ソードアート・レジェンド   作:にゃはっふー

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第3話・SAO

 キリトたちの猛攻に、ヒースクリフは盾で防ぐ。

 

「こいつは俺たちのスキルの動きを全て知っている! 自分の力だけで突破するしかないッ」

 

 キリトの叫びの中、連携と自身のスキルのみで斬り込む中、ヒースクリフは宣告する。

 

「ラストバトル用に、私自身も強化されている。君に突破できるかなッ!」

 

 振り降ろされた剣風が、身体を吹き飛ばされそうになる。

 

 そしてスピードも速い。すでにシリカたちは戦闘不能、HPを考え、後ろに下がった。

 

 いまはキリト、アスナ、シノン、テイルが前に出る。

 

 クラインとリーファ、フィリアなどがシリカたちを守る配置だ。

 

「………」

 

 盾と盾が激突した時、ヒースクリフは僅かに怪訝な顔をする。

 

「………君はまさか」

 

 その時、剣でヒースクリフの剣を受け止めているテイル。

 

 僅かに思案する彼は、テイルを弾き、剣風を巻き起こし、全員をその場にとどめた。

 

「っ!?」

 

 瞬間、シリカが身体が浮かんだ瞬間詰められたが、

 

「!」

 

 そこに割り込む影がある。

 

「テイルっ」

 

「………」

 

 同じ盾と剣を振るう剣士同士が斬り込む合う中、盾で剣を弾く様子に、キリトが目を見開く。

 

「あれは」

 

 剣と盾が激突し、盾と剣が激突する。

 

「やはりかッ。君は、私と同じ」

 

「ッ!」

 

 剣と剣がぶつかり、睨み合う。

 

「《神聖剣》の使い手だ」

 

 それに全員が目を見開く。

 

「彼奴、キリの字と同じ、ユニークスキルを」

 

 キリトは彼の戦い方を見て、それに気づき、ユイが補足する。

 

「それらのスキルはラスボス攻略のために、GМが用意した専用スキルです! テイルさんはその一つを所持して」

 

 その時、ユイの言葉を区切るように盾と剣が激突し合う中、シノンの矢や、リーファたちの攻撃も連携に加わる。

 

 だが、《神聖剣》の防御力は、

 

「突破できないッ」

 

 キリトが歯を食いしばり、全員を蹴散らす中、

 

「ん………」

 

 テイルの動きがおかしい事に気づく。

 

 スローモーションのように流れる中、テイルは剣を腰の高さに振り構え、ベルトのホルダーに盾をしまい、一歩前に踏み込む。

 

 その様子は、

 

「っ!? バカなっ」

 

「でぇあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 ガキィィィンと言う音が鳴り響く。

 

 それは居合切りのように、ヒースクリフを吹き飛ばした。

 

「ユニークスキル………《抜刀術》」

 

 ユイの言葉に、テイルの連撃が続く。

 

「!!!」

 

 全員が驚くのは、いつの間にか彼は二刀流を持って、片手剣を持っていた。

 

「《双剣》っ!?」

 

「君は」

 

 苦しげに呟くヒースクリフ、連続に叩き込まれる剣撃。

 

 ガッキィンと金属音が鳴り響き、剣が吹き飛ばされるがもう片手剣は仕舞われ、背中の槍をホルダーから取り出して構え出すテイル。

 

 その流れに無駄が無く、それにまさかと思いながら対処し出す。

 

「やはりこれは、《無限槍》ッ!?」

 

 放たれた無数のラッシュに、ヒースクリフは驚きながら防ぐ。

 

 槍が盾に防がれ吹き飛ぶ中、周りがスイッチして切り替わった瞬間、ヒースクリフはすぐに動けない。

 

 すぐにキリトやクラインではなく、切り替わる彼を見る。切り替わりながらも、短剣など小物を構えるテイルを視界で見た。

 

「君はッ」

 

 それは手裏剣のように投げる投擲術、それにユイは、

 

「今度は《手裏剣術》ですっ!」

 

 スイッチしたクラインとキリトは戦いながら驚愕していた。

 

「テイルおめぇっ、どうしてんなもん隠し」

 

「隠してたわけじゃない、テイルはずっと、タンクを担当していただけだ!」

 

 キリトが疑問に答え、無言のままテイルはキリトの攻撃の隙をカバーする。

 

 この最終バトル、彼は、

 

「………悪いが」

 

 いつの間にか両手剣を構えると、それは黒く輝く。

 

 そのスキルを知るGМは驚きながら見ていた。

 

「《暗黒剣》」

 

「俺だってテメェにキレてるんだッ!」

 

 激突する剣と盾の乱舞の中、キリトが割って入る。

 

「くっ」

 

「アァァァァァァァァァァァァァァ」

 

「セイッヤアァァァァァァァァァァァ」

 

 ユイはこの中で、テイルと言う個人情報を覗き見る。

 

 それは、

 

「これは………」

 

 それは、バラバラに武器の熟練度が何もかも、ずば抜けていたこと。

 

「こんなことあり得ない、一日中、別の武器、戦い方を延々と繰り返さない限り、こんなことはあり得ないです」

 

「延々………延々と戦う、無言の剣士」

 

 リズがユイの言葉に、彼の異名を思い出す。

 

 それは延々と、黙々と、淡々と、同じことを繰り返す、剣士の異名。

 

 その異名は気の遠くなるほどエネミーの上にあった。

 

 その時、蒼と黒の双剣が乱舞する。いつの間にか落ちていた剣を拾い上げている。

 

「行けるっ、テイル!」

 

「ウオォォォォォォォォォォォォォ」

 

 次々と変わるユニークスキルの使い手は、彼も想定外過ぎた。

 

 GМヒースクリフの想定は、十人のユニークスキル使いを想定されたもの。

 

 だがたった一人が、複数のユニークスキルを使い、かつ無駄のない、洗練された動きで組み合わせること。

 

 それは彼の予想を超えたものであった。

 

 キリトはその異質による隙を見つけ出し、構える。

 

 テイルの攻撃が、剣と盾を両方弾いた。

 

「スイッチ!」

 

「スターバースト―――」

 

 キリトはその隙を、けして逃しはしなかった。

 

 双剣の乱舞を一身に受け、ヒースクリフのHPゲージは、

 

「ストリィィィィムゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」

 

 消え去った。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 全てが終わり、ヒースクリフはGМ権限で話しかけて来る。

 

 だがそれだけだ。それ以外のことはけして曲げないと言いながら、キリトに話しかけていた。

 

「そしてテイル君」

 

「………」

 

 俺にも何か話しかけてきた。正直疲れているんだが、

 

「君の噂は常々聞いていた、あり得る可能性は十全にあった」

 

「………」

 

 ただ無言に聞く中、ヒースクリフは呟く。

 

「片手剣を二本使用する駿足の《双剣》を、防御を攻撃に変える《神聖剣》を、防御を捨てて戦う《暗黒剣》を、構えから放たれる《抜刀術》を、槍の極み《無限槍》を、短剣などの投擲の《手裏剣術》を」

 

「それほどまでの条件なのか」

 

「ああ、一人一つが習得することを想定されたもの。《神聖剣》と《暗黒剣》は相対するスキルでもある。並みのプレイヤーですら、習得できる可能性は少ない」

 

「それじゃ、テイルは」

 

「並大抵を超え、日々狂おしいほどエネミーを狩り続けた結果だ」

 

 そしてヒースクリフはこちらを見る。

 

「君はなぜ、そこまで戦えた?」

 

 なぜ?

 

「………俺はただ、死にたくも、死んでほしくも無かった」

 

 そう言って、俺は本心を告げる。

 

「あんたは凄いよ、茅場晶彦。この世界を創造し、俺たちをこの世界に連れてきた」

 

 前世じゃ考えられない世界、それがここだ。

 

 夢を、幻想を、現実に変える世界。

 

 もしもデスゲームにならなければ、きっと………

 

 退魔の勇者リンク、その名は邪を払う者。

 

 テイルは違う、だから俺はこのゲームがデスゲームではないことを、心のどこかで祈っていた。

 

「テイル………」

 

「だがそれだけだ……。あんたはこの世界を穢した、創造主である、あんた自身が」

 

「君は………」

 

 ヒースクリフは驚いた顔でこちらを見つめる。

 

「俺はそれを決して許すことはない。俺はただ、この世界に代わって、ここに来られないプレイヤーに代わって、ここにいるだけだ………」

 

 そう告げると、ヒースクリフは満足したように、俺とキリトを見る。

 

「君たちがこの世界に来てくれて、本当によかったと思っている。私の夢想の中で、君たちは真剣に生きてくれた………」

 

「………確かにここはゲームの中の世界だ……。それでも俺は、俺たちはここを一つの現実だったと思っている」

 

「………」

 

「そう思ってくれるのか……。ありがとう、キリト君。そして世界の代弁者、テイル君………」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 茅場晶彦、彼はテイルのことをそう告げた。

 

 彼はこの世界の代弁者なのかもしれない。

 

 この世界のラスボスを倒すスキルを多くその身に宿して、この世界を穢したと彼に言えた彼は、まさにそうなのだろう。

 

 どれほどか分からないが、この世界に向き合い、挑んだプレイヤー。

 

 茅場もどこか満足そうだった。

 

 そして全てが終わった………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 全てが終わり、一人、また一人ログアウトする。

 

「………塔の上か」

 

 いつの間にか一人になり、不思議な場所に立っていた。

 

 広がる地平線。日が沈む夕焼けを背に、天空のステージに立つ。

 

 バカバカしいが、それでもここまで来た。

 

 全て本当になんなんだろうか自分は。

 

 デスゲーム化するんじゃないかと思ったため、このゲームに参加した。そしてなったからそれの被害を食い止めたかっただけ。

 

 正しいとかなんなのか、罪悪感か、この時点ではもう分からなくなっていたんだ。

 

 だから最後のあの言葉、俺の本心なのだろうか分からない………

 

 ただ、

 

「………」

 

 この装備を受け取ったいま、俺は攻略プレイヤーとして最後の、やりたいことをしたんだろう。

 

 仲間、と言えるのだろうか。

 

 分からなかったとはいえ、この事態を予測できた俺は、結局なにができた。

 

 そして一人、骸骨の戦士に鍛えられた俺は何者だろう?

 

 俺は………

 

「………」

 

 いや、もうぐじゅぐじゅ考えるのはやめよう。

 

 転生者だのなんだの、考えるのは疲れた。

 

 そして終わったんだから………

 

「やっと………」

 

 その時、人影を見つける。

 

 おかしい、全てのプレイヤーはログアウトし始めているはずだ。

 

「君は………」

 

「うわっ!?」

 

 困惑しているときに話しかけてしまい、一人の女の子。その姿をはっきり見て、内心驚いた。

 

「あれ~ここは。ねえきみ、ここはどこ?」

 

「きみ、は」

 

「ボク? ボクは『ユウキ』!」

 

 その少女は、後天的な病により、生まれてから闘病生活で苦しみ、VRの世界で生きて、生き抜いた少女。

 

 ユウキがそこにいた。

 

「………俺は」

 

 少しだけ口ごもり、静かに、

 

「テイル、俺はテイル………」

 

「テイルだね。それでテイル、ここはどこ? VRММOの中だよね?」

 

「ああ、いまさっきクリアし終えた、ソードアート・オンラインっていう世界だ」

 

「って、えぇぇぇーーーーッ!! あの出られなくなるってゲームの!?」

 

「もう終わって、もうすぐ消えるけどな」

 

「ええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 そう次々に驚き、はしゃぐその姿は、病魔を抱える少女とは思えない。

 

 ユウキから次々と質問攻めされ、知り合いがボス攻略して、ついにクリアしたことを説明する。

 

 おそらく、もうすぐ全て解放されることも。

 

「そっか~。テイルの友達って、すっごいんだね♪」

 

「とも、だち……。ともかく、きっともうすぐ全部終わるさ」

 

 あまり会話らしいこともしていない彼のことを思いだす。キリト、この世界の主人公。

 

 考え込むと、ユウキがこの広大なステージではしゃいでいた。

 

 きっと、ここでのラスボス戦に胸躍らせているのだろう。

 

「あーーー、なんだかボクも戦いたくなってきたよっ。ねえねえ、テイル」

 

「なんだ?」

 

「ボクと、手合わせてしない?」

 

 そう楽しそうに語る少女。

 

 ………

 

 どうせ最後だ。

 

「わかった」

 

「やっっったーーー!!」

 

「ただし」

 

「えっ?」

 

 取り出す剣、ただの剣ではない。友達がくれた、大切な装備だ。

 

「っ!?」

 

 威圧だけは本物であり、驚くユウキへ、俺は静かに構える。

 

「本気で行く………」

 

「! うんっ♪♪」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

「遅いッ」

 

「くっ」

 

 金属が激突する轟音が響き渡りながら、前へと進む。

 

「!?」

 

「懐が甘い!」

 

 瞬時に懐に入り込み、剣は独自のステップも交えて避けられる。

 

 盾で剣を弾き、うまく死角を取るが、ユウキの剣は届かない。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 どれほど長い間、剣を交えたのだろう。

 

 この装備はラスボスの為に、仲間が用意してくれた最高の装備。

 

 その最後の相手に、ユウキは相応しい。

 

 そう思いながら、時間が続く限り、彼女と戦い続けた。

 

「ぷはーーー、たっのしーーー♪ テイル次っ、次しよ♪♪」

 

「いや………」

 

 周りを見渡すと、ステージも消えかけていた。

 

「もうできそうにない」

 

 もう戦えないと知り、ユウキは残念がりながら、ゲームが終わる。

 

「君のおかげで、テイルは満足に動けた」

 

「テイル?」

 

 こいつで遊ぶことは無かった。

 

 色々矛盾していた気がする、遊ぶためにここに来たわけじゃないから。

 

 だが、それはなんだか、悲しい。

 

 なぜならば、ここはゲームなのだから。

 

「最後にこいつで遊べた、ありがとう」

 

 剣の世界でテイルは終わる。

 

 それを聞いたユウキは、

 

「もうVRゲームをしないの………」

 

「………いや」

 

 静かにユウキに告げる。

 

「これでやっと、遊べるよ………」

 

 そうやっと、この世界、前世から始まったデスゲームが、終わりを告げたんだ………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「………ここは」

 

 ベットの上で目が覚めた。

 

 身体が重いが、動こうと思えば動ける。

 

 頭のナーヴギアはすぐに外す、これはもうかぶりたくは無い。

 

 そしたらあれよあれよと看護師が騒いでいるのに気づく。

 

 俺は長い昏睡状態から目を覚まし、生きていた………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 こうして生き残ったおよそ7000人のプレイヤーは、デスゲーム。SAOから解放された。

 

 二年少しの時間の眠り、リハビリを頑張る中、だいぶ経ったものだが、もとより勉学は、前世のおかげでかなり努力した、問題ない。

 

 須郷と言う男が、あの事件に関わり合いがあり捕まったのを記事で見ながら、俺は俺の知る知識を照らし合わせていた。

 

 もう俺の知る世界とは違う世界なのは明白だ。

 

 こうして俺のデスゲームは終わり、俺は、

 

「この世界を楽しもう」

 

 そう言い、VRゲームと言う、前世に無いもの、全てを楽しむ。

 

 ここからテイル、俺の、俺だけの物語(テイル)が待っているんだ。

 

 俺はそう決意する。




彼がやっと、遊ぶためにテイルを名乗り、この世界を過ごすことができます。

五歳からここまで狂おしいほどの時間をデスゲーム対策を使った彼は、やっと遊べる。

ここまでが前座(なに言ってるんだ自分)だ。

ロストソング編が始まったら、ゆっくりやろう。

それでは、お読みいただきありがとうございます。

バレット早くしてくれ~。
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