ソードアート・レジェンド   作:にゃはっふー

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去っていく仲間たち、新たな事件に関わる仲間。

そんな中不穏な出来事と関わることになる。

ラストバトルがついに………


第35話・デスゾーン

 現実世界、我が家に送られてきた物を見て、物凄く疲れた顔をした。

 

 それはナーヴギア。まさかまたこれをかぶるのかと思うと、憂鬱になる。

 

(だけどこれで、この件は死銃(デスガン)と関係ない)

 

 そう、ある確証から関係無いことは分かっている。

 

 なら何が目的で、俺の住所やメールが送れた?

 

 その謎も考え、これでログインするしかない。

 

「リンクスタート」

 

 こうして俺は、死の空間へとログインした。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「! マスター……。ここはどこなのです」

 

 そこはGGOではなく、別のフィールド。多少似ている程度の空間。

 

 アイテムなどを即座に確認するが、GGOのアイテムなどが使える。

 

(前もって準備状態でよかった)

 

 そう思いながら、ヒカリの方も確認していると、気配を感じ振り返る。

 

「えっ……どうして」

 

 そこにいたのはクレハであり、戸惑う顔のクレハは、本人だろう。

 

「どうしてあんたがここにいるのっ!?」

 

「それはこっちのセリフだ」

 

 そう会話しながらメニューを操作、ログアウト画面を見るが、それはできない。

 

「ログアウト不可、本当にデスゲームを再現してるのか」

 

「どうやらそのようね~」

 

 その声に振り返ると、ツェリスカがそこにいた。

 

 デイジーは外に連れて行かないように設定していたからいないらしいが、彼女もここにログインしたらしい。

 

 頭が痛くなりながら、周りを見渡す。

 

「それより貴方達二人とも」

 

死銃(デスガン)から脅迫メールが送られてきたのかな」

 

「イツキ」

 

 今度はイツキも現れて、話を纏めると、住所が知られていて、そこにナーヴギアが送られてきたらしい。

 

 仲間を標的にすると言う脅しの中、全員の話を聞き終えて、

 

「ともかく話は分かった、全員はどこかに隠れていてくれ。あとは俺が探索する」

 

「待ってテイルっ、なにを勝手」

 

「死んでほしくないッ、黙っていてくれ」

 

「! なによそれ……」

 

 ショックを受けた顔をされるが、最優先することだってある。

 

 悪いが子供の我が儘なんか聞いていられない。

 

「クレハ、死んだらどうなるか分かっているだろ。君になにかあったら、おばさんたちに顔向けできない」

 

「………」

 

 だがクレハはどこか諦めたように、ただ静かに、

 

「そうね、悲しんてくれる人はいるかもしれない。だけど、あたしが突然死んで、困る人なんて、きっといない」

 

「………」

 

「お父さんやお母さんだって、お姉ちゃんがいれば……。あたしはね、そん」

 

 

 

「ふざけるなッ!!」

 

 

 

 クレハはその言葉に驚きながら、だが俺は収まらない。

 

「おばさんたちがお姉さんがいればいい? そんなわけないだろッ」

 

「テイル、さん」

 

「自分がこの世にいらない子でも思ったか? ふざけたことを言うなッ」

 

 驚かる中、クレハの頭を撫でながら、ただはっきり言う。

 

「バカなことを言うなよ、おばさんたち言ってたんだ。引っ越しの際、クレハを巻き込んで、あの子に負担が無いか、母さんたちに相談しに、家に来てたんだぞ」

 

「えっ……。うそ、だって」

 

 戸惑うだろう。俺自身これは話すべきは、どうすればいいか分からずじまいだが、いま言わなくてどうするか。

 

「引っ越しは、お姉さんが頑張って、それを実らせるからしたんだ。だけどその所為でクレハを知らない土地に連れて行くから、俺の家に置くことも考えたらしい」

 

「………」

 

「だけどしなかった、それはお前と別れるのは嫌だからだ」

 

「そん、そんな話、あた、あたし聞いて」

 

「いま言った」

 

 それに涙がポロポロ流れる中、頭を撫でる。

 

 これならもっと早く言え俺。

 

 過去の俺に対して殺意を抱きつつ、すぐに落ち着いて考える。

 

「ツェリスカ、イツキ、悪いが二人を頼む。俺は奥を調べて来る」

 

「待ちなさい、あなた一人だけにすることはできないわ」

 

「そうだよ、ここでの単独行動は危険だよ」

 

 ツェリスカは静かに前に出て、静かに銃を構える。

 

「貴方たちは私が必ず守る……、私にはその義務がある」

 

「義務?」

 

「私はザスカーの人間として、貴方たちを守る義務。それがある」

 

「ザスカーの人間なのか」

 

「驚いた……、ってきりどこかの女スパイかと思っていたよ」

 

 イツキの驚き、俺も驚く。

 

 ザスカー、つまりGGO運営に関わる人間。

 

 ツェリスカはプログラマーで、イベントなどのことには関わっていない立場らしい。

 

「だけどザスカーの人間として、私はあなたたちを」

 

「ツェリスカ」

 

 その言葉を遮り、静かに先を促す。

 

「それはこの件に、ザスカーの人間がこの事件に関わりがあると思っているのか」

 

「………ええ」

 

「そうか、もし死銃(デスガン)か、その協力者がザスカーの人間なら、僕らの個人情報が知られていてもおかしくない」

 

 だからツェリスカは思いつめているのか。

 

 だが、

 

「興味無い、四人はここにいててくれ。邪魔だ」

 

 悪いがここは冷たく切り捨てる。

 

 時間さえあれば、この先はどうにかなるんだ。

 

「っ!?」

 

「ちょっとっ、邪魔って。テイルさんだって、HPゲージが無くなれば」

 

「死ぬだろう、そんなの二年間の間そうだった。いまさら確認する必要もない」

 

「二年間……、ちょっと待ってくれっ」

 

「それって、貴方まさか」

 

「SAO帰還者(サバイバー)………うそ、あなたが、だって」

 

「母さんたちが君たちに言うはずないだろ。余計な心配かけると分かり切っているのに」

 

「そう、なの……」

 

「驚きです………」

 

 全員に驚かれる中、静かに全員にくぎを刺す。

 

「ともかくソロで死ぬかも知れない日々なんて、もう心が慣れてる。みんなはここにいて、自分の身を守っててくれ、俺は奥でログアウト方法を探す」

 

「だけど、そうと分かっても君だけにする理由は無いよ」

 

「そうね、だからと言って、貴方だけに危険なことをさせるつもりはないわ」

 

 頭が痛くなる。

 

「正直に言う、俺はソロの方が戦いやすい。邪魔だ、ここにいろ」

 

 そう強く言うが、その時、服の袖を二つの手が握る。

 

「マスター……」

 

「テイル……さん」

 

 ヒカリとクレハ、二人がこちらを見る。

 

 頭を盛大にかき、ため息を吐く。

 

「分かった、後ろにいてくれ……」

 

 こうして奥に進む。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 エネミーが配置されていて、どうにか倒す中、おかしいことに気づく。

 

(ここの敵はオリジナルがあるが、GGOで出るエネミーみたいだ。そして)

 

 静かに待つ。

 

 時間を、静かに待つしかない。

 

「正直、きついわね」

 

「だけど、死銃(デスガン)がいない」

 

「ともかく、ログアウト方法を探さないと」

 

 そんな会話をしているその時だ。

 

『―――アファ―――シス――――さ―――』

 

「っ!! 来たか」

 

「!?」

 

『応答―――して――――アファシス――――ーさん』

 

「これって、ユイちゃんの声?」

 

 突然聞こえ出す声にみんな戸惑うが、俺とヒカリだけは逆転の一手にすぐに反応した。

 

「ああ、待ってた。アファシス、急いで通話機能を開いてくれ」

 

 その言葉にヒカリは回線を開く。

 

『アファシスさん、ようやく見つかりました! ご無事で何よりですね』

 

「変なところに転送されてしまったようなのです! マスターたちもログアウトできません!」

 

『それは仕方ありません、アファシスさんたちがいる場所はGGOではありません』

 

 それにツェリスカたちが驚くが、

 

「だろうな、ナーヴギアに仕掛けでもあったんだろう」

 

『ナーヴギア? どうしてそんなものを……えっ、パパ、はい』

 

「パパ? キリトくんがなぜ!? 彼はいま大会に」

 

 イツキと共に、クレハたちも驚くが、そちらは、

 

「大会はいま調整前に緊急があり、延期になっているはずだ。犯人がキリトたちと俺たちを離すだろうから、知り合いに頼んでずらしてもらった」

 

「それって」

 

「七色博士、彼女とも知り合いなんだ。キリトたち関係で」

 

 それに周りが驚く中、キリトがこの空間に現れた。

 

「キリトさんっ」

 

「キリトくん」

 

「テイル、君って奴は……、少しばかり遠回り過ぎるだろ」

 

「仕方ない、キリトたちに直接連絡したらバレる」

 

 そう言われ、二人は驚いていた。

 

「テイル、キリトさんに脅迫メールのこと伝えたの」

 

「遠回りにね。メッセを飛ばすんじゃなく、俺たちに直接、しかも大会が緊急延期になったタイミングでね」

 

「……それはどんな方法だい」

 

 イツキが静かに聞く中で、通話の中、一人の男が喋る。

 

『このオレ様だっ』

 

「バザルト・ジョーっ!? それって」

 

『まったくよお、アファシスちゃんから手紙をもらったと思ったら、厄介ごとの頼み事なんてな』

 

 だが気分を害したより、頼られて喜んでいる様子で安心した。

 

 ヒカリは、もとい頼んでもいないのにバザルト・ジョーはヒカリが外に出ると必ず接触する。

 

 まず七色、セブンに頼み、《BoB》の大会をギリギリで遅れるようにして、キリトたちが自分の異変に気付かないことを避けた。

 

 ヒカリが外に出たとき、向こうから接触したとき、手紙を渡すようにしていた。自分もまた外に出歩いていたことも考え、ヒカリより自分を探ると考えたのだ。

 

 ヒカリも手紙程度ならバザルト・ジョーとよくやっているため、いまさらしたところでおかしくない。

 

「向こうは彼が関係ない人物を巻き込むとは思わなかっただろう」

 

「結果、ヒカリがいなくなったことに気づいたキリトたちは、ユイちゃんや七色博士たちに協力を頼んで、こうして探し当てる」

 

「君はそこまで考えて動いたわけか」

 

「ここまで来れば、後は現実でここの場所が分かるはず。そうすればここがどこか分かるはず」

 

 そう言い終えたとき、

 

「………なら、僕が説明するよ」

 

 そう呟き、いつの間にか自然に、距離を取っていたイツキ。

 

「ここはデス・ゲームエリア、GGOとは似て非なる世界さ。テイルくん、クレハくん、ツェリスカくんたちは、ナーヴギアを装着している。死銃(デスガン)に仲間の命を脅されてね」

 

 その言葉を聞きながら、答えをすぐに導き出す。

 

「そのナーヴギアには仕掛けがあってね、ログインすると自動的にここに転送されるというわけさ。詳しくはパイソンくんに聞いてくれ、僕はプログラムには詳しくないし、実は、長話はあまり好きじゃないんだ」

 

「イツキ……」

 

 あまり考えたくはないが、

 

「まさか君がこんな手を使うなんて、どこでそんな手段を取ると決めたんだい?」

 

「……この事件が死銃(デスガン)とは関係ないと踏んだとき」

 

「それは」

 

「奴は用意なんてしない、したとしてもこちらに要求することではない。条件で指示を脅してでもした時点で、この事件は死銃(デスガン)と関係ないことは分かった」

 

「そう、か……。キミがSAO帰還者(サバイバー)であることも考えて、こっちのミスだね」

 

 そう言いながら、彼は何かメニューを開いていた。

 

「そう、キミがプレイヤーから英雄になったように、僕も、魔王になったというわけさ。クレハとツェリスカが来たのは誤算だったな……、たいていの人間は、自分より大事なものはないから」

 

「イツキ………」

 

「だけど、キミは必ずここに来ると思っていた。僕とキミで命をかけて証明してみせるつもりだった。まさかキミは、先輩だったとは思わなかったよ」

 

「証明?」

 

「僕とキミの絆を。キミには僕しかいないことを」

 

「絆って、俺たちが仲間。ってだけじゃだめだったのか」

 

「………キミは僕を許さないだろう。僕はキミを、仲間を裏切ったのだから。キミとはもう」

 

 そう言い、静かに首を振り、ウインドを操作した。

 

「いいや、やめておこう。魔王は魔王らしき、最後まで役目を全て全うするべきだ」

 

 でかいエネミーが現れる。ここのラスボスと言わんばかりのそれを取り出す。

 

「キミも英雄らしく、その力を持って僕を断罪するがいい。魔王を倒さないと、このゲームは終わらないよ」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「キリトはクレハたちと共に下がれっ」

 

「だけど」

 

「クレハたちはもうギリギリだっ、三人を守ってくれ!」

 

 そう言い、テイルはライフルを構えて、走りながらタゲを取る。

 

 キリトはそれを見ながら、イツキはフィールドを区切る壁で守られているのを確認して、前に出ようとしたクレハを止めた。

 

「待ってくださいっ、テイルも、彼奴だってもう」

 

「だからこそ、彼奴の頼みを断れない」

 

「もう少し待ってくださいっ、あと少しで回復スキルが使えます!」

 

「その前にテイルが」

 

 

 

「なら、手数があればいいんだろう?」

 

 

 

 弾丸が無数放たれ、それに振り返る。

 

「ジョーっ」

 

「アファシスちゃんのため、ここでお前さんに倒れちゃ困るんだよ!」

 

「私たちもいるよ~」

 

「あんたって奴は、一人で全部背負って!」

 

 ストレアとレインも銃を乱射する中、アルゴを含め、全員がいて、シリカとアスナが回復スキルを使う。

 

「これならいけるよねテイルっ」

 

「ユウキ、おうっ」

 

「なら俺もいく!」

 

 キリトもすぐに走り出し、シノンが狙撃する中、斬り込む三人。

 

「ともかく、この人数なら一気に肩が付くっ。悪いが戦闘パターンが変わるよりも早く、次のゲージを飛ばす!」

 

 それに弾幕が張られ、エネミーの攻撃で、フィールドにレーザーを放つ道具が配置された瞬間、火力で破壊する。

 

 そんな中、エネミーの口に、エネルギーが集まっていた。

 

「キリトっ、飛ぶ!」

 

「分かったっ」

 

 二人の剣士が走る中、黒の剣士を足場に高く跳び、自分に向けて、レーザーが放たれたが、

 

「スウ」

 

 そのタイミングは知った。

 

 フォトンの刃が受け止め、実体がある刃が後ろから押し、そのまま跳ね返す。

 

 空高く飛び上がり、レーザーを受けダウンするエネミー。

 

「これもオマケよ」

 

 シノンが顔面へと狙撃し、仲間たちも集中する中、

 

 弾丸が尽きると共に剣へと切り替え、その顔に剣を突き刺す。

 

「デッエェェェェェェェェイアァァァァァ」

 

 そのままただ斬り払い、着地する瞬間、彼を足場に黒の剣士が飛ぶ。

 

「アァァァァァァァァァ」

 

 今度は彼の剣撃を受け、ゲージが消し飛ぶ。

 

「集中」

 

「砲火!」

 

 二人の攻撃にリロードし終えた全員が、一斉に弾丸を放ち、ゲージは無くなり、エネミーはポリゴンに変わる。

 

 そのまま落ちて来る剣を拾い、構えなおした………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「ははは、まさかあれを倒すとはね。テイル、キミは英雄だ。銃を手に困難を斬り拓き、英雄の名を確固たるものにした」

 

「イツキ……」

 

「絆で結ばれた仲間たちと共に奇跡を起こし、凶悪なドラゴンを倒し、そして魔王すら滅ぼすだろう。ずるいな……、英雄ご一行は。魔王にも仲間がいたっていいと思うんだけどね」

 

 銃を構える中、俺は光剣を見るが、

 

「イツキ、お前もナーヴギアをつけてるんだろっ。このまま戦えば」

 

 HPが0になり、脳破壊シークエンスが発動する。

 

 だが、

 

「それが、僕の望みだよ」

 

 そう言い発砲する中、UFGで避けながら、アイテムストレージから銃を取り出す。光剣などでは威力がありすぎる。

 

 瞬間出てきた銃に、バカバカしいほどお似合いだった。

 

 乾いた銃声が鳴り響く。

 

 向かい合うイツキと俺。イツキは、

 

「くっ……これは」

 

「まさかこいつに助けられるとはな」

 

「っ!?」

 

 イツキの銃を撃ち落としたのは、イツキからもらった銃だ。

 

「はは……、まさかそれに邪魔されるなんて。キミが持つ武器なら、銃だけ撃っても、僕を殺すこともできただろうに」

 

 そう言いながら、けして動きは見逃さない。

 

「お前のHPなら、あと一発は耐えられる。ここで終わりだイツキ」

 

「君は人を殺さないのかい? 僕を、仲間を裏切った僕を」

 

「許さないが、バカバカしい。人を殺す殺さないでしか物事を決めないでほしいな。もう一度若くして死ぬなんてごめんだ」

 

「………君は」

 

「俺はお前を殺さない、俺は殺さない強さを求めたからここにいる。これからも、俺は誰かの命を奪わずに、勇者なんてならない。俺は俺、勇者なんて求めない」

 

 そう言い終えたとき、辺りの空間が警報を鳴らし、この世界が終わりを告げた。

 

「まいったな、時間切れか……」

 

「………」

 

「それじゃ、また会いに行くよ。仮想世界か現実世界か分からないけど」

 

 そう言って、イツキが消えていく。

 

「だって、まだ聞いてないからさ。キミが仮想世界に来た理由を……」

 

 こうしてログアウトし、一つの事件が終わりを告げた………




終わる? まだ終わってません。まだ事件が残っていますから。

では、お読みいただきありがとうございます。
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