最終章、オーディナル・スケール。リンクスタート。
ユウキも出るよ。
第38話・現実の仮想
俺は転生者、神様によって前世の記憶を持ち、この世界に退魔の勇者が持つ経験などを体験させられた男。
大学生で、もうかれこれだいぶ年月が過ぎて、この世界の技術力に驚く。
この世界には仮想世界、ゲームの世界にフルダイブする技術がある他に、新たな技術が世に出された。
その名は『ウェアラブル・マルチデバイスオーグマー』と言う、覚醒状態で使用するもの。
まるで物語の中であるもので、現実世界で仮想世界のように通話など様々な機能を使用できる。
ここが俺の世界と全然違うと言うのを再確認される中、俺は平和に過ごしていた。
◇◆◇◆◇
「おはよう」
「あっ、おはよう」
朝田詩乃、あの事件後、結局そのまま我が家に居候する彼女。俺はランニングと共にバイト帰りで、シャワーを浴びに出向く。
すぐに出でミルクを飲みながら、詩乃の膝から移動したミケがすり寄ってくる。
こいつ、普段は詩乃に懐いていて、寝る場所も詩乃についていくのに、ミルク飲むと寄ってくるんだよな。
「あらあなた、オーグマー外してるの?」
「ん、ああ……」
詩乃の耳側に装着されている、簡単なもの。母さんもなにかと便利だからと普段から付けているもの。
確かに発売されてから、機能性を考え買っている。というより周りのほとんど、多くの人々がこれを買って使用している。
通話機能を始め、さまざまな機能が付いている。耳に付けただけで使えるんだから、まさに最先端の技術の一つだ。
母さんがキッチンにいるのを見ながら、詩乃の側で、
「どうも古い人間だからな、こっちの方が落ち着くんだ」
「………そう言えばそうね」
俺が前世を持つ人間だと知るのは、この世界に二人いる。彼女はその一人だ。
正直彼女はしばらくして、死んだのは本当に大学生の時?とか聞かれる。どうもはたから見るとだいぶ若くないらしい。
ともかくそんな会話の中、ここ最近豪華になる我が家の朝食がテーブルに運ばれた。
◇◆◇◆◇
「………」
大学の帰り、本屋で買い物する。図書券が使える場所で探していると、
「?」
かなり売れている、山積みの本を見る。それはある事件を書籍化したものだ。
かすかに苦笑する。買ってはいないが、登場人物が派手になっていた。
「………こちらでも主人公、大変だな」
しみじみ彼の苦労を考えて呟く。主人公、勇者なんてなりたくないだろうに。
その時メールが来た為、オーグマーを操作して開く。
「キリトからか」
内容はオーグマーを使用した、ARゲーム『オーディナル・スケール』の誘いだった。
◇◆◇◆◇
「木綿季」
『あっ、テイル♪』
最近はだいぶ肌に肉がついてきた少女。親権がこちらのものになり、苗字を変えるか本人と相談し決める話で、いまだ紺野の妹だ。
色々しなきゃいけないこともあるが、身体第一に動くため、無菌室で《メディキュボイド》越しに会話する。
『え~、それじゃしばらくリアルのゲームするの~。ぶー』
「そう言うなって。景品が欲しいだけで、VRはやめないさ。可愛い妹はいないし、ヒカリもいないんだからな」
そう会話しながら、もしも木綿季が元気ならば、きっと元気に遊ぶんだろうなと思いながら、色々話をする。
少しだけ現実の時間を増やしたとか、無菌室から出られるよう、出されたご飯は食べているとか、色々だ。
だけど結局この後、仮想世界で会話するのだから、なにしに来ているか分からないが。
そんな感じで、木綿季と仲良くしている。
◇◆◇◆◇
俺は『ザ・シード』を利用して作った、仮想世界にログインしていた。
ここはプレミア、ティアなどがログインできるようにしたもので、セブンの協力もある。
まあ主に俺のVRスケジュール管理や、彼女たちの交流場になっていた。
「ストレアだけか」
「ああ、うん。プレミアたちはイベントの準備だって」
プレミアはALOなどでセブンの手伝いで、女神として活動したりする。
だから時々イベントNPCなどで活動したりするのだが、
「最近、ALOもイベントが人数不足で中止が多いね」
「だな」
悲しそうなストレア。お祭り好きな彼女には、寂しい話だ。
レインもVR関係より、現実と言うより、オーグマー関係の仕事ばかりしている。
選べる立場では無いが、VRもしたいと愚痴っていた。
フィリアも現実で、オーグマーでのマップ探索したり、リズたちも楽しんでいるが、
「寂しいが、一時的なものだろう。リアルはきつい」
「そうだね。それにここでお話しできるし。ねえ知ってる、ユイったらALOのピクシー姿で、アスナたちとリアルの方でお話しできるって。テイルもアタシを連れて行かないかな?」
「考えておくよ」
そんな会話をして時間を過ごす。
◇◆◇◆◇
イベント会場の情報はギリギリまでユーザーに発表されないイベントであり、俺はバイクを使いやってくる。
正直日々貯めた金を使ったため、かなり高めの、いい物だ。大事にしないとな。
夜遅く、子供は出歩く時間は少し怪しいのだがと思いながら、見知った顔を見つけ、そちらに近づく。
「っと、テイルか」
「クライン、それに」
クライン以外にも、彼と同年齢の大人たちがいる。彼らはおそらく彼のギルドメンバーだろう。
「おうっ、俺たち『風林火山』のメンバーだ。お前さんのことも話してあるぜ」
SAOからの仲間たちで集まる中、キリトも来るらしい話を聞く。
「お前さんもこのゲームしてたんだな」
「ああ、母親が報酬の割引券とか、上位になると手に入るから」
そう、このゲームは町中で行われることにも驚くが、多くのスポンサーと景品、割引券など多々ある。
人気の理由として、仮想世界のような事件は起きないと、そう付け加えられながらが気にはなるが………
「それじゃ、《GGO》はどうしたんだ?」
「してるよ、それと《SA:O》。ユウキやティアとヒカリ。彼女たちに会わないと」
そういう中、こちらの準備の為に街並みを見に離れる。
「ARか」
前世の世界でよくて専用の施設で、それっぽいのがあった程度だが、それとは比べ物にならないほどのレベル。
空に浮かぶドローンなどを使用した、完全なバーチャル空間での戦闘。
町中を遊戯施設へと一変させる技術力に、驚きつつも、まあ別世界であり異世界かと納得する。
ともかく、そろそろ時間だ。
「オーディナル・スケール起動」
その瞬間、現実が塗り替わるように変わりだす。
視覚できるものが変わっただけだがそんな印象だ。いまの街並みはビルではなく、ロンドンのような街並み。
しばらく時間を潰していると、キリトとアスナらしい人物もいる。話しかけられる前に、時間が来てしまう。
そんな中で現れたのは、
「武者……、合わないだろ」
そう呟く中、中世の街並みに、刀を持った鎧武者。まあユーザーの中には銃器を装備した者もいるのだからいいのだろう。
これに勝てばお米券が手に入る。勝ってこいと言われている身、勝たなければ。
「おいあれ……」
そんなとき、隣のユーザーが驚いていた。
「《アインクラッド》の十層ボス!? 彼奴は《カガチ・ザ・サムライロード》」
「は………」
SAOの《アインクラッド》のボス? どういうことだ。
キリトのらしき叫び声に振り返りかけたが、またどよめきが起きる。
ともかくそんな話を聞きながら、次に一人の少女が現れた。
「あれは」
「みんなーーー頑張ってる~?」
それはAIアイドル、ARアイドル『ユナ』が現れ、歌を歌う。
彼女はARの広まる中、イメージガールとして活動する。NPCか人間か噂になりながら、人気急上昇中のアイドル。
彼女の歌があるステージは、ボーナスステージとして扱われ、バフとクリア時のボーナスがあるのだ。
そして始まるゲーム、俺にも攻撃が迫る。
それを瞬時に躱し、斬り込みながら、すれ違う。
◇◆◇◆◇
「テイルの奴、なんだあの動き」
剣閃を全て最小限に動きで躱しながら、すれ違いざまに斬ると言う。
どんな角度からの攻撃も即座に避けて、それと共に斬ると言う芸当に、
「VRじみてるぞっ」
クラインの叫びに、キリトたち、彼らが一番驚く、彼は別にあのエネミーの攻撃パターンは知らないが、まるで先が見えているように躱す。
避けるだけでなく、その中の参加者の立ち位置も把握しているのか、邪魔にならずにソロプレイをこなしている。
その動きもほとんどVRの空間じみていて、驚きの中、他のユーザーも動き出した。
◇◆◇◆◇
「っと」
銃で遠距離する者がいる中で、バックステップで下がる。
ランチャーの男が弾丸を放つと避けられ、それがユナへと迫った。
だがそれを弾き、ボスへと当てたユーザーが現れ、一気に攻略が進む。
アスナと共に交差して、ボスを切り裂く。
戦いの中でキリトはあまり活躍できなかったようで、少し残念そうにしていた。
「アスナ、ナイスファイト」
「ありがとう、テイルさんも。それよりあの動き……」
動きがどうしたのだろう? そう思っていると、
「ボスモンスター討伐おめでとう~~♪ ポイントサービスしておいたよ!」
そんな中加算されるポイントに、アスナがこちらを見て驚く。
「テイルさんっ!?」
「って、テイルお前っ」
「君は」
それは俺の順位、三位と言うものにクラインとキリトは驚いていた。
「お米券が手に入った」
「三位なんですねテイルさん」
バイクを使えるのが一番の機動力と説明しておこう。
なにより俺は勉強する時間はほとんどない。それはSAOが始まる前にだいたい済ませたし、その後も大量に勉強したり、身体も鍛えたりしている。
やはり転生者ってチート過ぎるな。
「次はお肉か……」
そんなことを呟くと、ユナが来る。これにはまだ慣れない。
ユナが近づき、俺の頬にキスする。
それにアスナたちが驚く中、だがこれが証らしい。
「今日のМVPはあなた♪ 凄い動きだったわ♪♪」
そう言って去るユナ。これで何度目だろうこの使用。
「うらやましいっ」
そんな言葉がクラインから言われ、呆れるしかない。
◇◆◇◆◇
「キリトは少し運動したらどうだ、俺のパワーリスト貸そうか」
「いや、俺はそういうのは」
バイクからパワーリストを取り出し、装着する。
キリトたちもその様子を見ながら、キリトは尋ねた。
「普段から付けているのか」
「ああ、これくらいないと落ち着かないんだ」
さすがにゲーム中は外すが、日常生活において重りは常につけている。それくらい無いと落ち着かない。
あの体験で、大きな物をよく持ったりして移動するのだから、これくらいはな。
そう思いながら、次はヘルメットを付けて、
「アスナのこと、ちゃんと送れよキリト」
「じゃーなーお二人さん、テイルも気ーつけてな」
「ああ」
クライン組は車か徒歩らしい。キリトと共にお互いバイクを動かし、その場を後にする。
◇◆◇◆◇
「ただいま」
「お帰り~」
母さんがリビングで、父さんのお酒をつまみを運ぶ。
お米券を手に入れたことを伝え、客間、詩乃がいる部屋を見る。
「詩乃はVRか、俺はもう寝るよ。他のVRやARがやれなくなる」
「ヒカリちゃんね、心配かけちゃだめよ」
「ああ」
ミケは詩乃の側にいるのだろう、あの子、シノンの部屋に入り浸りすぎる。部屋に戻り寝ることにする。
VR、AR、学園、生活の全ての両立は大変だ。
◇◆◇◆◇
「マスターっ、今日はどこに狩りに出かけますか!」
GGOでプレイヤーをサポートするキャラクター、アファシスこと、ヒカリは嬉しそうにしていて、ここ最近のイベントを確認している。
「ここ最近、GGOも人が集まらず、イベントが延期になることが多いです」
「ホント、ここ最近はね」
「デイジー、クレハ」
ザスカーの人間である、ツェリスカのアファシスデイジー。
彼女のマスターは少し不満そうに、いつも仕事しているらしい。
今日もログインできず、ここに遊びに来た。それを考えると狩りではなく、話したりしてた方がいいだろうか、掘り出し物でも探すか。
そして幼なじみの姉妹、その妹であるクレハはため息つく。
「人が少ないです、マスター」
「そうだな、みんな現実のゲームを楽しんでるんだろ」
「………戻ってきますでしょうか、皆さん」
デイジーが心配そうに呟き、その頭を撫でながら、
「戻ってくるさ」
「テイルさん……」
「………ARは、きつい」
身体が悲鳴を上げるときがあるし、たぶんキリトのようなタイプのプレイヤーがいるから、話題が盛り上がっているいまだけだろう。
「あっ、デイジーだけずるいですっ。マスターのなでなではわたしだけのものです!」
そう言ってヒカリも近づき、頭を撫でる。
ちなみに話すタイミングを逃し、ジョーがこちらを見ているが、いまは見て見ぬふりをしよう………
◇◆◇◆◇
ここ最近、VR、フルダイブシステムの事件はともかく、オーグマーやARゲームの影響でログイン数が伸び悩んでいるらしい。
そんな中、SAO事件のことが書かれた書籍が発売。
名を『SAO事件記録全集』と言う、本人が言って無い決め台詞付きで売られていた。
どうもこの書籍により、このゲームに出て来るアインクラッドのモンスターと戦おうとするユーザーもいる。
正直、どうなんだろうと思うが………
「その世界か」
少しだけ寝るためにログアウトし、しばらく目を閉じる。
(そう言えば……、彼女の歌のことは、どう書かれているんだろうか………)
もしかすれば自分のように書かれていないだろう、名の無きプレイヤーを思い出し、静かに眠りにつく………
ARとVR、そして現実と、元気の秘訣はミルクである。
常に重りと身体を動かすことを忘れない彼は、やはり現実でも達人レベルの動きをしました。新体操部でも行けば凄いだろうか?
テイル「おじさん身体ボロボロだよ」
それではお読みいただき、ありがとうございます。