを終えて帰ると、
「お帰り」
俺の父親が珍しく、そして慌ただしく家の中で出かける準備をしていた。
「父さん、仕事?」
「ああ少し、しばらく帰れそうにないな」
父親が仕事の為、出かけていく様子を見送る。
なんかあったのだろうと、親の仕事に納得しながら、冷蔵庫からミルクを取り出す。
「最近物騒なのかな」
そう呟き、飼い猫がすり寄ってくる。
◇◆◇◆◇
謎の事件からまた少しして、
「マスター、メールが来ました! ジョーからですよ!」
バザルト・ジョーから最後の果たし状が来た。
最後らしいので、行くことになるが………
「ギャラリーが多いことにはすまないと思っている……」
フィールドのとある一角、たった一人待っていた彼に悪いが、俺たちは大所帯で着てしまった。
ヒカリだけではなく、クレハだけでなく。キリト、アスナ、リーファ、シノン、ユウキだけでもなく。
イツキやツェリスカまでいるという、なんていうかな………
「ともかく、最後の試合。でいいんだよな?」
「おう、男の二言は無い。この勝負、お前さんはアファシスちゃんを、俺は一番大事にしているものを賭けての勝負よっ」
そうお互いルール確認す。別になにもいらないのだが、ヒカリを渡すわけにはいかない。
「勝負方法は」
「男の究極勝負と言えば、決まってらあ! 一対一の決闘だっ」
「なら俺はガンゲーであろうと、全力を出す為に全力でやろう」
それは光剣も使うと言う意思の表れであり、ヒカリだけは誰にも渡す気は無い。
「それならいい、お前さんとアファシスちゃんの絆は知っている。だが、男には引けないときがある! 全力で行くぜ!」
◇◆◇◆◇
「始まったな」
「バザルトくんはああ見えて凄腕だからね。彼は」
スナイパーライフル、それも《アンチマテリアル・ライフル》の連射速射。
そして向かってくる弾丸は二刀流で切り払うテイル。
「相変わらず狙っているそぶりの無いのに、的確に撃つな………」
ほぼ取り出すと共に、彼は速射する。
ただ速射が速過ぎる為かは知らないが、彼は
「ええ。狙撃の連射や速射なんて聞いたことないわ~……。それに光剣の二刀流」
それに爆弾も器用に使う中、爆発の中で一気にUFGで近づき、接近戦を仕掛けた。
道具の切り替えと扱い。そして精密射撃。キリトとユウキには無いプレイヤースキルに、シノンには無い精密度。
各々がそれに深く観察する中、彼は全く動揺も何もなく、静かに確実に動く。
「これは、経験の差を埋めるな………」
銃の乱射の際、光剣を取り出し全て斬り落とすなどの芸当も見せる。
それにクレハたちは驚くが、キリトは面白そうに笑う。
「お兄ちゃんみたい……。前々から思ってたけど、テイルさんって何者なんだろう」
「リアルの詮索はマナー違反でも、ここまでくると知りたくなるわね」
リーファもシノンも驚く中、イツキは静かに戦いを見ながら、
「みんなも彼のことを知らないのかい」
「いえ、あたしは、小さい頃の幼なじみです。ですけど、ここまで凄いなんて」
言葉を無くすクレハ。
明らかなトップレベルの動きに、ただ見つめるしかない。
「どうして……」
その様子をただ静かに見守った。
◇◆◇◆◇
「たぁぁぁ〜、負けた」
「勝った」
戦いはだいぶ時間が経ち、それでも彼は機械的に呟き、ジョーはその場に座り込む。
「一対一の戦いでも負けるとは」
「ジョー、マスター。お疲れ様です!」
ヒカリが二人に近づき、ジョーは立ち上がる。
「アファシスちゃん?」
「わたしはマスターのアファシスです。ジョーのアファシスにはなれません。でも、ジョーは銃が大好きないい人です、わたしの友達になってください」
ヒカリはそう言い、俺は一息つく。
「マスターもありがとうございます、とてもかっこよかったです!」
「ああ」
頭を優しく撫でながら、その様子にジョーは天を仰ぐ。
「くぅぅ、男に涙は不要だって言うのに、なぜか目から水分が出ちまうっ。いや、これは鼻水に違いねえ」
それはそれでどうだろうか。
「テイル、約束通り。オレ様の一番大事なものをくれてやるっ」
そう言えばそう言う話だった。
彼からいったい何が? カードキーだろうか?
「オレ様だ」
その時、空気が読めない俺でも空気が分かった。
「はっ?」
「へっ?」
「それは」
女性たちもあまりのことに言葉を無くし、全員なにも言葉が出ない。
こうしていぶし銀なプレイヤー、バザルト・ジョーが時々クエストに参加する。
ちなみに彼のスコードロンから、文句も何も無かった………
◇◆◇◆◇
「この前は大変だった」
「お疲れ様ですマスター!ステータス振り直しのアイテム確保と武器の整備ですか?」
「色々考えないと」
今回みたいな一対一はどちらかと言えば、俺の得意分野。
長い年月一対一、それも巨大な敵に対しての戦いで、俺はそうそう負けないだろう。
だが過信はできない、なにより昔より俺は、幾分か気が抜けているのは分かる。
そんなことを考えていると、キリトからメールが届く。
「なんだ」
急にホームに呼ばれ、急ぎらしいのでホームへ向かう。
◇◆◇◆◇
「キリト、どうしたの? 突然、全員集合なんて、めずらしい」
レインやフィリアなどもいる中、全メンバーいる中で、キリトは重々しい顔でそこにいる。
「ああ……実は。突然で悪いけど、みんなにはしばらくGGOにログインしないでほしい」
その言葉に全員が驚き、キリトを見た。
だがすでにアスナなど、彼女らには話は通していた様子が分かる。
「そんな、それじゃ《SBCフリューゲル》の攻略はどうするの?」
「どういうことかしら~? もちろん、相当の理由はあるわよね?」
キリトが静かに、真剣な顔で話し出す。
それはまさにキリトが厄介ことに首を突っ込んだらしい。
別に自分から首を突っ込んだわけではないらしい。ある人物から、このGGOで不穏な事件が起きている。
訳があって言えないが、ある事件をきっかけに知り合った役人。
その言葉にレインたちの事件を思い出す。
(確かSAO事件で、俺たち帰還者のケアを担当した役人か?)
レインやスメラギと繋がり、VR業界を見極めようとした役人。
キリトが言うには、依頼を引き受ける条件として、この極秘情報を俺たちに話すことで引き受けたらしい。
(主人公過ぎるだろ彼……)
こんなんだから自分は彼のことを主人公とイメージしてしまう。
彼の話から、ある事件の相談と言う名の協力体制を約束したようだ。
ある日、死亡事故が二件起きた。どちらも一人暮らしで発見が遅れ、死体はだいぶ痛んでいた。
死亡解剖の結果、死因は急性心不全と判断される。
二人とも、VRゲーム中に死んだと思われるらしい。
そして彼らはあるゲームのトッププレイヤー。
それはランキングにも上がるプレイヤーで、その名前の中に、
「『ゼクシード』、それに『薄塩たらこ』と言うプレイヤーさ」
「ゼクシード? それって《MMOストリーム》で変な人に銃で撃たれた?」
それになにか嫌な汗が流れ出す。
「銃で撃たれた? そいつは
「そう名乗っていたはずだ」
どうも彼が薄塩たらこも撃ったらしく、詳しい話を聞かれてくるが、
「アバター名はプライバシー機能で隠されていたよ。顔の方はマスクで全体を覆っていたので分からない」
「身長はクラインくらい、細身の鍛えられたアバターだった」
イツキと共に当時を思い出す。それと、
「気になるのは、ローブみたいなものを纏っていたところか」
「それと、僕の記憶が正しければ。使っていた拳銃は、これかな」
そう言い、カタログからその拳銃を見せてくれた。物はその辺でも手に入る品らしい。
「これが
その時シノンの様子が変わる。
急に呼吸が乱れ、何かに恐怖していた。
シノンが銃によるトラウマがあることを知っている。これに関わりがある?
ともかく、知らないイツキたちはあえて聞かないことにしてくれた。
そのまま話が進むが、GGOで殺人事件が起きている。そんな方針で、役人は事件の裏取りをしているらしい。
だがGGOの使用、アミュスフィアの性能から見て、人を殺すのは不可能だと結論はもう付けていた。
それでも裏取りが必要で、彼も万が一を考えて、みんなにこのことを伝え………
………?
(待て、俺はどこかでこの話を聞いたことないか?)
記憶の糸を探る中、あることを思いだす。
俺は転生者、この世界は俺の知る物語に酷似した世界。
まさかこれもと考えつつ、ともかく、一連の事件は無関係と言い難い。
あくまでも万が一の可能性を考えて、ログインしないで欲しいそうだ。
とりあえず、まだ確定ではないが、トッププレイヤー狙いなら危険なのは、
「キリトくん、アスナくん、シノンくん、ツェリスカくんに、ついでに僕。そして」
「俺か」
クレハたちが青ざめる中、俺は冷静だ。
幸運のニュービーやら、話題だけなら尽きていない俺。狙いとしては的過ぎる。
ともかく、アスナたち、すぐに話を聞いたメンバーはキリトが残るなら残るとのこと。
イツキたちも、結局は残るを選択するだろうが………
(俺は)
まず考えよう、事件のことを。
(まずVR内で『殺人』をする場合か……、どうすればできる。まずソードアート・オンラインはどうだ)
そして考えれば、少しずつ答えらしいものが見えるし、可能かと思う。
だがそれでも『条件』が整わ………
(………本当に整わないか)
そう思い、調べものをしながら、攻略を考えないといけない。
物凄く頭が痛くなる。
(シノンのこともある、考えないといけないことが山積みだ)
事件ばかりが残り、荒野の世界に冷たい風が吹いていた………
キリトくん主人公と思いたくなくても、行動でそう感じてしまいますね。
それでは物語はそろそろ終盤へと進みだします。
お読みいただきありがとうございます。