ソードアート・レジェンド   作:にゃはっふー

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新たなステージへ、彼は重みから解放されて羽ばたく。


ロストソング編
第4話・新たな世界


「ねえねえ聞いた? あの噂」

 

「サラマンダーの剣士だろ? 知ってるって」

 

「弓矢じゃないのか?」

 

「最っ高につえぇぇらしいけど、どんなんだろうな」

 

「何者だろうと関係ない、見つけたら戦ってみたいぜっ」

 

「ああ、噂の剣士だロ? そいつは………」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 俺はSAO事件から生還し、前世の記憶を持つ、ただの大学生。

 

 ゲーム内の名前をテイルと言い、退魔の勇者より術技を叩きこまれた日々を送っていた。

 

 現在は夢の世界での特訓は無く、安眠が続いている。

 

「おはよう、ミケ」

 

「にゃ~」

 

 現在大学生である、前世の記憶があるため、その教訓で勉学も何も頑張った。

 

 おかげで両親には、リハビリの間はあまり心配されず、むしろ大学を無理していくのかと心配はされる。かなりギリギリだったしね。

 

 二年と少しの年月、仮想世界に閉じ込められたが、俺の場合正確には五歳からこのゲームの対策ばかり考えていた。それを考えると、やっと肩の荷が下りたところ。

 

 とはいえ、リハビリは終わっても身体の鍛えは変えず、ランニング兼バイトを朝からして、重り入りのリストバンドを付けていた。

 

 この辺りの日常を変える気は無い。前世よりも健康面、勉学などは良くなっている。

 

「さてと」

 

 飼い猫にミルクを与え、自分もミルクを飲み干し、身体を確認した。

 

 SAOが終わり二か月少しして、だいぶ回復したと考える。

 

 そして俺はあの事件が終わり、あるゲームを考える。その名は《アルヴヘイム・オンライン》と言うVRММORPG。

 

 ゲームの方は、親からはまあ心配はされなかった。

 

 SAO事件、ソードアート・オンラインから少しして、アミュスフィアと言う新たなVRシステムを使い、創り出された世界。

 

 スキル重視のゲームであり、プレイヤーは妖精になり、空を駆ける。

 

 俺の前世には無いゲーム。心躍るこの技術を、やっと普通に遊べる機会が来た。

 

(思えば、長い日々だった)

 

 リビングで日向に当たりながら、しみじみ思う。

 

 長年の重みは今は無く、爽快感はいまだ続く。

 

 犠牲者は果たして減ったのか、どうなのかは俺には分からない。だが、それを振り返るのは意味が無い。減っていようが出たには出たんだから。

 

 日々の疑問、自分は何者かと言う疑問だけがあった。

 

 退魔の勇者から目を背けているのは自覚はしていたが、いまは………

 

(どうだろうか)

 

 謎の疑問だけは残る、きっと答えは出ないだろう。

 

 俺はそんな自問自答を繰り返すが、ゲームはゲーム。

 

 これを楽しむ、それだけは変わらない。

 

 そしていま、このゲームは大型アップデートされ、新エリアが拓かれていた。

 

 その名を《スヴァルトエリア》。浮遊大陸を一つずつプレイヤーは攻略していくイベントだ。

 

 それを一人で遊ぶ男。

 

 俺は一人で遊んでいる。

 

 一人で………

 

 ………

 

 人とどう会話すればいいのだろうか………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 パーティーってのはどうすればいいのだろうか?

 

 ギルドってどう入ればいいんだろうか。

 

 NPC以外と話ができない。

 

 いや、まあ店の人とは会話できるけど。

 

 まさか前世含めて友達が少ない人生とは、人付き合いを完全に無視して、消極的にしていたツケが、いまここで来る。

 

 ゲームは一人でも楽しめるだろうが、それはSAOで気が遠くなるほどした。

 

(音楽妖精プーカの装飾を付けてるプレイヤーが多いが、なにかの流行なのだろうか?)

 

 そう言えば、ここ最近色々話を思い出す。

 

 いまの大学。目が覚めた日、それと偶然に親の転勤があり、都市部に転校した俺は、SAO帰還者ケアが目的の施設ではない、普通の大学に通う。

 

 友達は、いないかな? 必要なら話しかけられたり、話したりはする。特別仲がいい人がいないだけ。

 

 だが話題などはさすがに分かる。

 

 それは『セブン』と言うプレイヤーがいる。彼女のことが、いま話題だ。

 

 アイドルであり、12と聞くが、天才科学者と聞く。

 

 アバターも自身に似せて、《シャムロック》と言うギルドのリーダーらしい。

 

 このイベントを攻略する、選りすぐりの精鋭部隊。そう聞いている。

 

(人が多くて、入りたくないな………)

 

 人のうわさ程度を聞き耳で仕入れるのも、前より酷くなる中、カフェで飲み物を飲む。

 

 そんな日々である。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

「よっと」

 

 岩壁を上り、先に進む。

 

 装備は片手剣に盾、弓矢と、まあこれは仕方ない。

 

 精神年齢は違うが、五歳の頃から、これを基本に訓練した。

 

 計算する気力も起きないくらい、長い間このスタイル。

 

 もう今度はリンクでいいんでないかい?とは思うが、やはり俺と言う意思表記はしたい。

 

 だけどキリト辺りいそうで怖い。

 

 いやいるか、リーファがいたくらいだし。ALO編は詳しく知らないが、ユウキの話でいたし、いるだろう。

 

 俺は始め、主人公としか考えていなかったが、実際会えば違う、ただの凄腕プレイヤーだ。

 

 他の仲間たち、正直アスナヒロイン、他と仲がいい程度しか知らない。

 

 ああ、さすがにいまではリーファとは兄妹ぐらいは知っている。

 

 前知識、原作知識と言うもの。

 

 いまはこれ、用なしだよな。

 

「………」

 

 無数の敵が現れたが、即座に斬り込む。

 

 攻撃を避け、ダメージを与える。

 

 そして倒し切り、先に進む。いまはこれを繰り返す。

 

(リーファとはALOプレイ時のはず、ってかALO編のヒロインだしな。あの世界にいたはずはない。シノン、彼女はどうだろう? 確かヒロイン扱いとか、聞いてたような気が?)

 

 友人とかの話を振り返る、無論前世。正直もうわけがわからない。

 

 確かALOにはいたが、だめだ、ユウキ編以外、知識は役に立たない。

 

「っと、これくらい」

 

 飛ばなくてもいい、そもそも飛ぶ領域が決められているのか、ある程度の高さしか飛べなくなり、こうして岩壁を上ることにした。

 

 カイトも利用して、うまく岩を掴み、浮遊する島を行き来する。

 

 そして奥へ奥へ進む。

 

(ほんと、これ攻略難しいな、さすがか?)

 

 所々浮遊島なだけに、道が途切れているが、ロープや自家製のカイトで飛び移る。

 

 少し疑問に思うが、これがVRゲームなんだろうなたぶん。

 

(さすがにボスはともかく、フィールド探索は楽しい)

 

 カイトで進むのは、実際どうだろうと思うが、いけるんだから平気なんだろう。

 

 そう思いながら、色々見て回っていると、そこに来た。

 

 扉の前、気配がする。

 

「ネームドエネミーでもいるのか? 楽しみだ………」

 

 そう思い、扉を開くと、突風が吹き荒れる。

 

「なん、だ………」

 

 風に飛ばされ、ダンジョンの外に出る。

 

 そして目の前にエネミーが現れ、自分は、

 

(まさか、ボスエネミーっ!? あれくらいの探索でっ)

 

 その時戦いながら気づく、自分は神様の特典で鍛えられた、謎の身体能力がある。

 

 リハビリに関しても、それにより早く退院できたほどだ。

 

 その感覚で進んだため、現在攻略組よりも先に進んでしまったらしい。

 

 ともかく、ここで倒れて、デスペナルティは嫌だ。

 

「仕方ない………」

 

 そう呟き、飛竜を倒す為、剣と盾を構え、立ち向かう。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 前に接近すると、その前足のかぎ爪で斬りかかる。

 

 それを空中を蹴る応用で横に飛び、すぐに身体をひねり、背中を切り込む。

 

 何度も続けながら、盾で頭部を叩きこみ、ダメージを与える。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 それに叩き込むが、すぐに竜巻が舞い上がり、炎の火球が放たれた。

 

 すぐさま避けつつ、斬り込む。

 

(この連続、《白竜》を思い出す)

 

 飛び上がり、空を蹴り、頭部に盾を叩きこむ。

 

 スタンを取り、瞬時頭部を叩き斬る。

 

 空中戦だが、地上のように扱い戦い、斬撃を食らわす。

 

 突進などそのでかい体格を生かして来るが、飛び上がり避けた。

 

 咆哮を上げるそれは、あの竜を思い出す。

 

 矢を取り出し、即座に叩き込む。

 

 だが、静かに剣を取り出し、ソードスキルを込めて叩きこむ。

 

「セイッヤっ!」

 

 だがその前にHPゲージを消し飛ばし、ポリゴンへと変える。

 

 その様子は、あの竜たちを思い出させた………

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 そうか、俺は普通のプレイヤーよりおかしいのか。

 

 ボスエネミーを倒し、そう痛感する。

 

 敵の動きは本番で見切るのは、SAOで慣れていたとはいえ、俺はおかしいらしい。

 

 ともかく、倒すことはできた。

 

 そして雲により覆われた島が開くと共に、誰かが来る気配を感じ、気配を殺し、隠れる。

 

 そこに現れたのは、

 

「くそっ、先を越されたか」

 

(キリト)

 

 そればかりは見覚えがある。妖精のキリト、リーファは変わらないため、そこにいるのはみんなであり、ユウキまでいる始末にただ驚く。

 

 改めて余裕ができたおかげか、アニメや小説の世界に、俺がいると自覚する。

 

 まあ、違うとも自覚できるが……

 

「誰が次の島を開放したんだろう」

 

 すまないフィリア、俺が倒して……

 

「私たちのように、風の発生装置を開放したのかしら? それでも早いわよ」

 

(風の発生装置? 山登りの通路じゃないのシノンさん?)

 

 やばい、普通に浮遊する島には、自家製のカイトなど駆使して飛び移った時点でおかしいとは思っていたが………

 

「ここのボスを倒したのはシャムロックか?」

 

「分からない、ともかく、次の島を見てみよう。その人も見に行ってるかもしれないし」

 

 アスナの言葉に、彼らは次の島へ移動する。

 

 ………

 

 それを確認し終え、静かに出ていくと、

 

「………」

 

 そそくさと、俺は町に帰ることにした。

 

 彼らと仲間にならないか。

 

 怖い怖い、フレンド登録怖い。

 

 キリトくんみんな仲間だオーラ怖いよ。

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 あれからしばらく、今度は砂漠の島らしい、また探索が楽しみだ。

 

 ただ、噂が流れる。

 

「聞いたか、初エリア攻略者。たった一人らしいぜ」

 

「マジかよっ」

 

「ああ、俺見たぜ。蒼い服の剣士が、岩を上っていくのを。手慣れた手つきで先に行って、大ボスを倒したようだぜ」

 

 やはりあれが正規の方法じゃないのか。

 

 カフェでコーヒーのような飲み物を飲み、外で過ごしているだけで噂話程度は耳に入る。

 

 SAOもこういう方法で時間を過ごし、情報を得ていた。

 

 聞く耳程度、静かに立てれば聞こえてくる。

 

「サラマンダーの蒼い剣士………シャムロックのメンバーでもない、上位者でもないプレイヤー。何者なんだ………」

 

 ちなみにいまは赤い服を着てます。

 

 装備は変えられない、やはり剣をメインに弓矢が落ち着く。

 

 ただ槍と両手剣はお預け、片手剣と弓矢を伸ばすか。

 

 次の島は砂漠だし、赤は定番だな。

 

 装備確認をし、水など買い込み、俺は砂漠へ出向く。

 

 寂しいけど、仲間怖いんだよ……




羽ばたけなかった。

彼は仲間を得て、楽しくゲームを楽しめるのだろうか。

ここからゆっくりしよう。

それでは、お読みいただきありがとうございます。
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